1969年は個人的に高校進学もあった年なのだが、マンガ以外の本も少しは多く読むようになったと思う。マンガ関係で何冊か選ぶとすると、5月25日発行の『ぼくはマンガ家』(手塚治虫、毎日新聞社)。 これは活字の本だが、漫画家の自叙伝というのが、これまではなかったと思う。内容は個人的なことを書くというより、本人を含め戦後のマンガが目指してきたものを、論評を加えながら整理して述べた「戦後マンガ史」というべきものだった。 ぼくはマンガ家(手塚治虫) ちょうど昨年秋から小学館の『手塚治虫全集』が毎月2冊のペースで刊行されていた。「全集」の名のつく漫画本はこれまでもあるにはあったが、毎月2冊というペースから相…