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きみの靴の中の砂 (旧 goo blog版) https://blog.goo.ne.jp/disinfectant1953

このサイトは "Creative Writing" の個人的なワークショップです。テキストは過去に遡り、随時補筆・改訂を行うため、いずれも『未定稿』です。

みなさんに感謝: アラン・ロブ=グリエ アルベール・カミュ 伊藤整 岩科小一郎 エリック・ホッファー 尾崎喜八 金子光晴 クロード・シモン ジャック・ケルアック 田村隆一 辻邦生 辻村伊助 永井荷風 久生十蘭 フィリップ・ソレルス 船知慧 ブルース・チャトウィン ポール・ヴァレリー ミシェル・ビュトール 森鷗外 森茉莉 吉田健一 ル・クレジオ ロラン・バルト

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2022/04/07

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  • サザンビーチカフェで見かけた人

    (Op.20250430-3/Studio31,TOKYO)  サザンビーチカフェで、たった一度見かけただけの人に、もう一度会いたいなんて思う方が無理な話なのだが...。  サザンビーチカフェで見かけた人

  • それから数日後の或る朝のことだった

    (Op.20250430-2/Studio31,TOKYO)  それから数日後の或る朝のことだった。夏らしい色を帯た美しい空を背景に、ハナミズキの白い小さな花が揺れているのに初めて気付いた。   それから数日後の或る朝のことだった

  • 七月の終わり 美しい夏 月曜の朝

    (Op.20250430/Studio31,TOKYO)  七月の終わり。美しい夏。月曜の朝。  七月の終わり美しい夏月曜の朝

  • 水口イチ子を巡るエクリチュール(文体)は、美学的な問題ではなく...

    (Op.20250429-3/Studio31,TOKYO)   水口イチ子を巡るエクリチュール(文体)は、美学的な問題ではなく、構造的な(時間を掛けて文章を推敲してゆく職人的なエクリチュールの)問題である————内容よりも書く苦労自体に価値を認め、音読するときの文章のリズムによって魔力的に陶酔させられる。   【TheRollingStones-RollOverBeethoven】  水口イチ子を巡るエクリチュール(文体)は、美学的な問題ではなく...

  • きっと、生きたアンモナイトも見たことだろう

    (Op.20250429-2/Studio31,TOKYO)遠く何億年もの昔、わたし達の祖先は海で暮らしていたという——まだ人の形をしていない頃のことだ —— 日長、波の音にうつらうつらしながら、きっと、生きたアンモナイトも見たことだろう。【TheHollyridgeStrings-Wendy】  きっと、生きたアンモナイトも見たことだろう

  • ユベール・ロベールの廃墟画 —— 廃墟と点景は共に長い時間軸の上にあって...

    (Op.20250429/Studio31,TOKYO)  中学・高校と美術部だった割りには、ぼくは、どちらかと言えば絵は下手くそだし、美術史も西洋の宗教画を多少理解する程度で、それ以上の知識は至ってお粗末と言っていい。そんな状況にあって、なぜユベール・ロベールのいわゆる廃墟画にここまで惹かれるのか我ながらその理由を見出すのにしばしの熟考を要するほどだ —— そもそもいつから好きだったのかも今ではもう思い出せない。2012年にフランス大使館の後援でロベールの作品が日本を巡回した時のカタログ——副題『時間の庭』—— が今手元にあって、それを自分でも呆れるくらい飽きずに眺めるときがある。石造りの家屋の歴史の長い国々では、廃墟と言っても日本建築の廃墟とは違い、完全に土に帰ることはない。後世の人たちがその石の廃墟...ユベール・ロベールの廃墟画——廃墟と点景は共に長い時間軸の上にあって...

  • パターソンのスリーフィン

    (Op.20250428-2/Studio31,TOKYO)  とうとう、パターソンのスリーフィンを買ってしまったんだね。  パターソンのスリーフィン

  • 江ノ島がちょうどイイ大きさに見える

    (Op.20250428/Studio31,TOKYO)   ランチタイム。鎌倉七里ガ浜。海の見えるテラス。イチ子が椅子にかけたまま背筋を伸ばす——江ノ島がちょうどイイ大きさに見えると言う。   江ノ島がちょうどイイ大きさに見える

  • 天使が身をやつしているかのような人

    (Op.20250427-3/Studio31,TOKYO)  まるで、天使が身をやつしているかのような人がいる。  天使が身をやつしているかのような人

  • 今は、もう、あの夏の日々ではないのだ

    (Op.20250427-2/Studio31,TOKYO)今は、もう、あの夏の日々ではないのだ。【TheAnitaKerrSingers-AloneAgain(Naturally)】  今は、もう、あの夏の日々ではないのだ

  • ズーッとイチ子の写真を整理していた

    (Op.20250427/Studio31,TOKYO)  普段、好きで飲むカクテルなら自室で手を伸ばせばいつでも作れる。昨夜は、ドライ・ジンとプロ用のストレート・オレンジジュースにシュガーシロップを加えてオレンジ・ブロッサムを作った。午前三時に急にソルティー・ドッグを飲みたくなって作った。グレープフルーツジュースはノン・シュガー——ソルティー・ドッグに塩を使うのは、日本人がスイカに塩を振る発想と同じだろう。音楽も、急に思い出したようにJazzSamba。ズーッとイチ子の写真を整理していた。   【StanGetz·CharlieByrd-ELuxoSo】  ズーッとイチ子の写真を整理していた

  • いったい今日、ぼくは...

    (Op.20250426-2/Studio31,TOKYO)  さて、朝食の卵料理は何にしようか。トーストには何を付けよう——いつものピーナッツ・バターとフルーツ・ジェリーか?今日の天気なら、シャツとソックスは、どれにしよう...。靴は?etc.、etc. 人はいち日に、六万回思考するという。いったい今日、ぼくはきみを五万回くらい思い浮かべられるだろうか...。  【TheDoors-LightMyFire】 いったい今日、ぼくは...

  • 海辺に住む人達らしいファッション

    (Op.20250426/Studio31,TOKYO)  砂と潮風に曝される海浜の風土では、普段着の洗濯回数も自然に増え、結果、生地は良い具合にこなれ、馴染んでくる——古着であっても、その手入れの行き届いた服装は、海辺に住む人達らしいファッションとなる。  海辺に住む人達らしいファッション

  • 二十歳の動く水口イチ子が写っている

    (Op.20250425-3/Studio31,TOKYO)  日本の8mmフィルムの現像は、2000年代に終了してしまった。というわけで、この1995年撮影のフィルムは存在自体も貴重で、二十歳の動く水口イチ子が写っている。  【SeanLennon-ThisBoy】  二十歳の動く水口イチ子が写っている

  • ぼくの痒みは歳のせいと言ってイチ子さんは聞かないが...

    (Op.20250425-2/Studio31,TOKYO) 右の二の腕の肌が乾燥して痒かった。当初、歳のせいかと思ったが、試しに冬の保湿剤を塗ったら治まった。カサカサは歳のせいではなく、エアコンが原因かもしれない。ぼくの痒みは歳のせいと言ってイチ子さんは聞かないが...。 ぼくの痒みは歳のせいと言ってイチ子さんは聞かないが...

  • G.W. —— 観光客の雑踏に紛れ込まずに町内を移動する

    (Op.20250425/Studio31,TOKYO)  G.W.——観光客の雑踏に紛れ込まずに町内を移動する。  G.W.——観光客の雑踏に紛れ込まずに町内を移動する

  • 『インターナショナル・ドラゴン級』で世界と競った

    (Op.20250424-3/Studio31,TOKYO)   イチ子のおじいさんが、東京オリンピック(1964)のヨット競技種目『インターナショナル・ドラゴン級』で世界と競ったのが、この葉山沖。   『インターナショナル・ドラゴン級』で世界と競った

  • プロペラ音まで聞こえてくるようだ

    (Op.20250424-2/Studio31,TOKYO) 南の海の、赤道をまっしぐらに越えた、とある島影の向こう —— そのコバルト・ブルーの海に、かつて、見果てぬ夢を追った人達がいたことを我々は今も忘れずにいるだろうか。*「この写真の機体は、ゼロ戦ですかね?」とカメラマン。「確かにゼロ戦に似てはいるけど、垂直尾翼と方向舵がゼロ戦より大きいという特徴がある。それとプロペラが曲がっていないところを見ると、フロート付きの水上機が正しく着水したと推測できる。つまり、この写真の機体は、ゼロ戦を水上戦闘機に改修した二式水上戦闘機と踏んだね。フロートは木製だから、もはや朽ちて、失われてしまってるけど...」「パイロットは、どうなったと思います?」と彼。「こういうふうにきれいに機体が残っているということは、撃墜され...プロペラ音まで聞こえてくるようだ

  • 清算の踏ん切りが良くない

    (Op.20250424/Studio31,TOKYO)  人生の転機は、それまでの生活パターンを一変するタイミングでやって来る——就学、卒業、受験、就職、結婚、転職、退職などが普遍的なそれだ。それぞれに別れ道があり、どれを選べば良いかは同時に試せないので厄介——中にはロスを取り返し辛い選択ミスもあるから人生は大変。*ところで、結婚相手が人生最初のお付き合いの相手という例は少ないから、過去のそれぞれの別れに後悔が残る。男の場合、『女のように心の清算の踏ん切りが良くない』から、過去の別れの後悔を一生引きずることもある——年をとって『自分が生涯で一番好きだった人は』と考えたとき、遙か過去の人だったりするのは極めて良くある話。  【木暮"shake"武彦×三国義貴×TheLadyShelters-Jumpin'...清算の踏ん切りが良くない

  • ここでは、ゆっくり呼吸が出来る

    (Op.20250423-2/Studio31,TOKYO)  ここでは、ゆっくり呼吸が出来る。  【CraigRuhnke-KeepTheFlame】  ここでは、ゆっくり呼吸が出来る

  • いつもと変わらないノイジーな朝

    (Op.20250423/Studio31,TOKYO)街路を圧した界雷は遠ざかり街角には名残の西風が吹くああ五月の初め...*タイムズスクエア42丁目停止信号の交差点目前の路面に綿雲の影気温華氏七十度...いつもと変わらないノイジーな朝【TheFastbacks-GoAllTheWay】  いつもと変わらないノイジーな朝

  • いつの年だかの『梅雨明け十日』の思い出

    (Op.20250422-3/Studio31,TOKYO)冬は、あきらめきって寒さに甘んじていましたが、昨日今日のように少し暖かいと、次の季節への期待が高まります。これは、いつの年だかの『梅雨明け十日』の思い出。【TheAnimals-BoomBoom】  いつの年だかの『梅雨明け十日』の思い出

  • 1500万年前、ここは海底だった

    (Op.20250422-2/Studio31,TOKYO) 1500万年前に海底火山から噴出した、固い溶岩塊の表面を流れ落ちる、袋田の滝 —— 規模は幅70メートル以上、落差120メートルに至るという。昔より領内で名瀑の噂高いこの滝を一度見ようと、かつて水戸黄門も訪れたとか。   1500万年前、ここは海底だった

  • 地中海、その鄙びた小島にて

    (Op.20250422/Studio31,TOKYO)  その島を地図で適確に指し示すのは、イタリア人にもたやすいことではないらしい —— 詰まるところ、観光ビジネスとは縁が無いようだ。宿泊には小さなホテルが数軒、日本でいうなら、昔、旅商いの人が泊まった宿のようとでも言おうか。すこぶる美味しい白ワインは地産地消で島から出ることは稀だ。*さて、彼女を最初に見かけたのは、あまねく晴れた午後の時間だったか —— 地肌の想像の色と体付きから、極東からの旅人を直感した。 【TheStyleCouncil-MyEverChangingMoods】  地中海、その鄙びた小島にて

  • 凪 —— 風が止まる時間

    (Op.20250421/Studio31,TOKYO)  凪 —— 風が止まる時間。座りこむ夏。海鳴りだけが聞こえる。*一度だけでも、きみに触れたかった。  【松尾清憲-ロング・ロング・ビーチ】 凪 —— 風が止まる時間

  • さらなる南の島影への熱い想い

    (Op.20250420-3/Studio31,TOKYO)古くは代々村長を務めた家系だという。今は民宿を営むその家の門構えは、島で、ひと際重厚な趣がある。本来、魔除けが目的という屏風(ひんぷん)を正面に見て、両側がガジュマルの大木、石垣に沿って雑草のようなアカバナーの群生があり、夏から秋にかけ、それらが白砂を敷き詰めた小道に濃い影を落として燃えるように咲くのに出会えば、ここが日本ではなく、どこか遠い、もっと南方の異国にいるかのような夢も見られたに違いない。宿の古老の話す、ガジュマルの古木に住む妖怪マーザ・カムラーマ(キジムナー)のことなどに旅人たちが耳を傾けたのは、あちらこちらの民宿の晩餐の席から、やおら三線の音も聴こえてこようという、琉球の小島の夏の宵のこと。*チャンプルーと泡盛とカチャーシーに縁取ら...さらなる南の島影への熱い想い

  • 日本の初夏を描く

    (Op.20250420-2/Studio31,TOKYO)作家・水上瀧太郎(みなかみ・たきたろう1887-1940)のデビュー作『山の手の子』の一節...。『きらきらと暑い初夏の日がだらだら坂の上から真直ぐに流れた往来は下駄の歯がよく冴えて響く。日に幾たびとなく撤水車が町角から現われては、商家の軒下までも濡らして行くが、見る間にまた乾ききって白埃になってしまう。酒屋の軒には燕の子が嘴を揃えて巣に啼いた。氷屋が砂漠の緑地のようにわずかに涼しく眺められる。一日一日と道行く人の着物が白くなって行くと柳屋の縁台はいよいよ賑やかになった。』この作家、後年の評価では小説よりも文明批評絡みのエッセイの方が質が高いというのが定説で、それらは岩波文庫の一冊『貝殻追放抄』で読むことができる。『山の手の子』は明治四十四年の作...日本の初夏を描く

  • 手間を掛ければ掛けるほど、現実からかけ離れていく

    (Op.202504020/Studio31,TOKYO)  手間を掛ければ掛けるほど、現実からかけ離れていく。  【しまむらテーマソング】 手間を掛ければ掛けるほど、現実からかけ離れていく

  • 稲村ヶ崎

    (Op.20250419-2/Studio31,TOKYO)  数年ぶりに訪れた場所などが、かつての印象とかけ離れて開発が進んでいたりすることが多い——近代では、人が住む、ほとんどの街がそうだ——ということは、進化発展するよりも過去の古い時代を留めておくことの方がどれだけ大変かが想像できる。かつて、稲村ヶ崎駅前の細い路地が、夏休みに入ると原宿のような大変な人混みになっていたのが懐かしい。海岸は、最早、海水浴場というよりサーフ・ポイントとしてのイメージの方が強くなった。  稲村ヶ崎

  • きみ、ぼくを知ってるの?

    (Op.20250419/Studio31,TOKYO)大学では第二外国語として独逸語を選択した。理由は、当時の読書傾向がフランスよりドイツの作家に馴染みがあったというに過ぎない。当時読み込んでいた鴎外や堀辰雄の影響が大きかったと思う。だから、ハウプトマンやリルケ、ヘッセなどの作品には思い入れが深い。さて、そのドイツ語履修最初の時間のことだ。それまで講師の名前など気にも留めなかったが、その時初めて、それがマツモト・ツルオという人であると知った。それは、聞いたことが有るような無いような名前だった。何度かその名を頭の中で繰り返すうち、覚えのある、ひとりの文芸批評家が記憶の端に浮かんだ。しかし、その人の経歴からして、大学で語学教師をするような人にはとても思えなかった。自ら経歴を語るわけでもない、その四十代の寡黙...きみ、ぼくを知ってるの?

  • 魔法のビート

    (Op.20250418-2/Studio31,TOKYO)だいぶ昔の話だ。ある年の春、那覇でレンタカーを借りて一週間程沖縄を旅した。海岸線に沿って反時計回りに本島を一周した最終日の夕方、右手に米軍キャンプ・キンザーを見ながら58号線を南下、勢理客(じっちゃく)の交差点を右折して国立劇場の方へ回り込んだ先に、最後の目的地『エフエム沖縄』はあった。大学時代の友人の与那嶺くんが、そこでプロデューサーをしていて、久し振りに会って飲もうじゃないかという約束になっていた。約束の時間に受付で待つと、間もなく背の低い、太い眉毛に例の浅黒い顔の、五十過ぎにしては比較的若く見える彼が現れた。「まだ、収録中なんだ。二本録りで、あと少しで終わるから、良かったらサブコンに来て、待たないか」と言う。副調整室など学生時代の番組製作演...魔法のビート

  • 強い陽射しがギラリと濡れたアスファルトに弾んでいよいよ眩しい

    (Op.20250418/Studio31,TOKYO)  四月も半ばを過ぎて『菜種梅雨』の終わりを予感させる、突然の晴れ間。強い陽射しがギラリと濡れたアスファルトに弾んでいよいよ眩しい——その刹那だ——そろそろ半袖のシャツでもいいなとイチ子は思った。  【Bridge-PoolSideMusic】  強い陽射しがギラリと濡れたアスファルトに弾んでいよいよ眩しい

  • キング・オブ・ザ・ビート

    (Op.20250417-4/Studio31,TOKYO)  街角に立って決してやってこない人を待つのがパワーなんだJackKerowac  キング・オブ・ザ・ビート

  • 鳩サブレー

    (Op.20250417-3/Studio31,TOKYO)三月最終週の午前中、北鎌倉・円覚寺の境内を水口イチ子と巡った。その後、寺領の北のはずれを接する浄智寺脇の山道を登って葛原岡神社に至り、さらに銭洗い弁財天を経て鎌倉駅へと下った。途中、葛原岡神社に祀られている十四世紀の文人・日野俊基卿に、イチ子は、いたく感心したようだった。*昼を大分過ぎた頃、ぼく達は、鎌倉駅前商店街のとある食堂に座っていた。イチ子は生シラスを食べるのを楽しみにしていたのだが、一月から三月までは禁漁期間だと店で聞かされ、少なからずガッカリした。でも、その代わりに注文した冷凍シラスの釜揚げが揚げたてだったことを喜んだ。シラスを味わいながら、ぼく達は麦酒を飲んだ。そして今日いち日のことを話し、そしてまた麦酒を飲んだ。帰途、鎌倉駅前の豊島...鳩サブレー

  • 水口イチ子の講義

    (Op.20250417-2/Studio31,TOKYO)「創作って搾り出すことじゃなくて、溢れ出てくるものを記録する作業のことでしょ?」と少し酔った水口イチ子が言う。「推敲の段階で削るのに苦労してるっていうなら兎も角、初稿を書くのに苦労しているようじゃ、作家も先が思いやられるわね」とも。 【TheLeftBanke-WalkAwayRenee】水口イチ子の講義

  • 明日も一緒にいよう

    (Op.20250417/Studio31,TOKYO)  小学生の頃の夏休みの宿題に『絵日記』があった。それがまた大変苦痛で、日々描くこと(書くこと)が見当たらない。でも、生きている以上、書くことがないなんてあるはずが無い。今、目の前にあるもののことを書けばいいだけ。「明日も一緒にいようね」  明日も一緒にいよう

  • 微かに毒がある

    (Op.20250416-2/Studio31,TOKYO)一年を通じて食べられる食材、トマト。露地物の旬というと『春先から初夏』までと『秋』だとか。盛夏の頃は、生育が速過ぎて大味になるらしい。「トマトって美味しいわよね。好きよ」とイチ子。続けて、「でもね、日本のようにトマトを加熱しないで食べる文化のある国って世界でもめずらしいんですって。トマトは茄子科だから、生だとあなたのように微かに毒があるっていう話よ。まあ、たくさん食べなければいいんでしょうけど...」「たくさん食べなければ安全なら、その辺もぼくに似てるみたいだ」【BertieHiggins-KeyLargo】  微かに毒がある

  • 遠く南方の海に生きた男達が操った丸木舟にも見えてくる

    (Op.20250416/Studio31,TOKYO) 水口イチ子から木彫りの筆箱をもらった(蓋は革の細紐で締めて固定するようにできている)。書き物机の上に置いて眺めていると、昔の、遠く南方の海に生きた男達が操った丸木舟にも見えてくる。 【UkuleleOrchestraofGreatBritain-ThankYoufortheMusic】  遠く南方の海に生きた男達が操った丸木舟にも見えてくる

  • 気泡に揺れるがままに沈みそびれた、まるでこの南海の夕陽のようじゃないか

    (Op.20250415-2/Studio31,TOKYO)水口イチ子が、おやつ代わりにしようと、ポートサイドの市場で小さなフルーツトマトを買ってきた。ミネラルは豊富だが、痩せた島の土壌が理由で大きくなれないのだとか。それと引き換えに甘味は増すらしい。「冷やしたスプマンテかスプリッツァーと一緒に食べましょう」とイチ子は元気だ。*日向でグラスのソーダ水越しにその紅い小さな実を透かして見ると、それは、気泡に揺れるがままに沈みそびれた、まるでこの南海の夕陽のようじゃないか。【WilkoJohnson&RogerDaltrey-CanYorPleaseCrawlOutofYourWindow】  気泡に揺れるがままに沈みそびれた、まるでこの南海の夕陽のようじゃないか

  • 髪飾りには向かない香り

    (Op.20250415/Studio31,TOKYO)「これで髪飾りを作ると蓮華より見栄えがいいんだけど...」と言いながら、イチ子さんが庭で白い花を一本手折った。「ちょっと匂いを嗅いでみて...。ううん、花じゃなくて、折ったところ...。ニンニクみたいでしょ?髪飾りには向かない香りよね」「ノビル?」「そう。この辺の古い人達はノビローって呼ぶけど...。もはや、昔の食べものね」「子供の頃は、春にめずらしくなく食べたよ、味噌付けて...」「十年くらい前、一度、夕飯に出したの覚えてる?」「うん、おぼえてる。ぼくに掘らせたじゃないか」「あら、そうだったかしら...」髪飾りには向かない香り

  • 明日から夏休み。楽しくないわけがない

    (Op.20250414-3/Studio31,TOKYO) 明日から夏休み。楽しくないわけがない。 明日から夏休み。楽しくないわけがない

  • 夏のココア・ビーチだったか

    (Op.20250414-2/Studio31,TOKYO)夏のココア・ビーチだったか。*「シュナップスって、飲んだことある?」とイチ子。「なんでまた、そんなことを急に?」彼女が本の扉をこちらに向けて見せる——ヘミングウェイ著『最初の49の物語』。赤い表紙だからロンドンのジョナサン・ケープ版のようだ。「書いてあるのよ、それがここに...」日本では滅多に見かけない酒だ。記憶をたぐってみた。「ジンみたいな蒸留酒だよ。確か、ドイツ語圏でよく飲まれていたように思うけど...」とぼく。「で、飲んだことある?」「ああ、一、二度あるかもしれない。映画『大脱走』で捕虜達が蒸留していたジャガイモ焼酎も、そんなんだったと思う。強いのだと90度以上のがあるらしいよ。マックイーンが一気飲みして、むせ込んでたやつがそんなんだ」シュ...夏のココア・ビーチだったか

  • 価値あるものの仲間入りが出来るまでには

    (Op.20250414/Studio31,TOKYO) 日本語でいう一世代の長さの概念は、英語の1Generationとほぼ同じで、およそ30年。一人前の現役成人の最も活躍し得る期間を指しているようだ。父、息子、孫の3世代で、凡そ100年——1Centuryという計算になる。*芸術作品が、ある世代(30年間)で散々もてはやされたとしても、その期間だけでは、芸術的価値を推し測るには余りに短い。文学史、映画史に名を残し、制作後五十年経っても読者やファンの目や手に触れる距離に作品があり続ける必要がある。そうなると、小説にしろ、映画にしろ、音楽にしろ、価値あるものの仲間入りが出来るまでには、とにかく時間と年数がかかるということだ。 価値あるものの仲間入りが出来るまでには

  • 首都に生まれると、なんか得することってあるんだろうか

    (Op.20250413-3/Studio31,TOKYO)  倫敦でも紐育でも東京でも、首都に生まれると、なんか得することってあるんだろうか。音楽でも芝居でも、ライヴ好きにとっては自分の街にいながら、世界中の芸術家達の方からやって来てくれるのは好都合だ、とアメリカの田舎町生まれの友人は言った。  【佐藤竹善-TokyoCitySerenade】  首都に生まれると、なんか得することってあるんだろうか

  • 驟雨

    (Op.20250413-2/Studio31,TOKYO)にわか雨が通り過ぎた。  驟雨

  • どういう理由によるものなのか

    (Op.20250413/Studio31,TOKYO)例年、梅雨と言うと、六月十日頃から七月二十日辺りまでの期間の標準的な季候を指す。日本よりもっと南の国のものとは趣は異なるが、一種の雨期である。その時期、晴れ間を挟んで雨が振ったり止んだりならともかく、数日間降り続いたりすると確かに鬱陶しく、気持ちは落ち込みがちになる。しかし、その甲斐あってか、梅雨明け後の『夏』に向けての期待や、それを待つ喜びとか、はたまた妄想などは増幅される。もし梅雨がなければ、気温の上昇に伴い、だらしなく夏を迎えることになるのだろう。そんなことから、梅雨には梅雨の役割があると感じるようになって久しい。思い起こせば誰にでも、それぞれ季節の風景と密接に関わる記憶がある。四季を持たない国に住む人達には想像も付くまい。とりわけ『夏』を背景...どういう理由によるものなのか

  • 大方、アルコール依存症のホームレスあたりが相場

    (Op.20250412-3/Studio31,TOKYO)Barでの身の振る舞い方...。「わたしより速く飲まなければ、そうはならないわよ」とイチ子さん。『騒がない』『泥酔しない』『長居しない』は、バーの掟というか常識 —— ところが、最近これが自分で守れない——このところ、立て続けに二度、カウンターで居眠りをした。旧知のバーだから、敢えてそっとしておいてくれるところが始末に悪い。酒場で酔って居眠りをするなど、アメリカの場末なら、大方、アルコール依存症のホームレスあたりが相場。しかし、イチ子さんと外で飲むとついついペースが速まるのは、いったいどういうわけか。【GaryRhosBand-TheNightBefore】  わたしより速く飲まなければ、そうはならないわよ

  • 地震学者が比較的集中して住んでる地域ってニュース・ヴァリューがありそうだ

    (Op.20250412-2/Studio31,TOKYO)朝、ちょっとした地震があった。イチ子さんも目を覚ましたようだったが、様子を見に起きたのはぼくだけ。*朝食時に点けたテレビでもそのニュースをやっていて、自然とぼく達もその話題に...。「少し前までは、この辺はT断層の直近だから大きな地震の時は大変な被害が出るだろうっていう話だったけど、最近は研究も進んで新しい評価があるみたいよ」とイチ子さん。「ああ、それ聞いたことがある。このあたりって小規模だけど、ニューヨークのように岩盤の上に載ってるらしいって話でしょ?ここにK電鉄の本社があるのも沿線で地震の揺れが伝統的に一番少ないところを調べたら、ここだったっていう話だよ」「フーン、だからなのね...。この間、例の国際募金の会で知り合った奥さんのご主人が地震学...地震学者が比較的集中して住んでる地域ってニュース・ヴァリューがありそうだ

  • あと半年待ってて

    (Op.20250412/Studio31,TOKYO)保健所通りという少しもロマンティックな響きのない旧街道沿いの北欧料理店で、ぼく達はスプーンが突き立てられるほどと評判の『具沢山の豆スープ』を食べていた。「久し振りにきみのアップルパイを食べたいなぁ」と思わず口から出た。「林檎は今、ちょうど旬の裏側よ。あと半年待ってて。とにかくフレッシュで酸っぱい品種が出てこないと美味しいのが作れないのよ」*夜、小さなカット画を一枚描いた。【LizPhair-Mother'sLittleHelper】  あと半年待ってて

  • その夢は、やがて、現実となる?

    (Op.20250411-5/Studio31,TOKYO)  夜、『東京ワンダーホテル』。『波の数だけ抱きしめて』と『東京ワンダーホテル』は、各著作権の問題でDVD等入手困難なまま。  その夢は、やがて、現実となる?

  • もう片っぽのソックス

    (Op.20250411-4/Studio31,TOKYO)ぼくはさっきから、行方不明のもう片っぽのソックスを探している。*さて、気まぐれに読もうとしているのは『マルテの手記』——多々ある翻訳の中で、どれを手にするかは重要な問題。まず引用されることの少ないレアな翻訳がひとつ頭に浮かび、さっき、それを書庫から引っ張り出して来た。重いので、外出時に携えるには不向き。訳本『マルテの手記』—— 昭和三十年八月三十日発行、新潮社版堀辰雄全集第六巻より(単行本未収録)、昭和九年十月から順次『四季』に収録『マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記』。*ソックスは、水口イチ子からもらった帆布のトートーバッグの中から見つかった。洗濯ものをたたむときに紛れ込んだようだ。【CaroleKing-ItMightAsWellRainUn...もう片っぽのソックス

  • 大日堂へ続く山門の階段を上ってくる水口イチ子

    (Op.20250411-3/Studio31,TOKYO)昼下がり、大日堂へ続く山門の階段を上ってくる水口イチ子。ここまでは、街路の喧噪も容易には届かない。【TheBrothersFour/TrytoRemember】  大日堂へ続く山門の階段を上ってくる水口イチ子

  • 趣味からの収入で生活が成り立つ人

    (Op.202504011-2/Studio31,TOKYO)  趣味は、いつでも好きなときに止められる。そう簡単に止められないのが仕事。趣味からの収入で生活が成り立つ人もいれば、仕事からの収入だけでは、なにかと立ち行かない人もいる。若い頃から生産的な趣味もなく、仕事一筋に生き、定年後の有り余るほどの余暇を目の前にして茫然とするのは避けたい。その茫然を解消する目的で老後の資金を消耗するなど惨めの極み。  趣味からの収入で生活が成り立つ人

  • 時間を気にしないで暮らすことに慣れてしまったのかもしれない

    (Op.202504011/Studio31,TOKYO)  時間を気にしないで暮らすことに慣れてしまったのかもしれない。  <ahref="https://blogmura.com/profiles/11138716?p_cid=11138716"><imgsrc="https://blogparts.blogmura.com/parts_image/user/pv11138716.gif"alt="PVアクセスランキングにほんブログ村"/></a>時間を気にしないで暮らすことに慣れてしまったのかもしれない

  • シャーウッド・アンダーソン

    (Op.202504010-3/Studio31,TOKYO) シャーウッド・アンダーソン(SherwoodAnderson,1876年9月13日-1941年3月8日)というアメリカ人作家の名を聞いたことがある人は、大学で米文学を学んだ人でもない限り、ほとんどいないだろう。多少興味をもったらネット検索してみるといい。彼の文体は、後続の多くのアメリカ人作家に影響を与えている——ネットには、アーネスト・ヘミングウェイ、ジョン・スタインベック、トーマス・ウルフ、レイモンド・カーヴァー等の名があげられている。日本で言うなら、過去の時代の文語体一辺倒の文体を、口語体を用いることにより、それまでの常識を根底から覆す動機になった作家泉鏡花が近いか。  【TheDonays-DevilInHisHeart】  シャーウッド・アンダーソン

  • 美しい姉妹の物語

    (Op.202504010-2/Studio31,TOKYO)原作者は『廃市』を架空の町としたが、映画の舞台は、運河の町福岡県柳川。*美しい姉妹の物語。三角関係の誤解の淵に潜む憎悪。*原作者の叙情的な作風は、同郷の詩人白秋の影響か。【大林宣彦-廃市(1984)予告編】  美しい姉妹の物語

  • 何度行っても飽きない場所

    (Op.202504010/Studio31,TOKYO)  お金の使い方は人それぞれ。形に残るものを買う人もあれば、思い出や写真にしか残らないものに使う人...。イチ子さんやぼくのような旅好きは後者だ。永く旅していると、当然、再訪したくなる場所がある。住んでもいいと思うような場所もある。「何度行っても飽きない場所ってある?」とイチ子さんが聞く。「中善寺湖畔だな」と今は答えられる——一年中いつでも良いというわけではない。夏休みが済んで人通りが絶え、次のピークを迎えるのが九月半ばのシルバーウィークの頃。その間の人通りが絶える期間が最高だ。「九月の前半がいい。日光は、もう半袖じゃあ寒い風が吹く頃だけど...。その間の二週間なら、伊太利大使館別荘記念公園界隈で毎日過ごしていたい」「訪れる時期を決められる人って、...何度行っても飽きない場所

  • 見たとおりに写真が撮れたら世話はない

    (Op.20250409-3/Studio31,TOKYO)  写真家の友人が学生だった頃によく言っていたこと——『見たとおりに写真が撮れないもんだろうか』。「見たとおりに写真が撮れたら世話はない」——今ならそう答える。*その友人は、もう亡くなってしまったけれど、晩年は、トイ・カメラやピンホールカメラの写真家になっていた。  【ShonenKnife-Don'tHurtMyLittleSister】  見たとおりに写真が撮れたら世話はない

  • イチ子さんは指図するだけ

    (Op.20250409-2/Studio31,TOKYO)  四月以降に旬を迎える果物のうち、イチ子さんが領有権を主張する庭で収穫できるものに『枇杷』がある。イチ子さんの権利の及ぶ枇杷の収穫時期はまだ先だが、あまり悠長に構えていると鳥に先を越され略奪されるので、実が小さくても早めに収穫して果実酒かジャムに仕立てる。収穫については、イチ子さんは指図するだけで、概ねぼくが労働に従事することになる。   【BillyJKramerwiththeDakotas-Fromawindow】  イチ子さんは指図するだけ

  • だから、たびたび地球に対して斜め

    (Op.20250409/Studio31,TOKYO)水口イチ子は写真を撮られるとき、首を向かって左に僅かに傾ける癖がある。だから、カメラを彼女に向けてシャッターを切る瞬間、ぼくの平衡感覚は同時に3°ほどオートマチックに左に傾くようになった。イチ子のフォトグラフは、だから、たびたび地球に対して斜め。【TheBuffaloSpringfield-RockandRollWoman】  だから、たびたび地球に対して斜め

  • あらかじめ失われた恋人たちよ

    (Op.20250408-5/Studio31,TOKYO)定期考査中の放課後。教室の掃除。水口イチ子に映画に行こうと誘われる——同じクラスになって以来、試験が始まるといつもこうだ —— 毎度、有無を言わせず連れ出される。結果、合格点に至らず、追試や課題を提出させられるのは決まってぼくの方だけ。確かにあの日に観た『あらかじめ失われた恋人たちよ』は思い出に残ったけれど、現代国語の落第者用の課題『新聞(三大紙のうちのどれか)の社説を原稿用紙に十日分書き写し、それを製本して提出せよ』の苦労を考えると、なにもわざわざあの日に観に行かなくても良かったのではなかったかと、今も思うのではあるが...。【TheCowsills-TellMeWhy】 あらかじめ失われた恋人たちよ

  • ぼくの夏の妹達は、今はいったいどこへ行ってしまったのだろう

    (Op.20250408-4/Studio31,TOKYO) プラタナスの並木が、夏の舗道に強いコントラストの影をおとす。日盛りに陽射しが燃えて、目を細めずには見られない視界の情景。古い思い出が重なる。<palign="center"><fontcolor="#ff9900">*</font></p>あー、暑い、暑いな。歩く人の影はまばらにして、車列も途切れがちな午後。あの日、目の前にいた、眩しさイッパイのぼくの夏の妹達は、今はいったいどこへ行ってしまったのだろう。  <palign="center">【AnneMurray-YouWon'tSeeMe】</p> ぼくの夏の妹達は、今はいったいどこへ行ってしまったのだろう

  • 夏を描く - 海からの風が強い一日

    (Op.20250408-3/Studio31,TOKYO)  夏を描く-海からの風が強い一日。長谷の鎌倉文学館にて。  【TheYoungRascals-Groovin'】夏を描く-海からの風が強い一日

  • イチ子に、早くも夏の気配

    (Op.20250408-2/Studio31,TOKYO)  陽射しが輝きを増す季節。薄いカーテン越しの光がハレーションを起こす部屋。イチ子に、早くも夏の気配。  【TheBeachBoys-Dance,Dance,Dance】  イチ子に、早くも夏の気配

  • ああ、話は、まだ終わってなかったのか...

    (Op.20250408/Studio31,TOKYO)  庭の芝生に寝転んで、薄曇りの空を見上げていた(雲ばかりの空。その雲の上に陽射しがあるのがわかる)。「だから、そういうのが波長が合うってことなのよ」とイチ子さん——ああ、話は、まだ終わってなかったのか...。*ポラロイドは、速写向きじゃないところが好きだ。  【TheBeachBoys-Wendy】  ああ、話は、まだ終わってなかったのか...

  • 花を抱えた沢山の娘達がいて...

    (Op.20250407-2/Studio31,TOKYO)  グリンデルヴァルトに程近い、ベルナーオーバーラント鉄道のとある駅前広場に、花を抱えた沢山の娘達がいて...。尋ねてみれば、毎年五月最初の水曜日は、『アルプスの花祭り』の日なのだと言う。フランソワーズと名乗った金髪を三つ編みにした小学四年生位のその娘は、列車から降りてくる観光客に、自分のおじいさんが作った花束を配るのだと頬を紅潮させて話すのだった。  【GratefulDead-It'sAllOverNow,BabyBlue】  花を抱えた沢山の娘達がいて...

  • 値段は聞かないでおこう

    (Op.20250407/Studio31,TOKYO)横浜みなとみらいクイーンズタワー、『ハードロックカフェ』。大きな観覧車がそびえて見える。週日の昼も過ぎて人影もまばらな午後だ。スピーカーからエリック・バードンの声が聞こえている。水口イチ子と半月振り程に会った。席に着くなり、「最近、書いてる!?」とイチ子。「うん、短いものばかりだけど...」「今でもたまには、あたしも出演してる?」「うん、2時間サスペンスの山村紅葉ほどの頻度でお出まし頂いております」「止めてよ!それじゃあ、出突っ張りじゃないの」と小さく笑う。注文。きみはまた『サンタフェ・スプリングロール』——『サンタフェの生春巻き』のどこが好きなんだろう。ぼくに言わせれば『旨からずも不味からず』、よくわからない。まあ、今日のところは『サンタフェの春巻...値段は聞かないでおこう

  • きみへの手紙の下書きが、ところどころに挟んであるのもなつかしい

    (Op.20250406-2/Studio31,TOKYO) 『四月に収穫の秋を迎え、十月に春の花咲く国がある』という堀内茂男の一節を冒頭に掲げた一冊の画帳——とは言ってもスケッチはわずか数葉で、あとは日記めいたことや記事の切り抜きなどが貼り混ぜてある。時代が今世紀に変わって間もない頃、ひとり、豪州を旅したときに携えていたものだ。伊藤整の『林で書いた詩』や吉田健一の『辰三の場合』からの書き抜き、他には或るフランス文学者の新聞コラムの切り抜き、エリック・フォッファー、尾崎喜八らの肖像写真なども貼ってある。きみへの手紙の下書きが、ところどころに挟んであるのもなつかしい。 【JamesTaylor-You'veGotAFriend】 きみへの手紙の下書きが、ところどころに挟んであるのもなつかしい

  • 桜の葉っぱでくるんであれば、全部桜餅

    (Op.20250406/Studio31,TOKYO)今年もまた桜の頃。神田川に掛かる橋の上からお花見中の水口イチ子(後ろ姿)。*「桜餅は関東と関西で違うの知ってる?」とイチ子。「桜の葉っぱでくるんであれば、全部桜餅かと思ってた」とぼく。  桜の葉っぱでくるんであれば、全部桜餅

  • 1982年5月

    (Op.20250405-4/Studio31,TOKYO) 眠り損ねた夜明ければ何事もなかったような初夏の朝午前九時カフェのオープンテラスなんの制約もない一日の始まり*あの日からいつも一緒の『夏の妹』  【AlessiBrothers-IWishThatIWasMakingLove(ToYouTonight)】 1982年5月

  • なつかしい人

    (Op.20250405-3/Studio31,TOKYO)  日やけは嫌だと言って、きみはその夏の間、長袖のシャツと手作りの帽子を手放すことはなかった。二百十日も近い八月の終わり、きみと出かけた美術館の帰り、あのやけに長い桜並木の情景ばかりが記憶に濃い。*その遊歩道の並木が満開の桜の花で空を覆う次の春まで、ぼく達の恋は予想を違えて続くことはなかったけれど、何の気まぐれからか、それからも時折ひとりで訪ねる美術館の帰途、季節がまた同じ夏の終わりでもあれば、きみもまた偶然に歩いてはいないだろうかと、つい辺りを見まわしてしまうぼくではあるのだが...。もう戻らない、なつかしい人。  【NatalieWilliams&SoulFamily-Heatwave】  なつかしい人

  • きみと一緒でなくては、重い腰がなかなかあがらない春この頃

    (Op.20250405-2/Studio31,TOKYO)  染井吉野が終わると次に控えているのが海棠。*春先から、梅、桃、桜、海棠と花盛りを迎える順に花弁のあしらいが華やかになるのが興味深い。ところで、端午の節句を迎える頃に、海棠が満開になる妙本寺へお花見に行こうときみとした約束は、まだ有効だろうか。とにかく、きみと一緒でなくては、重い腰がなかなかあがらない春この頃。【GeorgeMartinOrchestra-Allmyloving】  きみと一緒でなくては、重い腰がなかなかあがらない春この頃

  • ギャビン・ライアルやジョン・ル・カレ

    (Op.20250405/Studio31,TOKYO)そんなわけで、ぼくと水口イチ子は、深夜の同じ時間帯に日比谷のバーでたびたび顔を合わすことになった。ぼくは、いつもフォア・ロゼズをストレートでやりながら小さなノートに掌篇のプロットを思い付き次第に書き込み、イチ子は、ハムサンドなどを摘まんではビールで飲み込み、ギャビン・ライアルやジョン・ル・カレを読みふけっていた。【Chad&Jeremy-Before&After】ギャビン・ライアルやジョン・ル・カレ

  • 水口イチ子の萬年サマーガール

    (Op.20250404-4/Studio31,TOKYO)  水口イチ子の『萬年サマーガール』。  【CoconutBoys-SummerGirl】  水口イチ子の『萬年サマーガール』

  • 帰ってきた『30秒の狙撃兵』

    (Op.20250404-3/Studio31,TOKYO)『ボクは「創っている時」が一番たのしい。創る——これはプロセスだ。完成したものは、もうボクの所有物ではない。プロセスこそが創造だ。杉山登志』(昭和四十二年『宣伝会議』四月号「怒れ、怒れ」より)【杉山登志-資生堂シフォネットCM1973】  帰ってきた『30秒の狙撃兵』

  • リップクリーム

    (Op.20250404-2/Studio31,TOKYO)リップクリームを週に一本消費するって可能なんだろうか。逢うたびに違うブランドのリップクリームをきみは使ってるけど、ぼくには、それをきみが食べてるようにしか思えない。  リップクリーム

  • 深夜急行(2007)

    (Op.20250404/Studio31,TOKYO)その秋、週末の夜も遅くなって、頼まれていた原稿がようやく書き上がったときのことだ。ぼくは、突然、大阪にいる水口イチ子に逢いたいと思った。かれこれ、もうふた月ほど顔を見ていない。こんなことなら、イチ子が東京にいるうちに、もっと一緒にいる時間を作っておくんだった。後悔が募る。Macintoshのディスプレイの右上、時計のデジタル表示は22時07分。ぼくは思い立って、取材用にいつでも出かけられるようにと準備しているバッグをつかむとオフィスの灯を消してエレベーターに走った。東京駅八重洲口は目と鼻の先。まだ、トラベルプラザは開いているだろうか。大阪行きの新幹線の最終は、もう二時間も前に発車してしまっている。幸い、トラベルプラザは、まだ営業していた。「今夜の『銀...深夜急行(2007)

  • ある日の午後のことを、ぼくは懐かしく思い出すのだった

    (Op.20250403-3/Studio31,TOKYO)  去年の秋、ある記念に水口イチ子から小さなナイフをもらった。いつも持ち歩いていたかったのだが、ポケットに入れたままだと急に飛行機に乗ることになったときなど——機長に預けて頂かないとお乗せできません——という例のハイジャック防止のための不愉快な問答をするのが嫌で、止むなくオフィスのデスクの見えるところに置いておいたつもりだったのだが、いつの間にかなくなってしまった。それから半年以上経った今日、ナイフは、冬の間スタジオで防寒に使っていたシュラーフの中から見つかった——それを陽に干して、仕舞おうとしていたときのことだ。なんでそんなところから...。そして、ある日の午後のことを、ぼくは懐かしく思い出すのだった。  【NicoletteLarson-Lo...ある日の午後のことを、ぼくは懐かしく思い出すのだった

  • 鴨のソテー、チョコレートソース

    (Op.20250403-2/Studio31,TOKYO)  水口イチ子が、シドニーから成田に戻って来たのは午後2時過ぎ。それから自分の部屋には寄らずに、ぼくの芝公園のマンションに着いたのが4時少し前。イチ子の携帯に今夜の計画案はあらかじめ送っておいたから、ここまでの時間に無駄はない。支度を済ませて食事に出かけるとして、イチ子の服は、ぼくの部屋にいつも何着か置いてあるから手抜かりはない。彼女がシャワーを浴びている間、お土産だから開けてみてと言われた箱を開けると、出てきたのはPenfoldsSt.HenriShiraz2001という赤ワイン。ラベルにブドウの品種はシラーとあるから、もしかしたら以前飲んだことのあるシャトー・ラフィット・ロートシルトに似ているかも知れないと思った。だとすれば、当然、鴨。表参道...鴨のソテー、チョコレートソース

  • フィッシャーマンズ・ワーフの夕暮れ

    (Op.20250403/Studio31,TOKYO)サンフランシスコ。フィッシャーマンズ・ワーフの夕暮れは、思いのほか遅い時間にやって来る。沈みかねている夕日をながめながら、一軒のシーフード・レストランの、海に突き出た少し肌寒い硝子張りのテラスに腰掛け、熱く真っ赤に茹で上がるはずのロブスターとナパ渓谷産のシャルドネを注文する。ところで、せっかくのロブスターの、そのセクシーなまでにはち切れそうな豊満な肉の塊を、どうしてアングロ‐サクソン人達は単調な溶かしバターのみで食べるのか。ぼくは、ウイスキーのミニチュア壜に入れて持ち込んだ醤油をその溶かしバターと合わせ、これから熱く真っ赤になって登場してくる『彼女』を謹んで頂くことにしよう——今夜、ホテルの部屋から水口イチ子へ送るメールの、気の利いた書き出しの一行で...フィッシャーマンズ・ワーフの夕暮れ

  • 元はと言えば出所不明の硝子壜の破片だったりするのだが...

    (Op.20250402-4/Studio31,TOKYO)  早朝の弓ヶ浜で拾ったいくつものシーグラスを家で磨いていると、いつもポケットに入れて持ち歩いていたくなるほど気に入ってしまうものがある。元はと言えば出所不明の硝子壜の破片だったりするのだが、それが、だんだん何ものにも代え難い宝石に変わっていく。掛けがえのない人というのも、きっとそんなようなものなんだろう。  【国分友里恵-恋の横顔】  元はと言えば出所不明の硝子壜の破片だったりするのだが...

  • 深夜のおめざ

    (Op.20250402-3/Studio31,TOKYO)  季節限定を『深夜のおめざ』に...。「飲物は、ロンドン・ドライ・ジンで...」  深夜のおめざ

  • 冬の新宿御苑、ポプラ並木

    (Op.20250402-2/Studio31,TOKYO) 冬の新宿御苑、ポプラ並木。 冬の新宿御苑、ポプラ並木

  • 驟雨? あるいは小雨のいち日かも知れない

    (Op.20250402/Studio31,TOKYO)驟雨?あるいは小雨のいち日かも知れない。もう出掛けるのはやめにして、ふたりでダーク・ラムを飲もう—— というのが水口イチ子の提案だった。【HumanNatureperform-BeMyBaby】  驟雨?あるいは小雨のいち日かも知れない

  • 木陰にて

    (Op.20250401-3/Studio31,TOKYO)「夕子というのは、夕方に生まれたから...」と言って彼女は笑った。歳は三十を少し越えたくらいか。知り合ったのは、去年の夏。明け方まで看板に灯りをを灯す『シェード(木陰)』という行きつけのバーでのことであった。【TheTurtles-We'llMeetAgain】  木陰にて

  • メガネを忘れた近眼や老眼の人の目には、レーゾンデートルはないのか

    (Op.20250401-2/Studio31,TOKYO)  近すぎて、ピントが合っていない。ところで、ピントは、合っていないとイケないのか。メガネを忘れた近眼や老眼の人の目には、レーゾンデートルはないのか。  <ahref="https://blogmura.com/profiles/11138716?p_cid=11138716"><imgsrc="https://blogparts.blogmura.com/parts_image/user/pv11138716.gif"alt="PVアクセスランキングにほんブログ村"/></a>メガネを忘れた近眼や老眼の人の目には、レーゾンデートルはないのか

  • ライム・カラーの陽射しがレースのような薄い若葉を透かして落ちていた

    (Op.20250401/Studio31,TOKYO)聖橋から湯島聖堂へ。石造りの階段を下った先の舗道に、ライム・カラーの陽射しがレースのような薄い若葉を透かして落ちていた。あれはきみが十代最後の年。2005年のことだ。道すがら、スライド写真を何枚か撮ったのに、今、手元に残るのはたった一枚——この間、古いスペイン語のテキストの頁の間にみつけた。それをキャンバスに投影して、オイル・ペインティングに仕立てたのがこの絵。我ながら、想い出の詰まった、なかなか良い作品に仕上がったと思ってはいるのだが...。【BarryGibb-FirstofMay】  ライム・カラーの陽射しがレースのような薄い若葉を透かして落ちていた

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