searchカテゴリー選択
chevron_left

カテゴリーを選択しなおす

cancel
プロフィール
PROFILE

弌矢さんのプロフィール

住所
武蔵野市
出身
未設定

自由文未設定

ブログタイトル
弌矢
ブログURL
https://note.com/ichiyacode/m/mbcbbae69b176
ブログ紹介文
noteで短い小説を書いています。 読んでいただけたら、ぼくの幸いです。東京。
更新頻度(1年)

1回 / 3日(平均2.3回/週)

ブログ村参加:2020/09/14

本日のランキング(IN)
読者になる

新機能の「ブログリーダー」を活用して、弌矢さんの読者になりませんか?

ハンドル名
弌矢さん
ブログタイトル
弌矢
更新頻度
1回 / 3日(平均2.3回/週)
読者になる
弌矢

弌矢さんの新着記事

1件〜30件

  • 寝巻と余韻につつまれて

     二〇代の女性を的にした寝巻の広告で浮名を流した私は、眠りの流行がまた廻って来れば、もう一度浮名を流すかも知れない。私の兄だってずっと応援してくれているし、タブレットで広告の蛍光色をタップして見て廻ると、幾つもの寝巻姿の色をまとう私が画面に現れてくれる。  都下にあるひとり暮らしの部屋のなかは整理されている。片づけが終わっていないのはテーブルの上だけで、そこにはサプリメントが二〇錠ほど散らばっている。片づけは簡単だ。飲んでしまえばいい。アイスティで飲み干して、昼間のカーテンを広げると、上空の薄藍にひまわり色が浮かんでいる。あと一時間半ほどすれば、あの夏雲の白が浮かぶ、種類ある青のなか

  • 秋の彼女の彩りかたに

     秋になるたびに哀しむ人があふれて嬉しくなる。  夕方、千咲と新宿にある大きな公園を歩いているときだった。  どうしてそうなるのかな。  憂鬱が多くなれば、笑いを強要されもしないわ。  ポタージュ色をしたトレンチコートに身を包む千咲が俯くのを見た。彼女は嬉しいときに笑わない女だった。笑うときはいつも無理に合わせている。二年のつき合いでそれが分かった。  哀しみを強要されるだろう。  されない、嬉しいから。  立ち並ぶ樹木はめっきり滅入った色使いに色づいて見える。梢の上に青い猫が乗ってこちらを覗っていた。見つめている青い猫を千咲が呼ぶと、真っ逆さまに樹木の幹を駆け下りてきた。  青い猫

  • 色々と色々

     うるさいだけの狭苦しさに巻き込もうと必死なテレビを消して、久しぶりに弟と通話をすることにした。ぼくは東京に落ち着き、弟は事業を起こしてオーストラリアに住んでいた。  オンラインで飲み会をやらないかと持ち掛けると、弟は大麻が良いと答えた。酒より増しだと説き伏せられ、オンライン大麻通話にすることに決まった。 「そうか、こっちはテレビのなかの人間どもが逮捕されてつるされているってのに、そっちは良いな」  監獄の近くと天国の近くみたいなヴィテオ通話が始まった。弟はダウンを着て日射し色のなかにある広い庭が映像で見えるアングルを保ち、ぼくは狭いマンションのベランダから太陽の色が射し込むなかに半

  • 私にふれる

     あろうことか私は女の子にもかかわらず、二四歳の夏で失った。バージンを、ではない、性欲を、だ。  一八歳のときはお酒を飲むと(あるいは飲まされると)、性欲が噴火してベッドのなかは炎に包まれたものだ。実際、吸いなれていない煙草をベッドシーツに落としたまま快楽の余韻のなかで眠ってしまい、ホテルがボヤになったことがあるくらいだった。  二四歳の誕生日を迎えた二箇月後の八月のことだ。夜色の東京湾で友達の子と二人、釣りをしているときに海に向かって発作的に、私の性欲ないないどこいった! と叫ぶと、その子がたいそう私の気持ちを心配してくれたのだが私は、気持ちじゃなくてこの躰! と続けて叫んでさらに

  • 老いてからのLSD迷宮入門

     アシッドをチャリと呼ぶ流行りもとうに廃れたいま、こちらは八〇歳になった。ドラッグは使ったこともなくて、けれども興味はあった。  手に入れたのは東京タワーの展望台だった。女の子の細い手がそれをこちらに渡したのだった。女の子は二人組で連れの男といた。その女の子たちに、あなたの長い過去の極彩色を見るわ、と言われたのに、それが違った。  未来を見てしまったのだった。過去など見やしなかった。  ところで、ヘロインには興味がなかった。快楽はもうたくさんだった、といったら枯れ木扱いされるだろうが、こればかりは仕方がない。セックスには若いときに狂ったし、実は今でもやっていた。三〇代くらいがいまの好

  • 白昼のさなかに、眠りを削りとり、狂...

    白昼のさなかに、眠りを削りとり、狂わんばかりの季節を描く | 弌矢

  • 読書の喜びを求めない人は、その人の...

    読書の喜びを求めない人は、その人の責任でそうしている。喜びを求める能動性を発揮しようともしない人がどうして喜びなど得られるだろうか。 | 弌矢

  • 読者にとどくことだけが目的になって...

    読者にとどくことだけが目的になってはいけない。とどいたときに何が起こるか、そこに謎めいたものがある。忘れないこと。 | 弌矢

  • 書くことそれ自体が、意味を凌駕する。

    書くことそれ自体が、意味を凌駕する。 | 弌矢

  • 明日も空いた時間に端末を持って公園...

    明日も空いた時間に端末を持って公園に行ってスケッチをしに行こう。文のスケッチ。 | 弌矢

  • ジャンルにこだわらずに色々聴きまく...

    ジャンルにこだわらずに色々聴きまくってきた。自分というジャンルを持っているつもりだから、誰かが勝手に決めたジャンルにはできるだけ従いたくないからだった。 | 弌矢

  • 夜の色

     超高層ホテルのベッドの横に、藍色の髪の女が寝ていたことに気がつくと、女は寝返りをこちらに打って、暗がりに白い肌をあらわにした。 「ギターを弾いてよ」 「お安いご用さ。さあ何か飲もう」 「ウイスキーね」  女が躰をよじり、ベッドの横のフリーザーから、ボトルが取り出された。ぼくも起き上がった。  麦色に輝く液体がそそがれる。女と一緒に杯を掲げた。 「乾杯」  照明の乏しいベッドの上、ぼくは五〇万円したエレキギターを抱いて目を閉じ、女に聴かせはじめた。音色に雑音が混ざりこんできた。ホテルのアンプが安物だからだろう、癪に障って杯をあおり、思わずむせる。 「ギタリストになったら、もっと高価な

  • なみだなぐりすててたちあがれ

    なみだなぐりすててたちあがれ | 弌矢

  • 異郷へ

    異郷を熟知している幼年が、国境を越えて行く。 コンクリートの谷間の途中、 立ち止まると、壁に走るひび割れを見つけた。 凝視する裂け目に世界が現れる。 その中に公園が見出された。入り込む。 ほとりの噴水の水たまり、 水生生物の楽園、 覗き込むうちに、水面が鏡になって、 映り込む顔に見出された時間に、 幼年はとっくに国境を越えていた。 時間を通り過ぎようとしていた私が、 あわててもう一度、たぐりよせている。

  • 囲われて

    「日本人がネガティブキャンペーンをやっているのなら、諸外国をとり出し比較して、この国を批判できるのだけれど、世界中がネガティブキャンペーンをやっているとなると、如何ともし難いわよね」  その様に女がけむりを吐きながら言うので、僕もけむりを吐きながら頷いた。  二人は強制収容所の様な囲いの中にいる。けむりの中で女が笑っているのを眺めながら、僕がけむりを吐き続ける。女とともにけむりを吐きながら、実を言うと僕は、この女と二人きりの状況に、もう死んでも構わないほどに気分が高揚しているのだった。  けむりが尽きそうだ。またすぐに火を点けないと女とのひと時が終わってしまうので、僕が慌ててマッチを

  • 情報過多。どれだけの数の情報を取り...

    情報過多。どれだけの数の情報を取り込むか、ではなく、いかに情報を遮断すればいいのか、それが課題だ。 | 弌矢

  • 友と一人と連帯と

     ある知り合いが、友達が極端に少ないことに焦り嘆いていて、相談に乗っていた僕は、だんだんそれに違和感を覚えはじめたので、一人の時にインターネットを使って、「大人」「友達」「できない(いない)」で検索してみた。  すると、出てくる記事が、友達というより、共依存関係の作りかた(もしくは退屈な自分の欺きかた)としか思えないものばかりで辟易した。友達という言葉で隠された、共依存関係(または孤独を直視しない関係)を保ちたがっている大人たちがここまで多いのかと驚きもした。──大人になってまで、つるんで、徒党を組んで、たむろしていたりする人が多いのは、よく街で見かけるので知ってはいたのだが。 「基

  • 月の女

     太陽を司る王から逃げ惑っていた。月を司る女は、太陽を司る王に依存するのはもう沢山だったのだ。  月を司る女は、他の衛星を司る男と駆け落ちして、太陽系から出て行こうとした。他の衛星と言っても、星の数ほどの中から一つ、選ばなくてはならない。  一つ選ぶという事は、他の星々を司る男たちを消し去る事になるわけだ。女の選んだ、一つの衛星、それを司る男は、高貴で輝かしかった。  しかしながら、月を司る女は、女神の様な顔などしてはいない。どちらかと言えば、不細工な形に歪んでいるし、そばかすもある。  だが、その衛星を司る男は月を司る女を好きになった。 ──あばたもえくぼ。  彼はそばかすも好きだ

  • Twitterにも書いたけれど、 ...

    Twitterにも書いたけれど、 毎日に、「月火水木金土日」がある生活、暮らしというものを思索してノートに記述している。 そんな存在を考えている。 | 弌矢

  • ──もう沢山だ!    レコードを叩き割って、おもむろにエレキギターを抱き、戦闘準備、ギターの兵士たる僕の出来上がりだ。    いい大人なのに、流行りに媚びた恨み節や、共依存に過ぎない恋心や、思いついただけの思わせぶりな思想を、曲にして演奏する奴らのライヴに乗り込んで、物凄い勢いでギターを弾いてやるのだ。    僕は全国を走り廻った。東京ドームから、場末にある様な小さな箱まで、僕は行進しては、ギターをぶら下げ突撃した。無数のバンドのメンバーたちの、無数のステージに、土足で乗り込み、ギターを勢い奴らへ向けて

  • 壁と予感

     せっかくダンジョンの出口を探し出したと思ったのに、突き当たりになっていて、とてつもなく高い壁に立ち塞がれてしまっている。  老いたドルイドが壁の右横に立っていて、僕を見ていた彼が白い髭のたくわえられた口を開けて、笑い出し、かと思うと、突然真顔になって、言うのだった。 「この壁は何万もの年月を経て、人間を絶望に陥れたのだ。わしはこの壁と同い年だ」  僕は梯子を探したが、そんな物は見当たるはずもない。足元には骸骨がうずたかい山となって、積もっていた。 「そうですか、でしたら待ちますよ」  骸骨の山を爪先でつつきながら僕が言った。 「未来永劫、待っても無駄じゃよ」  僕はドルイドに鉛筆ほ

  • 出来事

     冷暗所の様なホールの中、緞帳に挟まれた暗いステージ上で、なにやら実験的な演奏が行われている。ファズのきいたギターが二人、どうやら学生の時の知り合いのB氏とH氏だ。アフリカの仮面の様な顔をしている。ベースはドレッドヘアの気の弱いF氏だ。それをステージの下から眺めている。  ステージの左側にはレインコートを着た背の高い女が笑みを浮かべながら関節を曲げるだけの奇怪な踊りを見せている。昔交際した事のある女の様にも見える。踊りながら彼女は、こちらにも踊る様に仕向けているようだ。こちらも出来るだけ自分を解放した踊りを行う事にした。皆、それぞれ演奏が上達したものだ、と多少の嫉妬を覚えながら、解放

  •  一つ年下の妹、不二子が、死んでしまった。仕方がない事なのだ。  海辺の火葬場に来て、妹を火葬した。外で煙突を見上げると、不二子の煙が空へ広がって行く。黒い海猫が火葬場の角から現れる気がして、視線を落とすと、本当に黒い海猫が現れて、足元をすり寄ったかと思うと海の砂辺の方角へ歩いて行ってしまった。  もう一度、煙突を見上げると、あの不二子の煙が大気に満ちて行くらしいのを感じて、裏淋しい気分でいると、雨が降って来た。傘を差してピースに火をつけた。吐くけむりが、雨の中を漂いながら、消えて行く。かと思うと、唐突に、雨が水柱になって、その中を物凄い速度で移動している。そのうち、僕が水の中を移動

  • 恋文を

     サント=ヴィクトワール山は、岩と樹木が不釣り合いに組み合っているだけの、とても淋しい場所だ。その岩山の麓に、丸太で作られた小屋の一室、ランプによる橙色の明るみの中、初老の男は机に向かって手紙を書いている。うら若い娘にあてた恋文だった。  初老の男は熱中していた。書くほどに、どんどんのめり込んで行くのだ。そのうち熱中し過ぎて、もはや、その文は恋文と言うよりも、独り言に近くなって来た。恋文はだんだんと狂気染みた書体になって行くうち、背中に羽根が生えて来たのだが、初老の男はそれすら気がつかない。  ゆらりと背中から分離した羽根の生えた男が、机に向けて丸めている初老の男の背中の上に浮き上が

  • 七つ目の夜の海で

    「こんな巨大な船も大した事のない敵だ! 皆沈めろ」  ビスケット船長は敵の最後に、甘いビスケットを口に放ってやるのが習慣だった。ビスケットを咥えさせた乗客を始末し終えてから、たちまち手下どもがその船をハンマーで壊して沈めた。   ビスケット船長に勝てる敵はいなかった。彼は七つの海を制覇したところだった。  その日の夜だった。ビスケット船長は真珠色の羅針盤を持っていて、いつも肌見放さなかったのだが、七つの海を制覇したこの夜に、手を滑らせて、暗い海に落としてしまったのだ。 「やあ、これは大失態だ、もう私も引退か」  ビスケット船長は泳いだ事がない。何時も戦いは船上だったから。  恥をかか

  • ブラウン&ホワイト

     彼女の名前を借りに「エリコ」とするけれども、とにかくバレンタインの前日に、僕がエリコという友達とインターネットを使った作業通話をしていた時だった。彼女はバレンタインのためのクッキーを作り始めていた。  する事のない僕は眠くなって、まどろんでいた。  ふと目を開けて、部屋の暗がりに発光するモニターを眺めやると、パソコンの向こう側で彼女がクッキーを作り続けている気配があった。  そして僕はまた、うとうとし始めた。  パタンと音がして、気付くと、彼女はまだクッキーを作り続けているらしかった。  それから僕は完全に眠りに落ちていった。それから目覚めた時には窓辺から陽が射しかけていた。寝

カテゴリー一覧
商用