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  • 伊吹山 「積雪記録世界一の山」

    岐阜県と滋賀県の県境にある伊吹山は、標高1,377mの山で、深田久弥の日本百名山にも選ばれています。ヤマトタケルノミコトの伝説をはじめとした故事来歴、薬草や稀少生物、さざれ石や山の特異な形成史など、伊吹山の魅力は尽きません。 滋賀県側から見た伊吹山 左側(西側)は削り取られた跡が大きく残る 石灰岩の採掘により、西側(滋賀県側)が大きく削り取られていますが、その傷跡も多少目立ちにくくなっており、何と言っても、琵琶湖と濃尾平野に挟まれて高くそびえる雄姿は、圧倒的な存在感とオーラを発しています。 2084校の校歌に登場する山 「かなり遠方からも見える」暮らしの中に溶け込んだ山であるため、滋賀県側も濃…

  • 温泉分析書の「電気伝導率」とはどんな単位

    電気伝導率(mS/m )とは 温泉分析書の上の方のpHなどが記載されているあたりに電気伝導率という項目が位置づけられている場合があります。 「電気伝導率」が記載された温泉分析書 電気伝導率の単位「mS/m」は、「ミリ ジーメンス マイ メートル」と読みます。 この単位は、一口で言うと水溶液の電気の通りやすさを示す尺度で、水より食塩水の方が電気が通りやすいように、水溶液の中にイオンがたくさん存在している程、電気が通りやすくなります。 すなわち、温泉の電気伝導率は、温泉中に含まれる全イオン量を反映しており、電気伝導率が高い温泉は、溶存物質量( 陽イオン + 陰イオン )が多いということを表わします…

  • 遠くの山が白く見えるのは何故

    雨が降らない日が続くと、遠くの景色が白っぽく「もや」がかかったようになります。特に山の景色を見ると、遠くの山ほど白く見えます。 蔵王から見た遠くの山の景色 遠くの山ほど白っぽく見える 空気中には、水蒸気や、PM2.5、塵(ちり)、黄砂などの小さな粒子状の物質がたくさん浮遊しています。 太陽光が、空気中のこれらの粒子にぶつかると、すべての波長の光(すべての色の光)が散乱(ミー散乱)を起こすため、見ている私たちの目には白い光(昼間の太陽をまともに見た時と同じ色)となって飛び込んできます。光の散乱については、本ブログの「乳白色の温泉のメカニズム」を参照していただければと思います。 遠くの山ほどより白…

  • 温泉現象 「噴気塔」

    富山県立山地獄谷には、熱水変質帯の灰色の地肌をむき出しにした噴気地帯が広範囲に広がっています。その中の「鍛冶屋地獄」と呼ばれる谷 底にある噴気地帯には、硫化水素や二酸化硫黄(亜硫酸ガス)が噴出する噴気孔が至る所に見られ、噴気孔の周りに火山ガスの成分である昇華硫黄が堆積し続け、それが高く塔状に成長してできた珍しい噴気塔 が見られました。一番高く成長した時には2mを越えました。 富山県立山地獄谷で見られた、昇華硫黄が高く成長してできた「噴気塔」 噴気塔が見られた立山地獄谷の鍛冶屋地獄 写真中央奥に噴気塔が見える 写真は、筆者が2002年に撮影したものです。この時には既に噴気し止まっていました。その…

  • 温泉博物学 「温泉細工」

    温泉スケールを逆手に取って生まれた「温泉細工」 温泉地に行ってお土産を探すのも楽しみの一つです。特にその土地ならではのお土産に出会えればうれしくなります。 炭酸カルシウムでコーティングされてできた土産用「温泉細工」 上の写真は、またまた下呂発温泉博物館に展示されている「温泉細工」などと呼ばれる温泉地オリジナルのお土産です。 一番手前は北海道の二股ラジウム温泉の温泉細工です。オロナミンCなどの空き瓶(廃棄物)に温泉水を振りかけ続けて温泉成分(炭酸カルシウム)を付着させてできたものです。まるで焼き物のようです。1本500円でお土産として売られていました。空き瓶は「捨てればただのゴミ」です。ゴミに、…

  • 温泉に関わる国の天然記念物

    「天然記念物」および「特別天然記念物」 わが国では、文化財保護法にもとづいて、「学術上貴重で日本の自然を記念する動物,植物、地質鉱物および天然保護区域」を天然記念物に指定しています。さらに、その中で「世界的にまたは国家的に価値が高いもの」を特別天然記念物に指定しています。 2024年2月10日現在、国の天然記念物には1,038件が指定されており、このうち75件が特別天然記念物に指定されています。「天然記念物」は人文系文化遺産では重要文化財級、「特別天然記念物」は国宝級に相当する位置づけです。 温泉に関わる天然記念物 温泉に関しては、平成25年に新しく「新湯の玉滴石産地(富山県)」が天然記念物に…

  • 温泉現象 「泡沸泉」

    沸騰した熱い温泉かと思いきや‥‥ 長崎県雲仙岳の麓の海岸沿いには、熱い源泉で知られる小浜温泉があります。源泉温度をいろいろな温泉分析書で確認してみると、何といずれも100℃前後でした。 そんな小浜温泉街の一角に「炭酸泉」という看板があり、ポケットパークのように整備された敷地内に、ボコボコと音を立てながら温泉が湧き出す小さな泉源があります。囲いも何もなく、「外で勝手に湧き出している」という感じです。 長崎県小浜温泉の「炭酸泉」と呼ばれる泡無沸泉 何しろ熱い小浜温泉地内で「ボコボコと音と泡を出しながら湧き出している」ので、沸騰しているのと勘違いしてしまいますが、実際に手を突っ込むと冷んやりとし、全…

  • 温泉現象 「間欠泉」

    間欠泉とは 噴泉のうち、ある一定の時間間隔をおいて湧き出す温泉現象を間欠泉と言います。間欠泉はさらに、地下の空間内の水蒸気圧によって噴出する間欠沸騰泉と、地下の空間内の炭酸ガス圧によって噴出する間欠泡沸泉とに分類されます。 木部谷間欠泉(島根県) 炭酸ガスの圧力によって噴出する稀少な間欠泡沸泉です 鬼首吹上間欠泉「弁天」(宮城県) 観光用に有料公開されています 川俣温泉間欠泉(栃木県) 現在活動が停止しているようです (写真は半田実氏提供) 広河原間欠泉(山形県) 間欠泉のある浴槽に浸かれましたが、現在施設閉鎖中です 諏訪湖間欠泉(長野県) かつて50m程吹き上げましたが、活動が完全に停止しま…

  • 温泉現象 「噴泉」

    温泉が自然に湧き出す時の「湧き出し方」にもさまざまな形態があります。熱湯と水蒸気が一緒になって噴水のように勢いよく噴出し続ける温泉現象を噴泉(ふんせん)と言います。地下に高温の水蒸気を含む熱湯が存在し、温泉の湧き出し口の穴(孔隙)が小さいと、地下の熱湯がたまっている空間の圧力が高くなるため、小さな孔隙からゴーという激しい音を出したり、しぶきを飛ばしたりしながら勢いよく温泉を噴き出し続けます。噴泉には、空に向かって垂直方向へ噴き出すタイプもあれば、地層の層理面等に沿って水平方向へ噴き出すタイプもあります。 垂直方向に吹き上げる噴泉 渋温泉地獄谷の噴泉 国指定天然記念物。後ろの一軒宿は地獄谷温泉「…

  • 温泉にメントスを入れると

    小学生が実験をしました コーラにメントスを入れると、コーラに包まれた泡が噴き出すという実験は有名ですね。 コーラにメントスを入れた時の様子 炭酸水や炭酸飲料の中には二酸化炭素(炭酸ガス)が、「CO2 」という分子の状態で水の分子の隙間に入り込んでいます(遊離二酸化炭素)。常温常圧では、炭酸ガスは気泡となって空気中へ抜けて行こうとしているのですが、水の表面張力が周りから炭酸ガスを押しつぶしているので、簡単には抜けられません。そのような状況に、何かでこぼこした物と接触すると、接触部分の水の表面張力が弱くなるので、そこから炭酸ガスが気泡となって現れ、抜け出していきます。 メントス(お菓子)表面に微細…

  • 温泉博物学 「硫黄系の液体入浴剤」

    温泉と薬機法(やっきほう) 以前は「薬事法」と言っていた法律が、2014年に「薬機法」に改正されました。正確には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言います。 温泉は薬物ではないので効能が言えない 温泉は、薬物ではないので、薬機法の規定により「○○に効く」、「○○に効果がある」というようなことは記載してはいけないことになっています。ましてや、「○○が治る」となどと言ってはいけません。 そのため、温泉の場合は「神経痛に適応がある」、つまり神経痛の人が温泉療養を行うのに適している泉質ということで 適応症 というまわりくどい言い方になります。 入浴剤は効能が言える …

  • 温泉現象 温泉がつくる「地獄」「地獄谷」

    「地獄」は温泉天国です 火山活動が活発な所では、岩肌がむき出しになった荒涼とした大地の至る所から火山ガスを噴き上げ、温泉がボコボコと湧き出すような風景を目にすることがあります。 雲仙「地獄」 そのような一帯は、地熱や、様々な成分を含んだ酸性の熱水(温泉水)の影響で、もともとの硬い岩石が「温泉余土(おんせん)」と呼ばれる、やわらかく白っぽい粘土鉱物などに変質しています。その結果、周辺一帯が白く殺伐とした景観になります。 川原毛「地獄」 かつて硫黄の採掘が行われていたので自然の地形という訳ではありません 恐山「地獄」 このような場所を地質的には「熱水変質帯」と呼びます。また、景観的には「噴気地帯」…

  • 温泉博物学 「こつぼ洗い器」って、知ってる?

    こつぼ洗い器 何年も前のことです。伊香保温泉の観光案内所に併設されていた「伊香保歴史資料室」というちょっとした展示スペースに、写真のような珍しいものが展示されていました。私は初めてこのような資料を見ましたが、皆さんは、これが何だかおわかりですか。 展示されていた「こつぼ洗い器」の複製 これには、「こつぼ洗い」という説明がつけられていました。本物がほとんど残っていないため、貴重な資料を残そうと、わざわざ作られたレプリカ(複製)だそうです。大変珍しかったので、撮影をさせていただきました。 あまり詳しく説明をするのがちょっと「アレ」なので、次の写真の説明を読んでみてください。 「こつぼ洗い」の説明文…

  • 温泉博物学 「飲泉カップ」

    飲泉許可が下りている温泉を飲むことにより、薬を飲むのと同じような薬理効果を得られる場合があります。 飲泉は特に東ヨーロッパで古くから盛んに行われていました。 飲泉の際に使われるのが、専用の「飲泉カップ」です。 下呂発温泉博物館に展示されている様々な温泉地の「飲泉カップ」 上の写真は、下呂発温泉博物館に展示してある飲泉カップです。手前の美しいデザインのものは、チェコのカルロビバリのものです。取っ手がストローになっていて、自慢のマイカップでゆっくりと時間をかけて飲みます。 チェコ カルロビバリ温泉の飲泉カップ 取っ手部分がストローになっている 奥の方の白っぽいものは、ヨーロッパのものを真似てつくら…

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