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酔生夢死浪人日記 https://blog.goo.ne.jp/ck1956/

 映画、音楽、書物、スポーツ、政治に至るまで、日々思いついたことを記していきます。

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2005/08/24

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  • 小川洋子著「寡黙な死骸 みだらな弔い」~死の予感と影が織り成す連作短編集

    今年の1文字を選ぶなら「空」もしくは「虚」か。といっても、引きこもっている俺自身の生活の反映だから、世間に敷衍するのも無理がある。今年は国内外で多くの選挙が行われた。衆院選は〝裏金問題〟が投票行動を左右したが、格差と貧困、福祉と医療、物価高、ジェンダーといった重要なテーマが後退した感もある。「空」と「虚」を実感した選挙だった。映画については前稿で記したが、読書ライフも充実した一年だった。永井荷風と内田百閒、マーク・トウェインとハーマン・メルヴィルの米文学界のレジェンドの作品を読むことが出来た。ハン・ガン、J.M.クッツェー、呉明益との出会いも新鮮だった。最も感銘を覚えた作品を挙げれば「すべての見えない光」(アンソニー・ドーア著)か。「東京都同情塔」で芥川賞を受賞した九段理江の今後にも注目している。読書納め...小川洋子著「寡黙な死骸みだらな弔い」~死の予感と影が織り成す連作短編集

  • 「お坊さまと鉄砲」~幸福を追求する国の手作り絨毯

    今年も月4~5本ペースで映画館に足を運んだ。新宿武蔵野館で観賞した「お坊さまと鉄砲」(2023年、パオ・チョニン・ドルジ監督)は映画締めに相応しい年間ベストワン級の傑作だった。ベストテンなどと銘打つにはサンプルが少な過ぎるが、スクリーンで見たという括りで感銘を覚えた作品を10本挙げておきたい。※()内は監督名「PERFECTDAYS」(ヴィム・ヴェンダース)「オッペンハイマー」(クリストファー・ノーラン)「お坊さまと鉄砲」(パオ・チョニン・ドルジ)「葬送のカーネーション」(ベキル・ビュルビュル)「哀れなるものたち」(ヨルゴス・ランティモス)「あんのこと」(入江悠)「二つの季節しかない村」(ヌリ・ビルゲ・ジェイラン)「キエフ裁判」(2022年、セルゲイ・ロズニツァ)「侍タイムスリッパ-」(安田淳一)「ありふ...「お坊さまと鉄砲」~幸福を追求する国の手作り絨毯

  • 永井荷風著「濹東綺譚」~江戸情緒に溢れる悲恋物語

    ドウデュースの回避で有馬記念は混戦状態になった。俺が注目しているのは海外帰りの⑥ローシャムパーク、⑩プログノーシス、⑯シャフリヤールに加え、8歳馬の⑮ハヤヤッコだ。的中は難しそうだし、この4頭の単複を勝ってレースをゆったり眺めたい。大学入学後、読書に親しむようになったが、主なターゲットは日本の戦後文学で、戦前から活躍している大家の多くがエアポケットになってしまう。別稿(12月4日)に綴った内田百閒は「ノラや」が初めて読む小説だったし、今回紹介する「濹東綺譚」の著者である永井荷風とも縁がなかった。荷風と距離を取っていた理由の一つは、熱烈なファンである石川淳が荷風に辛辣な追悼文を書いていたこともある。初めて手にした「濹東綺譚」を読了した。木村荘八の30点以上の挿絵も興趣を添え、発表時(1937年)の下町にタイ...永井荷風著「濹東綺譚」~江戸情緒に溢れる悲恋物語

  • 「正体」~藤井道人&横浜流星の最強コラボ

    YouTubeで困ったことがある。将棋なら銀河戦準決勝、麻雀なら最強位戦の結果がオンエア前にアップされていた。興を削がれるとはこのことだが、暗黙のルールが必要なんて感じるのはアナログ老人ゆえだろう。YouTubeといえば岩田康誠騎手が中京から京都に移動中、音楽を聴いていたことを問われ騎乗処分を受けた。通話したわけではないことに同情したのか、15日の京都競馬場では、ルメール、坂井、岩田の次男である望来騎手が岩田のジョッキーパンツでレースに臨んだ。トップ騎手たちの〝抗議〟にJRAはいかに対応するだろうか。新宿ピカデリーで先日、「正体」(2024年、藤井道人監督)を見た。染井為人原作で、亀梨和也主演で製作されたドラマ(22年、全4回/WOWOW)も充実した内容だった。一度見たからいいか……。そんな考えがよぎった...「正体」~藤井道人&横浜流星の最強コラボ

  • オルハン・パムク著「雪」~詩想に満ちた恋愛小説?

    アサド政権が崩壊した。思い出したのは映画「それでも僕は帰る~シリア若者たちが求め続けたふるさと」で、ユース代表GKだったバセットが歌とアジテーションで人々を惹きつけ、カメラマンのオサマが写真や映像を世界に発信する様子を追っていた。軍は市民に銃を向け、バゼットの仲間たちも次々に死んでいった。彼らは今、解放の喜びに浸っているのだろうか。NHKで高橋和夫氏(放送大学名誉教授)は、「カギはトルコ」と語っていた。クルド人勢力との妥協がシリアの安定に繋がると捉えているようだ。トルコを代表する作家はノーベル文学賞を受賞したオルハン・パムクで先日、「雪」(宮下遼訳、上下/ハヤカワepi文庫)を読了した。パムクを読むのは「わたしの名は赤」に次いで2作目で、両作に共通するのは雪の中で展開すること、ミステリー調でメロドラマの要...オルハン・パムク著「雪」~詩想に満ちた恋愛小説?

  • 「アングリースクワッド」~ジェットコースタームービーに快哉を叫んだ

    尹錫悦大統領による非常戒厳宣布に大きな衝撃を受けた。1980年に軍事政権打倒を掲げて立ち上がった市民を虐殺した光州事件の記憶が甦る。俺も韓国民衆との連帯を訴え、デモや集会に参加した。<民主度>で追い抜かれたと実感していた韓国でのまさかの事態だが、親日派で知られる尹大統領はニューライト(新保守主義)の流れに与しており、与党を含めた政治家の拘束も指示していたことが明らかになる。「報道1930」に出演していたパトリック・ハーラン(通称パックン)はアメリカとの類似点を指摘していた。韓国では軍が民衆を強圧することなく、殆どの国民も非常戒厳に批判的だが、アメリカでは事情が異なる。半数以上の国民が議事堂に乱入したトランプ支持派を英雄視しており、恩赦が行われることは確実だ。分断が進行している点では両国で共通しているが、「...「アングリースクワッド」~ジェットコースタームービーに快哉を叫んだ

  • 内田百閒著「ノラや」~文豪もペットロスに濡れる

    近所に住み着いた三毛の野良猫ミーコとの交流については、当ブログで繰り返し綴ってきた。交流といっても餌やりをしている数人のひとりで、尻尾を上げて駆け寄ってくることもあれば、満腹時はそっけない。ねぐらを用意している方もいるようだし、この冬も越せそうだ。「猫はこうして地球を征服した」(アビゲイル・タッカー著)によれば、交尾と狩猟という得意技を発揮出来なくなった猫はこの30年、第三の本能すなわち人間馴致の術を磨いてきたという。とはいえ日本で猫は100年前から作家たちの心を掴んできた。誰しも思い出すのは夏目漱石の「吾輩は猫である」で、谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のをんな」は小説も映画もブログで紹介してきた。映画版で正造を演じた森繁久弥の「僕は今、恋愛中や。いや、もう、ずっと前からや。このリリー(猫)とな」の台詞が記...内田百閒著「ノラや」~文豪もペットロスに濡れる

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