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酔生夢死浪人日記 https://blog.goo.ne.jp/ck1956/

 映画、音楽、書物、スポーツ、政治に至るまで、日々思いついたことを記していきます。

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2005/08/24

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  • 「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」~静謐に死と向き合う傑作

    先日亡くなった母は「尊厳死協会」の会員だった。生前「胃瘻のような延命処置はしなくていい」と語り、その旨を俺も伝えていたから、老人ホームの関係者は適切に看取ってくれた。尊厳死は安楽死ではない。映画「ロスト・ケア」でも提示されていたが、<安楽死=殺人>で処置を施した者は罪に問われる。安楽死を背景に据えた「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」(2024年、ペドロ・アルモドバル監督)を新宿ピカデリーで見た。スペイン・アメリカ合作で、舞台はニューヨーク。アルモドバル監督が初めて英語を用いた作品である。「アタメ」、「オール・アバウト・マイ・マザー」、「トーク・トゥ・ハー」とブログを始めた04年以前の作品は観賞していたが、以降はご無沙汰になる。スクリーンで接するのは「パラレル・マザー」以来、約2年3カ月ぶりだった。同性愛者であ...「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」~静謐に死と向き合う傑作

  • 井上ひさし著「一週間」~極寒を溶かす勇気とユーモア

    井上ひさしの「十二人の手紙」については別稿(2024年3月11日)で紹介した。縁の薄い作家だが、内容だけでなく手法にも感銘を覚えた。俺は<本作を読むと、井上が人間の心に潜む悪や影を知り尽くしているのがわかる。悪い奴だったに違いない>と感想を綴った。咋年末、別の作品を読んでみようと思い、激賞されている「一週間」(新潮社)に行き当たる。紀伊國屋書店に尋ねると絶版とのこと。Yahoo!ショッピングで注文したら、年初の2日に届いた。ゆうメールは年中無休という。1カ月以上を経て読み始めた。舞台は1946年早春の極寒の地ハバロフスクで、主人公は捕虜収容所に移送された小松修吉だ。タイトル通り、月曜日から日曜日までの小松の1週間の物語だ。本作の背景にあるのは日本の近現代史だ。小松は篤志家の援助で東外大と京大でロシア語と経...井上ひさし著「一週間」~極寒を溶かす勇気とユーモア

  • 「敵」~清冽に閉じられた筒井ワールド

    惚けは始まっており、68歳ともなると心身の衰えは隠しようがない。個人的な問題なので記さないが、今年になって母の死と併せ、人生最大のショックというべき出来事に直面した。それでも生きていかなければならないから、空白を埋めるべくある決意をする。まあ、この年になるとたいしたことは出来ないが……。テアトル新宿で「敵」(2025年、吉田大八監督)を見た。吉田監督作をスクリーンで接するのは「騙し絵の牙」に次ぎ2本目だが、テレビでは3作観賞している。1998年に発表された筒井康隆による原作は老人文学の白眉とされるが、俺にとって筒井は〝完全アウエー〟の作家で、初期の作品を3冊(確か?)読んだだけだから、「敵」を評価するには心もとない。プラスポイントがあるとしたら、77歳の主人公と年が近いことか。とはいえ、無為に過ごしてきた...「敵」~清冽に閉じられた筒井ワールド

  • 真冬の雑感~スーパーボウル、野木亜紀子が照射する日本、マイナンバーカード、斎藤幸平の今、逆風にさらされた渡辺明

    第59回スーパーボウルはフィラデルフィア・イーグルスがカンザスシティー・チーフスを40対22で破り、7年ぶり2度目の王座に戴冠した。3連覇を目指したチーフスだが、前半で0対24と絶望的な状況になる。流れを決定付けたのは第1Q残り7分20秒にチーフスが犯した不可抗力とも思えるパスインターフェアだった。2インターセプトを許したチーフスQBマホームズは「自分のミスで14点を与えたことが敗因」と言い切り、この敗戦を糧に捲土重来を期していた。7シーズン全156話に及ぶ「コールドケース」もほぼ見ているし、主人公のリリー・ラッシュ(キャスリン・モリス)のファンでもある俺は、舞台である〝ブラザーフッドの街〟フィラデルフィアを贔屓にしている。NFLならイーグルス、MLBではフィリーズで、今回の結果には満足している。NFLは...真冬の雑感~スーパーボウル、野木亜紀子が照射する日本、マイナンバーカード、斎藤幸平の今、逆風にさらされた渡辺明

  • アンソニー・ドーア著「シェル・コレクター」~繊細な表現を重ねて寓話に至る

    母の死で帰郷し、読むのを中断していた「シェル・コレクター」(2002年、アンソニー・ドーア著/新潮クレストブック)を読了した。ドーアといえば、昨年最も感銘を覚えた作品として「すべての見えない光」(15年)を挙げた。少年と少女の人生が奇跡的に交錯する過程をマジカルかつ叙情的に綴った小説で、想像力を刺激する描写に裏打ちされている。視力を失ったマリー=ロールは触覚で貝殻の標本を識別していたが、彼女同様、盲目の老貝類学者を主人公に据えたのが「シェル・コレクター」の表題作だ。夢と覚醒の狭間、生者と死者の境界、邂逅と再会を描いた短編からなる「シェル・コレクター」の収録作のうち、5作について紹介していきたい。全編を通して感じるのは女性たちの野性と衝動がストーリーの回転軸になっていることだ。♯1「貝を集める人」の舞台は、...アンソニー・ドーア著「シェル・コレクター」~繊細な表現を重ねて寓話に至る

  • カウリスマキのノスタルジックな世界に浸る

    母が亡くなった27日当日、アキ・カウリスマキ監督作3本をWOWOWで録画していた。ノスタルジックな気分にマッチした「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」(1989年)、「マッチ工場の少女」(90年)、「コントラクト・キラー」(同)の順で綴ることにする。カウリスマキお約束の犬とタバコが頻繁に現れ、カメラ固定のワンテイクとシーンの暗転が繰り返し用いられていた。「レニングラード――」は公開当時に見たが、内容は覚えていないから初見と同じだった。架空のバンド、レニングラード・カウボーイズ役はフィンランドに実在するスリーピー・スリーパーズだったが本作以降、レニングラード・カウボーイズを名乗って活動する。ペンギンを模したような前髪と尖ったブーツにサングラスが特徴だ。バンドは故郷シベリアからニューヨーク、テキサ...カウリスマキのノスタルジックな世界に浸る

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