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2020/05/16

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  • <わたし>から始まる社会学

    平井晶子・中島満大・中里英樹・森本一彦・落合恵美子編著,2023,<わたし>から始まる社会学──家族とジェンダーから歴史、そして世界へ,有斐閣.(10.29.23)落合恵美子さんの京都大学退官記念論文集。近代家族論と歴史人口学を中心に、落合さんの多彩な研究領域を反映し、落合社会学の薫陶を受けた著者たちの研究テーマもとても多彩だ。落合さんの、私的な問題意識を一般化、普遍化させる手腕が、見田宗介の「一点を突破し全面展開せよ」という助言の後押しを受けて初めて開花したことや、高橋徹や森岡清美とのエピソードなどが興味深い。パーソナルイズポリティカル!自分の中の「なんで?」から始めて、その問いに潜む社会の特性を考える。個人的なことが社会的なことにつながる、その面白みを味わいながら、歴史や比較といった社会学の射程の広さ...<わたし>から始まる社会学

  • DRY

    原田ひ香,2022,DRY,光文社.(10.22.23)貧困、暴力、虐待、堕落、絶望等を描くフィクションの醍醐味は、究極の悲惨さ、残酷さを安心して楽しめる点にあると思うので、初老の女が母親を刺したりとか、誘拐して介護した認知症の老人を、死後、体液を抜き内臓を取り出してミイラにするとか、けっこう読みどころはあった。しかし、究極のエグさを堪能させてくれる桐野夏生ワールドを知る者としては、いまひとつ物足りなさを感じてしまう。離婚し子供たちと引き離され、金銭的に困窮した藍は、祖母と母のいる実家に戻る。生活力もなく喧嘩の絶えない藍たちに手を差し伸べたのは、隣に住む美代子だった。祖父を介護して暮らしているという美代子に助けられ親しくなるうち、彼女のある秘密が知れる…。貧困、ケア、孤独。背負わされる業と役割に、女たちは...DRY

  • よくわかる地域福祉(新版)

    上野谷加代子・松端克文・永田祐編著,2019,よくわかる地域福祉(新版),ミネルヴァ書房.(10.21.23)地域福祉は、いわゆる社会福祉基礎構造改革により、社会福祉の諸サービスが、市町村の圏域内において、市町村地域福祉計画にもとづき、行政機関、社協、社会福祉施設および居宅介護事業所、社会的企業、病院、NPO等の協働により、住民参加を得ながら供給されるしくみであるが、「地域包括ケア」ともども、1979年に自民党により提唱された「日本型福祉」のたんなる焼き直しであることは否めず、法制度という「容器」だけが整備され、肝心の中身が貧弱である状況は現在でも変わっていない。本書のような入門書でも、その、やたら立派な(地域福祉関連の)法制度という「容器」の異様さと中身の乏しさに気付かされる。国家が、地方交付税等により...よくわかる地域福祉(新版)

  • 貧困と自己責任の近世日本史

    木下光生,2017,貧困と自己責任の近世日本史,人文書院.(10.15.23)近世農村に生きた人々の生活を再現すべく、歴史資料を丹念に読み込み、数々の通説をくつがえしてくれるたいへんな労作。なにより印象深いのが、身上をつぶし困窮した農民には、村落が、家族・親族間、次いで五人組内での扶養、扶助をもとめ、また村落として扶助する以前に「乞食」として生きることを強い、村落で扶助するにあたっては扶助される者に恥辱を与え生活を監視することまで行っていた、以上の点である。「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」とする民法877条の存在や、生活困窮者の生存権保障を支持せず、生活保護受給者を侮蔑し、受給者の私生活を監視することさえよしとする国民世論が、なにに由来するものなのか、目を開かされた思いだ。「(前略)...貧困と自己責任の近世日本史

  • 福祉の起原

    安立清史,2023,福祉の起原,弦書房.(10.14.23)『銀河鉄道の夜』や『千と千尋の神隠し』の解題はおもしろかったのだが、「プラハの春」における旧チェコスロバキアの人々の非暴力的抵抗と「福祉」がどう結びつくのか、よくわからなかった。「戦争」と「福祉」にまつわる軽い読み物としては上出来の内容ではなかろうか。戦争と福祉。新たな「起原」は何度もやってくる。その可能性をつかみ直す。目次序章ゴーギャンの三つの問い第1章「福祉の起原」―起源と起原起原をめぐる問い―なぜ「歴史」ではなく「起原」なのか「福祉」の語源をさかのぼる「福祉」を定義する二つの方法―エスピン=アンデルセンの『福祉資本主義の三つの世界』をめぐって介護と福祉の社会化はどこへ向かうか―「宅老所よりあい・よりあいの森」から考える第2章戦うことと戦う「...福祉の起原

  • 流山がすごい

    大西康之,2022,流山がすごい,新潮社.(10.7.23)西の明石、東の流山。明石市が、泉房穂(元)市長主導で住民福祉の著しい向上をはかったのに対し、流山市は、市長が「送迎保育ステーション」の設置をはじめとした斬新な子育て支援を行ったうえで、流入してきた、新規来住者の市政参画と起業とによって、存分に民間活力を生かしたまちづくりを行ってきた。また、流山は、明石と異なり、膨大な東京都市圏人口を擁するがゆえに、住民福祉の向上と並行して民間企業の大規模な投資と開発が可能となった希有な都市といえる。地方都市は、やはり、明石をモデルとすべきであろう。「母になるなら、流山市。」のキャッチコピーで、6年連続人口増加率全国トップ―。かつては数多ある東京のベッドタウンの一つにすぎなかった千葉県流山市がいま、脚光を浴びている...流山がすごい

  • 社会の変え方

    泉房穂,2023,社会の変え方──日本の政治をあきらめていたすべての人へ,ライツ社.(10.4.23)住民福祉の向上をはかる斬新な施策を次から次に実行し、住民福祉の充実とともに、子育て世代を中心にした転入者の増加と地域活力の向上に成功した兵庫県明石市。もと明石市市長の泉房穂さんが、その市政12年の歩みを本書にとりまとめた。自治体行政が変われば国政も変わる。その可能性をじゅうぶんに感じさせてくれる一冊だ。社会の変え方

  • ねこの居場所

    愛猫、「ぶぶ」。マンチカンの雄、(もうすぐ)4歳。わたしが家にいるときは、大半の時間を、廊下の「バリバリベッド」(爪とぎ)の上か、このように、机の右手、モニターの前で寝て過ごす。夜遅く、音楽再生用ノートパソコンを閉じると、その上、机の奥に移り、就寝時は、再び、「バリバリベッド」で寝て過ごす。実に規則正しい。ねこの居場所

  • 津久井やまゆり園「優生テロ」事件、その深層とその後

    佐藤幹夫,2022,津久井やまゆり園「優生テロ」事件、その深層とその後──戦争と福祉と優生思想,現代書館.(10.1.23)「植松聖」の裁判傍聴録をはじめとして、類書をしのぐ詳細な資料が取り上げられているが、延々と独白にも似た冗長な記述が続いており、もう少し論点を絞って強度を保って論述すべきだっただろう。「植松聖」は、極端に肥大化した自我理想をもてあまし、現実の自分とのあまりの落差と、止みがたい承認への渇望から、稚拙にして誇大妄想的、過激な優性思想に取り憑かれ、凶行におよんだものとわたしは考える。佐藤さんは、「植松聖」が、「津久井やまゆり園」に勤務していた際、そのぞんざいな言動から、利用者に受け容れられていなかったことを指摘しているが、たしかに、犯行の背景にはそれもあったのであろう。また、「植松聖」の犯行...津久井やまゆり園「優生テロ」事件、その深層とその後

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