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  • 「さいわい住むと人のいう」 菰野江名

    「さいわい住むと人のいう」(菰野江名著2024年9月ポプラ社332p)を読みました。2024年を起点にして章が進むにつれて2024→2004→1989→1964ときっちり20年ずつ過去に戻って行く物語。主人公は表紙絵に描かれている家とこの家に住む姉妹桐子と百合子2024年現在は80歳になっている。この家を建てたのは60歳の時第1章に登場する市役所の地域福祉課の職員青葉は姉妹2人だけで住む家としては大き過ぎるのではないかと思う。中に入ってみると華美ではないものの彫刻された手すりのある螺旋階段やシャンデリアもある。2階に案内された青葉は書斎の窓から見える桜にかすかに記憶があるような気がした。百合子が出してくれた稲荷寿司にも……独身のまま中学校教師として働いて来た百合子はなぜこんな大きな家を建てたのかそれも退職...「さいわい住むと人のいう」菰野江名

  • 「魚食の人類史」 島泰三

    NHKブックス「魚食の人類史出アフリカから日本列島へ」(島泰三著2020年7月NHK出版238p)を読みました。専門はサル学だけど魚屋さんの息子でどこに調査に行ってもつい魚に目が向くという著者の熱量のある一冊。人類の歯を見ると臼のように磨りつぶす働きをする歯が多い。非力な人類は肉食動物の食べ残しの骨を(肉も少しはついていた)安全なところまで運んで石で砕いて食べていたのだと著者は言う。やがて武器を使うことを身につけた人類は動物を狩るようになった。(昔は大きなマンモスを寄ってたかって仕留めようとしている絵なんかがあったけどそれは今はもういないネアンデルタールの姿であったらしい)ネアンデルタールは逞しい体と(石器を握る)ものすごい握力で大型の動物を狩っていた。ほぼ肉食のネアンデルタールは大型動物の絶滅とともに姿...「魚食の人類史」島泰三

  • 「イグアナの花園」 上畠菜緒

    「イグアナの花園」(上畠菜緒著2024年9月集英社329p)を読みました。誰かが書いていた。「ずっと自分の星でないところにいるような気がしていた」主人公・美苑はそんな人。ストーリーの予想は次々に覆される。植物学者の父と活け花の先生の母のひとり娘である5年生の美苑は生き物を「ずっと見ている」のが好きだったけれど同級生には関心が薄く名前も顔もよく覚えていない。「友だちができるといいね」という父の言葉を聞いて声を掛けてきた同級生の女子と友だち風な行動を取ってみるもうまくいかない。ということは小学生のいじめの話?という予想は覆される。美苑は傷ついた蛇を見つける。父の同僚の動物学者・児玉先生に手当てしてもらって蛇の世話をしているうちに蛇の言葉が(脳から脳にダイレクトに伝わる)分かるようになる。「友達って何?」と蛇に...「イグアナの花園」上畠菜緒

  • 「名探偵の有害性」 桜庭一樹

    久しぶりの桜庭一樹「名探偵の有害性」(桜庭一樹著2024年8月東京創元社397p)を読みました。表紙絵の2人は名探偵の五狐焚(ごこの)風と助手の鳴宮夕暮20代の頃にマスコミでもてはやされた4探偵の1人だったけれど(再現ドラマが作られ鳴宮が事件のことを書いた本も出版された)今は50代(絵は50代にはあんまり見えませんが)作詞した歌の印税でそれなりに暮らしている風と実家だった喫茶店を夫とともに営んでいる鳴宮はある日突然YouTubeに上げられて時の人になってしまう「名探偵(風)は有害(迷惑)だった」ということで。2人は過去の事件の現場を訪ねる旅に出る。被害者だった人加害者だった人(刑期を終えている人もいる)容疑者だった人……事件が終わっても彼らの人生は続いていたのだということを容赦なく見せつけられる旅……それ...「名探偵の有害性」桜庭一樹

  • 「書いてはいけない」 森永卓郎

    「がん告知の瞬間私は何かを食べたいとかどこかに行きたいとかそんなことは微塵も考えなかった。なんとか自分の命のあるうちにこの本を完成させて世に問いたいそのことだけを考えた」本書は遺書だという森永さん。ということで「書いてはいけない日本経済墜落の真相」(森永卓郎著2024年3月三五館シンシャ203p)を読みました。内容は3つジャニーズの性加害問題財務省のカルト的財政緊縮主義日本航空123便の墜落事件2つは分かるけど日本航空123墜落事件?(森永さんは事故ではなく事件だと書いている)読んで怖い話だと思った。図が添付されている。異常事態が発生してから123便は横田基地に着陸しようとしている。それが出来なかったから(!)北に向かったのだ。現場の遺物からはベンゼンが検出された。(「日航機123便墜落遺物は真相を語る」...「書いてはいけない」森永卓郎

  • 「陥穽 陸奥宗光の青春」 辻原登

    「陥穽(かんせい)陸奥宗光の青春」(辻原登著2024年7月日経BP559p)を読みました。陸奥宗光といえば「日本外交の父」だそうですがあんまりよく知りません。その陸奥宗光が主人公。出てくるわ出てくるわ有名人の数々坂本龍馬勝海舟桂小五郎アーネスト・サトウ西郷隆盛伊藤博文……宗光は、ものすごい記憶力を持っていて勝海舟が桂小五郎に密書を送る際に用紙7枚分を暗記させ人間密書として遣わされたとか坂本龍馬の海援隊でも片腕として活躍し武士という身分が無くなってもやっていけるのは自分と陸奥だけだと坂本龍馬に言わしめたとか政府転覆を企てた罪で仙台の監獄に収監されながらもベンサムの原書「道徳及び立法の諸原理序説」を訳していたとかヨーロッパに外遊して憲法について学んでいた伊藤博文が「これは、もう、俺一人の頭では駄目だ」と呼び寄...「陥穽陸奥宗光の青春」辻原登

  • 「冬季限定ボンボンショコラ事件」 米澤穂信

    「冬季限定ボンボンショコラ事件」(米澤穂信著2024年4月東京創元社431p)を読みました。2004年に始まったシリーズの最終章だそうです。シリーズの探偵役は高校生の小鳩君と小佐内さんある雪の降った日2人で歩いていた時に小鳩君は轢き逃げに遭う。大腿骨が折れ小鳩君は手術を受ける。どうやら大学受験は無理らしい。小鳩君は安楽椅子探偵ならぬ寝台探偵になってしまったのだ。そこで考えたのが……(ところが眠くて眠くてたまらない。夜に見舞いに来てくれているらしい小佐内さんと話をすることもままならないほど)中学3年の時に小佐内さんが遭遇した轢き逃げ事件のことだ。同級生の日坂君を轢いた車は小佐内さんに向かって来たのだ。小佐内さんは危く難を逃れる……3年前には解くことのできなかった事件を小鳩君は考え始める……シリーズの最終章に...「冬季限定ボンボンショコラ事件」米澤穂信

  • 「眠れない夜に思う、憧れの女たち」 カンキマキ

    「清少納言を求めて、フィンランドから京都へ」の著者の2作目「眠れない夜に思う憧れの女たち」(ミア・カンキマキ著2024年6月草思社550p)を読みました。著者憧れの先人女性を取り上げその旅先まで行った記録です。女性が一人で旅をすることなど考えられなかった時代ズボンをはくことをはしたないと思われていた時代馬に乗るのは横乗りが普通だった時代に旅をした女性たち。カレン・ブリクセンイザベラ・バードイーダ・プファイファーメアリー・キングスリーアレクサンドラ・ダヴィッド・ネールネリー・ブライが取り上げられる。(この時代、彼女らが書いた旅行記が大ヒット)(カレンの暮らした)アフリカにミアは行く。「そこから見える光景に息を呑む。目の前には雲に縁どられた雪を戴くキリマンジャロその向こうに夕陽を浴びるメルー山下方に大小のモメ...「眠れない夜に思う、憧れの女たち」カンキマキ

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