日本各地のオケでこのスメタナの連作交響詩「我が祖国」を数多く手掛けている下野竜也の指揮である。読響、SKO、札幌、兵庫等。折しも彼の地では今年80周年を迎えた「プラハの春音楽祭」が開幕中の今日、今回は川崎でここを本拠地とする東響との共演となった。休憩なしの80分一本勝負のプログラムだ。流れ出たのは明朗闊達で極めて健康的な音楽である。チェコ音楽を得意とし読響ではドヴォルザークの交響曲チクルスもやっている。そんな下野だが殊更ボヘミヤ風を意識したところはなくごく自然にスコアを捉えて外連味なく音にしたと言った感じである。しかし意識的に堅固に隙なく組み立てるということはしないのでチョットした遊びが生じて楽しい瞬間が多々ある。そこが師匠格の高関健の作る音楽との違いであろう。オケは下野の解釈に対して共感に満ちた反応をし...東響名曲全集(2025年5月17日)