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  • 第304日 二つの国

    二つの国カレーはインドラーメンは中国仏教はインド禅は中国ありがたいことですもっとも今の二国は全然違った国みたいになってるけどまあ源流であることは間違いない欧米からもたくさんもらったけれどカレーやラーメンとはちと位相が違う何だろう独自のものにしたということなら仏教や禅も同じことそして案外日本の根底を作っている第304日二つの国

  • 第303日 サウナ狂い

    サウナ狂いサウナは天国湯と熱と水の愛撫に全身は快楽にほぐれ心の悪魔も退散する真骨頂は水風呂だ熱が吸い取られ頭が朦朧とする時私は純粋な霊魂となり極楽浄土をかいま見る露天の壷湯で雲を眺めながら居眠りをするのもいいその豪奢な無為の蕩尽肉体を心底喜べるのはサウナとセックスしかない神様に怒られそうだが第303日サウナ狂い

  • 第302日 触媒

    触媒触媒というのは仕組みがわかっていないらしいよ重要な産業技術なのに奇妙な話だ自分は変わらず他のものの変化を促すまるで聖人みたいあるいは仲人婆か原理がわからないからひとつひとつ試してみるしかないひどく非効率な研究らしい変化と不変が謎のまま混じり合う何と素晴らしい現象だろうその原理などわからないままであってほしい第302日触媒

  • 第301日 甘え

    甘えソフトクリームの匂いは母親への甘えの匂い大人になってからも食べる度に切なく甘いべたべた体を触れあうというのではなくいつも何かをねだっているというでもなくただいてもらって困った時は助けてもらう人は自分の甘えを憎み捨て去るそれは絶対的な課題けれどもその欠片は心の奥に残る時折それは甘い匂いをたて誘惑する私は風景を眺めそこにとけ込もうとする私を呑み込み救ってくれと第301日甘え

  • 第300日 結界

    結界四隅を決めて結界を張るそれが神を招く最初の手続き清浄にしなければ神は降りて来ない穢れを祓い祈りで場を高めねばならぬ心にも結界を張れぬものか外のものが侵すことのないたとえ神は降りて来なくともしばしの森厳なる空白があればいいそれは私に何かを教えるだろう第300日結界

  • 第299日 澄心

    澄心どうしたら心を澄み渡らせることができるのか私を放棄することではなく私が私としてあるままに思いがあるのが悪いのではない思いにまとわりついている何かが悪いのだ感情ではない感情の奥にある何かだ風景の美に震えることでもいい誰かへの慈しみに震えることでもいい静かな嘆きに沈むことでもいい何かを黙らせることだそれができなければ心を澄み渡らせ光を受け入れることはできない第299日澄心

  • 第298日 無限

    無限頭のすぐ上に無限がある人はそれを見ず感じようとしないこわい重力がなければわれらはそこに吸い込まれ暗黒の中を無限に漂う見ないようにするのだ探らないようにするのだそれが穏やかに生きていく秘訣けれども油断をすると無限の深淵は忍び込んでくるあらゆるものを凍らせて第298日無限

  • 第297日 雑草取り

    雑草取り何かを植えるとそれを育てるために雑草を抜く何も植えないと雑草は生え放題になるそんなものだな今の私は雑草生え放題の荒れ野のようなものか雑草などないと心優しき人は言うがすべてを滅ぼし尽くす雑草もある庭や畑は手を入れないとだめなのだ花や稔りを楽しみにして人の心もまたそれと同じ第297日雑草取り

  • 第296日 ハンコ

    ハンコぺったんぺったん毎日同じ図柄を押すハンコのような営みが生活の大部分を占めている心のほうもならって毎日毎日同じ反応を繰り返す何かに憤り何かを夢見手書きに変えてみようとしてももう字がまともに書けない書類はあえなく弾き返される仕方なく今日もハンコを押し続けるぺったんぺったん書類がもう来なくなる日まで第296日ハンコ

  • 第295日 車嫌い

    車嫌い自動車は嫌いだ幼稚園に通う私は道に駐車する邪魔な自動車を片端から破壊したいと思った運転は下手だし嫌いだ助手席にすわっていても面白くはない電車の窓から見る景色は魅力的なのに自動車はどうも何かが違う自動車は人間を不幸にしたのではないかどんなにそれで暮らしが便利になったとしても何か根本的なところを壊したような気がする年間百万人の命を奪い今日も世界で自動車は走り回るこの破壊はもう止めようがない第295日車嫌い

  • 第294日 法流

    法流「誰が説法し誰が聴法するのか」臨済はそう問うた人の中の何かが説き人の中の何かが聴く説いているのはクズかもしれない聴いているのもクズかもしれないけれども真理の光暈は伝わっていく人の中の何かから人の中の何かへたくさんの心を貫いて真理は世の中を回っていく表現を様々に変えながらそれは体の中の血流のようなもの時に鬱血や凝固を起こしながらもしかるべき魂を育てていく第294日法流

  • 第293日 感情

    感情感情というものは理性に比べて低劣なもの害多きものと見られているまあやむを得ないところもあるけれど感情はもっと繊細で豊かなもの人の生に深く影響するもの魂により近いもの野卑で粗暴な感情でなく細やかで柔らかく香しい感情を生きなければならない人間の感情がもっと洗練されたら地上は確実に美しくなるだろうそれを実現できる方策はどこかにないものか第293日感情

  • 第292日 操縦不能

    操縦不能社会は変数が多すぎて誰にもコントロールはできないそのことをいつになったら人は学ぶのかこっちをひっぱたけばあっちが飛び出る消毒をしすぎると悪玉菌がはびこる理想を強力に進めようとするととんでもない惨劇が起こる社会を善くしたいという善意と社会をコントロールしたいという悪意との間の深い亀裂に人は落ち込むいや善い社会などと思わずただ社会をコントロールしたいだけの悪魔があちこちに跋扈しているらしい第292日操縦不能

  • 第291日 窓明かり

    窓明かり少年の私は高架を走る電車から見える家々の窓明かりに押し潰されるような悲しみを抱いたこんなにも多くの生活が世にあることが不思議だったその一つに自分もなれるのかと不安だったなぜか世に生きることは怖かった家を持つことなどできないと思えた仕事をして食べていくことなど無理だと思ったそれでも何とかして生き延びてきた今また電車から見える窓明かりに悲しむ私はやはりこの一つになれなかったと第291日窓明かり

  • 第290日 遠い震え

    遠い震え恋しく美しい人を眺める思いも感情も激しく湧き上がるけれどその奥にもっと遠い震えがあるそれを捉えるのは心でも体でもなくそれは彼女のものでもなく私のものでもなくそれらを貫いて流れる何かしら精妙で希薄なもの美も恋も情欲もそれから派生して重さをまとった付随物に過ぎない人間のものでも男女のものでもなく様々な仮象を貫く震えそれを教えるために恋はある第290日遠い震え

  • 第289日 接ぎ木の怪

    接ぎ木の怪接ぎ木というのはとんでもない魔法ではないかしかも人類は何千年も前からそれを利用してきたというとても信じられないそんなことが起こるということもそれを人が操っているということも何かものすごい怪しさを感じる人間もそんなものかもしれないこの血筋の個体にこんな魂を載っけてやろうとか人間は自分たちのそんな素性を知っていてそれを植物にやってみただけなのかそんな気味悪い妄想が湧いてくる第289日接ぎ木の怪

  • 第288日 火傷

    火傷情熱はいいものだけれどだいたい馬鹿をやる情熱が生の価値だとしたら馬鹿をやることが生の意味かうすうす馬鹿を気づきながら情熱の奔流に身を任すそれは心躍る祝祭だ後に残るのは焼け野原火傷の痕はいつまでも疼く抉られた心は戻らないそれは余りに高い代償けれど情熱は生の根源それなしに人は成長しないし世は腐った沼のようになるだろう第288日火傷

  • 第287日 仮面

    仮面仮面を付けて何とか世を生きる仮面の下はアモルフなカオス深く付き合うとカオスとカオスがぶつかる二倍ではなく二乗になるいろんなことがあっても仕方ない仮面をつけないと世の中は危なくて仕方ない仮面は世を作る知恵だけれど仮面の造作が変だったり仮面と中身が喧嘩したり仮面は仮面で難しい第287日仮面

  • 第286日 類魂

    類魂静かな夜の底で呼び掛ける相手は私が知らない私の仲間どこで何をしているかどんな難題に挑戦しているのかどんな喜びと苦しみを味わっているか私は知らないけれど私がもがいているこの闘いをその仲間は共にしているとてつもなく数少ないけれどこの世では会うことはないだろうがやがてわかるに違いない私たちの群がどんな役割を担っているのかを第286日類魂

  • 第285日 出発点

    出発点時間の中に在るということ物質の中に在るということ肉体の中に心の中にそれとは別に在るということあれこれ理屈を立てていくら論駁しても在ることは否定できないここがすべての出発点でありここにすべての謎がある解くことのできぬ謎が第285日出発点

  • 第284日 絶望の絵図

    絶望の絵図歴史上最も権力を憎悪した男が歴史上最も残忍な権力の祭壇に祭られているそれは滑稽を通り越して吐き気がするほどグロテスクだそれは人間が権力というゲームからどうやっても逃れ得ぬことを示す絶望の絵図だなぜ人はそのことを気づかぬのか「やつらは人の前で天国への門を閉ざすそして自分たちも入らない」この唾棄の言葉を人は理解したことがなかったわれらは常に権力を憎悪しなくてはならぬそして自らが権力になることを拒絶しなければならぬそれがあの男の一番重要な教えだ第284日絶望の絵図

  • 第283日 潤いの鳥

    潤いの鳥潤いの鳥になりたい極彩色の長い尾を靡かせ光の霧を撒き散らし静かに空をよぎっていく鳥に振り撒かれるその霧はぎすぎすした人の心をなだらめ傷や苦しみを少しだけ和らげる人にその姿は見えないにしてもほんの少しだけでもこの世は瑞々しくなってほしい罪や愚行はそのままであっても極楽にいるというその鳥を必要としているのはこの世だろうその無私の配給者に私はなりたい第283日潤いの鳥

  • 第282日 七音

    七音バッハの天才は死後百年以上してから評価されたというドビュッシーの天才はいまだ充分に評価されていないように感じる神はバッハにおいて七音でここまでできるのだと示しドビュッシーにおいてもう七音から自由になれと示したというのは素人の妄想だけれど少なくともそこに人間の脳を超えた何かが開示されていることは間違いないというのも妄想かもしれないがそんな妄想を育ませる美があるということは嬉しい第282日七音

  • 第281日 非難

    非難なぜ?どうして?それは非難の言葉でもあるなぜあなたはそんなこともできないの?どうしてそんなことを考えるの?人は神様に向かってなぜ?と問い掛けるなぜ私はこんな目に遭わなければならないの?どうして私は苦しまねばならないの?神様は非難されている気持ちになるだろうか神様は笑って「うるせえ、自業自得だよ」と答えるだろうか人は自分に対しても同じ言葉を発する理由を本当に知りたいからではなくただ非難するだけのために第281日非難

  • 第280日 落第

    落第午後の公園は私には地獄だ満ち足りた家族生活の姿が私の心をおろし金で擦る嫉妬ではないもちろん怨嗟でもない自分への断罪の鉄槌だ落第したのだ背を向けたなどという格好いいものではないできなかったのだすみません出来損ないです最初から遠ざけておけばよかったのに身の程知らずに手を出したのがいけない第280日落第

  • 第279日 春の嵐

    春の嵐春の嵐は花を散らし埃を撒き常緑樹の枯れ葉を降らす恐ろしい乱暴狼藉だが育っていく緑がそれを覆い隠す生命の躍動は何よりも強い躍動を失った心には風が吹きすさび塵芥が積もるばかりむしろ冷たい雪が降りすべてを覆い尽くしてほしいその白い死の中で静かに眠りたい第279日春の嵐

  • 第278日 青二才

    青二才二十代の男はつらい小便臭いガキと扱われ実際小便臭いガキである致し方ない私も全身小便まみれだった生意気な理想を振り回して周囲を呆れさせていたに違いないやんぬるかないろいろ痛い目に遭って三十後半からようやく男は一丁前の仕事ができるようになるけれども小便臭いガキにしか見えない光というものがあるそれが世を変えてくれるといいのだが第278日青二才

  • 第277日 嵯峨野幻景

    嵯峨野幻景嵯峨野は幻の楽園だ滝の遺構の傍らで私はその幻景を見た丸く抱き包む東西の山懐に穿たれた静かな池南の出口に盛り上がる小山その秘智の構図は誰が創ったのか当初の二人はそれを知っていた戦陣を構えた後裔たちも時雨亭の主は知っていたのか田畑となり別荘地となり凡庸な田舎となったそこにまだ楽園の幻はかすかに漂っている第277日嵯峨野幻景

  • 第276日 終末夢想

    終末夢想世界が終わる日を戯れに思い描く人は多い己の人生の終わりの日を思い描くよりもはるかに大火山の爆発か小惑星の衝突か猛烈な太陽フレアかそれとも伝染病かこの宇宙を創った存在もひょっとそんなことを夢想するのかその思念が人間に伝わるのか妙に魅惑的なのはなぜだろう深い破壊衝動が宇宙には埋め込まれているのか存在への倦怠と憎悪を誰もが持っているのか第276日終末夢想

  • 第275日 死体

    死体ビルの床の下には死体があるんだよ苦しい顔をして手足を固定されて何とか叫びを上げようとしている時折その姿が透けて見える大都会の床という床に死体が埋め込められているんだ夜の二時になるとそれらは一斉に叫び声を上げる床をじっくり見つめてはいけないその底にある死体が見えてしまうから見えたらあなたも取り込まれかねない街というのはそういうものだ都市というのはそういうものだ気を許してはいけない第275日死体

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