河童忌や緑は揺れれどきみは来ず古池やひなたに河童胡瓜の香神田川、河童となりてクワァクワァア梅雨明けや河童ベッドか地の下か捌かれし河童まわりくる皿乾き
梅雨明けや扉たたいてとおりすぐ梅雨明けよ二十歳の肩の丸さかな夢の水紋しずかなり梅雨明けへ撒く霧を梅雨明けゆらりのぼりくるスーツ肩濡れ梅雨明けのしのび足
きみによりそい蝿と僕横丁へ手する蝿渋谷回り乾き固く蝿落ちる終わりはプリン匙のなか星見えるか蝿に尋ね駅を出る蝿西瓜帰りのきみのかおり追う
河童忌や列車は人なく名知らぬ地へ雷に生死わからぬ河童忌の夜河童忌やクラッカーにカマンベールのせ河童忌や想い屋根空より高く地と身震える河童忌まだ生きむかな
冷夏のなかを走る子の足しずか冷夏の底くねって鰭で叩きたりレモン歯にしむ冷夏の太平洋西瓜割る地もまた白い冷夏かなサザン鳴るとなりでキスを冷夏にも
帰る床なければ蝶と軒のした蝶の青南からまっすぐ線を引く蝶の右ひだり上下と時を待つ夜の灯のそのうえまでも蝶のぼる蝶ひらりほそい足首は見えもせず
抱く耳のかたい世界を噛んで寝るピアスの耳のはるかまで藍ふかし屍の足耳の奥へはしり去り青はずかしげ地に落ちる耳透けて夏を聞く耳にひろがる南北線
蟾蜍黙る煙草に火がついて家流されて蟾蜍遠く鳴く雨打ちつづけ悟りしか蟾蜍蟾蜍銀に濡れつつ月をこゆ蟾蜍仇待ちつつ石になり
浴衣中鬼灯と我軽く揺れ鬼灯口に赤赤とした月空に鬼灯と一緒に帰りしもの明かし透かし見る鬼灯怒る顔ならぶ星取ったよ幼女鬼灯握りしめ
地と身を冷やす冷酒の透けたブルー冷酒黒きものを洗い流したり冷酒ながるる夜氷河削りゆく音青冷酒星屑かけら踏み帰る冷酒底にのこりし陽に咽喉焼いて
波わけて人魚降りくる七夕や七夕に星を踏む音さらさらと七夕にベッドに溢れる砂の音七夕に夏濡れたままはしりくる七夕やなんどもめぐる水の星
白夜の旅人をひかり迷わして獣が純白失う白夜の日千年の青流れ落つ白夜かな春白夜をあたたかさが駆けてくる白夜の銀の高きまで声とどきたり
梅雨寒や鬼が列島をはしりぬけ待ち人の白い顔出す梅雨寒や梅雨寒や国凍え鳥戻り来ず眠りでは梅雨寒の海渡りたり梅雨寒箒は記憶を掃き集め
半夏生削ればのこる生きる意味生けずり湯に入れる朝半夏生道なかば既に濡れている半夏生半夏生きみのファルセット夜をみたす観るのみ残した半夏生かなしき
一粒を受けて梅雨の浅草へ梅雨と梅雨合間をぬって逢引す蛇乱れ道滑りつつ梅雨を来る梅雨溢れ地までひろがる天の水梅雨に追われて避難所のビスケット
都の底はサングラスばかりなりひとの隙間の炎見るサングラスサングラス天の劔で割れにけり光の国にサングラスで入るかないつまでも時かわらずかサングラス
数千年の陽杏子に詰まっている瓶のなか杏子夜中に泳ぎだす杏子金の卵を皮ままかじるポケットであたためても杏子は杏子杏子キスの香のただよう首まわり
死んだきみは好きだろか伽羅蕗をぬるぬると記憶から出る伽羅蕗や駅みっつもどる伽羅蕗に母隠れ伽羅蕗の音たて折れる祖先かな伽羅蕗をつめたい青に染める水
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河童忌や緑は揺れれどきみは来ず古池やひなたに河童胡瓜の香神田川、河童となりてクワァクワァア梅雨明けや河童ベッドか地の下か捌かれし河童まわりくる皿乾き
春を噛むきみのからだのあたたかさ ブラウスのブルー春の波池の端 天の雲、ぼたもちの色のこりおり 昼も夜も天をわけつつ春すすむ 春の襟、濡れた昨夜のかおりあり …
言の葉のいざなうままに枯れゆかむ愛しさに泡を流しつ泡となり日に月に未生の時のひかりかな先に行く囁き夜空揺らしけり月のごと白腕落ちて眠りたり
マント蹴りヒール響かすソラミゾレバスを待つマントのなかで長いキスマント羽織れば白鳥座渡りゆく焼き芋をマントくるんでホッホッホマントくるまり凍る星抱いている
舞う銀杏バイクが時を疾走す銀杏葉の音なく降りて振りかえる舌のうえ秋の香りの重なりてひと色に銀杏天地を染めにけりランドセル銀杏とびだしハメハメハ
見あげれば頬を銀杏滑りおつ銀杏落つ裾揺らしゆく風は金銀杏さらさら子等の背でささやけり雨に濡れ銀杏音なく息を吐く銀杏舞来て二枚噛む明日かおる
空さきて振りくる銀に時は無し銀杏ながれゆく先の闇に娘立つ泣きたしと金の銀杏の川に立つ都市のアスファルト銀杏の裏表夜の水銀杏ときみをながしゆく
イースターわたしどれから生まれたのイースターいのち受けとる手いろいろイースター額の印うれしけりイースターびっしょり濡れきみを抱くスカートをイースター卵右左
からだの隅に塩かおる四月尽四月尽時をパレットで擦り付けるきみの白ワンピース溶かす四月尽地の渇き天へのぼりゆく四月尽四月尽ガサッと空をめくりたり
夏雨や赤花濡れてすれちがう夏雨やいくところなしドガの白夏の雨我と黒石濡れており靴音なき道迷いけり夏の雨夏雨や星と我かなし動悸する
衣更脱いで脱いでもきみは空唇あふれるシャツを干す衣更葬儀の熱のこりきみと衣更 キスするところすこし残る衣更パステルの襟キラキラと衣更
葉桜の色が満たしたバスに乗り葉桜ゆらしあゆみくる夏しずか葉桜擦れすれる衣きみに触れたり青い指さき触れていく葉桜や一夜にて身は葉桜に染まりたり
息とめる地ひかりあふれ立夏かな立夏ひらにあるれるブルーを握りしめ立夏目に天のパステルふりそそぎブルーとピンク立夏アイス並び溶け立夏絹のキスでまだいかんかな
季かわり天張り替える春の雷春雷や花弁それぞれ濡れている春雷に鎮まり揃って首あげる春の雷浅緑の地につきささり春雷やカーテン肩を隠したり
何待つか忘れるほどの朧月朧月モノクロドレス頬のごと朧月一夜おぼろの夢のなか朧月盃をゆらし渡りけりあの夜の肌を触れるごと朧月
ヒールの汗も冷えている春驟雨春驟雨セレナーデから泡の夢一日すべて星に沁む春驟雨ポツポツ天がひとりごと春驟雨春驟雨歩道の花なまめかしく
名忘れし勿忘草に空があり勿忘草ブルードレスとすれ違い勿忘草花弁濡らして声聞こえ唇に勿忘草をうつしとり勿忘草夢とからだを染めにけり
影ノワールのあざやかさ四月尽パステルが都市に染みこみ四月尽四月尽青が星を満たしけり天透けて背に地ひんやり四月尽四月尽天ガサッとめくれ目覚めけり
花時やピンクの風が足染めて花時やいのちあつめ一気に果てぬ花時を駈けぬけていく娘かな花時や天をレースがおおいけり振りむけば落ちていく夕花時や
春光や天のひらよりあふれけり春光を子午線はまっすぐ青し春光の大路にいでし赤ヒール春光や銀を降らせ満たしたり春光や波ときみ踏む星の音