ウイーンの「フォルクスオパー」というと”オペレッタ”と連鎖的に思ってしまうが、それは日本固有のイメージであってどちらかと言うとウイーンという街に於いてはシュターツオパーに続く2番目の常設小屋という位置付だ。あくまでもセカンド・ラベルなのだから、こちらには世界的な超一流のキャストが揃うこともないし観客にVIPが混じることも決してない。しかしだからと言って出し物が面白くないことは決してないし、むしろ小回りが利いて興味深い良い舞台ができることもあるだろう。思い返せば最初にウイーンでオペラを観たのはこの劇場の「ウイーン気質」だった。1972年のことである。パブリックスペースが狭くって、ろくなロビーもなくて休憩時間には皆外に出てミモザなんかを飲むのだが、観客が皆寛いでいる独特な雰囲気が私は大好きだ。そんな魅力一杯の...ウイーン・フォルクスオパー「ウインザーの陽気な女房達」(5月5日)