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弌矢
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武蔵野市
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2020/09/14

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  • 上空の青

    電車にはまる窓の外 天界にあまる空の色 ながめつづけていた 東へ運ばれていた 視界が突如が遮られる 人工の地底 やがてまた上がる ふたたび上昇 羽ばたく白鳥 兆候を仰ぐ 上空の青 苦海を無視するこの己 とみずからを見つけたり 向かいに流れる光景を 見つめたりながめたり 幸い 辛い また幸い と 奉るいつかの神主はガールフレンドの父だったと思い出す 行き先は彼女 足どりは軽い 東京湾が見えてくるころ 車内をトンボの赤が静止している 空間の空気の温度は二六℃くらいである 目を伏せた老婆は二度寝しようとしている 遠い夢の夢の夢をば見ればよい 透明の窓の上の青を背に背負い 湾をすぎた次の

  • 不条理通りはネオンに濡れて

    通りはネオンに濡れている。ならぶ看板。ビルディングの影に明滅する切れかけた蛍光灯。壁に寄りかかり足をクロスさせて虚空を睨む売女。酔いどれ野郎のふらつく足どりは歪んだジグザグ。猫。 コートの襟に首をうずめてあたりをうかがいながら、ネオンに濡れた路面を歩いていた。ふしだらな通りとも見える、が、その実、この空間はゆがみ込みで計算が働いているのだ。 花束を持った女が歩いてくる。その後ろを同じく花束を持った女たちの列が続く。近づいてくる。すれ違った。女たちが持っていた花束は、白い百合だった。それにより、ボスの死を知った。 ボスは勇ましいほどに暴飲暴食だった。ボスが風紀を守り続けてきたこの通

  • 週末に、なれば

    週末は仕事の帰りにjazzの店でとっておきのオムレツを食べる。評判まえの絶品だから。秘めたる店の宝だから。jazzyな宵、味、よい 堪能したのち、エメラルド色のアスピリンをニコラシカで流し込むのも忘れない。痛みがある、無論、胸にもある 惹かれたレコード、試したエチュード、惚れ込んだトーン、色んなチューンが胸にくるころにはエメラルド色が効きはじめている けれども、なみだ流れても何が流れても、定時には途中でも、かまわず店を出る。jazzに気をとられて癒されて気分はいい、jazzきどっていやがるといいたきゃ好きにしたらいい jazzは身に染みついているか? 地味でも自由でありうるか?

  • ブルー・イン・グリーン島

    ドーム状の空に囲われた世界、その海の遠く、南の水平線に幻氷が浮かび、その手まえをタンク船が右へ動いている。こちらはといえば真っ白なボート、男女二人が乗っていた 真っ白の上、蝋を引いたような肌を持つ女は鍵盤にさわり、弾くことは、けれどもまだなくて、一方、男は舳先で撮影をしていた。ブルー・イン・グリーンな航路をいく 緑にとけ込む青の道を南下する。到着予定もブルー・イン・グリーン島、ドーム状の空はまだあかるい水色で世界を包んでいるが、やがて色濃く群青に近づいていく そのあわいの刻限、女がおもむろに南のゆくえに浮かぶ幻氷を指さした。男はそちらへ八ミリカメラを向けた。空を区切る水平線。レン

  • めぐりあわせを今夜は

    お風呂のあと冷えた薬膳茶を飲み、ゆいは雨上がりのようなその顔に化粧水をほどこしていた。今日あった男にフェチだといって褒められたそばかすの部分をとくにケアしながら、その男のことをパパに話した。「べつに、仲よくできそうならいいんじゃないか?」とパパがいう。 自分が気にしているところを他人に褒められると、ますます気にするようになる。自分が劣等感を抱くものを他人に褒められると、「そんな私を好きに思ってくれるのね」などとはならず、相手と自分が決定的にあわないということの証明、強めにいって、人格があわない、と思ってしまう。嫌いなものを好きだといわれ、悪いと思うことを良いことだと思われ、あげく

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