河童忌や緑は揺れれどきみは来ず古池やひなたに河童胡瓜の香神田川、河童となりてクワァクワァア梅雨明けや河童ベッドか地の下か捌かれし河童まわりくる皿乾き
八月尽皮を残してまだ生きる死とよろこびの声掠れ八月尽レクイエムとつぜん響く八月尽八月尽風今日より色を変え八月尽闇ふりかえり炎見る
濡れている赤カンナなが日に買えりカンナの雄蕊折りゆく指の赤さ渋谷裏夢にならびて紅カンナ夕空にまっすぐ茜のカンナ立つ赤坂をひとつ曲がれば赤カンナ
秋澄めば枯木の影に横になり秋澄みて風のかたちに息を吐く娘のきみ来るまぼろしの秋が澄む古い黒鍵たたきながら秋が澄む三歩先で新たに秋澄んでいく
天地洗い秋はじまる手はポッケに夢の雨秋かおるまで聞いている羊羹に虫の来ぬ秋しずかなり口閉じて歩むさきは秋なにもなし胸埋めたくて青い杯秋こぼす
葡萄青い星それぞれ隠しおる青い記憶のまま葡萄もがれたりふところに葡萄隠してまくらもと葡萄噛む口一日の重さあり葡萄剥く光うまれる暗さかな
夕焼けが路地駆けぬけて胸あつし靴止まる夕焼け鳥と飛びたくて夕焼けに苺クリーム溶けて来る夕焼けに列車の音八分音符夕焼け挟んだ日記煙草すいこむ
身爽やか忌日の風にあらわれて闇すべて地に沁みた朝爽やかさ鳶ちぎり空爽やかに吹かれゆくきみの背の透ける道爽やかたどる重ねし暦の爽やかに吹かれおり
桃割れど生まれる子なし月見えず赤いミニ桃の白切るイタリアン桃固し忌日のひとに切りわたす桃を蟻が這っている救急車流星のごと桃に傷腿にキス
電線鳴る蝉の地から聞こえくる蝉の声の細さよ卒塔婆の列蝉ひきづられアボカドサラダ掬うシッ夜耳奥で鳴っている蝉の声赤日傘蝉のどしゃ降り回りゆく
野分に黙りくだかれただ立てり野分爪青も傷のみ地に空に歩けばちりぢりの地図野分跡野分の夜闇集まりて駆けぬける野分下天と地息をとめている
摺りあしの服擦れている盆休み動かぬ盃に盃合わせ盆休み盆休みパシフィック渡る茜雲天のラッパ足とまりたる盆休み帰る道たどれぬままに盆休み
敗戦日タバコ一本に神霞む敗戦日ハンバーガーの汁溢れしかたなし神おおらかに敗戦日敗戦日裂かれた魚の風にゆれ敗戦日空閉じて地水に沈む
濡れた髪カレーの国の雲のごと雷や髪おおうスカーフ黄色夕立や髪にからむ煙の青虹色のヒール手に髪かきあげる夏の風髪乾くまで神田川
胸にキス柘榴味する夕暮れよアイスティー胸の形に透きとおり烏賊釣れば胸裂く記憶列をなし胸のなか西茜見し帰り道胸ひろげ蝶の少女のほそい腕
紅ひろがれり夢の波空の蓮蓮揺れて雲流れゆく鳥の跡蓮に光降りたる日の夜は深く蓮の葉のかさかさなれば鳥眼閉じる蓮の実の並んだ氷のとけており
鐘鳴りて影立ちあがる長崎忌長崎忌白百合に露鳥涙長崎忌花枯れるまで光刺す鳥一声で終わりたり長崎忌灯籠の先もまた闇長崎忌
立秋や溶ける道に影細く立つ時過ぎる首落とし立つ立秋なりアスファルト鳥の声なき朝立秋飛ぶものなし立秋のブルーの星や立秋や鳥声かれ魚ひとつ打つ
夏透けて天への梯子銀の足過去未来万華鏡夏透ける罪夏透けて星誕生の声を聞く刃銀額切る夏透けている時を駆ける青い影夏透ける
銀の空黒文字ならぶ広島忌広島忌天の弦の音我黙す幻の星を見あげる広島忌広島忌ブルーの空にきみの声広島忌星の波立つ音を聞く
種を噛むきみの向日葵空ゆらす向日葵に記憶のきみがならびおり向日葵といっしょになみうつ銀河かな首落とす向日葵と立つ隅田川向日葵と見あげる天と青い星
暑き日や傘の陰銀の鳥飛ぶなめくじの動かず三日暑き日や暑き日やマングローブが覆っている暑き日や猫の木陰桃源郷暑き日や昼寝を赤い虫が飛ぶ
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河童忌や緑は揺れれどきみは来ず古池やひなたに河童胡瓜の香神田川、河童となりてクワァクワァア梅雨明けや河童ベッドか地の下か捌かれし河童まわりくる皿乾き
春を噛むきみのからだのあたたかさ ブラウスのブルー春の波池の端 天の雲、ぼたもちの色のこりおり 昼も夜も天をわけつつ春すすむ 春の襟、濡れた昨夜のかおりあり …
言の葉のいざなうままに枯れゆかむ愛しさに泡を流しつ泡となり日に月に未生の時のひかりかな先に行く囁き夜空揺らしけり月のごと白腕落ちて眠りたり
マント蹴りヒール響かすソラミゾレバスを待つマントのなかで長いキスマント羽織れば白鳥座渡りゆく焼き芋をマントくるんでホッホッホマントくるまり凍る星抱いている
舞う銀杏バイクが時を疾走す銀杏葉の音なく降りて振りかえる舌のうえ秋の香りの重なりてひと色に銀杏天地を染めにけりランドセル銀杏とびだしハメハメハ
見あげれば頬を銀杏滑りおつ銀杏落つ裾揺らしゆく風は金銀杏さらさら子等の背でささやけり雨に濡れ銀杏音なく息を吐く銀杏舞来て二枚噛む明日かおる
空さきて振りくる銀に時は無し銀杏ながれゆく先の闇に娘立つ泣きたしと金の銀杏の川に立つ都市のアスファルト銀杏の裏表夜の水銀杏ときみをながしゆく
イースターわたしどれから生まれたのイースターいのち受けとる手いろいろイースター額の印うれしけりイースターびっしょり濡れきみを抱くスカートをイースター卵右左
からだの隅に塩かおる四月尽四月尽時をパレットで擦り付けるきみの白ワンピース溶かす四月尽地の渇き天へのぼりゆく四月尽四月尽ガサッと空をめくりたり
夏雨や赤花濡れてすれちがう夏雨やいくところなしドガの白夏の雨我と黒石濡れており靴音なき道迷いけり夏の雨夏雨や星と我かなし動悸する
衣更脱いで脱いでもきみは空唇あふれるシャツを干す衣更葬儀の熱のこりきみと衣更 キスするところすこし残る衣更パステルの襟キラキラと衣更
葉桜の色が満たしたバスに乗り葉桜ゆらしあゆみくる夏しずか葉桜擦れすれる衣きみに触れたり青い指さき触れていく葉桜や一夜にて身は葉桜に染まりたり
息とめる地ひかりあふれ立夏かな立夏ひらにあるれるブルーを握りしめ立夏目に天のパステルふりそそぎブルーとピンク立夏アイス並び溶け立夏絹のキスでまだいかんかな
季かわり天張り替える春の雷春雷や花弁それぞれ濡れている春雷に鎮まり揃って首あげる春の雷浅緑の地につきささり春雷やカーテン肩を隠したり
何待つか忘れるほどの朧月朧月モノクロドレス頬のごと朧月一夜おぼろの夢のなか朧月盃をゆらし渡りけりあの夜の肌を触れるごと朧月
ヒールの汗も冷えている春驟雨春驟雨セレナーデから泡の夢一日すべて星に沁む春驟雨ポツポツ天がひとりごと春驟雨春驟雨歩道の花なまめかしく
名忘れし勿忘草に空があり勿忘草ブルードレスとすれ違い勿忘草花弁濡らして声聞こえ唇に勿忘草をうつしとり勿忘草夢とからだを染めにけり
影ノワールのあざやかさ四月尽パステルが都市に染みこみ四月尽四月尽青が星を満たしけり天透けて背に地ひんやり四月尽四月尽天ガサッとめくれ目覚めけり
花時やピンクの風が足染めて花時やいのちあつめ一気に果てぬ花時を駈けぬけていく娘かな花時や天をレースがおおいけり振りむけば落ちていく夕花時や
春光や天のひらよりあふれけり春光を子午線はまっすぐ青し春光の大路にいでし赤ヒール春光や銀を降らせ満たしたり春光や波ときみ踏む星の音