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よくわかる水道民営化(基本から他国事例まで) https://suido-mineika.blogspot.com/

2019年より国内の水道事業にもコンセッション方式が適用できるようになりました。水道に詳しく無い人にも、その利点と課題をわかりやすく伝えるためにHPを作りました。

20年に渡り、海外の貧しい国々の水道開発に携わってきました。 早くから運営方式の重要性に気付き、修士課程、博士課程で水道民営化、コンセッション、アフェルマージュ等の水道事業契約を研究しました。

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2021/03/10

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  • 目次:よくわかる水道民営化(基本から他国事例まで)

    1.水道民営化(コンセッション)に関するQ&A Q1.水道民営化で水道料金が上がるって本当なの? / Q2.水道民営化で飲み水の安全性が脅かされないの? / Q3.水道民営化で災害時に充分な対応ができるの? / Q4.水道民営化をすると海外企業に命の水を奪われるって本当? / Q...

  • 「5.他分野の国内コンセッション事例から学ぼう」目次

    国内では既に道路、下水道、空港などの分野でコンセッションが契約・実施されています。 ・ 内閣府資料 (2020年4月時点の案件数、PDF) コンセッション契約の入札基準や契約条件について整理し、水道コンセッションと異なる点および類似点を明確化します。 (1)愛知県道路公社の道路コ...

  • (4)宮城県の上下水道コンセッションー後編(2022年)

     (4)宮城県の上下水道コンセッションー前編(2022年) の続きです。 前編では事業概要や契約形態について述べましたが、ここでは企業選定の方法とモニタリング方法、個人的な意見を記載します。 5.企業の選定方法 企業の選定方法ですが、詳しく各種資料を見ると、県は 「費用削減は県が...

  • (4)宮城県の上下水道コンセッションー前編(2022年)

    2022年4月から始まった、 宮城県の上下水道コンセッション について記載してみます。 正式な事業名は、「宮城県上工下水一体官民連携運営事業」です。 (図は宮城県作成の資料から抜粋しています) まず、経緯、事業費用、事業概要、契約スキームを整理しました。 企業の選定方法、モニタリ...

  • (3)災害時の安全性の低下

    国内の水道事業の課題の1つは、「安全性の低下」です。 水質の安全性を思い浮かべる方もいると思いますが、日本では適切な水質管理と塩素消毒が義務づけられており、健康被害が出る可能性はほとんどありません。今後課題となるのは、地震や洪水といった災害時の安全性低下です。 以下に過去の災害被...

  • (2)施設の老朽化と更新費増加

     現在の水道事業の課題の1つは、 施設の老朽化と更新費の増加 です。 「水道事業の現状と課題(平成30年度、総務省)」 に水道事業の投資実績が整理されています。この資料によると、1970~2005年頃まで(35年間)の年間設備投資額は1.2~1.9兆円/年程度で推移しています(図...

  • 「6. 今の水道事業の欠点は?」目次

     ここでは、国内の水道事業が直面している課題3点を整理しました。 (1) 小規模水道事業は低効率で高料金 (2) 施設の老朽化と更新費増加 (3) 安全性の低下

  • 小規模水道事業は低効率で高料金

    以前の記事 で、現在の水道事業の欠点の1つとして、 「低効率な小規模事業が多い」 ことを挙げましたが、実際のデータを使って説明します。 1)整理したデータ 日本の水道事業の各種指標は、総務省のホームページにまとめられており、そのデータから分かりやすい指標を選択しました。 ・ 水道...

  • マニラで見た上下水道コンセッションの現状(2021年)

    現在(2021年10月)、フィリピンのマニラ出張中です。せっかくなので、コンセッションが行われている マニラ上下水道事業 の状況を整理してみます。 水質や料金徴収は適切に運営・管理されている印象でしたが、下水配管の損傷事故を見つけました。 老朽管の更新は費用が高く、日本でも問題と...

  • 今の水道事業の欠点は?(改善されるべきポイント)

    今回は 日本の公共水道の3つの欠点 について記載します。 「水道民営化で問題解決!」と言う賛成派も居ますが、公共のままでも解決が可能な事柄が多いです。議論するためにも、欠点を良く理解しましょう。 1)低効率な小規模事業が多い 2)費用・効果が最適化されていない(過剰投資?) 3)...

  • 規制機関の設立レベル(国レベルの管理が必要?)

    今回は、水道コンセッションの 規制機関(Regulator) について記載します。 規制機関はコンセッション期間中、民間企業から得た情報を分析し、利益追求に向かいやすい企業の運営を管理・規制する役割を持ちます。 ・規制機関の設立レベル 規制機関の設立レベルですが、国レベル、州・県...

  • 目次:結婚生活に喩える水道コンセッション事業

    皆さんは水道事業へ適用される 「コンセッション契約」 の内容や手順をご存じでしょうか? このブログでは、水道コンセッション契約の概要を 「3.契約概要」 に整理しました。ただ、専門的すぎて理解が難しいので、もっと簡単に知ってもらいたく、普通の生活で経験する事柄になぞらえて説明して...

  • 4.添い遂げるためのアドバイス(水道コンセッション成功のために)

    ここまで、水道コンセッション事業を結婚生活になぞらえて説明してきました。ここでは、結論として、結婚(水道コンセッション事業)を失敗しないための方策を示したいと思います。 1. 家族の調和を目指そう(官・民・市民のバランス確保) 2. 夫婦喧嘩は客観的評価で解決(NPOや規制機関の...

  • 3.離婚する?しない?(水道コンセッション事業の失敗)

    コンセッション事業を結婚生活になぞらえて説明する試みですが、今回3つ目の記事となりました。 「1.婚活期間(事業形成から契約まで)」 の記事で、お見合い・婚約手続きを説明しました。続く 「2.夢見た結婚生活(コンセッション事業の運営)」 では、結婚生活でのルール・情報共有などを説...

  • 2.夢見た結婚生活(コンセッション事業の運営)

    結婚という社会的な仕組みに置き換えて、水道コンセッション契約を説明する試みですが、ここでは 結婚後の結婚生活(事業契約と運営)を説明してみます。 - 結婚生活開始に際して -  ・結婚生活の計画・目標設定 (事業計画策定) 長い結婚生活のおおよその計画を立てて、二人でそれを目指し...

  • 水道民営化とコンセッションは別のもの?(水道民活手法の分類)

    国内水道事業にコンセッションの導入が進められています。 民間企業による水道事業運営に懸念がある場合、 「水道民営化反対!」 というスローガンを掲げることが一般的です。しかし、専門的に言うと「民営化」と「コンセッション」は別の物であり、混乱を招くことがあります。 以下、図を使って説...

  • 1. 婚活期間(水道コンセッション事業の事業形成から契約まで)

    結婚という社会的な仕組みに置き換えて、水道コンセッション契約を説明する試みですが、ここでは 相手募集から婚約まで(事業形成から契約まで)を説明してみます。 性別は、仮に 女性=公的機関、男性=民間企業 、出会う方法は費用のかかる 結婚紹介所 とします。それぞれの手順、期間、費用は...

  • 過去のPFI事業に対する会計検査院の調査結果(令和3年5月)

    先月会計検査院より、過去に国が実施したPFI事業に関する調査結果が公表されました( 詳細 )。「公的運営の方が得だったかも」、「契約不履行が多く発生したがうまく解決できなかった」といった事例も紹介され、貴重な調査結果でしたので、その内容を整理します。 1.調査対象 調査の対象は、...

  • 書籍レビュー:クレイジーで行こう!

    お勧め度:★★★☆☆ 分かりやすさ:★★★★☆ 専門性 :★★☆☆☆ AI(人工知能)分析により水道管の管路老朽化情報を分析する、Fracta社の創設者の著作です。最近では上下水道を含むインフラの計画・設計にAI技術が用いられるようになってきているため、その技術的な内容に興味を持...

  • 水道民営化検討時に問うべき3つの質問

    国内でいくつか水道コンセッション事業の検討が進められています。 計画している市や県に質問すべき項目を、以下の3点に整理してみました。 1)コンセッション実施は何が目的? 2)費用削減(VFM)の内訳を教えて 3)県/市のままで改善できないの?(VFMの精査) 1)コンセッション実...

  • 水道民営化で住民が搾取された具体的な手順

    水道民営化について、 「命の水で企業が利益をあげるなんて言語道断!」 という批判が多いです。 海外事例で良くある、企業が利用者を搾取し、収益を上げてきた方法を以下に説明します。 「1.嘘をついて受注」→「2.目立りにくい費用削減・手抜き」→「3.契約変更や法廷闘争でゴネ得」 以下...

  • (3)仙台空港のコンセッション(2016年)

    空港分野はコンセッション事業の事例が多く、2019年末時点で17空港が実施されています(北海道のバンドリングされた空港含む)。 ここでは2016年に運営が開始された、仙台空港のコンセッションについて概要を説明します。 仙台空港は比較的収益性が高く、早い時期に事業が始まり、SPCの...

  • 「4. 世界の過去事例から学ぼう」目次

     ここでは私が現地調査した事例を含め、 世界の過去事例 を説明しています。 契約の仕組みや、規制方法、指標の推移など、エンジニアの視点に基づく分析を行っています。 (1) 世銀の方針 (2) フランスのコンセッション、アフェルマージュ (3) イギリスの民営化 (4)...

  • (4)イギリスの水道民営化

    ここでは、イギリスの水道民営化とPFIの経緯を整理してみます。 イギリスの水道民営化は1989年、サッチャー政権時に「小さな政府」を目指して実施されました。同時期に水道に限らず様々な分野で民営化がすすめられ、またインフラ事業への民間参入であるPFIも1992年以降に進められました...

  • (7)セネガル、ダカールのアフェルマージュ

    ここでは私が現地調査した、西アフリカ、セネガルのアフェルマージュ契約について説明します。 (1)民間が投資義務を有しないアフェルマージュ方式を採用 (2)26年間のアフェルマージュ期間中重大な契約違反等発生せず、業務水準も改善 アフェルマージュ方式は、配管や水源開発は公が実施して...

  • 「1.水道民営化に関するQ&A」目次

    はじめに、良くあるコンセッションにまつわる 「6つの疑問・懸念点」 について、分かりやすい回答を作成してみました。 Q1.  コンセッションで水道料金が上がるって本当なの? Q2.  コンセッションで飲み水の安全性が脅かされないの? Q3.  コンセッションで災害時に充分な対応が...

  • Q6. 水道分野のコンセッション契約は失敗が多いって本当?

    はい、過去事例の分析結果より、 水道分野の民営化(コンセッション)は他の分野と比べて失敗する割合が多いと言えます。 論文による研究結果ですが、中南米のコンセッション事業例約1000件を分析したところ、上下水道分野の失敗確率(大幅な契約変更が発生した確率)は、他分野平均よりも2.5...

  • (3)フランスの水道PPPの推移(コンセッション、アフェルマージュ)

    ここでは フランスの水道事業の経緯や契約形態の概要 を記載します。 フランスでは、昔から民間企業への水道事業の委託が実施が一般的であり、水道PPPの方式で知られるコンセッションやアフェルマージュは、フランスで実施されてきた方式です。 また、スエズ社やヴェオリア社といった水メジャー...

  • 書籍レビュー:フランスの上下水道経営―PPP・コンセッション・広域化から日本は何を考える(2020)

    お勧め度:★★★☆☆ 分かりやすさ:★☆☆☆☆ 専門性 :★★★★★

  • (2)浜松市の下水道コンセッション(2018)

    ここでは2018年に開始された、 浜松の下水道コンセッション の概要をとりまとめます。 国内の下水道分野のコンセッション事例は今のところ、この1件のみです。 このコンセッションの主な特徴は以下のとおりです。 (1)民間の業務は限定的 (2)入札は価格点(運営権対価額)の影響も大き...

  • (1)愛知県道路公社の道路コンセッション(2016年)

    ここでは2016年に開始された、 愛知の道路コンセッション の概要をとりまとめます。 この事業は、需要リスクがうまく緩和され、また民間企業の知見で需要創出が実施されており、成功事例とされています。 主な特徴は以下のとおりです。 (1)バンドリングによる案件形成(規模の経済) (2...

  • (6)ボリビア、ラパスのコンセッション

    ここでは、私が2009年に研究でほうもんした、ボリビア国の最大都市ラパス市の水道コンセッション事例を説明します。1997年から30年間のコンセッションが始まりましたが、契約終了を待たずに再公営化されました。再公営化された主な理由は政策転換です。 水道コンセッションの対象地域は標高...

  • (5)フィリピン、マニラ東西のコンセッション

    ここでは1997年に開始した マニラの上下水道コンセッション の事例を説明します。この事例は、以下の点で学ぶことが多いです。 (1)敢えて東西に事業を分割した (2)マニラッド社(西部)が1度破綻した (3)いわゆるLow Balling(低価格入札と再交渉)が生じた コンセッシ...

  • (2)ボリビア水紛争の事実(コチャバンバを訪問して)

    「ボリビアの水紛争」 について聞いたことはありますか? 水紛争(Guerra del Agua)とは、南米ボリビアで2000年に発生した、水道民営化に反対する市民運動です。水道民営化を反対する書籍で良く取り上げられている事件なので、知っている方も多いのではないでしょうか。 ボリビ...

  • (1)世界銀行の反省と方向転換

    水道民営化は、1990年頃から世界銀行やIMFの提言に従って進められてきた経緯があります。 ここでは過去の世界銀行の政策転換について記載してみます。 ・コンセッション契約の黎明期(1990~) 私が大学を卒業して働き始めた1990年後半は、世界銀行やIMFが世界中でコンセッション...

  • 都市水道事業の官民連携(2012、世界銀行が民営化の失敗を認めたレポート)

    世界銀行やIMGは1990年代頃から、各国にコンセッション契約を薦めてきました。しかしながら、その後失敗事例が続出したため、2012年に以下の書籍を公表しました。 世界の主要な36か所の水道コンセッション・アフェルマージュ事業の結果分析の結果、 民間の役割の大きいコンセッションが...

  • (9)運営期間中に官民が対立した場合の解決方法

    コンセッション契約書には、発注している公的機関と、受注している民間企業が対立した場合の解決方法が記載されています。調停などの手続きと、公的機関またはコンセッショネアによる早期契約終了の条件について記載します。 これらの規定は、予測しない事態が生じたときに非常に重要となります。個別...

  • (8)コンセッション契約の課題と規制機関の重要性

    ここではコンセッション事業における規制の重要性について説明します まず、民間企業がコンセッション契約で事業運営する場合に生じやすい課題点を示します。その後、それを規制・管理するための方法を、他国の事例に基づいて説明します。 (1)コンセッション契約の問題点 以下はコンセッション契...

  • (7)契約のために発生する費用

    PPP(官民連携)に関し、「民間企業が公共サービスに参入すると費用が削減します・・・」と簡単に説明されることが多いですが、実は逆に増加する費用もあります。 ここではコンセッションを行うことで追加的に発生する、以下の費用について説明します。 (1)コンサルタント費用(計画、入札、選...

  • 宮城県上工下水道事業のコンセッション候補者が決定

    宮城県が募集していた、上水・工水・下水事業のコンセッション候補者が、3グループの競争を経て、メタウォーターグループに決定されたそうです。 Yahooニュース 宮城県の広報ページ ざっと資料を読みましたが、概要は以下です。 ・契約期間は20年(25年まで延長の可能性あり) ・料金改...

  • (6)入札方式とその傾向

    ここでは水道コンセッション事業の入札方式について記載します。 入札手続きですが、まず公的機関が入札実施を公示します。次に興味を示した会社に対しPre Qualification(事前審査)が実施され、経験のない会社は排除されます。その後、応札が認められた企業グループ数社で、競争入...

  • (5)中期計画の策定と再交渉の手続き

    図 中期計画作成・料金改定の審査プロセス ここではおよそ5年ごとに、料金改定と併せて実施される、 中期計画策定と再交渉の手続き を示します。 コンセッション契約当初、民間企業は契約期間である25年~30年におよぶ事業計画(技術、財務)を提出し、それに基づいて企業の収益や、水道料金...

  • (4)料金決定の仕組

    ここではコンセッション契約の料金決定の仕組みを説明します。 以前、以下の記事で国内の水道料金の決め方について記載しました。 (4)水道事業の収入 コンセッション契約が結ばれた場合ですが、普通は既にある料金設定はそのまま残ります。(日本では総合入札方式が採られる可能性が高いと思いま...

  • (1)コンセッション契約の概要

    図 コンセッション契約の業務とお金の流れ コンセッション契約の 作業とお金のフロー を、上の図に整理してみました。 契約期間: コンセッション契約は、既往の水道事業実施者と民間企業の間で、 25 年から 30 年の期間を対象として締結されます。長期となる理由は、施設の投資活動もコ...

  • 「2. 水道事業の経済性」目次

    ここでは、 水道事業とはどういったものか、どこにどれだけお金がかかっているのか 、といった基本的な点を整理しました。 (1)水道事業の特徴、他の公共サービスとの違い (2)水道事業の施設構成 (3)水道事業の費用構成 (4)水道事業の収入 (5)水道事業の成果 (6)水道事業のP...

  • (3)水道事業の費用構成

    ここでは水道事業の費用について、建設費に着目して説明します。例として東京都水道局の費用を見てみましょう。 ・ 水道の財政(東京都水道局) ・ 損益計算書(東京都水道局) ・ 貸借対照表(東京都水道局) 令和元年の営業費用(損益計算書から) ・営業費用 3041億円 ・そのうち減...

  • (7)コンセッション契約によるメリット・デメリット

    コンセッション契約により民間企業が水道事業運営をする場合の、メリットとデメリットを以下にまとめました。ここでは一般的な項目を挙げました。 (1)水道事業の効率化 (2)事業の透明性向上 (1)利益優先によるサービス悪化 (2)住民の反対増加 〇メリット1:水道事業の効率化 市町村...

  • (6)水道事業のPPP方式の比較

    ここでは、 水道事業に適用される主なPPPスキームの概要と各スキームの役割分担 を説明します。PPPスキームの呼び方・定義・条件等は、国によって異なることも多いですが、世界銀行の定義に従いました。また、比較的実施例の多い、新規水源開発(バルクウォーターサプライ)などの一部新設事業...

  • (2)水道事業の施設構成

     ここでは水道施設の施設構成について説明します。 以下、札幌市水道局さんの画像をお借りしました。 (出展: 札幌市水道局 ) 水道事業の施設は大まかに 取水施設、浄水施設、送水施設、配水施設 に分けられます。 (技術的な話は省略し、概要だけ述べます) 1) 取水施設 まず、サービ...

  • (4)水道事業の収入

    ここでは水道事業の収入について説明します。 水道事業の主な収入は水道料金であり、その料金体系と、料金改定の仕組みを説明します。 1)料金体系 ここでは、一般的な水道料金体系を説明します。説明する内容は以下のとおりです。 a. 水道事業は 独立採算のため安定した経営となっている b...

  • (1)水道事業の特徴、他の公共サービスとの違い

    水道事業のコンセッションは、他分野と比較して失敗例が多いとされています。 その理由を知るために、水道事業の特徴・特殊性を以下3点に整理しました。 1.水は生活必需品 2.どの都市にも既に水道が存在する(Brown Fieldとなる) 3.配管の費用が高い(輸送費が高い) 1.水は...

  • (5)水道事業の成果

    コンセッション契約の際には、利用者がサービスに満足するように、様々な目標指標を設定し、民間企業にその達成を求めます。 この目標設定が契約上非常に重要ですので、水道事業の成果がどういった指標で測られるのかを少し考えてみましょう。 一般の方々が求める指標としては、以下の様な項目でしょ...

  • 「3. コンセッション契約の概要」 目次

    ここではコンセッション事業の概要をとりまとめます。 既存の書籍等を見ても、実際の契約内容等について書かれているものが無く、以下の記事で説明したいと思います。 (1) コンセッション契約の概要 (2) 一般的な契約条項とその記載内容 (3) 水道公社と民間企業の役割分担 ...

  • (3)水道公社と民間企業の役割分担

    ここでは水道公社と民間企業の役割分担を説明します。 また業務分担と関連が深い、事業運営時のリスク分担についても説明します。 1.役割分担 まずコンセッション契約を委託する水道公社、それに業務を受託する民間企業の役割について以下に概要をまとめます。 下表が一般的にコンセッション契約...

  • (2)一般的な契約条項とその記載内容

    コンセッション契約が話題になっていますが、実際の契約書を実際に読んだことがある方は少ないのではないでしょうか。 コンセッションに関する条件は全てこの契約書で管理・規制されることになるので、導入に賛成するにも、反対するにも、契約書に記載された内容の概要理解は非常に重要です。 コンセ...

  • 書籍レビュー:新しい上下水道事業 再構築と産業化(2018)

    お勧め度:★★★☆☆ 分かりやすさ:★☆☆☆☆ 専門性 :★★★★★ 完結に書くと、「勉強になりました」という感想です。 業界トップの大学や水コンサルタント、会計士が章ごとに担当して記述されています。 完全に専門家向け、その中でも新しい技術や政策を考えている人向けの本ですので、一...

  • 書籍レビュー:水道の民営化・広域化を考える(2019)

    お勧め度:★☆☆☆☆ 分かりやすさ:★★☆☆☆ 専門性 :★★★☆☆ 筆者は既存の水道事業者からの方々で、基本的に民営化反対の論調です。 大阪等の事例が主になっていますが、俯瞰的な説明は少ない印象です。 対象は同じ立場の水道事業者向けという印象で、一般市民にとっては分かりにくく、...

  • 書籍レビュー:日本の水道をどうする!?: 民営化か公共の再生か(2019)

    お勧め度:★★★★★ 分かりやすさ:★★★★★ 専門性 :★★☆☆☆ 一般の方にも分かりやすく、民営化についてもバランスのとれた記載に感じましたのでお勧め度を高くしました。 議論が無いままのコンセッション導入を批判し、NGOやジャーナリストの意見を幅広く取り入れ、総括的な記述がな...

  • 書籍レビュー:水道民営化で水はどうなるのか(2019)

    お勧め度:★★★★☆ 分かりやすさ:★★★★★ 専門性 :★★☆☆☆ 多国の例などを元に、拙速な水道民営化に疑問を呈しています。 現在の国内水道事業の課題についても記載されており、一般の方にも分かりやすいです。 バランスが良いと感じましたが、コンセッション自体に関する詳しい記載(...

  • Q5. コンセッションで水道事業の効率性が上がるの?

     回答: コンセッション導入による業務効率化ですが、難しい問題で、 必ずしも上がるとは言えません。 PPP事業(官民協力、コンセッションを含む)が始まった当初、 「民間企業の運営により公共サービスの効率性が劇的に改善する」 と信じられていました。この効率性の改善により、サービス向...

  • Q4. コンセッションをすると海外企業に「命の水」を奪われるって本当?

    回答: 水を物理的に剥奪されるとことは難しいですよね。 このため、 「水を国際政治に利用されないかという懸念」 、それに 「利益を外国企業に奪われないかという懸念」 の2つに分けて返答します。 現在の制度では応札者の国籍に制限を付けておらず、外国企業が水道コンセッションの受注者に...

  • Q3. コンセッションで災害時に充分な対応ができるの?

     回答: この質問は回答が大変難しいです。 非常時の対応は、公共機関(水道公社)とコンセッションを受注する民間企業のどちらがより適切に対応できるか 現状では分かりません。 災害発生時、自治体職員の方が身を粉にして従事するイメージはありますが、職員数が少ない事業体もあり、民間企業の...

  • Q2: コンセッションで飲み水の安全性は脅かされないの?(通常時の安全性)

    回答: 水道事業にコンセッションが導入され、民間企業が運営することになっても、 通常運転時の安全性は確保されます ので安心してください。過去事例を見ても、コンセッションにより水質が悪化したという報告は非常に少ないです。 その理由ですが、 技術的な視点 で言うと、近代水道において一...

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