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2020/05/16

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  • 【旧作】完全な人間を目指さなくてもよい理由【再読】

    マイケル・J・サンデル(林芳紀・伊吹友秀訳),2010,完全な人間を目指さなくてもよい理由──遺伝子操作とエンハンスメントの倫理,ナカニシヤ出版.(9.23.23)遺伝子操作、ホルモンや薬物の投与による身体とその力(筋力と知力)のエンハンスメント(増強・強化)は是が非か、サンデルは、病気の治療や健康の増進以外の、他者より卓越するためのエンハンスメントに非を唱える。なぜなら、わたしたちは、生命の被贈与性(giftednessoflife)を前提として生きている、すなわち生来的に他者より優れていようが劣っていようが、そのあらかじめ与えられた属性をお互い無条件に承認して生きているわけであり、だからこそ、天賦の能力により莫大な富を得たとしても、それを自らが独占して当然だという思い上がりは抑制され、社会連帯としての...【旧作】完全な人間を目指さなくてもよい理由【再読】

  • 日本のカルトと自民党

    橋爪大三郎,2023,日本のカルトと自民党──政教分離を問い直す,集英社.(9.22.23)「生長の家」の活動家たちが、他の右翼活動家や政治家と組み、神社本庁とその傘下の神道政治連盟、崇教真光等の関係者を取り込みながら、「日本会議」を結成し、その勢力を拡大してきた経緯については、菅野完の『日本会議の研究』で明らかにされているし、「統一教会」と自民党政治家とのズブズブの関係性については、鈴木エイトの『自民党の統一教会汚染追跡3000日』に詳しい。本書では、これらの知見があらためてとりまとめられ、統一教会の教義についての詳しい解説が加えられている。最後には、「政教分離」の原則について論じ、統一教会問題にとどまらず、その原則から逸脱する創価学会=公明党の問題性についても指摘する。この部分が、本書の読みどころだろ...日本のカルトと自民党

  • さらば、男性政治

    三浦まり,2023,さらば、男性政治,岩波書店.(9.20.23)いまだに、国会や地方議会の議員のみならず、企業、学校、病院等の役職者までもが、ジジイかオッサン、年長の男性に占められている後進国、ニッポン。本書では、経済と文化に加えて政治も三流、四流に堕したこの国の根底にある、家父長制とその悪影響について、網羅的にまた明快に解説がなされている。とても読みごたえのある一冊だ。男性政治とは、男性だけで営まれ、男性だけが迎え入れられ、それを当然だと感じ、たまに女性の参入が認められても対等には扱われない政治である。この見慣れた風景を二一世紀の今日も民主主義と呼んでいいものか。MeToo運動をはじめとするジェンダー平等を目指す推進力を束ね、誰もが生きやすい社会への途を探る。目次第1章男性ばかりの政治第2章二〇年の停...さらば、男性政治

  • 日本再生のための「プランB」

    兪炳匡,2021,日本再生のための「プランB」──医療経済学による所得倍増計画,集英社.(9.19.23)自動車、電機、ITなど、グローバル競争に負け続けているにもかかわらず、人件費カットと法人税減税により過去最高の内部留保を蓄積しているのが日本企業の実態である。経済のパフォーマンスに大きく影響する、男女平等度、報道の自由度、大学の研究能力等も低迷する一方である。そして、国力も地に墜ちていることは言うまでもないが、地に墜ちれば墜ちるほどに、根拠のない「日本スゴイ」言説やネトウヨが跋扈する。兪さんは、無駄に「プランA」に固執するのはやめて、経済波及効果、雇用創出効果ともに高い医療・福祉分野への投資を中心とした「プランB」への移行を説く。医療・福祉に加えて、教育、農林漁業、再生エネルギー産業の育成、強化をはか...日本再生のための「プランB」

  • 死は存在しない

    田坂広志,2022,死は存在しない──最先端量子科学が示す新たな仮説,光文社.(9.16.23)「ゼロポイントフィールド仮説」にもとづき、死してからの人間の意識の行方のみならず、宇宙の生成原理まで論じる。荒唐無稽のつくりばなしと評する向きもあろうが、あくまで気宇壮大な仮説として読めば、それなりに楽しめる内容だ。これまでの「科学」は、「死後の世界」の存在を、否定してきた。それゆえ、「死後の世界」を肯定する「宗教」とは、決して交わることが無かった。しかし、近年、最先端量子科学が、一つの興味深い「仮説」を提示している。その「新たな仮説」は、「死後の世界」が存在する可能性を、示唆している。では、その「仮説」とは、どのようなものか、どのような科学的理論か。もし、その「仮説」が正しければ、「死後の世界」とは、どのよう...死は存在しない

  • 動物がくれる力

    大塚敦子,2023,動物がくれる力──教育、福祉、そして人生,岩波書店.(9.16.23)アメリカ合衆国と日本における、犬、猫、馬などによる「動物介在介入」(動物介在療法、動物介在活動、動物介在教育)の実践事例がたいへん興味深かった。動物を介した福祉と教育の可能性を探るだけでなく、一貫して動物自身の福祉についての配慮を欠かさない点も素晴らしい。犬への読み聞かせは子どもを読書へ誘い、生きづらさを抱える子どもは傷ついた動物をケアする中で育つ。そして保護犬の訓練をとおして若者は生き直し、補助犬は障害のある人の人生を切り拓く。病気のある人や高齢者も犬や猫と共に心豊かな日々を過ごす。人と動物との関係を国内外で三〇年余取材した著者が、未来に向けて綴る。目次序章動物との暮らしがもたらすもの第1章子どもの教育と動物第2章...動物がくれる力

  • 応援消費

    水越康介,2022,応援消費──社会を動かす力,岩波書店.(9.13.23)本書の背後仮説として、消費社会においては、贈与から交換へ、寄附から消費への移行が必然的に進行するという判断があるようだが、無償のボランティア活動や富の再配分による生存権保障のように、反対給付ないし見返りをもとめない贈与や、本書でも詳しく取り上げられている「ボイコット」のように、消費を抑制する行為も当たり前にみられるわけで、この背後仮説にはそうとうの無理があるように思った。消費社会においては、贈与から交換へ、寄附から消費への移行が必然的に進行しているということ自体を論証しないことには、有益な議論が成立しないのではなかろうか。被災地、好きなブランド、ふるさと納税、推しのアイドル…を消費することで応援しようとする行動が目立っている。この...応援消費

  • 非正規介護職員ヨボヨボ日記

    真山剛,2021,非正規介護職員ヨボヨボ日記,三五館シンシャ.(9.12.23)他の「ドキュメント日記シリーズ」と比べて、内容がまじめすぎ、おとなしすぎる。読者がもとめているのは、実際にあった、抱腹絶倒のできごとなり人となりなわけで、そこをクリアするのが、編集者の手腕のみせどころだろう。目次まえがき―想像をはるかに超えた景色第1章流れ流れて、介護職員第2章私の“ホ”がない生活第3章すぐ辞める人、まだ辞められない人第4章底辺からの眺めあとがき―それでもなぜ続けているか非正規介護職員ヨボヨボ日記

  • ケアマネジャーはらはら日記

    岸山真理子,2021,ケアマネジャーはらはら日記,三五館シンシャ.(9.8.23)本書では、地域包括支援センターと居宅介護支援事業所とで、ケアマネージャーとして働くなかで経験されたできごとが、日記形式で紹介されている。著者は、注意欠陥多動症と不安神経症を患っており、職場では数多くの失敗と挫折を繰り返してきた。生きるか死ぬかギリギリのところで苦悩する利用者の姿ともども、幾多の苦難を乗り越えてケアマネの仕事をまっとうしようとする姿が印象に残る。「ドキュメント日記シリーズ」で描かれる福祉・介護の現場の姿にはウソがない。福祉職・介護職に就こうと思っている人にはおすすめだ。「いらだちに直面する仕事」。介護支援専門員が向き合う怒り、悲しみ、不安の正体。人生の最終章を見つめて。目次第1章ケアマネの多難すぎる日常感情労働...ケアマネジャーはらはら日記

  • 障害者支援員もやもや日記

    松本孝夫,2023,障害者支援員もやもや日記,三五館シンシャ.(9.8.23)本作は、人気の「ドキュメント日記シリーズ」の一冊であるが、もとは文筆業にたずさわっていた人だからか、文章表現が巧みだ。それに加えて、勤務先のグループホームに住む障がい者一人一人を観察する目が実に細やかであたたかい。この本ほど、「障害者支援員」の仕事の苦労と喜びとを生き生きと表現したものはほかにないだろう。「障害者支援員」の世界に飛び込んで見えてきたのは、これまでに見たこともない人間の不思議な景色だった。8年間を「障害者支援員」として生きてきた。ホームの利用者に殴られ、蹴られ、噛みつかれた。障害者が置かれる立場の厳しさを知り、偏見に苦しむ親御さんの思いを聞いた。―障害者の人たちが置かれた環境や境遇をたくさんの人たちに知ってもらいた...障害者支援員もやもや日記

  • 彼岸花が咲く島

    李琴峰,2021,彼岸花が咲く島,文藝春秋.(9.6.23)よくできた物語のなかに、さりげなく、家父長制やセクシュアリティを問い直すまなざしが織り込まれた、文句なしの秀作。本作の舞台となる島は、「与那国島」をモデルにしているが、どこの国家にも属しておらず、島民の祭礼にもとづいた相互扶助と「タイワン」との交易によって生活が成り立つ、架空の島である。そして、主人公の「宇美」は、セクシャルマイノリティゆえに「ニホン」から追放され、島に流れ着いた存在であることが明かされていく。こうした独創的な舞台設定が、本作のなによりの魅力だろう。彼岸花の咲き乱れる砂浜に倒れ、記憶を失っていた少女は、海の向こうから来たので宇実と名付けられた。ノロに憧れる島の少女・游娜と、“女語”を習得している少年・拓慈。そして宇実は、この島の深...彼岸花が咲く島

  • 生を祝う

    李琴峰,2021,生を祝う,朝日新聞出版.(9.5.23)本書は、胎児が自ら生まれることを望まない限り出産が許されない「合意出生制度」の社会を舞台にした小説である。胎児は、自身の遺伝子情報(性別違和傾向、先天性疾患や障がい、知能指数、容姿的評価など)、親権予定者の属性や社会経済的地位、外部環境の評価(「生存難易度指数」)により算定された「生存難易度」(生きづらさ)を示され、出生を承認、あるいは拒否する。生まれてくることは無条件に祝福されるべきものではないという考えは、デイヴィッド・ベネター等の「反出生主義」を想起させが、わたしはそれに全面的には賛同しないものの、無条件に出生を祝福する「出生主義」を疑い、牽制する意義は大いにあると考える。本作品は、仮想の「反出生主義」にもとづく思考実験の小説として、たいへん...生を祝う

  • 異端の福祉

    高浜敏之,2023,異端の福祉──「重度訪問介護」をビジネスにした男,幻冬舎メディアコンサルティング.(9.5.23)全篇、著者が、重度障がい者の権利擁護運動を経て、「重度訪問介護」ビジネスを展開するに至るまでの経緯が描かれている。「幻冬舎メディアコンサルティング」という出版社は、これまで、詐欺的商法も含めて、福祉ビジネスを展開してきた者の、自己宣伝やポジショントークを垂れ流してきたわけなので、本書で書かれていることを、額面どおりに受け取るのは危険である。著者は、自社の社員に本書を絶賛する記事を書かせたりもしているので、よけいにいかがわしさを感じてしまうのだが、著者が手かけてきた社会福祉事業が、特筆すべき画期的なものであるのか、人の善意を悪用した、カネと権力を掌握するためのエセ福祉事業に過ぎないのか、現時...異端の福祉

  • 福祉の使命

    木村都央,2023,福祉の使命,幻冬舎メディアコンサルティング.(9.4.23)保育と高齢者福祉の事業を45年間にわたって手がけてきた著者による、社会福祉事業史。社会事業史のテキストに記載されるほどのものではないだろうが、いち社会福祉事業家の実践の記録として貴重な一冊。福祉は誰のために、どうあるべきか?超大企業の人事マンが脱サラし、未経験で飛び込んだ福祉業界…早朝夜間保育や訪問看護、軽費老人ホームの実現等、45年にわたる挑戦の軌跡。目次第1章女性が社会進出できない状況を憂いていたサラリーマン時代…「育児と仕事の両立」には長時間保育の実現が急務だ第2章進む高齢社会―「保育」の次は「介護」の課題解決へ必要なのは「要介護」のための施設ではなく、「元気で長生き」するための施設第3章年齢、経歴、介護レベル…さまざま...福祉の使命

  • 生きることの意味を問う哲学

    森岡正博,2023,生きることの意味を問う哲学──森岡正博対談集,青土社.(9.4.23)読む人によっては、答えの出ない問いについての、出口の見えない延々とした思索にしか思えないだろうが、認識の枠組み自体を問い直す思考実験としてとらえると、なかなかに興味深い内容だ。対談集だけに読みやすい。「生まれてこないほうが良かった」と言われたとき、あなたは何を語ることができるだろうか。反出生主義はほんとうに自殺を導かないのか?加害者であることは引き受けられるのか?日本語で哲学することは可能か?対話によって開かれる哲学とはどういうものか?―気鋭の論者とともに、生きることの深淵を覗き込む。現代における重要テーマをめぐって重ねてきた言葉たちを結晶化した対談集。目次第1章生きることの意味を問う哲学×戸谷洋志反出生主義とは何か...生きることの意味を問う哲学

  • ゼロからの『資本論』

    斎藤幸平,2023,ゼロからの『資本論』,NHK出版.(9.3.23)現在においてなおのこと有益なマルクスの思想を、適切に抽出し、それをもとにとてもわかりやすく議論が展開されている。「各人の自由な発展が万人の自由な発展のためのひとつの条件であるようなアソシエーション」の連合体が可能にする、使用価値と贈与、協同に根ざした「脱成長コミュニズム」の構想には、大きな説得力がある。はじめて『資本論』を開いた人は、あまりにその文章が硬いため、マルクスの真意を読み取れない―。この状況を一変させるのが本書だ。鋭いマルクス解釈で世界を驚かせた俊英が、手稿研究で見出した「物質代謝」の観点から『資本論』のエッセンスを丁寧に解説。さらに、ソ連や中国とも異なる「脱成長コミュニズム」の未来像までを見通す。初学者にもスラスラ読み進めら...ゼロからの『資本論』

  • 小さき者たちの

    松村圭一郎,2023,小さき者たちの,クリエイツかもがわ.(9.2.23)水俣、天草、須恵村に生きた人々の声を、エチオピアの農村で暮らす人々の写真をはさみながら、丹念にたどっていく。アナキスト人類学の魅力にあふれた佳作だ。世界を動かしてきたのは、いつも、小さき者たちだった。はたらく、まじわる、くに…消えかけていた声を拾い、紡いだ、渾身の二一編。水俣、天草、須恵村…故郷・熊本の暮らしの記録を初めて解く。現代の歪みの根源を映し出す、今を生きる人たち必読の生活誌。気鋭の人類学者の新たな代表作。目次1水俣1はたらくおそれるほか2水俣2やまいこえるほか3水俣3ねがいたりないほか4天草こえくに5須恵村いのるおとことおんなほか小さき者たちの

  • 実践 日々のアナキズム

    ジェームズ・C.スコット(清水展訳),2017,実践日々のアナキズム──世界に抗う土着の秩序の作り方,岩波書店.(9.2.23)わたしたちは、日常生活のなかで、制度、法、社会規範、権力等につねに抗い続けることで、はじめて自由を獲得する。「人間の自由のための偉大なる解放が獲得されたのは秩序だった制度的な手続きによる結果ではなく、無秩序で、予想できず、自然発生的な行動が社会秩序を下から断裂させていった結果である」。(p.172)歴史を構成するのは、特定の人物でも、制度、権力でもなく、無数の人々のアナーキーな抵抗の営みである。そのとおりだろう。東南アジアでのフィールドワークを通じて、国家の束縛から離れた社会のあり方を希求してきた政治学・人類学の泰斗スコットが、日々の暮らしの中から社会を変えてゆく実践的アナキズム...実践日々のアナキズム

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