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りおりお
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2017/11/17

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  • 57

    翌日、類は会社へ向かった。ブラックソープの商品は既に完成している。それをどう販売するかの最終確認だ。一部は桜子の会社のパッケージで作り、それは既に日本へ送っている。販売方法はそれぞれ好きな方法で売り込む事になったが、発売日だけは合わせる事にした。『販売日は今日から二週間後。日本に送ったSAKURAKOと発売日は同じ。中の商品も全く同じ。パッケージだけが違う事は承知の通り。つまり、、負けるわけにはいかない。...

  • 56

    フランスに着き、救急車に乗って病院へ運ぶ。スムーズに移動が出来るのは両親が根回しをしてくれたおかげだ。その最中も、つくしはしきりに申し訳ないと謝っていた。だがどこかホッとした表情にも見える。それは類も同じだ。病院内の個室に運ばれ、簡単な検査が行われた後やっと二人っきりになった。「痛い所はない?」「大丈夫。痛み止めが点滴に入っているから。」「あんたの事だから中途半端で仕事を放りだしたとか思うなよ?あ...

  • おしらせ

    我が家のブログにお越しいただきありがとうございます。以前少し連載しました『あんた、誰?』という作品ですが、似たような作品があると指摘を受け取り下げました。そこから指摘部分を修正していたのですが、このまま公開するのもどうかと悩んでいました。ですがこの作品に費やした時間があまりにも長く(修正も含め)、このまま埋もれさせるのもどうかと思い期間限定で公開させていただきます。全部で182話あります。期間は3...

  • 55

    オヨ州に着いた類は、その足で作業場へ向かう。そこには一生懸命働いているサニ達がいた。『あっ、類!恋人はどうなった?』『昨日は突然キャンセルしてごめん。牧野が勤務していた診療所が窃盗団に襲われ左肩と右脇腹を銃で撃たれたけどなんとか命は取り留めた。』『良かった。』サニ達はホッと安堵し喜び合う。『それで本当は後三日はここに居る予定だったんだけど、病院についていたんだ。だから俺は今日までとなる。何か聞いて...

  • 54

    類とアドが待つ廊下に、以前つくしの診療所で見た男性がやってきた。医薬品などを運び、ラゴスやアブジャの病院へ行くときには連れて行ってもらっていると言っていた男性だ。『牧野先生が撃たれたと聞いたんですが?』『はい。診療所が襲われ、この子供は腕を切られ、牧野は撃たれて手術中です。』男性は心配そうに手術中のドアを見る。『もしかして薬が原因ですか?』『そのようです。診療所はもぬけの殻でした。それとパソコンも...

  • 53

    アドはつくしと共に木の陰に隠れた。すると診療所から警報音の合間に声が聞こえた。「牧野!! 牧野、どこだ? 牧野!! 牧野!!」類!!類の声だ!!『先生。類が来た。助けを呼んでくる。』つくしにそう呼びかけるが反応がない。アドは半泣きだ。つくしをこんなにしたのは自分に責任があるからだ。アドはソッとつくしの背を木にもたれかからせると、急いで扉へ近づく。すると知らない男性と共に類の顔が見えた。間違いなく類...

  • 52

    つくしは急いで窓に足をかける。そして体が半分ほど出たところで犯人が戻ってきて銃を構えた。その銃に向けスマホを投げつける。少しでも逃げる時間を稼ぐためだ。案の定、男は一旦銃口から顔を離した。その隙に窓から外に出て、一目散に扉へ向かう。扉は全開になっている。扉を超えれば銃口を向けられても当たる事はないはず。そう思いながら必死に走るつくしだったが、熱い物が左肩と右腹に感じた。と同時にズキュン、ズキュンと...

  • 51

    つくしは門を閉めた後すぐ診療所のドアも閉める。そして控室へ向かうと、パソコンを起動させ他の病院へ移動させる品と数を表示させる。それを見ながら積まれた段ボールを一つずつ診療所内へ運ぶ。明日の診療前には取りに来ると言っていた為、診療所内で仕分けしても問題ないと判断した。するとキッチンの上にチンチンというドーナツが置かれている。類が持ってきた物だと分かるが、今日はお茶休憩をする時間も無かった。しかも類ま...

  • 50

    アドは水を汲むために診療所へ向かって歩いていた。トロの姉の子供がもうすぐ生まれるという事で水が必要になったためだ。先に汲みに行っていた村の子供達と手を振りながら診療所へ向かう。アドは薬のお礼を言いたくて気もそぞろだった。時刻は夕方になっており、早く行かないと診療所が閉まってしまうと気持ちは焦っていた。『どっちが生まれるかな。それに先生にお礼を言わないと。ちょっと酸っぱい薬を皆に分けたよって。』ブツ...

  • 49

    リバーズ地方での爆発事故から二日経った。つくしは今日も忙しく仕事をしていると、突然入り口が騒がしくなった。『すみません。こちらに牧野先生はいらっしゃるでしょうか?』『はい。牧野は私ですが、、』つくしは自分の名前を呼ばれ、診療の手を止め入り口へ向かう。明らかに住民とは違う人たち。仕事か何かで急病でも出たのだろうかと思いながら入り口へ行くと用紙を手渡される。『道明寺様から牧野様に医薬品を届けるように頼...

  • 48

    司が帰宅すると使用人が慌てて出てきた。もちろん突然の帰宅だしお腹が大きくなっているキャサリンが出迎えなくても何の問題もない。『お帰りなさいませ。』『変わりねぇか?』『はい。』『妻の調子はどうだ?食事は済ませたか?』『はい。既に済まされお部屋でゆっくりされております。』『じゃあちょっと顔を見てくるわ。』時間はまだ21時前。まだ寝ていないだろうがお腹が大きく動くのも大変で横になっているんじゃねぇか?と...

  • 47

    司は点滴が終わると西田と共に病院を後にする。そしてまっすぐアブジャ空港へ。その間、司は何一つ話をしない。それが却って西田を不安にさせる。記憶を取り戻した今、司様はどうされるのか?牧野様はキッパリと断られ親友という言葉で丸く収まったように思いますが司様の気持ちまでは分かりません。もうすぐお子様も生まれますし波風は立てて欲しくないところです。司は記憶を失くしてからの事を色々考えていた。なぜ牧野を見ると...

  • 46

    縫合が終わると今度は下半身を見る。太ももが赤青く腫れている。「折れてるかな?レントゲンを撮ってみよう。頭は打った?」「あぁ。体ごと吹き飛ばされたからな。」「じゃあMRIも撮るね。」つくしは看護師に伝え、どちらが空いているか確認をしてもらう事に。そして司のストレッチャーを押しながらそこへ向かう。先にMRI、そして次にレントゲンを撮りそれを見ながら説明をする。「頭は今の所大丈夫みたいだけど、24時間は要注意。...

  • 45

    ドカーーン、、バーーン、、ババーーン、、、まばゆい閃光に司は目を閉じ腕で顔を隠すと同時に体が大きく跳ね飛ばされた。そして地面に強く体を叩きつけられる。一瞬の出来事で何が何だかわからない。ただ腕と腹が熱く背中と足が痛い。遠くで西田らしき声が聞こえるがどうなっているのか全く分からない。息をするのが精一杯だ。「司様。大丈夫ですか?司様~~~。」司は動かせる腕を上にあげた。つくしは病院で引継ぎと挨拶を行っ...

  • 44

    つくしは早朝、ラゴスの病院へ行く。それに合わせナイラは村へ帰り、明日トロが来てくれることになっている。『じゃあ先生、お気をつけて。』『ナイラも気を付けてね。』『はい。』ナイラはバケツに水を入れるとそれを頭に乗せ村へと歩き始めた。ナイラとトロはこちらに仕事に来る時は必ず空のバケツを持ってくる。そして交代する時に水を汲んでそれを持ち帰っている。本当に働き者だと感心するほどだ。『ではつくし、行きましょう...

  • 43

    司はオンド州知事庁舎で天然ゴムの業者と交渉を行っていた。『初めまして。道明寺ホールディングスの道明寺司です。今回は天然ゴムの調達の為に来ました。実は我が社は天然ゴムを他の業者から買っており、それでは安価な商品が出来ません。ですから業者を通さず直接現地から購入したいと思い、天然ゴムを採取している業者を紹介してもらいました。昨日のうちに話はあったと思うのですが、それぞれの産出量と販売価格を教えてくださ...

  • 42

    類は診療所へ入ると直ぐにつくしと目が合う。「こんにちは。」「ちょっと待ってて。」「ゆっくりで良いよ。」つくしは診療中だ。その為、類は隣の控室へ入ろうとしたところ、アドから声をかけられた。『類!』『久しぶり。アド。』『なあ類。先生が帰るのほんと?』『ん。』類はここではなんだからと診療所の外へ出る。そして日蔭にアドを連れていくと並んで座る。『先生にはずっといて欲しいんだ。』『そう思ってくれるのは嬉しい...

  • 41

    入り口が騒がしくなり、つくしはそちらを見る。すると信じられない人物が現れた。「よくこんなところで診療してんな。衛生面が最悪じゃねぇか。」つくしはすぐに声が出ない。ただその声色は蔑んだもので自分を見る目も厳しい。つまりまだ記憶が戻っていないと分かる。「何の用ですか?」「おいっ、そいつの顔はどうしたんだ?まさか伝染病じゃねぇよな?」司の視線は水癌に侵され顔が変形した男の子に向けられている。つくしは診療...

  • 40

    つくしと両想いになった類は仕事も今まで以上に張り切っていた。扱う道具に少しでも慣れてもらいながら作業効率を改善し、なんとか安定した製品が作れるようになった。そして出来た製品を箱詰めし、フランスへ送る段階になった。依頼していた運送業者に頼み、アブジャの空港へ運びそこからフランスへ送ってみる事に。フランスに到着した時点でどれだけの石鹸が破損しているかも確かめる予定だ。ナイジェリアでの活動は残り一か月と...

  • 39

    更に一か月が経った。花沢物産ブラックソープ担当者が何度か類のいる現地に足を運ぶようになった。ネットでやり取りも行っているが、どうしても現地を視察した方が早いためだ。作業場で製造をしている過程を見て、火にかけた鍋を混ぜるときには下に台座のようなものがあったほうが楽なのではないか。型に入れたブラックソープがしっかり固まるまでの置き場所を平面ではなく立体にした方が場所を取らないのではないか。原材料を砕く...

  • 38

    ナイジェリアに着いた類は、すぐにオヨ州へ向かう。サニには新しい場所で必要な物などを考えておいてほしいと伝えている。それを確認するためだ。サニに連絡を入れ作業場として選んでいた場所で落ち合う。『無事了解を得られたから本格的に製造を始める。これからも頼りにしてる。』『ありがとうございます。頑張ります。』『それで作業場をここにしたいんだけどどうだろう?』『広いし良い場所だと思います。』『石鹸は衛生品だか...

  • 37

    あきらは出張でシンガポールへ来ていた。その日、司もシンガポールに居る事が分かり、早々に連絡を取り夕食を共にする事になった。シンガポールのメープルレストランで二人は久しぶりの再会を喜ぶ。二人はシャンパンで乾杯をした後食事をしながら会話を続ける。「よぉ。結婚式以来だな。元気にしてたか?」「まあな。司は相変わらず忙しそうだな。新婚なのに大変だな。」「仕方ねぇよ。」「キャサリンさんは順調か?」「あぁ。だい...

  • 36

    久しぶりにフランスに戻ってきた類を麗は出迎える。「お帰りなさい。」「ただいま。」「どうだった?大丈夫だった?」「ん。なんとか形になりそう。」「それは良かったわ。じゃあ当分ここで暮らすのよね?」「いや。社内会議をした後すぐに戻る。向こうで作業場を作り実際に製造を初めるから。」麗も無理は言えない。これは類が主導し製造する初めての商品で失敗する訳にはいかないと分かっている。「あっ、母さんにも感想を聞きた...

  • 35

    その夜、類が持ってきたブラックソープで早速顔と頭を洗う。「あっ、前回のよりも良い香りがする。泡も滑らか?」つくしは頭をタオルで巻いてトロの元へ行く。『トロ。石鹸はどうだった?』『凄く良いです。香りも良いし泡立ちも良いと思います。』『だよね。』『類は優しいですね。』『ん?確かに優しいね。』突然トロが類の話を始め、つくしは耳を傾ける。『類が初めて私たちの村に来た時に、村長は単に話を聞いてすぐに追い払う...

  • 34

    類と田村はラゴスへ向かった。そこはかなり近代化されており高層ビルもいくつも立っている。電線もあり至って普通の街が存在している。つくしが住んでいる村と同じ国とはとても思えないほどだ。そんな中、メモしていた物を買っていく。そして米と缶詰も買ったが、そのどれも海外産。つまり輸入品だ。この国は食料自給率が低く輸入に頼っている。その割に人口増加が顕著で食糧難に見舞われ多くの子供達が栄養失調で命を落としている...

  • 33

    その夜も類は診療所に泊まる。「牧野。ナイラとトロを雇ったんだけど、問題が一つある。」「何?」「字が読めない。この辺の女性は学校に行かないんだな。アドが行っていたからてっきり皆行っているものとばかり思ってた。」「へぇ。知らなかった。街の人なら通っているのかな?」「たぶんね。オヨ州の女性は文字が読めたから。」「だから類が苦労していた訳だ。」つくしは昼間の事を思い出しクスクス笑う。「紙に書いて壁に貼ろう...

  • 32

    翌朝、早朝にもかかわらず門の前には数人の患者が集まっていた。つくしは類から貰ったカップ麺を食べると診療所内のソファーで寝ている類を起こす。「ごめん。患者さんが来ているから門を開けたいの。寝るならあたしのベッドで寝て?」「ん?」類は体を起こすと大きなあくびを一つする。こんなところでぐっすり寝れるはずがないと思いながらソファーに横になった。だがここ数日あまり寝ていなかったせいかぐっすり眠れた自分に笑い...

  • 31

    「あたしが決めるの?」「俺はもう決めてるから。牧野と一緒にこの先の未来を歩むってね。だから後は牧野の気持ち次第かな?もちろんすぐに結論は出せないと思う。10年と言う月日があるし、俺とはほんの半年ほどの付き合いだからね。だから俺がここに通うよ。俺をしっかり見てそれから決めれば良い。」つくしは言葉にならない。嫌なわけがない。半年ほどの付き合いだけど、凄く助けられた。もちろんそれは今もだ。花沢類の言葉はい...

  • 30

    つくしは類がコーヒーを飲んでいる間にヤム芋を茹でてすりつぶしマッシュポテトのようにする。そして缶詰を開けてテーブルの上に置く。「はい。あたしがいつも食べている夕食。花沢類も食べるでしょ?」「ん。いただきます。マッシュポテトの量が多すぎない?」「昼食を抜くからこれぐらい平気で食べられるのよ。」つくしは笑いながら告げる。変わらぬつくしの笑顔に、類はホッとし嬉しくなる。医師になっても牧野は牧野だ!と思え...

  • 29

    「今夜はここに泊まっても良いかな?」「えっ?」「もっといろいろ話がしたい。この10年の事、何も知らないから。」「でも花沢類は仕事でしょ?」「そうなんだけど石鹸の乾燥に二週間かかるらしいから、その間は暇なんだ。とりあえずその様子は秘書に録画させてるから後で早送りで見れば大丈夫。それにそろそろ仕事再開だろ?終わるのは夜になるんじゃない?」「うん。そうなんだけど。」「俺は診療所のソファーにでも寝るから心...

  • 28

    つくしの居るナイジャー州の診療所に着いた類は、お土産の袋を手に車から降りる。ボディガードは診療所の入り口に待機させ、類一人で入る。つくしはすぐに類の姿に気が付いた。「あっ、花沢類。ごめんね。ちょっと待ってて。」「ん。ゆっくりでいい。」つくしは断りを入れた後、再び患者を診る。前回と同じように大勢の人で溢れている。類は邪魔にならないよう隅に立ち、つくしを観察するようにジッと見る。つくしは母親の話を聞き...

  • 27

    「実はこの前ナイジェリアに行ってきた。その理由は三条からブラックソープとジャングルハニーが手に入らないかと聞かれた事がきっかけ。牧野の居場所が知りたければその二つを何とかしろと言われて現地へ行ってみた。」「それがナイジェリアだったわけだ。」「そう。とりあえずジャングルハニーが取れる場所を調べ、そこで契約してもらえないか交渉していた時にかすり傷を負って診療所と言う流れ。この前三条にお礼を言ってきたん...

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