2021年12月
仲冬・時候/過ぎ去りゆくこの一年を思い、惜しむ。 逝く年の水が水追ふセーヌかな 鍵和田秞子 辻仁成という男がいる。 私は十代のころ、ECHOESの音楽や深夜のラジオ放送、そして小説や詩を通して彼に励まされ、助けられて生きていた。 今年、体調をくずし、心身ともに自分でもど...
仲冬・植物/ポインセチアの和名。トウダイグサ科のメキシコ原産の常緑低木。花をとりまく大きな苞葉が赤やピンク、白に色づきうつくしい。温室で栽培され、クリスマスが近づくころに鉢物や切り花として出回り、目をひく。 時計鳴り猩々木の緋が静か 阿部筲人 街の裏通りにある古本屋。老いた...
三冬・動物/イタボガキ科の二枚貝の総称。大小さまざまで、潮間帯の岩などに固着する。 食用となるものが多く養殖も盛ん。冬季はとくに美味で滋養に富み、調理法は多様。 牡蠣食ふやテレビの像に線走る 田川飛旅子 地方のいかにもひなびた海辺の食堂。 ここに来たからにはやっぱり牡蠣でしょ。...
仲冬・宗教/12月25日、イエス・キリストの降誕祭。「キリスト礼拝」の意。太陽の再生を祝う冬至の祭と融合したものと考えられる。クリスマスツリーを飾り、ケーキを食べたり、プレゼントを交換したりしてにぎわう。 美容室せまくてクリスマスツリー 下田実花 素朴にすぎる一句だけれど、美容...
三冬・人事/毛糸などで編んだ防寒用の上着。襟型や色、柄などは流行もあってさまざま。 愛ほろぶごとセーターのほどかるる 岡本眸 いまの若い人らも恋人に手編みのセーターを贈ることがあるんだろうか。 「愛ほろぶ」って、なかなか強烈な表現だけれど、愛をもって丹念に編んだセーターをほどい...
三冬・地理/冬日を受けて、眠るように静まりかえった山を擬人化していう。北宋の画家・郭煕著『臥遊録』の「冬山惨淡として眠るが如し」によるといわれている。 山眠る肋に似たる非といふ字 後藤兼志 たしかにいわれてみれば、「非」という字の姿は肋骨の形に似ている。 だからなんなのさ、とい...
三冬・人事/靴底に金属製の板を取り付け、氷上を滑走するための用具。その靴をはいて行う競技または遊戯のこともいう。 スケートの父と子ワルツ疑はず 石田波郷 「バスを待ち大路の春をうたがはず」 すぐに波郷さんの大好きな句が浮かんだ。 スケートの一句は微笑ましく、俳味があって、これも...
三冬・天文/大陸から吹いてくる北西の季節風。日本海側の山間部に大雪をもたらす一方、太平洋側では乾燥した冷たい風になる。 北風に押しまくられてこれでも父 辻田克巳 我がことを詠まれてしまったような一句。 母親は子を胎内に宿したときからすでに母親になっていると思うのだが、父親はみず...
三冬・時候/日中の時間が短い冬の日をいう。秋分を過ぎると日暮れが日ごとに早くなり、冬至に日中の時間が最短となる。 短日や影も角出す金米糖 野見山朱鳥 影は光あってこそ生まれるもの。昼が短く、寒さもあって、ことに陽ざしが恋しい冬の日に、ちいさな金米糖のわずかなとがった部分のつくる...
2021年12月
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