これはとある社会人のKさんから聞いた話。 Kさんは、最近引っ越したばかりのアパートに住んでいた。 築年数はそれなりに経っていたが、立地も良く、何より家賃が手頃だったため、すぐに決めたのだ。 窓からは小さな公園が見え、日当たりも良く、Kさんは新生活に期待を膨らませていた。 引っ越してきて数日経った頃、Kさんは夜中にふと目が覚めた。 時計を見ると午前3時。
とある地方の小さな村に一軒の古びた洋館があった。 その館は「白い館」と呼ばれ、村人たちの間で恐ろしい噂が囁かれていた。 昔、その館には裕福な一家が住んでいたそうだ。 美しい庭園と広々とした部屋を持ち、村人たちから羨ましがられていた。 しかしある日突然、その一家は姿を消してしまった。 誰もその理由を知らなかった。
お盆の夜、Sさんと友人たちは夏の恒例行事として、肝試しに出かけることにした。 目的地は地域の外れにある古いお寺の跡地だった。 時間は23時過ぎ、懐中電灯やスマホのライトを手にしたSさんたちは、お寺の跡地へと向かったのだが、途中で奇妙な音や影に驚かされながらも、なんとか目的地にたどり着いた。 お寺の跡地は、朽ち果てた石像や苔むした石段が残る静かな場所だった。 Sさんたちはその場で肝試しを始め、順番に一人ずつ境内を歩いて戻ってくるというルールにした。
お盆の夜、Sさんたちの村では毎年恒例の盆踊りが開催されている。 盆踊りやぐらの周りには色とりどりの提灯が灯り、村人たちは浴衣を着て賑やかに踊りを楽しんでいた。 Sさんも友人たちと一緒に輪の中に加わり、盆踊りのリズムに合わせて踊っていた。 笑い声や音楽が夜空に響き渡り、夏の盆踊りの雰囲気を楽しんだ。 しかしふとした瞬間、Sさんは踊りの輪の中に見慣れない顔が混じっていることに気づいた。
小学生だったSさんは、毎年家族と一緒に亡くなった祖父の墓参りに行っていた。 真夏の日差しが照りつける中、家族は祖父の墓に向かい手を合わせて供養を始めた。 墓参りが終わり家族が帰ろうとしたその時、Sさんが周りの墓地を見渡していると、そこには見覚えのない墓石がいくつも並んでいて、奥の墓石の手前に白い着物を着た人影が見えた。 「何してるんだろう?」 Sさんは気になり、家族にそのことを伝えたが誰も気に留める様子はなかった。
ある晩、山奥の小さな村に住むSさんは森の奥で仕事をしていたのだが、休憩していたときについ寝てしまい、気がつくともう夜になっていた。 おもいきり寝過ごした!と急いで帰っていると、夜の静けさの中にかすかな音楽のようなものが聞こえてきた。 「こんな夜に森の中に誰かいるのか?」 とSさんは音の方へと歩いていく。 だんだんと音楽がに大きくなり、かすかな笑い声や話し声も聞こえてきた。
ある夏の夜、Aさんは山奥の温泉宿に一人で宿泊していた。 その日は涼しい風が吹いており、夕食後に夜の散歩に出かけた。 山道を歩いていると、ふと前方に青白い光が見えた。 「何だろう?あの光は」 Aさんは好奇心に駆られて光の方向に足を向けた。その光は狐火と呼ばれるもので、妖しい輝きを放ちながら揺らめいていた。 「まるで灯りが踊っているみたいだ…」 Aさんはその光に魅せられ、つい追いかけてしまった。狐火はまるでAさんを誘うかのように、一定の距離を保ちながら進んでいく。
7月の蒸し暑い夜、Aさんは仕事が遅くなり終電間際の電車に駆け込んだ。 車内は思ったよりも混んでおり、座席に座ることはできなかったがなんとか立っているスペースを見つけた。 電車が出発し、疲れた体を窓に寄りかからせながら、Aさんはぼんやりと外の景色を見ていた。 次の駅に着くと少しずつ乗客が降りていく。 しかし何かがおかしかった。 一人、また一人と降りるたびにその姿が消えるように見えた。
ある秋の朝、友人のNとM、そして俺の三人は久しぶりに山登りに出かけた。 天気は曇りがちだったが、登山には問題ないと思っていた。 山の麓に着いた頃、霧が立ち込め始めていたが、俺たちは気にせず登ることにした。 登山道を進むにつれて霧はどんどん濃くなり、視界がほとんど効かなくなった。 あたり一面が白い壁に包まれているようで、10メートル先も見えない状況だった。 そんな中、Nが不意に立ち止まった。 「おい、あれ見えるか?」
7月の蒸し暑い夜、Aさんたちは泊まりに来た宿の近くにある海辺で、コンビニで買った花火を楽しんでいた。 海風が心地よく賑やかな笑い声が響いていたが、ふとBさんが海を指さした。 「あれ、なんだろう?」 皆が指さす方向を見ると、夜の闇に溶け込むようなシルエットが海面に浮かんでいた。 近づいて見ると、それは人の形をした何かが波間に揺れているように見えた。 「誰かが溺れてるんじゃない?」 Cさんが心配そうに言うと、Aさんは「俺が見に行く」と言って海に入っていった。
心霊スポット好きの大学生たちが、廃病院に肝試しにやってきた。 彼らは懐中電灯を片手に廃墟となった病院を探索していると、地下室への階段を見つけた。 彼らは興奮しながら降りていく、階段を降りた先には狭い通路が続いており、空気がひんやりとしていた。 その通路をおっかなびっくり進んでいた時、突然奥の方から「ガラガラガラ」という音が響いた。
Nくんが通う中学校のキャンプ行事には、キャンプ場の近くに小さな川が流れていて、昼間は生徒たちの遊び場だった。 水遊びや魚を捕まえたりして楽しむ事が出来る。 しかし、夜になるとその川から奇妙なささやき声が聞こえてくるという噂があった。 ある夜、Nくんはその噂を確かめるために一人で川に向った。 夜の静寂の中、足音だけが響く。 川辺に近づくと冷たい風が吹き、Nくんは少し身震いした。
ある年の七夕の夜、神社の境内は色とりどりの短冊で飾られた笹の葉で華やかだった。 Yさんはその神社で毎年行われる七夕祭りを楽しみにしており、今年も友人たちと一緒に参加していた。 夜空を見上げながら笹の葉を眺めていると、一枚の短冊が目に留まった。 薄暗い境内の中で、その短冊だけが妙に気になったのだ。 短冊には他の願い事とは違って震えるような文字で「お願い、ここから出して」と書かれていた。 Yさんは驚き、友人たちにその短冊を見せたが、みんな冗談だろうと言って笑い飛ばした。
Eさんが小学生の頃、友人の家の地下室で遊んでいると、地面から囁き声が聞こえてきた。 耳を澄ますと「出て行け」と繰り返している。 驚いて友人に話すと彼も同じ声を聞いたという。 二人は怖くなり、その事を大人に伝えた。 大人たちは最初は信じなかったが、子供たちと一緒に地下室を調べることにした。
1本だと短すぎる為、何本かここに載せて起きます。 知り合いから聞いた話。 深夜、山のキャンプ地の河原で友人と焚き火を囲んでいると、突然川の向こうから叫び声が聞こえてきた。 驚いて声の方に懐中電灯を向けると、対岸に苦しそうにして手を振る人影が見える。 こんな時間にあんな所に人がいるなんてとても信じられなかったが、その影は確かに助けを求めているように見えた。 友人と二人で急いで対岸に向かおうとすると、近づくにつれてその人影は薄れていき、最後には霧のように消えてしまった。
ある山奥の村には、古くから「狐の社」と呼ばれる神社があった。 この神社は村人たちにとって神聖な場所であり、毎年春には盛大な祭りが行われていた。 しかし、その神社には決して触れてはならない禁忌が存在していた。 その禁忌とは、「神社の裏山に入ってはならない」というものだった。 村人たちは代々この掟を守り続けていたが、ある若者がその禁忌を破ってしまう。 その若者は翔太と言い、都会から戻ってきたばかりだった。 彼は村の古い風習や迷信を信じず、神社の裏山に興味を持っていた。
知り合いのTさんから聞いた話。 Tさんは週末を利用して、友人たちと一緒に山奥のキャンプ場へ出かけた。 そこは木々が茂り、静かで落ち着いた場所だった。 到着した初日はキャンプファイヤーを囲み、楽しいひと時を過ごした。 翌日の朝、Tさんと友人たちはキャンプ場の近くを探索することにした。 地図を見てみると、キャンプ場の周辺には川と川を渡る為の古びた吊り橋が描かれている。
キャンプ好きのYさんは、週末になるとよく山奥のキャンプ場へと足を運んでいた。 静かな自然の中で過ごす時間が、忙しい日常を忘れさせてくれるからだ。 ある秋の夜、Yさんは一人で山奥のキャンプ場へ向かった。 日が暮れた後、焚き火を起こして静かな夜を満喫していた。 炎の揺らめき、パチパチと弾ける音が心地よい。 しばらくその雰囲気を楽しんでいると、焚き火の向こう側に何かがいるような気がした。
タクシー運転手のKさんは、深夜のシフトを終えかけていた。 夜のタクシー業務は酔っ払い客や奇妙な出来事が多いが、それに慣れてしまうのがこの仕事の常だった。 その夜も、Kさんは最後の一件を終えて会社に戻るところだった。 時計は午前1時半を指していた。 ラジオから流れる音楽が車内の静けさを和らげていた時、突然無線が鳴り響いた。
あるオフィスビルを警備しているMさんの話。 Mさんは、毎晩巡回の一環として屋上へ上がることになっていた。 昼間は社員たちで賑わっているこのビルも、夜になると不気味なほど静かになる。 ある夜、Mさんがいつものように屋上に上がると、視界の隅に黒い影が見えた。 誰かいるのかと思い、屋上をくまなく探してみたが誰も見当たらない。 気のせいだったのかなと思い、そのまま巡回を続けた。
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これはとある社会人のKさんから聞いた話。 Kさんは、最近引っ越したばかりのアパートに住んでいた。 築年数はそれなりに経っていたが、立地も良く、何より家賃が手頃だったため、すぐに決めたのだ。 窓からは小さな公園が見え、日当たりも良く、Kさんは新生活に期待を膨らませていた。 引っ越してきて数日経った頃、Kさんは夜中にふと目が覚めた。 時計を見ると午前3時。
これは、Sさんという方が学生だった頃の話。 Sさんは大学で歴史学を専攻していた。 特に興味があったのは、郷土史。 地域の小さな図書館に通い、古い資料を読み漁るのが日課だった。 その図書館は町の中心部からは少し離れた、ひっそりとした場所にあった。 建物自体も古く、天井が高く、木製の書架がずらりと並び独特の埃っぽい匂いがした。 訪れる人もまばらで、静寂が常にその場所を支配していた。
夜勤のBさんは、いつものように仮眠を取るために休憩室へ向かったのだが、4つあるのベッドがすべて使用中だった。 仕方なく、誰かが起きてくるまで仕事を片付けることにした。 しばらくすると、3人の同僚が起きてきてBさんに声をかけた。 「あれ?Bさん、まだ仮眠取ってないんですか?」 Bさんは、仮眠室のベッドが4つ埋まっていたから使えなかったと説明した。 すると同僚たちは不思議そうな顔で言う。 「廊下側が1つ空いてたじゃないですか」 「そんなはずはない、確かに4つ埋まってたよ」
ある年の夏、Kさんはいつもの地方の無人駅のホームで、最終電車を待っていた。 残業で遅くなってしまい、疲れた体をひきずって辿り着いたこの駅には、最終の到着を待つ乗客はKさん一人だけだった。 深夜の駅のホームは、街灯の明かりがぼんやりと照らすだけで、物音ひとつしない。 普段なら虫の鳴き声がうるさいのだが、この日は虫の声すら聞こえず、ただただ静寂がKさんを包んでいた。 その時、背後のベンチから「きしり」という小さな音が聞こえた。 誰かが腰かけたような、そんな音だった。
今回この話は2つのバージョンを用意しましたので、お好きな方をどうぞ。 1つ目 Iさんは大学の登山サークルに所属していて、その日は仲間たちと連れ立って、少し険しい山を訪れていた。 新緑が眩しい季節で、鳥のさえずりが心地よく響く、ごく普通の登山になるはずだった。 しかし、途中で道を間違えてしまったのか、Iさんたちはいつの間にか、地図には載っていない谷間に迷い込んでいた。
Sさんは学生の頃から登山が趣味で、社会人になってからも週末になると、一人で山へ出かけることが多かった。 その日もいつものように単独登山を楽しんでいたのだが、予報にない悪天候に見舞われ、急遽、山中の避難小屋に泊まることになった。 小屋は古く、軋む音が不気味に響く。 Sさんは持参した食料を広げ、ラジオで天気予報を聞いた。 夜遅くになるとさらに荒れるらしい。 不安を覚えながらも、疲労からすぐに眠りについた。 深夜、ガタガタと窓が揺れる音で目が覚めた。
Nさんは、数年前から登山に没頭している。 普段から人の少ない、整備されすぎていない登山道を好んで歩く。 その日も、彼は地図には載っていないような古い山道を、気ままに探索していた。 鳥の声だけが響く静かな山の中、踏み固められた道は徐々に細くなり、やがて獣道へと変わっていった。 Nさんはそういった道を進むのが好きだった。 未知の風景に出会える期待感が、彼の好奇心を刺激する。 しばらく獣道を分け入って進むと、ふと、道の脇に不自然な空間があることに気がついた。
ある晴れた週末の午後、Yさんは小学生になる娘を連れて、山のふもとにある森林公園を訪れていた。 都会の騒がしい場所と違い、休日でも人がまばらで、静かに過ごしたい家族にはうってつけだった。 Yさんの目的は、娘がネットで見て興味を持った、園内奥にある木製遊具だった。 木製の滑り台やジャングルジムでしばらく遊んだ後、娘はふと、その奥にひっそりと佇むブランコを見つけた。 それは古びた木製のもので、使い込まれた座面はすっかり色褪せ、鎖は錆びついていた。
Mさんたち大学生グループは、休日を利用して近場の山に登山に来ていた。 新緑が眩しい季節で、道中も賑やかに談笑しながら、ゆっくりとしたペースで山を登っていく。 ちょうど昼食を終え、もう少しで頂上というあたりで、小さな観光展望台に立ち寄ることにした。 展望台は、山の景色を一望できる開けた場所にあり、頂上付近の少し手前に位置する。 小さな東屋が建てられ、中には木製の古びた望遠鏡と、休憩用のベンチがいくつか設置されていた。 普段なら観光客で賑わう場所だが、その日はあいにくの曇り空。 人もまばらでひっそりとしていた。 遠くの景色も霞んで見え、少し肌寒い風が吹き抜けていく。
夏も終わりに差し掛かった頃、Hさんは山の中腹で野営の準備を進めていた。 日はすでに傾き、周囲は急速に薄暗さを増していく。 湿った空気が肌にまとわりつき、あたりには濃い霧が立ち込め始めていた。 視界は悪く、わずか数メートル先も見通せないほどだ。 そんな中、Hさんの視界の先にぽつんと白い塊が浮かび上がった。 目を凝らすと、それはどうやら真っ白なテントのようだった。 こんな高地に他の登山者がいるとは珍しい。 Hさんは訝しく思いながらも、近くに誰かがいることにわずかな安堵を覚えた。 登山仲間だろうし、挨拶をしに行こうかな…と、Hさんは白いテントへと足を進めた。
Kさんが友人たちと5人でグループキャンプに来ていたのは、夏の終わりのことだった。 山奥のキャンプ場は、昼間は賑やかだったが、夜になると虫の鳴き声だけになる。 5人は焚き火を囲み、酒を飲みながら談笑していた。 持参した一眼レフで、キャンプの思い出にと写真を撮り始めたのは、友人のTさんだった。 焚き火を背に4人全員で肩を組み、笑顔でレンズを見た。 「はい、チーズ!」 Tさんがシャッターを切る。 すぐに撮れた写真を確認すると、妙な違和感があった。
Mさんが友人たちと3人でキャンプに来たのは、少し肌寒くなってきた秋の終わりだった。 予約していたキャンプ場は、平日ということもあってかほとんど人がいない。 それがまた焚き火の暖かさを一層心地よく感じさせた。 夜も更け、3人はパチパチと音を立てる焚き火を囲んで談笑していた。 薪が燃える音と、時折聞こえる虫の声だけが静寂を破る。 そんな中、ふとMさんの視線が林の奥に向けられた。
Tさんは、都心に建つ複合施設の、広大な地下駐車場の監視を担当していた。 深夜の監視室はいつも静まり返り、無数のモニターだけが規則的な光を放っている。 Tさんの仕事は、そのモニターに映し出される映像を監視し、異常があれば対処することだった。 その夜も、いつもと変わらぬ深夜勤務についていた。 時刻は深夜3時を少し回った頃。 Tさんはいつものようにモニターの映像を順に確認していた。 その時、ふと、あるモニターにTさんの視線が釘付けになった。 そこには、映っているはずのない通路が映し出されていたのだ。
Sさんは、都心にそびえ立つ高層オフィスビルで夜間勤務をしていた。 深夜のビルはほとんどのテナントが閉まり、人の気配はまばらになる。 Sさんの仕事は、そんな静かなビルで設備監視や巡回を行うことだった。 その夜も、いつもと変わらぬルーティンをこなしていた。 時刻は深夜1時を少し過ぎた頃。 監視室のモニターを眺めていたSさんの目に、奇妙な異変が飛び込んできた。 誰もいないはずのフロアを示す表示板が、突然、パッと明るくなったのだ。 そしてそれと同時に、1階に停止していたエレベーターが、ゆっくりと上昇を始めた。
警備員のKさんは、深夜のオフィスビルの巡回が日課だった。 人気のない深夜のビルは、普段は静まり返っている。 しかしここ最近、Kさんは奇妙な現象に気づいていた。 それは深夜の巡回中、決まって3階東側の非常灯だけが素早く点滅している時があることだった。 Kさんは最初、単なる球切れか、電気系統の不具合だろうと考えた。 報告しようとも思ったが、よくよく観察すると、その点滅は深夜の2時過ぎにしか起こらず、他の時間には何の異常も見られないのだ。 一度だけならまだしも、それが不定期に、しかし決まって深夜2時過ぎにだけ起こることに、Kさんは徐々に不審を抱き始めた。
Tさんは長距離運転手として夜間の配送中、山道に入り込んだ。 深夜の山道は普段から慣れていたが、その日はいつも通るルートとは少し違う道を選んでいた。 午前2時を過ぎた頃、Tさんの目に見慣れない「道の駅」が飛び込んできた。 疲れもたまっていたTさんは、休憩がてら立ち寄ることにする。 駐車場には、他に2台の大型トラックが停まっていた。 電気が煌々とつき、トイレも清潔に保たれているようだった。 深夜にもかかわらず、人の気配があることにTさんはどこか安心感を覚えた。
長距離トラック運転手のYさんは、全国各地を走り回る毎日を送っていた。 彼の仕事は、深夜の高速道路をひたすら走り続けること。 特にある山中の長いトンネルは、毎日のように通過する、もはや見慣れた景色となっていた。 その日は前日の寝不足がたたって、特に眠気が強かった。 眠気を覚ますためのラジオも、いつの間にか切れてしまっている。 静まり返ったトラックの車内には、エンジンの低い唸り声だけが響いていた。
オフィスビルの夜間清掃員として働くSさんは、いつものように淡々と業務をこなしていた。 深夜のオフィスは人けがなく、誰もいないフロアを巡るSさんの足音は、妙に大きく聞こえた。 日報を確認すると、「301会議室:未清掃」という文字が目に飛び込んできた。 Sさんは首を傾げる。 301会議室は通常、清掃リストに含まれていないはずだ。 というのも、そこは何年も前から閉鎖されており、普段は鍵もかけられ、清掃の必要がないとされていたからだ。
入院中、看護師のNさんという人から聞いた話。 Nさんが夜勤中の深夜巡回をしていた時の事。 深夜1時を過ぎ、患者は皆寝たようで寝静まり返っており、病室から点滴の機械音だけが小さく聞こえている。 Nさんは患者たちの様子を確認しながら、一つ一つの部屋を巡っていく。 その日も特に変わったことはなく、いつも通りの静かな夜だった。 だが、廊下の突き当たりにある、普段は使用されていない個室の前を通り過ぎようとしたその時だった。
Kさんが倉庫で、フォークリフト作業をしていた時の話。 それはいつもの夜間シフト中のことだった。 広い倉庫には、天井近くまで積み上げられた段ボールや、木箱を積んだパレットが所狭しと並んでいる。 フォークリフトのエンジン音だけが、静まり返った空間に響いていた。 Kさんは慣れた手つきでレバーを操作し、荷物を正確に指定された場所へと運んでいく。 その日も特に変わったことなど何もなく、淡々と作業は進んでいた。
廃墟巡りをしていた人が廃墟で見つけた日記。 7月1日 今日はこの村に引っ越してきた記念すべき日だ。 自然に囲まれた静かな場所で、都会の喧騒を離れて穏やかに暮らしていけると思うと、今から楽しみで仕方ない。 7月15日 この村の人々はどこかよそよそしい。 挨拶をしても目を合わせようとしないし、何かを隠しているような、そんな不気味さを感じる。
日本各地に存在する「いわくつきのトンネル」。 山の中にある○○トンネルもまた、そんな曰く付きスポットとして地元では有名な場所だった。 私が耳にしたのは、このトンネルで起こる奇妙な現象についてだった。 それは「赤いヘッドライトの車」の怪異。 「深夜、あのトンネルを走っていると、前から赤いヘッドライトの車が対向車線にはみ出してくるんだ。 で、ヘッドライトの光が強すぎて車種まではよく分からないんだけど、どうにも車の種類が古臭い、っていうか今時見ないような型の車なんだよ」
ある地方の山奥に一つの古びたトンネルがあった。 そのトンネルは長い間使われておらず、昼間でも薄暗い雰囲気を漂わせていて、地元の人々の間では、このトンネルにまつわる恐ろしい噂が広まっていた。 その噂とは、夜になると「白い少女」が現れるというものだった。 その少女は、かつてトンネル近くの村でトラブルにあい命を落とし、その怨念がトンネルに宿っていると言われていた。
深夜のコンビニで働くIさんは、いつものように夜勤に入っていた。 町外れにあるそのコンビニは、夜になると閑散として客足も途絶えがちだ。 時計の針が午前2時を指していた頃、店内はしんと静まり返っていた。 「休憩室に行こうかな…」 Iさんはレジのカウンターに肘をついて、うっすらとため息をついた。 その時だった。 自動ドアが開く音がし、冷たい夜風が一瞬店内に吹き込んだ。
山奥深くで炭焼きを生業とするFさんがいた。 炭焼きは孤独な作業。日が昇ると山に入り、窯の火を見守りながら日が暮れるまでただひたすらに時を過ごす。 ある年の夏の終わり、炭焼き小屋で一晩を明かしていたFさんは奇妙な物音で目を覚ました。 それは小屋の戸をゆっくりと叩くような音だった。 何事かと耳を澄ませていると、戸を叩く音は徐々に速さを増し、まるで何かが中に入ろうとしているかのようだった。 不安を感じ、意を決して小屋の戸を開けたが外には何もいなかった。 Fさんは首をかしげながらも再び戸を閉め、寝床に戻ろうとしたその時、背後からかすかな気配を感じた。 振り返ると小屋の中に一匹の奇妙な生き物がいた。 見…
※虫が苦手な方はこの話は読まない方がいいです。 夏の暑さが本格的になる少し前、古い一軒家で奇妙な出来事が起こった。 雨が降る中、OLのSさんが夜遅くに帰宅すると、玄関のドアの前に見慣れないものが置かれていることに気づいた。 直径10センチほどの泥でできた小さな球体だった。
久しぶりに大学時代の友人たちと再会し、登山をした日の事。 F、Y、Eの3人は、それぞれ社会人となり、忙しい日々を送っていたが、この日は特別な計画があった。 大学時代によく行っていた山に登るため、朝方に駅で待ち合わせしていた。 「久しぶりだな、みんな!」 Fが笑顔で声をかけると、YとEも嬉しそうに頷いた。 彼らは久しぶりの再会に興奮しながら電車とバスを乗り継ぎ、目的の山へと向かった。
東京より山側にある、とある町でのこと。 そこに一人暮らしをしていた大学生のAさんは、数日前から奇妙な現象に悩まされていた。 それは夜中の2時になると、決まって天井裏から「トトトトト」という足音のような音が聞こえてくるというものだった。 最初はネズミでもいるのかと思い、駆除剤を置いたり業者に依頼したりもしたが、効果はなかった。 それどころか「トトトトト」という音は日に日に大きく、そして不規則になっていった。
あれは確か、私がまだ駆け出しの怪談師だった頃の話でございます。 ある山奥の村に伝わる「赤い着物」の怪談を採集しに行った時のことでした。 その村は、古くから「赤い着物を着た女に出会ったら、決して目を合わせてはならない」という言い伝えがあるそうでして、興味津々の私は早速村人たちに話を聞いて回りました。 しかし、話を聞けば聞くほどその「赤い着物」の女の正体は謎に包まれ、得られる情報は 「夜中に山道で赤い着物を着た女を見た」 「女の顔は影になっていて見えなかった」 「女を見た者はその後、原因不明の熱病で死んでしまった」 といった断片的なものばかり…。
夏手前の蒸し暑い夜、大学の友人グループはKの家に集まっていた。 メンバーはK、M、Rの三人。彼らは怪談や都市伝説に興味を持っており、この夜も新たな冒険を企てていた。 「今日は少し変わった場所に行こうか」 とKが切り出した。 「川辺にある幽霊灯の話、知ってるか?」
梅雨が明けたばかりの初夏の夕方、大学生の3人組、M、T、Kは、ネットで見つけた廃村の墓地へと向かっていた。 Mの運転する車で、彼らは廃村があるという山奥へと進んでいった。 「本当にここに廃村があるのか?」 Tが後部座席から前の二人に問いかける。 「ああ、ネットで見た情報だとこの先にあるらしい。気味悪いけど興味あるだろ?」 Kがスマホの地図を見ながら答えた。 「まあな…肝試しにはうってつけだな。」 Mは運転しながら笑った。
梅雨の晴れ間、久しぶりに強い日差しが降り注いだ日のこと。 一人暮らしの女性Sさんが、引っ越しをしようと荷造りをしていた。 段ボールに荷物を詰め込みガムテープで封をしていると、ふと、部屋の奥に何か黒い影のようなものが見えた気がした。 「なんだろう?」 しかし家具の隙間から差し込む光の関係の錯覚だろうと思い、Sさんは気にせず作業を続けた。 箱詰めもあらかた片付いた時、ふと先程の黒い影が気になり壁に目をやった。 「な、何あれ?」 その影の正体に気づいた時、Sさんの顔から血の気が引いた。 それは奥の壁一面に、びっしりと描かれた無数の目だった。 黒く塗りつぶされたような楕円形の一つ一つが、まるでこちらを…
梅雨明けが待ち遠しい、ある蒸し暑い日の午後。 高校の美術部の生徒たちは、日没後の風景を描くため校舎の屋上に来ていた。 「先生、もうちょっとで沈みますね」 「ああ、茜色に染まる空をよく観察して描くんだぞ」 教師の言葉に、生徒たちは一斉にキャンバスに向き直る。 しかし、その中でひとりの女子生徒だけが、じっと西の空を見つめていた。 「先生……あれ、何ですか?」
梅雨の晴れ間、むしむしと暑い日が続いていた。 学校では教室の窓を開け放して授業を受けていたが、生ぬるい風は熱気を運んでくるばかりで、生徒たちの集中力は途切れがちだった。 午後の授業中、黒板に奇妙な影が映っていることに気づいたのは、窓際から少し離れた席に座っていた男子生徒だった。 「あれ?」 男子生徒は目を凝らした。 それは、まるで長い髪の女が立っているような影だった。
今からお話する怪談の登場人物をご紹介させていただきます。 語り部である「私、H」と、高校時代からの友人であるK、そしてS、Yの4人で肝試しに行った時の出来事でございます。 舞台は県外にあるYの実家の近くにある、通称「幽霊トンネル」と呼ばれる場所。 そこで私たちが目にしたもの、体験したものとは。 一体全体どんな恐怖が待ち受けていたのか。 それでは皆様、心の準備はよろしいでしょうか?
雨の夜、都会の一角にある古びた公園。 そこには昔から誰も使わない古い木造の休憩所がり、雨が降るとその休憩所には不気味な噂があった。 ある夜、仕事が遅くなったサラリーマンのケンジは終バスを逃してしまい、仕方なく歩いて帰ることにした。 途中で雨が強くなってきてしまい、濡れるのを避けるために公園にある休憩所で雨宿りをすることにした。 休憩所に近づくと、中には一人の女性が座っていた。
とある都市部の下町での話。 狭い路地裏が多く残るその町で、夜な夜な奇妙な噂が流れ始めた。 「おい、聞いたか?あの路地裏の街灯の下にある水たまりで、奇妙な顔を見たってやつがいたらしいぜ…」 噂の発端は、仕事帰りのサラリーマンだった。 彼はいつものように薄暗い路地裏を歩いて帰宅していた。 雨が降った後で、路地裏にはいくつもの水たまりができていた。
子供というのは感受性が豊かで、純粋な心の持ち主であるが故に、時として大人には見えない「何か」を見てしまうことがあると言われている。 そして、子供たちが日常的に利用する通学路。 そこは子供たちの無邪気な笑顔と恐怖が隣り合わせに存在する、不思議な空間と言えるだろう。 舞台は関東の山の方、とあるのどかな田舎町。 そこに住む小学3年生のユウタ君は、雨が降ると決まっていつもの通学路の景色がガラリと変わって見えてしまう奇妙な現象に悩んでいた。 ユウタ君の通学路は田んぼの脇を通る一本道。 普段は太陽の光を浴びて緑色に輝く稲穂が風になびく美しい風景が広がっている。 しかし、雨が降るとその風景は一変する。
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6月も半ばを過ぎた頃、Nという若者が一人旅の途中で激しい雷雨に見舞われた。 ずぶ濡れになりながら雨宿りできる場所を探していると、山道の脇にひっそりと佇む古びたお寺を見つけた。 「こんな山奥にお寺があるなんて」 Nさんは驚いた様子でお寺の門をくぐった。 境内は鬱蒼とした木々に囲まれ、昼間にもかかわらず薄暗くひっそりとしている。 Nさんは恐る恐る本堂へと続く石段を上っていった。