「策士、策にはまる」…その言葉の響きには、まるで蜘蛛の巣に絡め取られたかのような、身動きの取れない苦しさが感じられますね。心中お察しいたします。策を練り、事を進めるのは、道を切り拓くためには必要なことです。しかし、その策そのものが自らを縛る枷(かせ)となってしまうのは、誠に皮肉なことでございます。もし差し支えなければ、もう少し詳しくお聞かせ願えませんでしょうか。それは、ご自身が立てた計画でしょうか。それとも、誰かから与えられたものでしょうか。あるいは、社会や組織の大きな流れの中で、次々と打ち出される施策に翻弄されている、といった状況でしょうか。どのような状況であれ、心が「策」という一つの考えに囚われてしまうと、私たちは周りが見えなくなってしまいます。仏法ではこれを「執着(しゅうじゃく)」と呼び、苦しみの根...策士、策にはまる