小川洋子著「寡黙な死骸 みだらな弔い」~死の予感と影が織り成す連作短編集
今年の1文字を選ぶなら「空」もしくは「虚」か。といっても、引きこもっている俺自身の生活の反映だから、世間に敷衍するのも無理がある。今年は国内外で多くの選挙が行われた。衆院選は〝裏金問題〟が投票行動を左右したが、格差と貧困、福祉と医療、物価高、ジェンダーといった重要なテーマが後退した感もある。「空」と「虚」を実感した選挙だった。映画については前稿で記したが、読書ライフも充実した一年だった。永井荷風と内田百閒、マーク・トウェインとハーマン・メルヴィルの米文学界のレジェンドの作品を読むことが出来た。ハン・ガン、J.M.クッツェー、呉明益との出会いも新鮮だった。最も感銘を覚えた作品を挙げれば「すべての見えない光」(アンソニー・ドーア著)か。「東京都同情塔」で芥川賞を受賞した九段理江の今後にも注目している。読書納め...小川洋子著「寡黙な死骸みだらな弔い」~死の予感と影が織り成す連作短編集
2024/12/30 23:27