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おだやか読書日記 https://theblankpage.hatenablog.com

国内海外問わずミステリ小説が好きな管理人の読書日記です。稀にミステリ以外にも、怪奇小説やSF小説、ユーモア小説などを読んだりもします。

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2024/01/14

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  • アガサ・クリスティ『ハーリー・クィンの事件簿』(創元推理文庫)

    収録作品 「ミスター・クィン、登場」 「ガラスに映る影」 「鈴と道化服亭にて」 「空に描かれたしるし」 「クルピエの真情」 「海から来た男」 「闇のなかの声」 「ヘレネの顔」 「死せる道化師」 「翼の折れた鳥」 「世界の果て」 「ハーリクィンの小径」 眼前で繰り広げられる人間ドラマを観察することを趣味としているサタスウェイト老紳士が視点人物となる。彼の前にクィン氏という謎の人物が現れることで、複雑な人間関係が絡んだドラマが発生する。 まずキャラクター設定が面白い。今まで読んできたポアロ、マープル、トミー&タペンスシリーズ、およびノンシリーズ作品とは違って、クィン氏という人物が非常に幻想的な存在…

  • アガサ・クリスティー『三幕の殺人』(クリスティー文庫)

    引退した俳優チャールズ・カートライトが主催するパーティで、招待客の一人である牧師が突然苦しみはじめ死亡する。毒殺が疑われたがカクテルには異常はなかった。その数か月後、別のパーティでチャールズの友人の医師が同じ状況で死亡した。チャールズとチャールズに惹かれる若い娘エッグ、演劇パトロンのサタースウェイトの三人は真相を探るべく二つの事件を調べ始める。 ポアロ・シリーズ長編九作目ながら、主役は三人の素人探偵、ポアロは脇役という異色作。正直、ストーリーの半分くらいは三人が赴くままに情報を集めるだけで大きな盛り上がりもなく退屈で、ポアロも一瞬顔を見せるだけである。 ところが、第三幕でポアロが再登場してから…

  • スティーヴン・キング『死者は噓をつかない』(文春文庫)

    『シャイニング』、『ミザリー』、『IT』など、言わずと知れたホラー小説の巨匠キング。興味はあったもののなかなか手に取らず、恥ずかしながらこれがキング初読である。 六歳の少年ジェイミーは死者が見え、会話もできる。そして死者は噓がつけない。この不思議な能力を持つジェイミーは、ある人物が死に、その死者と接触したことで不安に苛まれる日々を送ることになってしまう。 上に六歳の少年と書いたが、正確には二十二歳のジェイミーによる回想録である。すなわち、危険な出来事が起きても、少なくとも現在(二十二歳)まではジェイミーは死んではいないことが前提として読者にもわかる。しかし、ストーリー上のサスペンスの面白味がな…

  • 皆川博子『蝶』(文春文庫)

    収録作品 「空の色さえ」「蝶」「艀」「想ひ出すなよ」「妙に清らの」「龍騎兵は近づけり」「幻燈」「遺し文」 ハイネやダンセイニ、横瀬夜雨、齊藤愼爾などの詩句から材を取った八編の幻想小説集。 悲哀、淫靡、グロテスク、そして美しさが綯い交ぜとなる魅力が詰まった短編集で、そこに戦争という影が這い寄っている。 個人的ベストは主人公のわたしが、奉公先の奥様と秘密の儀式を行う「幻燈」。次点で同居する叔父の義眼と眼窩から溢れるグロテスクさ、住み込みの看護婦と関係を持つ淫靡さを少年の目から『楽園追放』の図と重ねる「妙に清らの」。 上記以外の作品も甘美とグロテスク、詩句が融合し流麗な文章となって胸に染み入り、読後…

  • 皆川博子『虹の悲劇 霧の悲劇 皆川博子長篇推理コレクション1』(柏書房)

    80年代にノベルス版で書下ろされた長編二作の合本。 どちらかというと幻想小説やその要素を含んだミステリを書くイメージが強かった皆川博子だったので、このようなミステリ作品を書いていたことは知らなかった。 『虹の悲劇』 佐世保や平戸など長崎を巡るツアーで、急遽内容を変更した長崎くんち祭で人雪崩事故が発生し、ツアー客の一人である斎田栄吉が死亡してしまう。添乗員の原倫介は、事故前夜に斎田が急に「帰りたい」と言い出したことを思い出し、斎田の息子である玉雄に告げる。原と玉雄は何者かが人為的に事故を起こさせて栄吉を殺害したのではないかという疑いを持ち調査を始める。 所変わって、佐世保市の美容室オーナー古鳥利…

  • 大阪圭吉『銀座幽霊』(創元推理文庫)

    収録作品 「三狂人」「銀座幽霊」「寒の夜晴れ」「燈台鬼」「動かぬ鯨群」「花束の虫」「闖入者」「白妖」「大百貨注文者」「人間燈台」「幽霊妻」 引き続き大阪圭吉を読了。こちらは10年程前に一度読んだが、内容は殆ど覚えていなかったため初読の気持ちで楽しめた。やはり大阪圭吉は良い。『とむらい機関車』と通読してみて改めてそう感じた。 思わずニヤッとしてしまうユニークなものから、やり切れない思いになってしまう湿っぽい結末を迎えるものまでバラエティに富んでいる。あえてお気に入りを挙げると、「三狂人」、「燈台鬼」、「動かぬ鯨群」、「大百貨注文者」、「人間燈台」、「幽霊妻」あたり。 「三狂人」は、脳病院の院長が…

  • 大阪圭吉『とむらい機関車』(創元推理文庫)

    収録作品 「とむらい機関車」「デパートの絞刑吏」「カンカン虫殺人事件」「白鮫号の殺人事件」「気狂い機関車」「石塀幽霊」「あやつり裁判」「雪解」「坑鬼」 10年ほど前に『銀座幽霊』を読んで以来久しぶりに大阪圭吉を読んだ。本格探偵小説としての味ももちろん感じられるが、個人的には犯行動機の意外性が光る作品を特に楽しく読めた。 「とむらい機関車」は毎週同じ時間、同じ場所で汽車が豚を轢死させてしまう謎を巡る一編。何故犯人は次々と豚を同じ汽車に轢かせるのかという真相が切なく締めくくられているのが良い。 「あやつり裁判」も動機が秀逸な一編だった。ある窃盗事件の裁判に突然現れた証人の女将。彼女の証言によって判…

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