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りおりお
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2017/11/17

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  • 25

    4月29日類は早朝から福岡出張へ向かう。つくしも早く起きおにぎりとペットボトルのお茶を持たせる。「車の中ででも食べてください。」「ありがと。」「気をつけて。」「ん。牧野も早朝からご苦労様。この後、もう少し寝ると良い。」「はい。」つくしは類を見送るために玄関先へ出る。そこには花沢の車が既に待機していた。一泊以上の出張の場合、本宅から車を手配している。運転手もつくしの姿を見るとぺこりと頭を下げた。その...

  • 24

    その日、類が帰宅してからつくしは話を切り出した。「花沢さんはGWの予定はどうなっていますか?」「あぁ。ちょうど5月の予定を控えてきたところ。GWから国内出張が始まり時には一泊することもある。」類は胸ポケットから予定表を取り出しテーブルの上に置く。「見ても良いですか?」「どうぞ。その為に持って帰ってきたんだから。」つくしはマジマジと予定表を見る。そこにはびっしりと予定が記入され、遠い所は一泊二日の予定で...

  • 23

    GWを10日後に控え、類は自分のスケジュールを調べた。出張などはあらかじめ決められている。近場なら突然の変更はあり得るが泊りとなると宿の手配なども有り、早々スケジュールの変更はない。もちろん今までたいして気にも留めなかったが、今は同居人がいる。毎日食事を作ってくれているし、泊りがけの出張の場合は出来るだけ早く伝えておきたい。それを見るとGWの前半は一泊二日で福岡出張がある。それ以降も5月は泊まりの出張...

  • 22

    つくしの元へ長男の誠がやってきた。庭で苗の様子を見ていたつくしは、急いで玄関へ向かう。「誠兄ちゃん!」「元気か?」「うん。元気!突然どうしたの?」誠はつくしの様子を窺いながら家や周囲を見渡す。こうしてつくしが暮らしている家を目の当たりにしたのは初めてだ。引っ越しは弟の徹が手伝い、かなり小さな家だと話を聞いていた。まさにその通りで、花沢の御曹司は少し変わっていると思わざるを得ない。「花沢さんとは仲良...

  • 21

    類とつくしはホームセンターへ向かった。その入り口には沢山の花の苗が置いている。それを順に見て回る。「へぇ。沢山の花があるな。」「花の形が似ていても大きさが違うし値段もいろいろですね。」「だな。品種改良して名前が増えたのかも?分からないけど。」「初めてですから失敗しても気兼ねが無い安い物にしましょうか?」それを聞き類は笑いが漏れる。「失敗って。花を植えて水をあげるだけだろ?」「あたしもそう思うんです...

  • 20

    季節は冬から春へと変わっていた。類とつくしは穏やかな日々を過ごしていた。それは類が想像していたよりも穏やかだ。朝は起きると朝食が用意され、帰宅すると夕食が用意されている。3月頃までは22時から23時という遅い時間に帰宅していたが、必ず待ってくれていて一緒に食事をとる。それが今は20時までに帰れるようになりホッとする。食事をしながら今日あった一日の出来事を話すのだが、それは牧野が主になって話す。俺の...

  • 19

    月曜日類は6時に起きる。何時もは6時半に起きるところを朝食をとるために30分も早く起きた自分に苦笑する。一階に降りると既に朝食が食卓に用意されていた。それは昨夜の事。『明日は何時に仕事に行かれますか?」』『7時過ぎ。』『では6時頃に起きられますよね?朝食は洋食で良いですか?いつもはコーヒーだけと言っていたので。』起きられますよね?と疑問形ながら決定事項だった。三食食べさせるという義務を背負っているか...

  • 18

    スーパーに到着した二人。つくしはすぐにカートを手に取る。「俺が押すから。」「ありがとうございます。」つくしはカートを類に託すと店中に入った。入ると直ぐに野菜コーナーだ。その中で本日のお買い得品をチェックする。「ジャガイモが安い。肉じゃがにしようかな。」肉コーナーへ行ってもお買い得品をチェックする。「スペアリブが安い。買っておこう。」魚コーナーも同じように本日の目玉を注目している。類にしてみればそれ...

  • 17

    日曜日つくしはスッキリと目覚めることが出来た。外はまだ薄暗い。急いで布団を畳むと部屋の隅に置く。そして静かに階段を降り顔を洗うと洗濯機のスイッチを押す。洗濯機が回っている間に朝食の準備に取り掛かる。と言ってもサラダとスクランブルエッグとパンにヨーグルトという簡単な物だ。準備を終えると時計を見る。時刻はまだ7時前。勝手口から外に出ると明るくなり始め周囲の様子が伺える。東京都内だというのにシーンとし物...

  • 16

    「夕食が出来ましたよ~。」その声にリビングからダイニングテーブルへ移動する。そこには魚料理を中心にした和食が用意されていた。「お口に合うか分からないですけど、EDを治すには食事も大切らしいんです。特に高脂肪、高塩分はダメなんです。今まで外食で済まされていたようですが、まさにダメダメ食事だったみたいです。」「そうなんだ。」確かに外食は高カロリー、高塩分にまちがいないだろうけど、そもそもEDじゃないんだよ...

  • 15

    自宅に着いた二人。つくしはすぐに物干し竿を庭に置く。そして買い物袋を手に家の中へ入った。「すみません。予定していた時間をかなりオーバーしていますね。」「そう。だから心配になってさ。」類はそう告げながら、自分の行動がおかしい事に気づく。何で心配になった?単に使用人として一緒に住むだけの間柄。きちんとメモを残しているしスマホがあれば道に迷う事も無い。それなのに、、予定時間を30分過ぎたからと言って探しに...

  • 14

    昼食の後片付けをした後、つくしは掃除道具をチェックする。納戸がありその中に仕舞われていた。既に食事を終えた類はソファーで惰眠をむさぼっている為、掃除機は明日にすることにし風呂掃除へ取り掛かる。一人暮らしをしているにしてはかなり綺麗だ。しかもお風呂の掃除道具は納戸に仕舞われていた。つまりかなり几帳面な性格だと分かる。つくしが過ごしていた祖父母の家では、お風呂の掃除道具はお風呂の隅に置いていたからだ。...

  • 13

    スーパーで買い物を終えた後、つくしは自転車に乗り家へと向かって漕いでいたのだが途中から登り坂となり、自転車を降り押して歩く。「良い運動になりそう。」口から出るのはポジティブな言葉だ。無事自宅を出て一人暮らしではないが住む場所が見つかった。これで義母は文句を言わないだろうし、この先一人暮らしをする時もスムーズにいくだろう。それに兄が結婚し子供が生まれたら父や兄達もあたしに構うことはなくなるはず。やっ...

  • 12

    翌日、二番目の兄の徹が軽トラを手配し迎えに来た。そこに自転車と少量の荷物を乗せる。「これだけ?」「うん。断捨離していたらこれだけになって。」「お前なぁ。相手は花沢物産の御曹司だろ?服とか大丈夫か?」「うん。」「お金は持ってるか?何か必要なものがあれば花沢さんが買ってくれるとは思うけど万が一の為にも必要だろ?」徹は自分の財布を取り出し現金を手渡そうとする。それをつくしが止める。「大丈夫。あたしだって...

  • 11

    類は仕事を終え急いで指定された店に向かった。店内に入ると既に二人は始めており、ニヤリと笑みを浮かべた。「それで見合いはどうなった?」類は辟易とした表情で空いている席に座る。「どうもこうも、かなり心配された。」あきらと総二郎は大笑いを始める。嘘とはいえEDの御曹司は悲壮漂う哀れな男性として見合い相手に映ったと分かったからだ。「そう言うしかねぇよな。」「言葉では心配を口にし、心の中では驚きと躊躇いがせめ...

  • 10

    つくしは類の家から自宅に戻った後、すぐ父親に報告した。『花沢類さんの家に一緒に住む事になったので土曜日にこの家を出ます。』その報告に父親は一瞬間があった後、、『そうか。良かったな。』と突然の同棲宣言に戸惑いつつもホッとした返事があった。だが土曜日には用事があり引っ越しの手伝いが出来ないと言われ、代わりに二番目の兄の徹を寄越すと言われた。だったら自転車を持っていきたいのでトラックで来て貰えば助かると...

  • 9

    その夜、あきらと総二郎から電話があり報告は1月5日の初出の後でとなった。初出は忙しいと拒んだが二人が納得するはずもなく、類はこの経緯をどこまで話すべきか悩み数日を過ごした。まずは父親に牧野つくしという人物の事を確認してからだと思いながら。そして1月5日を迎えた。類は少し早めに出社し社長室へ向かった。すると父親に満面の笑みで迎えられた。「さっそく報告に来てくれたのか?」「そんなに良い報告ではないのです...

  • 8

    運転手は類が女性を伴い乗り込んだことに内心ビックリした。だが表情には出さずそのまま類の自宅へと車を発進させる。そうしながらも後ろの二人の会話を漏らさぬよう聞いていた。「一応東京都だけど周囲を山に囲まれてる場所だけど。」「はい。」揺るがないな。「駅まで徒歩30分だけど。」「自転車に乗れるので大丈夫です。」お嬢様が自転車で駅まで?「車は?」「免許はあるんですけど車は持ってないです。」免許は持っているんだ...

  • 7

    類は過去の失恋により恋愛が恐くなり、それを見かねた父親が見合いの席を用意したと判断する。「恋愛に否定的って事?失恋したとか?」「いいえ。恋愛をした事がありません。ただ家庭を持ちたくないだけです。」「なんでそこまで?でも恋愛ではなく政略結婚させられるかもしれないけどそれで良いの?」「いえ。きっと政略結婚も無いと思います。今回は父の気まぐれだと思っていますから。」きまぐれ?俺との見合いが?そんなにハー...

  • 6

    つくしは診断書を手に取る。そこにはED(勃起障害)と書かれている。「大学を出てからこの状態。だから誰とも付き合っていないし付き合おうとも思わない。何も知らない父親は色んな女性との会食の場を設けてくれるけど、そもそもこんな体では結婚は出来ない。相手にも失礼だからね。だからこの話は、、、」「ずっと一人で悩まれていたんですか?」つくしは類の続く言葉を遮り尋ねる。これはすごく大変なことだ。確か御曹司はまだ2...

  • 5

    1月3日。つくしは11時20分にメープルへ到着した。そしてフランス料理店へと向かうと入り口のボーイに告げた。「花沢様で予約している者ですが。」「伺っております。こちらへどうぞ。」つくしは緊張しながら歩く。メープルは父親の仕事の関係で何度か訪れた事はあるがそのどれも会議室だった。その為、高級レストランに緊張している。というのもドレスコードがあるからだ。そこまで厳しい物ではないが女性はワンピースやスー...

  • 4

    あきらは初めて他人に自分の気持ちを打ち明け、照れた表情を見せながら話す。「母親のマナー教室へ通っている女性なんだけど、いつの間にか妹達と仲良くなっててさ。俺に色々聞かせるから一度見てみようかと教室を覗いた時に妹に紹介されたんだけど、俺に取り入ろうとはしないし自分をアピールもしねぇ。単なるお兄さんという扱いでさ。マナー教室は美作の名前は一切出していねぇし、そこのオーナーが美作商事の社長夫人とも書いて...

  • 3

    類とつくしの会食の日取りが決まった。それは年明けの1月3日だ。聡はすぐに類に社内電話をかける。『類。1月3日にメープルで会食をするように。』「この前、話していた人?」『そうだ。』やっぱり、、と類は思う。あの時は相手が断る可能性があると示唆していたが、やはり断る事は無かった。つまり相手の女性も会食の相手が俺だと聞いて乗り気になったんだろう。「食事をするだけで良いんだよな?」『もちろんその後に気が合うな...

  • 2

    聡は本村と別れた後、すぐに類の執務室へ向かった。「何?」「まだ日程は決まっていないが会食へ行ってもらうことになるからそのつもりで。」「また?」類はあからさまに嫌そうな顔を見せる。「もちろん会食の場すら断られる可能性もあるがな。」「断られる?」類にしてみれば考えられない事だ。花沢物産御曹司との会食を断る女性がいるとは思えない。何時も俺が嫌がっているからそう言えば乗り気になると考えているとしたらお粗末...

  • 1

    12月末。花沢物産本社ビルに政治家の本村が秘書二人を引き連れやってきた。そして会議室で社長の聡と面会した。「こんにちは。いつもお世話になっています。」「こちらこそお世話になっています。」二人は固い握手を交わす。「今回の選挙も無事当選できました。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。」「いえ、こちらは大したことはしておりません。」二人はどっしりとソファーに腰を下ろす。「かねてより伺っていました道路拡張工事...

  • 62

    結婚式類は緊張の面持ちでつくしが入ってくるのを待っていた。参列席には類とつくしの家族その後ろにあきら、総二郎、桜子夫妻、滋が座っている。するとドアがバンッと開き、司が入ってきた。皆はつくしが入ってくると思っていた為、驚く。「お前なぁ。来るならもう少し早く来いよ。」「悪りぃ。さっき着いたばかりで、これでも車を飛ばしてきたんだぜ。」「こっち来いよ。」あきらと総二郎は司を自分たちの真ん中に座らせると、類...

  • 61

    類とつくしは結婚式の為、東京へ向かった。そして挙式前日には、花沢家の好意でつくしは家族水入らずでホテルで一泊することになった。久しぶりの再会に、つくしは晴男、千恵子、そして進と順にハグをする。「つくし、おめでとう。」「元気そうで良かったわ。」「まさか姉ちゃんが花沢さんと結婚するとは思わなかった。」「それはあたし自身が思ってること。人生何があるか分からないね。」三人はつくしが一段と綺麗になり笑顔でい...

  • 60

    夕食は楽しい物となった。久しぶりの豪華なディナーにつくしは舌鼓を打つ。「美味しい。それにやっと生野菜が食べられます。」「そういえば向こうでの食事はどういう物だったの?」「ヤム芋を蒸した物を潰してマッシュポテトにしたり、おかずは缶詰が多かったです。でも類さんがカップ麺を持ってきてくれてそれはそれは凄く美味しくて。」「日本では塩分が高いとか良いイメージを持たれないカップ麺も、ナイジェリアでは貴重な物だ...

  • ありがとうございました

    『今、幸せ?』の作品に沢山のコメントありがとうございました。期間が短く最後まで読めなかった方からもう一度公開を望む声がありました。また最後まで読まれた方からも、もう一度読み返したいというお声も多数ありました。一度きりの公開と決めていましたが少し考えますね。今日も石川県で大きな地震があり、何時どこで起きるか分からない状況。物価が上がり、食材も信じられない価格になり、今月から電気代も上がるとか。「やっ...

  • 59

    司と楓の会談から一週間後、キャサリンの陣痛が始まった。司は仕事中だったが急いで病院へ駆けつける。そこにはキャサリンの母親もいた。『そろそろですね。』『司さんも待ち遠しいでしょう?』『はい。どちらが生まれるか楽しみです。』司はドキドキしていた。子供が生まれる事でやっと白黒つけられると思っているからだ。《どちらが生まれるか楽しみ》というのは、自分の子供かそうでないかという意味で言っている。もちろん母親...

  • 58

    類は仕事を終えると直ぐつくしの病院へ向かった。コンコン『はい。』つくしの声が聞こえ類はそっとドアを開ける。「俺。」「いらっしゃい。仕事はどうだった?」「順調。社員もやる気満々で発売を待つばかり。」「何とか成功させたいね。」「是が非にでもね。」類は近くの椅子に座るとつくしの手を握る。「ご飯は食べた?」「うん。」「言葉はどう?」「全く分からない。医師は英語で話してくれる人もいるけど看護師はほとんどフラ...

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