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  • 126 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

       Ryo Daimonji Blog短夜の星が飛ぶなり顔の上 虚子 この句を読んで、流れ星が作者にとても近くに感じられた。それもそのはず、前書に野宿とある。夏の短い夜を野宿しているのである。野宿という非日常に夜空も流星も身近に生き生きと迫ってくるのだ。〈短夜の山の

  • 163 『名句の所以』(著:小澤實)から

      Ryo Daimonji Blog亀の子のすつかり浮いてから泳ぐ 高田正子 いわゆる銭亀といった小さな亀は重量がなくその浮力だけで十分に浮くのである。そしてともかく手足を動かすのでそれが泳いでいるように見える。この句、すつかり浮いてからとそのさまを切り取るが、どの

  • 96 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    Ryo Daimonji Blog髪はえて容顔蒼し五月雨 芭蕉 貞享四年(1867)『続虚栗』。五月雨つづきのこのごろ、髪もはえ、顔も青白く精彩を欠いている。貞享四年と言えば芭蕉、数え44歳とある。身を構わぬこともあろうがこのような自分を俳句にすることも珍しく興味深いことで

  • 125 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blogほとゝぎす月上弦の美濃路行く 虚子 美濃の街道を行く頃には空には上弦の月がかかってをり、ほととぎすの声が聞こえた。さて、この場合のほとゝぎす、月上弦の二重季語はどう解すべきか、私はこの句の主季語を上弦の月と解し、ほとゝぎすを従たる季語と

  • 162 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog黴の書に占魚不換酒の印存す 上村占魚 解説を読むと(小澤實著『名句の所以』)すぐにああそうかと合点がいく。最初「占魚不換酒」がわからなかった、なあんだ本を売って酒代に換えないこと、その決意表明の印が古くなった自書にあるってことだ。 今

  • 95 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    Ryo Daimonji Blog五月雨や桶の輪きるる夜の声 芭蕉 五月雨が降って湿度が増したのであろうか、どれかの桶のたがが切れたようである。そういう音がした。そしてその音は人の悲鳴のような声にきこえるのだ。解説によると、竹製のたがには湿気が大敵だという(小学館『芭

  • 124 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog子規鳴き過ぐ雲や瀧の上 虚子 子規が鳴きながら飛び過ぎて行く、その雲が瀧の上を過ぎて行く。この過ぐが双方にかかっているのだ。むしろそれより問題は、子規、瀧は双方共に夏の季語だ、こういう二重季語はいかがなものか。いわゆる異種の二重季語は

  • 161 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blogかほに塗るものにも黴の来りけり 森川堯水 解説で作者は貧しい境涯と向き合った、とある。顔に塗る化粧品なのだろうが、それを使う作者の妻はおそらく捨てずに使ったのだろうと推測されている。そこまで読むのもおもしろくもあるが、私は化粧品にまで

  • 94 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    Ryo Daimonji Blog卯花も母なき宿ぞ冷じき 芭蕉 貞享四年(1687)年作。其角の母への追善吟とある(小学館『芭蕉全句』)。初夏を彩る卯の花も母を亡くした身には「冷じき」つまり心は冷え冷えとしてさみしく孤独に絶えない。と言ったとことか。そうですねえ、他人の不幸っ

  • 160 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog短夜や盗みて写す書三巻 大須賀乙字 この句の背景として、作者に師にまだ早いと読むことを禁じられていた芸道の秘伝書があったこと。そして師の書架から盗み出し、徹夜覚悟で写そうとしたこと。そしてそれは乙字の直接経験を詠んだものではなく、浪漫

  • 93 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

      Ryo Daimonji Blog夏衣いまだ虱をとりつくさず 芭蕉 小学館『芭蕉全句』の解説によると九か月間もの長旅を終えて草庵に身を休めているが、道中で移された虱もまだそのままだとあるが、九か月の長旅をこの句から読み取ることは難しかろう。また、取り尽くせていない

  • 123 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog木曽に入りて十里は來たり栗の花 虚子 木曽は長野県木曽郡の中央部にある町。そこに入って十里は来た、よく来たもんだと感慨をこめている。上五を入りで切らず、て止め上六の破調にしている。たしかにこれで十里は来たとのたっぷり感がでる。さらに来

  • 159 『名句の所以』(著:小澤實)から

    159 『名句の所以』(著:小澤實)から

  • 92 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    Ryo Daimonji Blog山賎のおとがい閉るむぐらかな 芭蕉(やまがつのおとがいとづるむぐらかな) 山賎(やまがつ:きこりのこと)。おとがい:顎、転じて口のこと。むぐら:葎(蔓性雑草)。甲斐(山梨県)の山は深く、葎がおおい繁り道ばかりか木樵の口までも閉ざしているようで、

  • 122 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog諏訪近し桑の山畑ところどころ 虚子 明治二十七年6/24『小日本』とある。虚子二十歳の作である。諏訪に近づくとところどころに桑畑が山裾に見られるようになった、とその風土を写生して見せている。下五に「ところどころ」と具体的に景を絞らず流

  • 158 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog花こぼるる棕櫚の下掃くさびしさよ 村山たか女 たか女は明治三十七年生まれで大正十五年、わずか二十一歳で逝去している。たか女は女学校を退学して母の看護に勤めてきた。しかし、棕櫚が花を咲かせる六月頃、看護の甲斐もなく母は亡くなってしまった

  • 91 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

    91 芭蕉を読む(芭蕉全句:小学館)

  • 121 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog裏山の紫つゝじ色薄し 虚子 場所は「裏山」、感想は紫つつじの色が薄い、とのみ。このつつじが見えるでなく、そんなツツジもあるやろなあぐらいのインパクト。まあしかし初学であれば写生句はこれぐらいで手練手管な師匠には取ってもらえるかもしれな

  • 157 『名句の所以』(著:小澤實)から

    Ryo Daimonji Blog夜的の灯草のはるかに置かれけり 上川井梨葉 この夜的は屋台などにある射的屋の灯のことであろうか。ところで、夜的は季語とされた時代があるようだが今私の歳時記では見当たらない。私は名のある歳時記にあるなしで季語の有効性を決めているが、一体本

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