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2023/10/31

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  • ラカンのシニフィアンの謎(その2)

    前回、私はラカンのシニフィアンにはあたかも物体性があるかのように思われると述べたんだけど、「シニフィアンの物体性」がどういう事態なのか明瞭にする必要がある。まあラカン自身も初期の論文(「無意識における文字の審級」)でシニフィアンを「物質的支え」としているんだけど、例のごと...

  • ラカンのシニフィアンの謎(その1)

    ラカンと言えばシニフィアン連鎖ありきで解説されるんだけど、あのシニフィアンってなんかヘンという感じがしないだろうか? 私は違和感がある。なんか記号というより、モノのような感じを受けるんだな。シニフィアンの排除とかね、そもそも特定のシニフィアンを関係構造から排除するというの...

  • 女性への生成変化

    ドゥルーズの言う「女性への生成変化」「女性になること」の意味は分かりにくいんだけど、少なくともボーボワール的な意味でないことは確かである。そもそも現実の女性などは問題になっていない。そのことは、例えばモーツァルトの音楽が小鳥への生成変化であるとドゥルーズは言っているが、あ...

  • Xからの手紙

    私はXである。古来、ダイモンとかデーモン、ルシフェル、メフィストフェレス、霊感、悪霊、無意識、存在の呼び声、等々と呼ばれてきたんだけど、面倒臭いからXと呼んでくれ。3万70歳というのはウソである。年齢などはない。人間という仮面をかぶっているから、仮面なら人類と同じ年齢だ。...

  • 吉本隆明の功績

    時間と空間を史上初めて多元性として捉えたこと。 これが吉本隆明の功績だと思うね。吉本隆明が忘れ去られつつある今日、再度その思想的意義を明確に一点に絞ってみれば、そういうことになるんじゃないかな。 そこから、吉本隆明の難解な思想の見通しがよくなると思う。 例えば「心的...

  • デリダとハイデガー(その3)

    デリダの「精神について」は、ハイデガーの「精神」についての書なんだけど、読み進むうちに、むしろ問うことFragenが中核になってるんじゃないかと思うんだな。 「精神」がFragenであること、そして括弧抜きの精神がFragenを喪失してること、そう捉えると、デリダの言わ...

  • デリダとハイデガー(その2)

    そもそもデリダは「精神について」という本で、何を論点としてるのか。そりゃ、この本はハイデガー研究としても秀逸なんだけど、単なる解説書じゃない。それはフッサール研究の「声と現象」もそうだけど、根源が根源じゃなくて、常に非-根源によって汚染されてることを告発してるんだ。ハイデ...

  • デリダとハイデガー(その1)

    デリダの「精神について」(港道隆訳)は、抑圧されたものの回帰としてハイデガーの「精神」を捉えている。デリダは序論を難解にするというクセがあって、ツカミが悪いんだけど論述が進むにつれて問題が明確になると、俄然面白くなってくる。 ハイデガーは「問われているもの」Gefrag...

  • 世界経済の読み方

    さすが腐っても宇野理論というか、マルクス『資本論』の根本的欠陥を自ら指摘しつつ科学的に論述が進められている。 本書(「世界経済の読み方」降旗節雄編著)によると、『資本論』の根本的欠陥は、その内在する論理のゆえに国家の生成を理論的に解明できないという点にある。『資本論』の...

  • 宇野恐慌論

    本書(宇野弘蔵著)のタイトルは『恐慌論』であるが、著者は現実の恐慌現象を理論的に解明しているのではない。序論で米国の1929年恐慌のデータが掲げられているので誤解しやすいのだが、著者が問題としているのは、そうした具体的データではなく、そのデータが向かっている先に想定される...

  • 日本国憲法への違和感

    昔、政経の先生に憲法を暗記させられたことがある。毎週、穴埋めの小テストで確認するのだが、あれは正しい教育法だったと思う。憲法という根幹を知らずして政経はないだろう。だけどそのとき感じた違和感は憲法前文と9条なんだな。 前文は「日本国民は・・・決意し、・・・信頼し、・・・...

  • ノンセクト・ラジカルの行方

    新左翼は今では消滅したようにみえるんだけど、あの運動自体は芸術・文学・哲学・歴史学などの様々な分野で根源的な変化を引き起こした運動であって、その結果が現在の文化形態に帰結している。 例えば哲学においては今では表象批判が主流になっているんだけど、それはマルクス・ニーチェ・...

  • 「創造的破壊」の破壊

    技術革新のことを創造的破壊というらしい。他人の成功事例を紹介するしか能がない経営学者や何の創造性もない官僚が好んで使う言葉だ。だけど一体何が創造だというのか? そこでシュンペーターの定義に遡ってみると、彼の言う創造とは「新結合」のことなんだな。彼は「生産」を利用可能な物...

  • スコトゥスの特異性(その3)

    難解というかイミフな概念を理解するためには、その根本動機を把握する必要がある。 スコトゥスの「天使のペルソナ」という概念の根本動機は何か? それは天使のような非質料の形相がなぜ個別化されるのかという問いであり、その問いは人間精神がなぜ孤独なのかという問いと、神のペルソ...

  • スコトゥスの特異性(その2)

    スコトゥスによる神の形而上学的探求(一般性としての神)は、あくまで彼の神学的探求(特異性としての神)とは区別して遂行されてるんだけど、それはそれなりに本格的なんだ。それはある一点というか自然知性による探究としてスピノザと結びつく。そこが興味深いところだね。 スコトゥスは...

  • スコトゥスの特異性(その1)

    現代思想における「特異性」はヘーゲル的特殊とは異なってるんだけど、それがどんな風に異なってるかを問い尋ねるとすれば、そもそもの淵源から探るしかない。 スコトゥスは神の認識を自然的神認識と超自然的神認識の二つに区分し、後者を前提として前者が成り立つとしている。「存在の一義...

  • 経済学の宇宙

    本書(「経済学の宇宙」岩井克人著)は日経新聞連載に加筆されたもので、初めのうちは一応インタビュー形式となっているが、内容は自叙伝そのものである。赴任先の米国やイタリアの情景描写も豊富であり、岩井理論の発展過程が実人生とともに平易に語られていて興味深い。 また以前から感じ...

  • ハイデガーとフロイト

    死について徹底的に思考した人は、言うまでもなくハイデガーとフロイトだけど、両者の死の捉え方はベクトルが逆向きになっているようだ。つまりハイデガーの臨死存在は死を「将来」として捉えているのに対し、フロイトの「死の本能」は死を過去のものとして、生誕以前の無機物への復帰衝動とし...

  • スピノザとフッサール

    現象学と言えば意識中心主義だからオワコンであって、スピノザとは無関係と思われるかもしれない。だけど私見では一つ共通点がある。それは両者がともに意識(コギト)を「志向性」として捉えていることだ。スピノザの「デカルトの哲学原理」とフッサールの「デカルト的省察」は、ともにデカル...

  • デカルト的省察(その3)

    現象学の他我問題といえば、ああ、例の感情移入で説明するヤツね、としか思ってなかったんだけど、それは大いなる誤解であって、先験的現象学にとって他我は死活問題でもあるんだな。 先験的領域というバーチャル空間においては、経験的私の存在は判断中止されるんだけど、「かのような経験...

  • デカルト的省察(その2)

    フッサールが現象学的還元後の本質世界を探索するとき、彼自身が言っているように、当面「必当然性」の及ぶ範囲を不問に付して、あたかも自然科学者が経験世界を探索するのと同様の「自然的明証」で探索すると述べている。 現象学でいう「地平」とは、意識対象は対象だけでなく常に対象より...

  • デカルト的省察(その1)

    フッサールはまず、明証の種類として「十全的明証」と「必当然的明証」を区別しているんだけど、この区別はたいへん重要で、違いが分からないと先験的現象学が分からないと言っても過言ではない。だいたいフッサールはワイエルシュトラスの助手をしていたぐらいのガチの数学者だったから、書き...

  • なぜスピノザを読むべきか

    読書が喜びであるのは、どんな本を読んでも、それまで自分の知らなかった事柄を知ることができて精神が拡大するからである。だが一方で不安もある。果たしてこの本を最後まで読むことができるか、途中で挫折するのではないか、さっぱり理解できなくて読むのが苦痛になるのではないかという不安...

  • 自由について

    わが国は中国やロシアに比べれば比較的自由な国であろう。なにもかも自由というわけではないにせよ、少なくとも言論についてはヨリ自由であるように見える。 スピノザに言わせると、この自由という観念は白昼夢ということだが、別にスピノザの理屈に従わなくても、自由という観念をちょっと...

  • ドゥルーズのカント論

    ドゥルーズによると、イギリス経験論(ロック、ヒューム)と大陸合理論(デカルト、ライプニッツ)は見かけほど対立しているわけではなく、どちらも人間理性とその外部(自然、神)との調和を独断的前提としている点で共通しており、カントにとっては双方とも打倒すべき相手であったという。 ...

  • 時間について

    時間について考える場合、まあ哲学するのは結構なんだけど、物理学的時間に目配りしない時間論はナンセンスだろう。ハイデガーの時間論に今一つ共感できないのは、あまりにも極私的時間だからだ。物理学的時間などは頽落した非本来的時間だと考えたとしても、実際に生きているからには、約束の...

  • 視線について

    視線という言葉は能動か受動か曖昧なところがある。一般的には眼の向く方向ということで能動的とされている。だけど物理的には対象物から反射した光が網膜細胞を刺激しているのだから受動的とも言える。だから物理的光線として見た場合と認知的行動として見た場合とでは視線のベクトルが逆向き...

  • 三島由紀夫の自死

    通常、自殺の理由といえば病気や貧困などの負の理由である。金持や社会的に成功した者が自殺するなど考えられない。だから三島由紀夫のように作家や戯曲家として成功し各界から絶賛されて、いわば栄耀栄華の頂点で自死したとなると、なぜ?という疑問が生じるのも無理はない。 だからいろん...

  • 感情と苦痛との差異

    まず最初になぜ感情と苦痛を問題とするのか、その理由を説明しておこう。それは生死に関わるからだ。人は苦痛を避けることによって、死をもたらす害悪から逃れる。だから苦痛と悲しみという感情が等根源的であるとしたら、感情もまた避けるべき信号かもしれない。にもかかわらず、人は喜んで悲...

  • 搾取の行方

    搾取というのは社会の発展にとって必要不可欠なことであって、資本家は搾取した利潤を奢侈財か投資財に配分している。奢侈財は投資財に比べたら微々たるものだ。利潤の大半は工場・店舗・土地・機械設備へ投資される。人口が増加する限り拡大再生産は必要であり、投資財がなければ社会は成り立...

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