マックス・ウェーバーが、スペイン風邪により錯乱状態に陥り亡くなって100年の節目に、ドイツで編まれた『マックス・ウェーバー全集(MWG)』の内容をふまえた良作2冊が刊行された。今野さんの作品は、ロシア人やポーランド人への嫌悪をあらわにする好戦的ナショナリスト、等身大の人間ウェーバーの実像を、史実に即して明らかにしている。一方、野口さんは、ウェーバーの思想を、わたしたちが生きる現代に生かすべく、できる限りの知恵をくみとろうとする。カール・シュミットを介して、ウェーバーの思想が、ナチス・ドイツの全体主義、優性思想による大虐殺を引き起こす源泉の一つになったのか、これは、いまでも開かれたままの問いであるが、二律背反的な価値に揺れ動いたウェーバーの思想は、そうであるがゆえに魅力的であり続けている。読みやすいウェーバー入門...ウェーバー本2冊