『青年』は主人公の小泉純一が東京に出てきてから2ヵ月ほどの間の出来事を描いた作品です。時期は10月終わりから翌年の元旦。晩秋から初冬にかけての東京と箱根が舞台となります。 「今日も風のない好い天気である。銀杏の落葉の散らばっている敷石を踏んで、大小種々な墓石に掘ってある、知らぬ人の名を読みながら、ぶらぶらと初音町に出た。」 「諺にもいう天長節日和の冬の日がぱっと差して来たので、お雪さんは目映しそうな顔をして、横に純一の方に向いた。」 「刈跡から群がって雀が立つ。」 「常盤木の間に、葉の黄ばんだ雑木の交っている茂みを見込む、二本柱の門に大宮公園と大字で書いた木札の、稍古びたのが掛かっているのであ…
暮の秋とは秋が終わる時候をいいます。晩秋の頃をさして使われる季語です。これに対して秋の暮とは秋の一日が終わるときを指します。秋の夕暮といえば秋の暮のことになるのです。 使われている言葉は同じでも、順序を変えると意味がまったく違ってくるというのは面白いと思います。ただ、暮の秋の傍題には、秋暮る、という言葉があります。こちらも秋の終わりを指しているのですが、字面通りでは、秋の暮、と同じ意味のように思ってしまいがちです。使う際には注意しなければなりません。 さて、暮の秋に似た言葉としては、行く秋、秋行く、秋惜しむなどがあります。いずれも過ぎていく秋を惜しむ心を前面に押し出している言葉です。歳時記には…
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