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『碧巌録』より 第十一則 黃檗酒糟漢/ 黃檗噇酒糟漢(その3)
黃檗と裴相國とは塵外の交わりを結んでいた。裴相國が宛陵に赴任すると、裴相國は黃檗を官舎に招き、自分の禅境の進歩ぶりを紙に書き記して黃檗に提示した。黃檗はそれを受け取ると座において、まったく開いてみようとしなかった。ややしばらくして黃檗が言う。「わかったか」。裴相國は、「わかりません」。黃檗が言う。「もしそんなふうにしてわかったとしても、やはり違うな。悟境を紙に書きしるすようなことをすれば、いったいどこに禅宗の宗旨が存在するというのだ」。