森達也,2023,歯車にならないためのレッスン,青土社.(4.20.24)歯車にならないためのレッスン 森達也青土社本書は、映像作家である森達也さんが手がけた、2017年から2022年までの時局論集である。森さんは、ジャーナリストを名乗らない。空気を読めない、読まないという点で「鈍感」であり、あくまで自らの主観を大事にする、という。しかし、その鈍感さなり、主観にこだわる姿勢なりが、人々が自明とみなす状況の欺瞞、異常、非人間性を鋭くあぶり出す。人々は、凶悪な殺人事件が起こった際、被害者遺族に過剰に感情移入し、容疑者に憤怒する。そして、そうした社会の憤怒を背景にして、死刑判決が下され、死刑が執行される。死刑存置国が一貫して減少してもなお、日本では死刑制度が当たり前のこととして存続している。森達也,2013,『...歯車にならないためのレッスン