「歩道橋の魔術師」~過去と現在をマジカルに紡ぐ都市小説
「歩道橋の魔術師」(呉明益著、天野健太郎訳/河出文庫)を読了した。呉の作品を紹介するのは「自転車泥棒」(2024年5月7日)以来、2度目である。「自転車泥棒」時空を行きつ戻りつ虚実の狭間を彷徨う実験小説で、主人公は1992年に解体された台北にある住居兼商業施設「中華商場」生まれという設定だった。「歩道橋の魔術師」の舞台も中華商場である。〝台湾人は親日的〟という先入観通り、文化的結びつきの強さは本作にも描かれている。アジア一の先進国は日本という思い込みはあるが、台湾は日本を追い抜いている。1人当たりのGDPは逆転されているし、同性婚も合法化された。トランスジェンダーであるオードリー・タンは<人々が国家の主人>のビジョンを掲げ、情報戦略のトップとして中国と対峙してきた。質の劣る中国製品の流入、通信の自由制限な...「歩道橋の魔術師」~過去と現在をマジカルに紡ぐ都市小説
2025/04/27 21:20