廃墟探索を趣味とするYさんの話。 Yさんがその旧病院跡を訪れたのは、秋の終わりだった。 K県の山奥、地図にも載っていないその病院は戦前から存在し、戦後すぐに閉鎖されたという話だけが残っていた。 朽ちた階段を下り、地下室へと続く鉄扉を押し開けると、そこには使い古された手術台や倒れた薬品棚が残されていた。 埃とカビの匂いに混じってどこか焦げたような、妙な臭いが漂っていたという。 そんな中、地下の奥にまるで隠されていたかのような重厚な鉄の扉を見つけた。
廃墟探索を趣味とするYさんの話。 Yさんがその旧病院跡を訪れたのは、秋の終わりだった。 K県の山奥、地図にも載っていないその病院は戦前から存在し、戦後すぐに閉鎖されたという話だけが残っていた。 朽ちた階段を下り、地下室へと続く鉄扉を押し開けると、そこには使い古された手術台や倒れた薬品棚が残されていた。 埃とカビの匂いに混じってどこか焦げたような、妙な臭いが漂っていたという。 そんな中、地下の奥にまるで隠されていたかのような重厚な鉄の扉を見つけた。
これはSさんが高校生だった頃、実際に体験したという話。 土曜日の午後、秋の気配が濃くなってきた頃。 その日は放課後に部活もなかったので、Sさんはふらりと地元の古い神社を訪れた。 特に目的があったわけではなかった。 ただなんとなく鳥居をくぐり、境内を抜けてその裏手にある森の方へと足を運んだ。 参道から外れて奥へと入り込んだのが、午後3時を少し過ぎた頃だったという。
これはTさんが体験した、ある秋の夜の出来事。 Tさんは地元で写真を趣味にしており、その日は神無月の澄んだ夜空を撮ろうと、人気のない山中にひっそりと佇む古い神社を訪れた。 木々に囲まれた参道を進み、石段を上がると、月明かりに照らされた拝殿が見えてきた。 神社には誰もおらず、しんと冷たい空気が境内を満たしていた。 Tさんは三脚を立て、夜の社の風情を何枚か撮影していたが、ふと視線の端で何かが揺れた気がした。
これはSさんから聞いた話。 Sさんは大学のサークル仲間と、K県にあるT沢の奥のキャンプ場によく行っていた。 その日も中の良いメンバーと川沿いでキャンプを楽しんでいた。 夜が更け、山の中は冷え込みを増していた。 大学生のSさんたちは、川沿いのキャンプ場で焚き火を囲んでいた。 パチパチと音を立てて燃える炎が、彼らの顔を赤く照らす。 昼間は賑やかだった川のせせらぎも、夜になるとどこか不気味な響きに変わっていた。 「Tさん、薪が減ってきたので取って」 Mさんがそう言って、Tさんのそばに積み上げられた薪を指さした。 Tさんが、ちょっと待ってろと言って立ち上がった、その時だった。
Kさんという、山のコテージを管理している人から聞いた話。 長年コテージの管理人をやっていたKさんは、いつも物静かな男だった。 だが彼がこの場所で見てきたものは、誰にも話せないような、ひどいものばかりだった。 ある夏の夜、Kさんはいつものようにコテージの見回りをしていた。 その日はひどく蒸し暑く、なかなか眠れなかったので窓から外を眺めていた。 すると一番奥にある古びたコテージの影に、何かがいるような気がした。
Mさんが小学生の時に体験した話。 夏休みのある日、Mさんの家族は、少し古びた趣のある旅館に泊まっていた。 Mさんは日中の遊び疲れもあり、その夜はぐっすりと眠りについていたのだが、夜中にふと目が覚めた。 耳に届いたのは、ザーザーと激しく降る雨の音だった。 まるでバケツをひっくり返したかのような、激しい雨音だ。
この話は、Oさんがまだ中学生だった頃の修学旅行での出来事。 わんぱくなOさんは、初めての長旅に胸を躍らせ、友人たちと夜遅くまで語り合っていた。 普段なら朝までぐっすり眠ってしまうOさんだが、その夜はなぜか、深夜にふと目が覚めてしまった。 時計を見ればまだ真夜中。 他の友人たちは寝息を立てていた。
知人のTさんから聞いた話。 彼は高山植物の調査を生業としていて、その日も人里離れた深い山へと分け入っていた。 彼の専門は、滅多にお目にかかれないような珍しい高山植物の生態を記録すること。 そのためならどんな険しい道のりも厭わなかった。 この日も彼は地図を片手に、人の手がほとんど入っていないという山頂を目指して黙々と歩を進めていた。 山肌は次第に険しさを増し、足元はゴツゴツとした岩だらけになった。 Tは疲労を感じながらも、目当ての植物が群生しているかもしれないという期待に胸を膨らませていた。
田舎巡りが趣味のHさんは、今日も地図を頼りに人里離れた集落を探して山道を走っていた。 古い農村の風景や、忘れ去られたような神社を見つけるのが好きだった。 しかしこの日は少し様子がおかしかった。 午前中から深い霧が出ていて、山道はまるで白い壁に包まれているようだった。 「こりゃ、どこまで行っても同じ景色に見えちゃうな」 Hさんはそう呟き、少し焦りを感じ始めていた。 気づけば車のナビも圏外になり、頼れるのは感覚だけになっていた。 霧はますます濃くなり、視界は数メートル先も見えないほどになった。
大学生のSさんたちは地形調査のため、とある山に入っていた。 普段から野山を駆け回るのが好きな、アクティブな学生たちだった。 この日も地図を片手に、鬱蒼と茂る森の奥へと進んでいた。 「おい、ここ、地図にない道だぞ」 Mが生い茂る草木に覆われた、かろうじて道だとわかるような細い獣道を見つけた。 好奇心旺盛な彼らは、普段なら立ち入らないような場所へも、調査の一環として分け入っていくことがあった。 今回の調査では、古地図に記された失われた道を探すという目的もあったのだ。
この話は、地方にある古い展示館で夜間警備をしている、Kさんから聞いた話。 Kさんが勤めている施設は、昔ながらの民具や地域の歴史に関する展示がされている、小さくても趣がある場所だった。 普段はあまり人も来ないが、たまに遠方から熱心な歴史愛好家が訪れることもあった。 その日の夜も、Kさんはいつも通り閉館作業を進めていた。 全ての展示室を回り、電気を消し、窓の施錠を確認する。 館内は薄暗く、Kさんの足音だけがコツコツと静かに響いた。 全ての戸締まりを終え、最後に倉庫の鍵をかけようとしたその時。
小学生だった夏休みのこと。 毎年恒例で、母方の実家の東北にある「じいちゃん家」に遊びに行っていた。 じいちゃん家は本当に田舎で、周りは山と畑ばかり。 夜になるとカエルの鳴き声と虫の音がすごく、都会じゃ絶対聞けないような音が聞こえる。 でもそれが夏休みって感じで好きだった。 じいちゃん家には、ミケという三毛猫がいた。 このミケが本当に可愛くて、じいちゃん家に着くといつも「ニャー」って言いながら擦り寄ってくる。
あれは中学二年の夏のこと。 俺たちのクラスは、林間学校でバンガローに一泊することになった。 昼間はカレーを作ったり、肝試しをしたりしてみんなでワイワイ楽しんでいた。 特に盛り上がったのはキャンプファイヤー。 クラスごとの出し物をしたり、歌を歌ったりして夜遅くまで火を囲んでいた。 出し物が全部終わって、そろそろバンガローに戻ろうかという時間になった時だった。 火の番をしていた先生に、「残った薪を片付けておいてくれ」と頼まれた数人の男子と女子が残って、他の生徒たちは先にバンガローへと帰っていった。 俺もその残るグループの一人だった。
Fさんという人から聞いた話。 Fさんは、とある映像制作会社で働いている。 彼女の仕事は怖い話の映像を作ること。 怪奇現象や心霊現象をいかにリアルに、そして見る人に恐怖を与えるかを日々追求している。 そのため、企画や編集作業は常に深夜に及ぶことが多かった。 その日も、Fさんは残業に追われていた。 編集室のモニターに映し出される映像の中では、白い靄がゆっくりと形を変え、見る見るうちに人のような姿になっていく。
大学の夏休み、仲の良い友人3人組、行動派のAさん、慎重なBさん、ムードメーカーのCさんたちは、都会の喧騒を離れ、人里離れた山奥のキャンプ場へとやってきた。 時間は午後2時を少し過ぎたくらいで、各自が持ち寄ったアウトドアグッズを広げ、慣れない手つきでテントを設営したりしていた。 テントの設営が終わるとまだ陽も高かったので、彼らは少しだけ周辺を探索することにした。 AさんとCさんは興味津々に森の奥へと足を踏み入れ、珍しい植物を見つけては写真を撮ったり、小さな沢を見つけては涼んだりした。
H先生から聞いた話。 H先生は都心から少し離れた、私立高校のベテラン音楽教師だった。 普段は穏やかなH先生だが、生徒指導には人一倍熱心で、生徒たちの些細な変化も見逃さない。 その日は新入生を交えた恒例の夏期合宿で、H先生は引率として山奥のキャンプ場に来ていた。 まだ少し肌寒さが残る夜、生徒たちは焚き火を囲んで、それぞれ持ってきた怖い話を披露し合っていた。
Oさんが中学生の頃に体験したという話。 季節は夏。 学校から少し離れた場所にあった、木材でできた古びた旧校舎。 そこは一時期有名だった、都市伝説が囁かれる場所だった。 一番有名なのは「夜中に人体模型が動き出す」という話だった。 当時のOさんは、そういうオカルトめいた話に夢中だった。 クラスで都市伝説が流行り始めると、友達のYさんやKさんと一緒に、休日になると学校の周りをうろつき、旧校舎の窓から中を覗き込んだり、怪しい音に耳を澄ませたりしていた。
「これは、私がまだ若手の美術教師だった頃の話です」 美術の授業の終わり、生徒たちにせがまれて、K先生は少しばかり声を潜めてそう語り始めた。 冬の時期という事もあり、教室の窓の外はすでに夕焼けが暗くなり始めていた。 その日、K先生は提出物の確認が終わらず、珍しく夜遅くまで学校に残っていた。 職員室で最後の書類に目を通し、ふと、美術室に大切な画材を忘れてきたことに気づいたのは、夜の9時を回った頃だった。 「まあすぐに済むだろう」 そう軽く考えて、K先生は美術室へと向かった。
Sさんは、地方の市で運営されている図書館の職員だった。 いつも閉館時間まで利用者がいる賑やかな場所も、夜が更ければしんと静まり返り、冷たい空気が張り詰める。 この日も月末の資料整理に追われ、Sさんは一人残業をしていた。 時間はもう、とっくに日付が変わろうとしている頃だ。 カチカチと壁掛け時計の秒針が進む音だけが、やけに大きく響く。 館内の照明は最低限しかついておらず、本棚の隙間には濃い影が落ちていた。 その時だった。
これはUさんという人から聞いた話で、学生の頃の噂話らしい。 その中学校には昔から妙な噂があった。 放送室の奥、機材ラックの裏に、古い姿見の鏡が打ちつけられているというものだった。 誰が何のためにそこへ鏡を設置したのか分からない。 管理記録にも残っておらず、長く教師を務めている用務員ですら、「そんなもん、あったか?」と首をかしげる始末だった。
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知り合いのSさんが体験した話。 6月のある夜、土砂降りの雨が続くなか、人気のないバス停でSさんが最終バスを待っていた。 「こんな天気の日に限ってバスが遅れるなんて」 冷たい雨に打たれながら、Sさんはスマートフォンで時刻を確認してはため息をついていた。 スマホで時間を潰していると、遠くの方から「ゴォォォ…」という重々しいエンジン音が聞こえてくる。
これはネットで怪談を投稿し続けている人の体験談。 ある夜更けのこと、いつものように私は集めた怪談話を整理しておりました。 すると、突然部屋の電気が消え、パソコンの画面が真っ暗になってしまったのです。 「これはまた随分と古典的な…。」 そう呟きながら、私は懐中電灯を探そうと机の引き出しに手を伸ばしました。 その瞬間です。 背後からひんやりとしたものが、私の首筋に触れたような気がしたのです…。
この話の舞台は都内から少し離れた、とある郊外にそびえ立つ築30年ほどの少し古びたマンション。 そのマンションでは、数年前から不可解な噂が流れ始めていた。 それは深夜にエレベーターに乗ると、決まって自分の後ろに真っ赤な人影が映り込む、というもの。 はじめは見た人の見間違いだろう、と噂の域を出なかった。 しかし、その噂を耳にした住人の一部が深夜にエレベーターに乗るようになり、噂は本当だったんじゃないか?と言われるようになった。
ある大学生たちが見つけた噂。 場所は森に囲まれた山奥の廃病院。 かつては賑わっていた病院だったが、今はもう廃墟と化し、ボロボロの建物が寂しげに立っている。 その廃病院には夜な夜な赤い影が漂い、訪れた人を行方不明にするという恐ろしい噂が囁かれている。 噂によると、その影を見た者はまもなく姿を消してしまうのだという。 その真相を確かめるため、好奇心旺盛な大学生3人組が廃病院に足を踏み入れた。 彼らはネットで廃病院の場所を調べ、車で夜中にその廃病院へと向かった。
ある日の深夜、友人のYとK、そして私は飲み会の帰り道だった。 終電を逃してしまい、タクシーで帰ることにした。 街灯が少ない暗い道を歩きながら、運よくタクシーを見つけた。 黒いタクシーだったが、こんな時間に乗れるだけありがたいと思い、私たちは乗り込んだ。 行き先を告げると運転手は頷いただけで、こちらを一度も見ずに無言で走り出した。 途中、運転手さんに話しかけてみたが無言、その異様さに私たちの会話も次第に途切れていった。
友人のSとK、そして俺の三人は、いつも肝試しを楽しんでいる。 ある日、Sが面白い話を持ってきた。 山奥にある古びた屋敷に、青いドレスを着た人形が置かれているらしい。 その人形を持ち帰ると夜中に動き出し、持ち主を襲うという噂があるというのだ。 「どうせただの噂だろ?」 とKが笑い飛ばし、俺たちはその屋敷へ行くことに決めた。 スマホで場所を確認したところ、車でいけば2時間くらいで行ける場所だったので、すぐに出発した。 夕方には屋敷に到着し、ボロボロの外観が俺たちの興味を引き立てた。
山奥にある、廃線になったトンネル…そこには、かつて列車事故で亡くなった多くの犠牲者の霊が彷徨っていると言われている。 その名も「怨霊トンネル」。 好奇心旺盛な若者たちは、この場所を肝試しスポットとして訪れることが後を絶たない。 ある夏の夜、肝試しが大好きな三人組、T、Y、M。 彼らは沢山の心霊スポットを巡っており、そのトンネルの噂を知り、確かめる為にやってきた。
夜遅く、最終電車が駅と駅の間を走っていると、線路の上を人影が走っているのが見えることがあるらしい。 その影は突然現れて、何もなかったかのように消えてしまうと言う。 その日、Oさんは最終電車を運転していた。 静かな夜、電車のライトが暗闇を照らして行く中、慎重に運転していた。 すると遠くに白いものが動いているのが見えた。
これは私の友人Kが、大学時代に体験した話。 KとFは夏休みに、二人の高校時代の友人のYが、地方で借りたという一軒家に遊びに行くことになった。 Yの家は二階建てで、広い庭には古びた井戸があった。 その一軒家は驚くほど安い賃料で借りられたとYは話していたが、地元では少し変な噂があるという。 その噂とは、丑三つ時になると、庭にある井戸から誰かが喋っているような声が聞こえてくるというものだった。 KとFはその話を聞き、少し興味を持ちながらも半信半疑だった。
これはある真夏の夜、0時を過ぎた頃に体験した話。 その夜、俺と友人のBは、大学の夏休みを利用してBの親が持っている山奥の別荘に泊まっていた。 昼間は川遊びやバーベキューを楽しみ、夜は涼しい風に当たりながらビールを飲んでリラックスしていた。 夜も更け、時計の針が0時を指す頃、俺たちは別荘のリビングで話し込んでいた。 周囲は真っ暗で、外の音はほとんど聞こえない。 そんな静寂の中、突然玄関の方からノックの音が聞こえた。
ある夏の深夜、俺は友人のAと一緒にドライブをしていた。 都会の喧騒から離れ、山道を走っていたとき、目的地に向かう途中で長いトンネルに差し掛かった。 そのトンネルは古びたオレンジ色のライトが等間隔に並んでいて、薄暗い雰囲気を醸し出していた。 深夜でほとんど車も通らず、俺たちの車だけがトンネル内を走っていた。 途中、ふとトンネルの壁を見ると、少し先の壁から人影が現れたように見えた。 壁からすっと出てきたその影は、反対側の壁に向かって歩きそのまま壁に吸い込まれるように消えていった。
病室で知り合ったYさんという方から聞いた話。 それは夜遅くでの事。 「まもなく、〇〇駅に到着いたします。 お乗り換えのお客様は…」 車掌のYさんは、いつものように車内アナウンスをしていた。 しかしその日は、いつものアナウンスに何かが重なっていた。 「…つめたい… つめたい…」 それはかすかに聞こえる小さな声で、そう言ってるように聞こえた。 Yさんは自分の耳鳴りかと思った。
友人のRはアンティークや骨董品に興味があり、よくネットオークションを眺めていたそうだ。 ある日、彼はとんでもない掘り出し物を見つけた。 それは木彫りの仏像。 温かみのある木目、柔和な顔立ち、そして何より目を引いたのはその値段だった。 (こんな値段で、ありえない…) 本来なら数万円はするであろう仏像が、たったの数千円で出品されていたのだ。 説明文には「古い蔵から出てきたもの。詳細は不明」とだけ書かれていた。 Rは多少の不安はあったものの、その仏像の魅力に抗えず入札ボタンを押した。
大学生のサオリは、フリーマーケットで奇妙なDVDを見つけた。 それは骨董品やガラクタが所狭しと並ぶ中、薄汚れた段ボール箱の底に無造作に置かれていた。 ジャケット写真もタイトルも何もない、ただの銀色の円盤。 (なんだろう… これ…?) サオリは不思議に思いながらもそのDVDを手に取った。 (…ちょっと見てみようかな) 売ってる人にこのDVDはいくらか聞くと、「あれ?そんなの持ってきたっけかな?」と不思議そうにしていて、なんだかわからないからタダであげるよと言われた。
大学生のショウタとユウキは、肝試し好きな二人組だった。 「おい、ショウタ、聞いたか?あの廃墟になった遊園地のこと…」 「ああ、"◯◯遊園地"か?なんで急にそんな話…」 ショウタがスマホゲームに熱中しながら答えると、ユウキはニヤリと笑って続けた。 「あそこ、出るらしいぜ…マジもんの幽霊が…」 ユウキの言葉に、ショウタはゲームの手を止めて顔を上げた。
OLのミサキは、毎晩のように残業続きで疲れ切っていた。 今日も終電間際の時間に会社を出て、重い足取りで家路につく。 「はぁ…もうこんな時間…」 時刻は午前0時を回っていた。 人気のない通りを歩くミサキの横を、冷たい夜風が吹き抜けていく。 「…早く帰りたい」 ミサキはそう呟くと、足早にマンションへと続く路地裏へと入っていった。
あれは私がまだ駆け出しの看護師だった頃の話です…。 私が勤めていた総合病院は市内で一番大きく、いつも患者さんでごった返していました。 ある夜、深夜勤務を終えようとしていた時のことです。 いつも通り、担当する患者さんの最後の巡回を終え、ナースステーションに戻ろうとした時のことでした。 長い廊下の突き当りにある405号室。
ある人に聞いた話。 その学校には奇妙な噂があった。 夜、誰もいないはずの美術室から、カンバスをこする音や絵筆を洗う音が聞こえてくる…というものだ。 「先生、美術室って、夜になると誰か入ってるんですか?」 ある日、好奇心旺盛な女子生徒、サヤが美術部の顧問である森田先生に尋ねた。 森田先生は少し寂しげな笑みを浮かべて答えた。 「ああ、あれはね… イシイ先生が描いてるんだよ」 イシイ先生とは、3年前にこの学校で美術を教えていた先生のことだった。 素晴らしい画力で生徒たちから慕われていたが、ある日突然、病気で亡くなってしまった。
深夜2時、都内にあるデザイン会社の事務所で、Aは一人黙々と残業をしていた。 締め切り間近のプロジェクトがあり、デザイナーであるAは、修正に次ぐ修正でへとへとだった。 4階にある静まり返ったオフィスには、Aの操作するPCのマウスのクリック音だけが響いている。 集中して作業を進めていたAだったが、ふと背後から視線を感じた。 「気のせいかな…」 そう思いながらゆっくりと振り返った。