上空の青
電車にはまる窓の外 天界にあまる空の色 ながめつづけていた 東へ運ばれていた 視界が突如が遮られる 人工の地底 やがてまた上がる ふたたび上昇 羽ばたく白鳥 兆候を仰ぐ 上空の青 苦海を無視するこの己 とみずからを見つけたり 向かいに流れる光景を 見つめたりながめたり 幸い 辛い また幸い と 奉るいつかの神主はガールフレンドの父だったと思い出す 行き先は彼女 足どりは軽い 東京湾が見えてくるころ 車内をトンボの赤が静止している 空間の空気の温度は二六℃くらいである 目を伏せた老婆は二度寝しようとしている 遠い夢の夢の夢をば見ればよい 透明の窓の上の青を背に背負い 湾をすぎた次の
2024/11/29 18:00