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  • Egoism

    心にべったり指紋を付けるのをやめて あなたが奪った私の言葉たちを返して その存在が近付くだけで吐き気がする 膚の匂いはまるで私を浸食していくよう考えてみれば一人でいる事とは ただ好きなものだけに囲まれて 繊細且つ巨大な王城を創りだす 全てを満たしかねない行為だったその眼の内側に何があるのかが解らない どんな烈風や凄まじき蟻たちが群がって 若しくは私が見る通りの空虚が広がって それを覚られる事もなく目鼻は笑いを作るあなたが解らない 不安心極まりない 境界さえ判らない 不気味きわまりない完膚無きまでに猫を被り 我と我が身を守ろうか? 虚脱した末に内なる獣を 野放しにでもしましょうかどれもわたしのE…

  • ある女の告白──病床にて

    嘘を吐くのは厭だと言いながら、 私たちは 夫々 ( それぞれ ) の本心に美談の鎧を着せて締めころし、 そうして今にも壊れそうな絵空事で 二人の会話を塗り潰してきました……其れこそが私とあのお方との紛れも無い 「情事」だったのです〈顏ヲ覆フ〉 ああなんと美しい…… 美しい情事でしょう!このままあのお方の 膚 ( はだ ) に触れ得ることなく 死ねたなら、死ねたなら……この人生は完璧です!!!〈アラヌ限リノ絕叫〉 悔いなどひとつも無い!!!

  • 鉛のように

    霧に包まれて千仭の谷の底へ急降下 くらくら目眩のする感覚とはだ寒さだけが私 視界はぼやけてるから何も見えない 高層で遥か賑わう大都会の音も消えていく曾て赤銅色に光っていた抜き身 内側からボロボロ刃毀れしてゆきます 一寸の名残もなく砕け散って 喉を絞める手も胃袋から居なくなればいい鉛のように また固まる 鉛のように 時間が亡い曾て白銀の煌めきを放っていた身体 緑青に侵されて原形も留めない 眼球は潤んでゆく 脳一つ浮き上がった 尸 ( しかばね ) を誰か片付けて下さい

  • 月夜

    闇が濃い分不安も淡い 月の輪の中溶けてゆくよう 白いワンピース幽霊のよう 翻して雨雲を呼ぶ

  • 夢想

    あの子が身に纏っていた墨汁は 床に滴ってぜんぶゴキブリになった 待合室の椅子で体を丸めていた 私の目の前が暗くなったこの宇宙から弾き出されそうな不安と 絶えず向き合っていなければ、 さもなくばお前は死を免れない、と 神様に言い渡された ずっと昔もはや卑小な魂が卑小であるために 釘を刺されているようだ『水槽から魚を取り出す手を見た きれいな皮膚には魂が宿っていなかった 藻掻き苦しむ命でさえも、 それが正当であるかのように 部屋は静かなまま…』この意識は 常に 陥没した空間に取り残されて 周りのなにもかもが歪んで見える 雑沓や悲鳴が押し寄せてくる ゆえに心へ沈んでゆく ふかく沈んでゆく──沈んでい…

  • 鉄の公園

    草も生えないアスファルトの土地 並んだ青色のベンチに座っている 柵は鉄条網 何があるのか向こうには 政略が絡み爛れて廃棄されたような近くの駄菓子屋で古雑誌を買った 待っている人はまだ来ない 曇り空 好きな女優の顔に落ちる 翳るノスタルジアが世界に落ちる

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糖野 鉄(Tono Tetsu)さん
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