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弌矢
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武蔵野市
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2020/09/14

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  • 遅読のバウンティハンター

    手がかりはここに絞られたな、とグリーンは手帖を置いた。ダイナーのなかにいる彼はチリチキンを齧って、今度は持ち込んだ新聞をめくった。運勢は最高に近いとある。 新聞をたたんでカウンターに置き、手帖をふたたび手にした。九人、いや、グリーンを入れた一〇人の客、それから調理人とウェイトレスの二人がいる店内。バウンティハントの対象の、やつの電話番号が書かれた手帖を見、三回コールして切ってやった。やつはここに誘導される。 背後で爆音がして、ウェイトレスの悲鳴が上がり、ふりむいたときには硝子が粉々になっていた。店内のカウンターに無人のブルドーザーがカウンターに突っ込んで、エンジンが止まった。ブルド

  • ルリは色硝子の目で

    車窓をとおして線路をながめていたルリは、駅に到着と同時に我にかえった。美術館に、硝子アートを見にいくところだった。慎重にコンタクトレンズをミラーで確認して、あわてて下車した。 ギャラリーの入口、群青の服の彼は待っていた。挨拶を交し、二人は歩き出す。ルリって名前も硝子だね、という彼に、ラピスラズリのことでもあるけどね、ウルトラマリンブルーの、とルリがこたえる。天井は板硝子の七色、一周してとなりのブースに入つた。 となりの硝子工場では、色彩の半透明がつくられては積み重なる、を、くりかえしていた。繊細な反復だね、透きとおってる。眼鏡はあれでつくれるかしら。どうだろう、つくれたらプレゼント

  • 夜道の余地に

    門限というものはとうにない、問題は見張られる夜、どうにもならない まだ現在に残るさびれた道路、だが愛着があるこなれた行路 この道を歩いていたあのころ、ころあいも元気もよかった彼女 あかるみのようだった笑顔、あけすけなのにアルカイックスマイル 電話ボックスに入って立った、テレフォンカードを持っていたから 彼女の過去を犯した過ち、話で消せる筈もないのに 縁も永遠に切れたし。緑の電話の角にひかり、官能的な縁どり 隣の学校の印、かなりひかるな、燐の発光あるいはグラスファイバー 歩く遊歩道はいうほど怖くない、軽く幽霊を信じたくなくもない 有閑のこの夜に気でも触れたら、霊感の忍び足を

  • デジタルの霊魂、原風景

    ビルの窓辺、枕に肘をつき、街をながめ降ろす。あかりに満ちた光景。魔法の時間。ポケットに文豪の文庫 都市部のなかにある人気のない場所へと向かう。照明の渦のなかを人混みとともに歩く たどりついた。見上げれば、あかりにあかるい夜空を背に立ち並ぶ、いくつもの高層ビル 降りそそがれる斜めの力にめまいを起こす。仰ぐ顔を地上に落とせば、墓石がひしめいている 都市部の墓地にして、不可思議なほど自然の空気がわたっている。そんな景色を見渡せばヴィジョン発動 墓石立ち並ぶ メルヘンメイズ 季節はずれのドラゴンフライ 追憶のパンツァードラグーンツヴァイ 幻獣が羽ばたく 墓場の葉が舞う 浮遊するウィル

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