※こちらの作品はおちゃめママ様へ献上した作品となります。つくしは苺を洗うとヘタを取り一口大に切る。そして数個の苺は更に小さく切りお子様スプーンも添え皆の待つリビングへ向かった。そこには今か今かと苺の到着を待っている娘の愛がいる。愛は類とつくしの長女で3歳になる。「お待たせ。」「ママ!あたちが恭にあげる。」「分かった。」「ちょっと待って。恭を座らせるから。」恭とは類とつくしの長男で1歳だ。最近すっかり...
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※こちらの作品はおちゃめママ様へ献上した作品となります。つくしは苺を洗うとヘタを取り一口大に切る。そして数個の苺は更に小さく切りお子様スプーンも添え皆の待つリビングへ向かった。そこには今か今かと苺の到着を待っている娘の愛がいる。愛は類とつくしの長女で3歳になる。「お待たせ。」「ママ!あたちが恭にあげる。」「分かった。」「ちょっと待って。恭を座らせるから。」恭とは類とつくしの長男で1歳だ。最近すっかり...
我が家のブログにお越しいただきありがとうございました。類君とつくしちゃんを幸せにするお話を、、、と思い、書き始めて約12年になります。まさかこれほど続くとは思いませんでした。皆様の温かなコメントに支えながら何とかやってきたのですが、今は全く妄想が浮かびません。沢山の作品が生まれネタが尽きました。もちろん12年という月日は老いていく事にも繋がり、ここ数年は浮かんだ妄想がなかなか文字として書けなくて(...
一年後の夏。陽向も心陽も、しっかりと歩くようになっていた。最近は10か月ごろから歩く子供もいるというが、未熟児で生まれ3か月も保育器に入っていた為、そこを0か月として発育状況を見るらしく成長に問題はなさそうだ。「順調だね。」「ん。 首も秋ごろには座ったし、そこからすぐに寝がえりを始め、気づいたらズリズリと動き出し、ハイハイを初めてつかまり立ち?」「誕生日を迎えた頃にはしっかりつかまり立ちが出来てた...
4月になり、つくしは入院することにした。というのもこれから何があるか分からないため、万が一の時はすぐ対応できるようにだ。それに28週を過ぎた為、運動は極力避けた方が良いと言われた事も有り、家でジッとしているなら入院した方が安心という事になった。もちろん日中は麗が、仕事終わりに類が毎日来る。「どう? 変わりはない?」「うん。 元気すぎてお腹の中で暴れ回ってる。 二人がそれぞれ動くからお腹が張り裂けそ...
シリウスの元にデイジー村のギルド長から手紙が届いた。 定期的にリチャードに関する報告を貰っている。再びリチャードを王位に据えようとする貴族が接触していないか、本人にその意志がみられないか、リチャードが困っていることは無いかといった物だ。だがシリウスの思惑に反し兄はリカルドとして不便な生活を受け入れ、平民として働いている。せめて少しでも生活がしやすいようにと、魔道具の普及も急いだ。半年ほど前には村娘...
三日後、メアリーから電話があった。予想通り、あの世界へ戻るという返事だった。その為、週末に類と共にアレッタの店へ向かった。「お忙しい中、すみません。」「いいえ。」「いろいろ考えたのですが、アレッタさんにメアリーの姿を見せたくて戻る事を決断しました。」「ご主人はもうこの世界に戻れなくなりますが、それで良いんですね?」「はい。 私はメアリーと共にあの世界に骨を埋めます。 それとお言葉に甘えてこの店と自...
週末、類とつくしは子供服売り場へ向かった。小さな服はとても可愛いが、今はまだどちらが生まれるか分からない。その為、産着のみを数着買った。「男の子二人とか女の子二人なら、お揃いの服も良いな。」「形は同じで色違いとかも良いね。」「男女の双子でも一歳ぐらいまではそれで良いんじゃない?」「うん。 でも可愛いね。」「だな。」それから少し早いがアレッタの店へ向かった。小さな店で看板には漢字とカタカナで『異国料...
翌、月曜日。類の元にあきらがやってきた。「あのよぉ。 牧野さんなんだが美作が経営しているレストランのアルバイトに24歳の牧野さんがいるんだ。 だが髪の毛は茶髪なんだが、髪の色ぐらい変わる物だし会ってみるか?」あの後も裾野を広げて調べてくれていた親友に、嬉しさと申し訳なさが同時に込み上げてくる。そして再会後、バタバタしすぎて親友に報告していなかったことに気づいた。「ごめん。 見つかったんだ。」「えっ...
土曜日、類とつくしは長崎へ向かった。つくしは結婚したい相手を連れて行くと電話で連絡していた。「初めまして。 花沢類と申します。 つくしさんとの結婚をお許しください。」類はつくしの両親を前にすぐに頭を下げる。両親は俳優のような容姿の類に驚きつつも、娘のつくしに自然に目が向かう。どう見ても出産間近だ。「えっと。 つくし? あなた妊娠してるの?」「うん。 順番が逆でごめん。」結婚したい人がいるから会って...
二人っきりになり、類は改めてつくしに向き合うとポケットから小袋を取り出す。異世界で肌身離さず身に着けてた小袋だ。その中身を取り出しながら話す。「無事こうして戻ってきたんだけど、服装はあの時のままだった。 ただ傷は一切なかった。 もちろん服には大きな穴が開いていたし血も付着していた。 そして小袋には魔法陣の消えた紙切れとドラゴンの鱗、シリウスから貰った銀のプレートが入ってた。 枕の下に敷いていた紙も...
佳代は類の声に急いで玄関へ向かう。しかも珍しく「ただいま」という声まで聞こえた。どういう心境の変化だろうか?という気持ちが湧く。すると玄関に類が女性と手を繋いでいる姿が目に飛び込む。類がこうして女性と手を繋いでいる姿を見るのが初めてで動揺が走るが、努めて冷静を装い出迎えた。「お帰りなさいませ。」「佳代。 こちら俺の妻。」「妻!!?」動揺を隠していたが『妻』という言葉に、冷静さを失い驚きの声が出てい...
レストランを出ると類はすぐに花沢の車を呼んだ。「ちょっと待ってて。 20分程で車が来るから。」「うん。 あっ、だったら私の職場に来てくれない?」「あんたどこで働いていたの?」「フリーペーパーの編集部。 と言っても来月号で廃刊で会社は倒産。 あたしは今日付で倒産に伴う解雇になったんだけどね。」(類:フリーペーパー編集部? 確かに俺達のどこにも関連がない会社だよな。 だから見つからなかったんだ。)「社長...
つくしは駅に隣接しているショッピングモールに入った。バレンタインが近づいているという事で、店内は至る所にバレンタインを意識したものとなっており、一部コーナーはチョコ売り場となっている。(つ:社長に最後にチョコを渡せば良かったなぁ。 妊娠が分かってからの社長は物凄く優しくていろいろな物を差し入れしてくれたし。 まあ私が辞めたら社長一人で紙面づくりをしないといけないからってところもあったんだろうけど、...
クリスマス。この日もつくしは仕事をしていた。社内には社長もいる。身重でありながらこのような日にも仕事をしているし、土曜日も出勤しているのを見て察しているがなかなか事情を聞けないでいる。「牧野。 そろそろ帰ったらどうだ?」「はい。 これが終われば帰ります。」「年末年始はどうするんだ?」「家に居ますよ。 実家は九州なので混み合う時期に移動は避けたいので。」「まあそうだよなぁ。 きちんと親には話している...
12月つくしは土曜日も出勤し紙面づくりを行っている。その代わり平日は18時ごろには帰るようにした。そして社長が何かと気を遣ってくれるようになった。取材帰りに果物やジュースなどを買って帰ってくる。「あまり食欲がないだろ? でも何か口に入れろよ。」「ありがとうございます。」街はいつの間にかクリスマス仕様になっている。(つ:類もどこかでこの雰囲気を味わっていると良いなぁ。)そう思いながら自宅へと急いだ。...
つくしは忙しい仕事の合間にコッソリ産婦人科へ行った。休日は無いし、サービス残業の日々なのだからこれぐらい許されるだろうという気持ちだ。検査薬で陽性反応が出ているため間違いは無いだろうが、出産予定日など今後の事を決めたかった。「おめでとうございます。 双子ですね。 8週目で三か月に入ったところです。 予定日は5月25日ごろですね。」「双子?」まさか双子とは思わなかったつくしは、呆けた顔で確認した。その...
類は、ハッと目を開け飛び起きると腹を押さえる。だが、、、血は出ていない。痛みもない。どういう事?そう思いながら周囲を見渡す。「俺の部屋?」自分のベッドの上だ。しかも一人だ。「牧野? 牧野は?」周囲を見るがつくしの姿はない。「夢?」そう思いながらベッドから起き上がり自分の服を見る。それは乗合馬車に乗った時の服で、切られた箇所には穴が開き血が付着している。靴も履いている。だが、、腹に傷はない。もちろん...
それは一瞬の出来事だった。馬上の騎士達、そして乗合馬車から降りた男も崖を覗き込む。確かに二人が落ちていく姿が確認できたが、突然まばゆい光が現れ目を閉じた為、二人の行方が分からなくなった。「まさか、飛び降りるとは。」「聖女様はどうします? 森へ入りますか?」「いや。 この高さから落ちたら生きてはいないだろう。 万が一、生きていたとしても魔物が住む森ではさすがの聖女様でもどうすることも出来ない。」「あ...
翌朝、宿の人にクルクマへ行く乗合馬車を確認しチェックアウトした。時間まで村を散策する。昨日の商人の店の前に来た時に、たまたま店内に居た商人が二人を見て店から出てきた。「今から行かれるんですか?」「はい。」「この先の山を越えるんですけど、片側は断崖絶壁なんですが景色は凄く良いですよ。 半日はかかりますが、途中トイレ休憩しかないので何か食べる物を持っていかれた方が、、、あっ、是非このピーアを持って行っ...
類とつくしは王都内のギルド商会を訊ねた。類の姿を見たギルド商会長は直ぐに奥の部屋へ二人を通す。「いやぁ。 この方がマキノ殿かぁ。 本当に連れ出せたんだなぁ。」「その節はお世話になりました。 こうして無事、妻を連れ出すことが出来ました。」「いやぁ。 それにしても話に聞いてはいたが、こんなに綺麗な女性とは。 画家を呼んで姿絵を一枚作らせたいほどですよ。」「困りますね。 たとえ姿絵だとしても妻は俺だけの...
季節は冬から春へと変わっていた。類とつくしは穏やかな日々を過ごしていた。それは類が想像していたよりも穏やかだ。朝は起きると朝食が用意され、帰宅すると夕食が用意されている。3月頃までは22時から23時という遅い時間に帰宅していたが、必ず待ってくれていて一緒に食事をとる。それが今は20時までに帰れるようになりホッとする。食事をしながら今日あった一日の出来事を話すのだが、それは牧野が主になって話す。俺の...
月曜日類は6時に起きる。何時もは6時半に起きるところを朝食をとるために30分も早く起きた自分に苦笑する。一階に降りると既に朝食が食卓に用意されていた。それは昨夜の事。『明日は何時に仕事に行かれますか?」』『7時過ぎ。』『では6時頃に起きられますよね?朝食は洋食で良いですか?いつもはコーヒーだけと言っていたので。』起きられますよね?と疑問形ながら決定事項だった。三食食べさせるという義務を背負っているか...
スーパーに到着した二人。つくしはすぐにカートを手に取る。「俺が押すから。」「ありがとうございます。」つくしはカートを類に託すと店中に入った。入ると直ぐに野菜コーナーだ。その中で本日のお買い得品をチェックする。「ジャガイモが安い。肉じゃがにしようかな。」肉コーナーへ行ってもお買い得品をチェックする。「スペアリブが安い。買っておこう。」魚コーナーも同じように本日の目玉を注目している。類にしてみればそれ...
日曜日つくしはスッキリと目覚めることが出来た。外はまだ薄暗い。急いで布団を畳むと部屋の隅に置く。そして静かに階段を降り顔を洗うと洗濯機のスイッチを押す。洗濯機が回っている間に朝食の準備に取り掛かる。と言ってもサラダとスクランブルエッグとパンにヨーグルトという簡単な物だ。準備を終えると時計を見る。時刻はまだ7時前。勝手口から外に出ると明るくなり始め周囲の様子が伺える。東京都内だというのにシーンとし物...
「夕食が出来ましたよ~。」その声にリビングからダイニングテーブルへ移動する。そこには魚料理を中心にした和食が用意されていた。「お口に合うか分からないですけど、EDを治すには食事も大切らしいんです。特に高脂肪、高塩分はダメなんです。今まで外食で済まされていたようですが、まさにダメダメ食事だったみたいです。」「そうなんだ。」確かに外食は高カロリー、高塩分にまちがいないだろうけど、そもそもEDじゃないんだよ...
自宅に着いた二人。つくしはすぐに物干し竿を庭に置く。そして買い物袋を手に家の中へ入った。「すみません。予定していた時間をかなりオーバーしていますね。」「そう。だから心配になってさ。」類はそう告げながら、自分の行動がおかしい事に気づく。何で心配になった?単に使用人として一緒に住むだけの間柄。きちんとメモを残しているしスマホがあれば道に迷う事も無い。それなのに、、予定時間を30分過ぎたからと言って探しに...
昼食の後片付けをした後、つくしは掃除道具をチェックする。納戸がありその中に仕舞われていた。既に食事を終えた類はソファーで惰眠をむさぼっている為、掃除機は明日にすることにし風呂掃除へ取り掛かる。一人暮らしをしているにしてはかなり綺麗だ。しかもお風呂の掃除道具は納戸に仕舞われていた。つまりかなり几帳面な性格だと分かる。つくしが過ごしていた祖父母の家では、お風呂の掃除道具はお風呂の隅に置いていたからだ。...
スーパーで買い物を終えた後、つくしは自転車に乗り家へと向かって漕いでいたのだが途中から登り坂となり、自転車を降り押して歩く。「良い運動になりそう。」口から出るのはポジティブな言葉だ。無事自宅を出て一人暮らしではないが住む場所が見つかった。これで義母は文句を言わないだろうし、この先一人暮らしをする時もスムーズにいくだろう。それに兄が結婚し子供が生まれたら父や兄達もあたしに構うことはなくなるはず。やっ...
翌日、二番目の兄の徹が軽トラを手配し迎えに来た。そこに自転車と少量の荷物を乗せる。「これだけ?」「うん。断捨離していたらこれだけになって。」「お前なぁ。相手は花沢物産の御曹司だろ?服とか大丈夫か?」「うん。」「お金は持ってるか?何か必要なものがあれば花沢さんが買ってくれるとは思うけど万が一の為にも必要だろ?」徹は自分の財布を取り出し現金を手渡そうとする。それをつくしが止める。「大丈夫。あたしだって...
類は仕事を終え急いで指定された店に向かった。店内に入ると既に二人は始めており、ニヤリと笑みを浮かべた。「それで見合いはどうなった?」類は辟易とした表情で空いている席に座る。「どうもこうも、かなり心配された。」あきらと総二郎は大笑いを始める。嘘とはいえEDの御曹司は悲壮漂う哀れな男性として見合い相手に映ったと分かったからだ。「そう言うしかねぇよな。」「言葉では心配を口にし、心の中では驚きと躊躇いがせめ...
つくしは類の家から自宅に戻った後、すぐ父親に報告した。『花沢類さんの家に一緒に住む事になったので土曜日にこの家を出ます。』その報告に父親は一瞬間があった後、、『そうか。良かったな。』と突然の同棲宣言に戸惑いつつもホッとした返事があった。だが土曜日には用事があり引っ越しの手伝いが出来ないと言われ、代わりに二番目の兄の徹を寄越すと言われた。だったら自転車を持っていきたいのでトラックで来て貰えば助かると...
その夜、あきらと総二郎から電話があり報告は1月5日の初出の後でとなった。初出は忙しいと拒んだが二人が納得するはずもなく、類はこの経緯をどこまで話すべきか悩み数日を過ごした。まずは父親に牧野つくしという人物の事を確認してからだと思いながら。そして1月5日を迎えた。類は少し早めに出社し社長室へ向かった。すると父親に満面の笑みで迎えられた。「さっそく報告に来てくれたのか?」「そんなに良い報告ではないのです...
運転手は類が女性を伴い乗り込んだことに内心ビックリした。だが表情には出さずそのまま類の自宅へと車を発進させる。そうしながらも後ろの二人の会話を漏らさぬよう聞いていた。「一応東京都だけど周囲を山に囲まれてる場所だけど。」「はい。」揺るがないな。「駅まで徒歩30分だけど。」「自転車に乗れるので大丈夫です。」お嬢様が自転車で駅まで?「車は?」「免許はあるんですけど車は持ってないです。」免許は持っているんだ...
類は過去の失恋により恋愛が恐くなり、それを見かねた父親が見合いの席を用意したと判断する。「恋愛に否定的って事?失恋したとか?」「いいえ。恋愛をした事がありません。ただ家庭を持ちたくないだけです。」「なんでそこまで?でも恋愛ではなく政略結婚させられるかもしれないけどそれで良いの?」「いえ。きっと政略結婚も無いと思います。今回は父の気まぐれだと思っていますから。」きまぐれ?俺との見合いが?そんなにハー...
つくしは診断書を手に取る。そこにはED(勃起障害)と書かれている。「大学を出てからこの状態。だから誰とも付き合っていないし付き合おうとも思わない。何も知らない父親は色んな女性との会食の場を設けてくれるけど、そもそもこんな体では結婚は出来ない。相手にも失礼だからね。だからこの話は、、、」「ずっと一人で悩まれていたんですか?」つくしは類の続く言葉を遮り尋ねる。これはすごく大変なことだ。確か御曹司はまだ2...
1月3日。つくしは11時20分にメープルへ到着した。そしてフランス料理店へと向かうと入り口のボーイに告げた。「花沢様で予約している者ですが。」「伺っております。こちらへどうぞ。」つくしは緊張しながら歩く。メープルは父親の仕事の関係で何度か訪れた事はあるがそのどれも会議室だった。その為、高級レストランに緊張している。というのもドレスコードがあるからだ。そこまで厳しい物ではないが女性はワンピースやスー...
あきらは初めて他人に自分の気持ちを打ち明け、照れた表情を見せながら話す。「母親のマナー教室へ通っている女性なんだけど、いつの間にか妹達と仲良くなっててさ。俺に色々聞かせるから一度見てみようかと教室を覗いた時に妹に紹介されたんだけど、俺に取り入ろうとはしないし自分をアピールもしねぇ。単なるお兄さんという扱いでさ。マナー教室は美作の名前は一切出していねぇし、そこのオーナーが美作商事の社長夫人とも書いて...
類とつくしの会食の日取りが決まった。それは年明けの1月3日だ。聡はすぐに類に社内電話をかける。『類。1月3日にメープルで会食をするように。』「この前、話していた人?」『そうだ。』やっぱり、、と類は思う。あの時は相手が断る可能性があると示唆していたが、やはり断る事は無かった。つまり相手の女性も会食の相手が俺だと聞いて乗り気になったんだろう。「食事をするだけで良いんだよな?」『もちろんその後に気が合うな...
聡は本村と別れた後、すぐに類の執務室へ向かった。「何?」「まだ日程は決まっていないが会食へ行ってもらうことになるからそのつもりで。」「また?」類はあからさまに嫌そうな顔を見せる。「もちろん会食の場すら断られる可能性もあるがな。」「断られる?」類にしてみれば考えられない事だ。花沢物産御曹司との会食を断る女性がいるとは思えない。何時も俺が嫌がっているからそう言えば乗り気になると考えているとしたらお粗末...
12月末。花沢物産本社ビルに政治家の本村が秘書二人を引き連れやってきた。そして会議室で社長の聡と面会した。「こんにちは。いつもお世話になっています。」「こちらこそお世話になっています。」二人は固い握手を交わす。「今回の選挙も無事当選できました。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。」「いえ、こちらは大したことはしておりません。」二人はどっしりとソファーに腰を下ろす。「かねてより伺っていました道路拡張工事...