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  • 第730日 天界の芸術

    天界の芸術生活の制約もなく技法や材質の限定もなくもっと豊かに想像力を駆使できたらいったい何を創造したいだろう四次元で無限色彩の彫刻絵画か無限音階で無限多声の大交響曲か厖大な筋と挿話が交錯する神聖物語かそれらを総合したとてつもない映画作品か作るのは大変だろう鑑賞するのもおおごとだろうずっとそれに浸れたら至福だろうけれど私はこの世でさえ一枚の絵も一曲の歌も一片の物語も創れない天界の芸術に参与するのは無理な話か第730日天界の芸術

  • 第729日 空洞

    空洞人の中心には穴が開いている脳の松果体の回りに水に満たされた空間があるように中心は物ではない物ではないものを受け止めるための空洞があるDNAもRNAも機械的に動いていない空洞からの信号を受けているわれらの視覚がもっと進化したら見ることができるようになるだろう空洞に流れ込む色彩の波を第729日空洞

  • 第728日 秘密基地

    秘密基地秘密基地造りは子供の最大の楽しみけれど都会の子たちはもうそれもできないのだろうかわいそう古いねえ今はゲームの中で都市だって造れちゃうんだよと言われるかもしれない廃材を拾ってきて柱や壁を造りがらくたを集めて宝の倉を造るあの手触り感はそこにはない手触りの現実感覚が生の基盤を作っているそのことを人は気づいていない第728日秘密基地

  • 第727日 絶対の他者

    絶対の他者もはや誰も必要とせず誰からも必要とされずその零度の砂漠の中で最後に「あなた」と呼び掛ける存在人里をはるかに見下ろし闇に近い底なしの空に鋭く聳える岩峰の上で「そこにいるのか」と窺う存在見えもせず答えも返って来ない相手愛してくれるでもなく愛する必要もなくしかしそれでいて最も近くに佇み縁から転げ落ちるのを繋ぎ止めているもの信じるなどというものではなく畏怖し跪くものでもなくただこの上ない細い糸のごとく意識を向ける永遠の絶対の唯一の他者がいる第727日絶対の他者

  • 第726日 孤独

    孤独孤独になると病気になりやすく死にやすいそう医学者は言う孤独になると人は皆狂人になるそう賢者は言った誰もが孤独を忌んでいるけれど孤独は至上の恩寵挑戦する価値のあるもの病気になっても発狂しても魂の源泉も天の光も孤独の中に現われるだから人は孤独を恐れる第726日孤独

  • 第725日 引きずり下ろす

    引きずり下ろす引きずり下ろすものに災いあれ人も思いも引きずり下ろすものによって引きずり下ろされるものに災いあれ人も思いもなぜ引きずり下ろす力はかくも強いのかなぜわれらは易々とそれに身を委ねるのかわれらは泣かねばならない引きずり下ろし下ろされる自分にその惨めさを憎まねばならない第725日引きずり下ろす

  • 第724日 海恐怖

    海恐怖海はいつも恐いその深さも巨大な質量も私の存在など思念や言葉などその前には何の意味もない関わり合うことすらできない原始の生命は本当にこんな暗黒から生まれたのかどうやっても想像できない私は海から逃げる重苦しい人の世の方がまだ少しばかりは耐えやすい第724日海恐怖

  • 第723日 殉教の野

    殉教の野殉教の野に累々と重なる首のない屍南無と唱える声も消え彼らは本懐を遂げたのかこの悪しき世から解き放たれて彼らの言う楽園へと旅立ったのかそれはこの上ない幸福ではないかそれで輪廻が終わるのなら大いにめでたいことだがそうであるかどうかはわからない少し魅力的ではあるけれど私には宗派はなく私を殺しに来る敵もいない第723日殉教の野

  • 第722日 そ

    そほそぼそと生きようめそめそと嘆くことなくぼそぼそと呟きながらのそのそと暮らそういそいそと務めをこなしごそごそと探しものをしこそこそと諍いから逃げもそもそと粗食を食べよう空の下に染まらず輝く色々をそっと撫で慈しもうそしてこの世の日々の終わりにはそよ風のように微笑んで創造への賛美を呟こう第722日そ

  • 第721日 われらはエイリアン

    われらはエイリアン肉体が魂を作るのではない魂が肉体に宿っているつまりわれらは皆エイリアンどこから来たのかはわからない何をしに来たのかもわからないだがやって来てそして戻るものホモサピエンスにとってわれらは侵略者渋々従ってはいるけれどホモサピエンスの活動の一角をわれらは間借りしてぼそぼそと生きる何とも奇妙な生命体第721日われらはエイリアン

  • 第720日 答え

    答え答えは出ない悔しいがそれでいい答えが出たらそれが牢獄となる答えが出てもその先に謎が現れる謎を解いていってもやがて壁にぶつかるそれでも答えを求める壁を指で引っ掻くそれが定めその中で少しばかり智慧を得るそれがわれらの果実第720日答え

  • 第719日 無限仮象

    無限仮象イデアが光を増すためには満開の桜のごとく無数の仮象を必要とする数千の花びらの向こうに桜は輝く宇宙樹は無数の枝を伸ばし無数の葉を茂らせ無数の花を咲かせる結ばれた実の中に宇宙樹は秘められる何という豊穣何という氾濫われらはそれに酔い痴れる突き詰めるのではないこの混沌とした氾濫を抱き止めようその酩酊の先に真理が現われることを願って第719日無限仮象

  • 第718日 未来

    未来摂理の偉大さを感得したいこの世の不条理がすべて意味あることだと明らかになる地平を理解不能だとしてもそれを垣間見るそんな僥倖に出逢いたいそれは不遜だろうかけれど私は信じるいつかそれに出逢う時が来ると遙か遠い未来のことだとしてもそれまでは不条理に眉を顰め疑問をたくさん積み上げて行こうそうすれば光はより輝かしいものになるだろう第718日未来

  • 第717日 オカルト

    オカルト奇妙な思想が根拠も論理もないまま神秘の智慧を自称して世にいくつも蠢いている信徒たちは独特の匂いを発している自身を選民と信じて世を見下している彼らが求めているのは強い秀でた自分それによって得られる世の栄華私は神秘の智慧は要らないわれらは物でなく魂だという素朴な真実だけでいい第717日オカルト

  • 第716日 生殖

    生殖子供は苦行孫は煩悩そう言って知人は笑った大変なものだよと生殖しなければ人生は楽ちんそのズルを何とかなくそうと社会はいろいろな圧迫を掛けてきた掛けないと今のような事態になる人生の至上の喜びがありますよ自分が存在できたご恩を返す義務がありますよ先人が築いてきた文化を守れますよけれど反逆者は聞く耳を持たない神様も悪魔も困っているだろうそれでも滅びを選ぶ社会は救いようがない第716日生殖

  • 第715日 神秘

    神秘人は神秘が好きなのに目の前に出されると嘲笑する何という天の邪鬼もっと神秘を楽しめばいいのにわけのわからないことがもっとたくさん起こってほしいいいことだろうが悪いことだろうがいや悪いことは少しだけ何だこれはというあの当惑ほど素晴らしいものはないわかっていることなどいくら起こっても面白くないもっと世界は神秘を見せてほしい第715日神秘

  • 第714日 河口

    河口大河が海と出会う場所は茫洋として物寂しくそこは終結の場所川は海の中を流れることができないか細い湧き水から滝を作り瀬を作ってきた川の物語は終わる海は不気味な死すべてを呑み込み沈殿させる河口は死のセレモニーだ第714日河口

  • 第713日 ストーカー

    ストーカーおなじみの梅雨時の悪夢で強烈な女ストーカーにつきまとわれついにその女を殺してしまう夢を見た思い当たるようなことはないのに本当の悪質なストーカーは心の中にある悪癖繰り返しつきまとってくる悪夢もその手先か遠ざけるべきなのにその甘言にいつもはまってしまうそして後悔を繰り返すこのストーカーは自分で創り出しているはずなのに自分をつまずかせる人間の心には恐ろしいバグがある第713日ストーカー

  • 第712日 祈り

    祈り喜びは欲ゆえのものでなく悲しみも欲ゆえのものでなくただ在ることの喜びと悲しみを静かににじみ立たせて時の中に佇むそれが私の天への祈り何かを発することも受け取ることもないままに私はただ在りその震えを受け取る何かがあるそれが祈りの稔り第712日祈り

  • 第711日 暇つぶし

    暇つぶし憎しみは暇つぶしでできるが慈しみは暇つぶしではできない破壊は暇つぶしでできるが創造は暇つぶしではできない暇つぶしでないことを見つけ出すことは難しい楽しいことのほとんどは暇つぶし本当の宿題はどこにあるのかそれがわからず一生が終わるそんなものなのだろうか第711日暇つぶし

  • 第710日 不滅

    不滅不滅ということは静寂ではなく創造し続けるということだ芸術家がその手本を見せているようにより真理を発現させるものをより美を輝かせるものを悦びのうちに創り出すことそれが流転を超えた存在の仕事だ善はそこに位置を占めるのか寂滅のイデアは退けられるのかそれもまた織り込まれているのか創造の思念の壮大さをわれらはほとんど知り得ないだが創造があり続けることを感じるだけだ第710日不滅

  • 第709日 私の死

    私の死よい小説を読む時私は死んでいる作品が私という場で自らを実現させているだけ精緻な業に勤しんでいる時職人の私は死んでいるただ目と手の感覚が厳しく自律しているだけ私が死ぬことが尊いことなのか私が死ぬことが救いなのか私は恐ろしい悪魔なのかけれども私はいる日々繰り返される私の死を超えてそれを通してかすかに豊かになりながら第709日私の死

  • 第708日 退化

    退化新たな進化のために退化しているのだろうか今の世と人は教養人は消滅しエリートは堕落し権威は崩壊する蛮族侵入時代のような混乱があるだろう消費や娯楽はもう飽和だ進化の目的地でもない新たな進化の姿はわからない予言したところで意味はないけれど本当に進化しているのだろうか第708日退化

  • 第707日 靴

    靴靴はわれらの足を守ってくれる牙を剥く荒れ地からも氷混じりのぬかるみからも百年以上にわたって誰もが利用しているのに不思議なことにいまだに玉石混淆手ごろで履きやすく美しいものはない足の形も歩き方も美の趣味も皆違うからかそこそこ自分に合ったものをなんとかやりくりして履き続けるわれらの生活そのもののよう第707日靴

  • 第706日 情念噴出

    情念噴出富への欲望を塞いだら人間の情念は別のものに噴き出す人間関係のどろどろとか田舎で起こるおぞましい事件にわれらは身震いする人の噂ばかりが飛び交う社会の怖さマネーゲームはむしろ健全なのかもしれぬリセットもあるし死ねばおしまいだしこれだけ稼いだと誇ったところで周りに実害が及ぶわけでもないそれで発散できるならまあ結構なのかもしれない第706日情念噴出

  • 第705日 攪乱

    攪乱掻き混ぜるそれも天の配慮か腐らないように留まらないようにならず者や狂気の集団はいつでもどこでも発生する天がそれを望んでいるかのように悪人もまた天命を帯びているのか人々に何かを与えようとしているのか自らの魂を犠牲にしてそれは封印されるべき問いわれらは悪に怯え悪を犯しつつ生きる第705日攪乱

  • 第704日 化け物

    化け物優位に立ちたいというのはまだわかるけれども横暴に振る舞いたいというのはなぜなのか全然わからない乱暴とか意地悪をすることが権力の本態なのだという錯誤はどこから来ているのか延々と伝承されてきた悪癖?上は下に何をしてもいいそんなルールは動物にすらない人間だけが産み育てた悪魔の思想その人間の頭の中を見てみたい何か必死で叫んでいる傷ついた化け物がそこにいるに違いない第704日化け物

  • 第703日 異種間密約

    異種間密約猫と人間は密約を結んでいるに違いない猫が人間に生まれ変わり人間が猫に生まれ変わるようにと死んだ愛猫が赤ん坊になってきたり死んだ祖父母が猫になってきたりそんなエピソードはいくらもあるとんでもない異種間交流だたぶん猫のほうが人間にサービスをしているのだろう種の繁栄の代償としてありがたいと言うべきかと呟くとベランダの半野良がこちらをちらりと見る一瞬不敵な笑みがよぎったような気がする第703日異種間密約

  • 第702日 交信途絶

    交信途絶スマホの操作がわからずに電話ができないという夢をこのところ何度か見る老化による機械恐怖症かもしかして本来交信すべきところと繋がりが切れてしまっているという警告かもしれない交信すべき相手は誰か神様か群の仲間か私は交信途絶の行方不明者か迷子になった仔羊を探しに来てくれる者はいない私は狼に食われるのか第702日交信途絶

  • 第701日 空騒ぎ

    空騒ぎ虚しい言葉が虚しい空に撒き散らされるそれに踊らされてまた虚しい言葉が巻き起こる人々は空騒ぎが好きだ時間を潰せるし本当に直面すべき問いに向き合うことを避けられるから目と耳を塞いでいると人は不安になる何か大事なことが起こっているのではとそして目と耳を開け空騒ぎに巻き込まれる空騒ぎは今日も続く人の時間を虚しく燃やしながらそして時には生を奪いながら第701日空騒ぎ

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