中高生の頃、芥川龍之介の短編を読んだ。「羅生門」、「鼻」、「芋粥」、「蜘蛛の糸」、「杜子春」、「トロツコ」と挙げればきりがなく、教科書に採用されていた作品もある。文学入門編だったが、大学入学後は縁遠くなる。辺見庸が講演会で<芥川は日本軍によるアジア侵略を予見していた>と語っていた「桃太郎」はネット(青空文庫)で読んだ。仕事先の夕刊紙に紹介されていた芥川の<自由は山嶺の空気に似ている。どちらも弱い者には堪えることは出来ない>を、安倍政権下の戦争法案への世紀を超えた警鐘と受け取った。社会主義に傾倒していた芥川は、幸徳秋水に心酔していた石川啄木に便宜を図っていたという。一日数十㌻ずつ読んでいる「神聖喜劇」(全5巻)では、反軍的な思想を隠さなかったことで芥川が軍隊で〝危険文書〟扱いされていたことが綴られている。芥...「河童・或阿呆の一生」~芥川龍之介に神経を切り刻まれた