chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 「恐竜時代が終わらない」 川野辺太郎

    「恐竜時代が終わらない」(川野辺太郎著2024年5月書肆侃侃房177p)を読みました。児童文学ではありません。「父の遺してくれた話を夜道のランタンのようにかざして現実の自分の無力さをやり過ごしながらどうにかわたしは育っていきました」という主人公。「父の遺してくれた話」というのは恐竜の話だ。物語は入れ子構造になっている。ひとり暮らしの「わたし」はある日「わたし」の語りを聞きたいと世界オーラルヒストリー学会の支部長という人がやって来る。入れ子の中の恐竜の話では主人公は草食恐竜の子エミリオ。日がな一日草を食む暮らしに疑問を抱くようになったエミリオは(草はそんなに美味しくないし消化のために石も飲み込まなくてはならない)ある日肉食恐竜の子ガビノと出会う。その時エミリオは父さんの言葉を思い出す。「死んでしまったマルコ...「恐竜時代が終わらない」川野辺太郎

  • 「しぶとい十人の本屋」 辻山良雄

    「しぶとい十人の本屋生きる手ごたえのある仕事をする」(辻山良雄著2024年6月朝日出版社355p)を読みました。著者は書店「title」の店主「いつの間にか踊り場のような場所に立っている」と思うようになった著者は仕事を見つめなおしたいと本屋が本屋に会いに行く旅に出た。その記録。印象に残ったのは「走る本屋さん高久書店」の高木久直さんの章。高校生用の赤本などの参考書をたくさん置いていて参考書選びの相談にも応じる。(高木さんは元教師)高木さんの店の2階には自習室もある。店まで来るのが難しい人には(開店前に)定期購読の雑誌を配達しそれが安否確認にもなっている。店には高木さんと話したい人がたくさん来る。1日が終わると話疲れるほどだ。それでも休みの日には車に本を積んで本屋のない地域に出かける。本棚から本を取って、見て...「しぶとい十人の本屋」辻山良雄

  • 「脳は眠りで大進化する」 上田泰己

    「脳は眠りで大進化する」(上田泰己著2024年6月文春新書)を読みました。起きている時、脳は活発に動き眠っている時は静かに休養しているというこれまでの考えはどうやら違っているようだ。睡眠の研究は急速に進んでいる。脳は眠っている時に「記憶」し起きている時に「探索」する。「記憶」の方もノンレム睡眠ではつながりを形成しレム睡眠では、そのつながりを整理しているということが分かってきた。血流に関しては目が覚めている時とレム睡眠では血流は多くノンレム睡眠では少なくなる。これからは健康診断の時に「睡眠診断」も加えるようになって欲しいと著者は言う。腕時計型のウエアラブルデバイスが広まって来ているし。(精度はいま一つ)そうするとうつや認知症、発達障害などの診断にも役立てられる。子どもの発達障害の早期発見にもつながる。問題は...「脳は眠りで大進化する」上田泰己

  • 「銀河の図書室」 名取佐和子

    「文庫旅館で待つ本は」の名取佐和子さんの新作です。「銀河の図書室」(名取佐和子著2024年8月実業之日本社309p)高校2年生のチカは入学した時に桜の木の下で出会った風見先輩に誘われてイーハトー部に入った。イーハトー部はイーハトーブ宮沢賢治の作品を読む部活動だ。ところが風見先輩は岩手県への修学旅行の後、学校に来なくなってしまう。もちろん、部活にも来ない。「ほんとうの幸いは、遠い」という言葉を残して。なぜ学校に来なくなったのか。(を解くミステリ)困ったチカは同学年のキョンへをイーハトー部に誘った。キョンへは「仮」という条件で入部してくれた。4月、そんなイーハトー部に新入生が入部してくれた。増子耶寿子、マスヤスだ。ゆるキャラみたいにころころした司書の伊吹さん車椅子の顧問・郡司先生アメフト部だったという校長先生...「銀河の図書室」名取佐和子

  • 「2028年 街から書店が消える日」 小島俊一

    「2028年街から書店が消える日」(小島俊一著2024年5月プレジデント社261p)を読みました。著者が招いたゲストは29人(その分1人の分量は少ない)叔父(著者)が書店員を目指す甥に語りかけるという様式で話は進む。ゲストの話が短い分著者の「解説」で補っている。厳しい現状の話(暗くなる)でも、明るい話もある。◯麻布台ヒルズに格安の家賃で書店が誘致された。◯北海道にあるコーチャンフォー(4頭立ての馬車)書店(書籍、文具、音楽、飲食)「鬼滅の刃」の特装本(5720円)を1日で1万冊売った。◯京都駅のふたば書店が売り上げを伸ばしている。「本屋で一番楽しいのは、仕入れと陳列です」(本庄将之)◯「これからは本屋が文化サロンの主催者になり作家トークショーのファシリテータにもなって作家が新刊を出した時の全国ツアーの受け...「2028年街から書店が消える日」小島俊一

  • 「人類と気候の10万年史」 中川毅

    「時を刻む湖」の中川毅さんの「人類と気候の10万年史過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか」(中川毅著2017年2月講談社ブルーバックス214p)を読みました。「せっかく正確な目盛りを作ったからにはそのものさしを使って宝探しの旅に出てみたかった」という中川さんものさしとは「年縞」のことです。(過去を見ると)「温暖な気候には限度がある。海の水が沸騰するほど極端な高温になることはない。いっぽう、寒冷化は時として暴走する。あらゆる場所が氷に覆われていた全球凍結だったことがあるのである」(そうだったんですね)第1章気候の歴史をさかのぼる第2章気候変動に法則性はあるのか第3章気候学のタイムマシン(年縞)第4章日本から生まれた世界標準(水月湖の年縞)第5章15万年前から現代へ第6章過去の気候変動を再現すると来て...「人類と気候の10万年史」中川毅

  • 「農業が温暖化を解決する!」 枝廣淳子

    「農業が温暖化を解決する農業だからできること」(枝廣淳子著2024年6月岩波書店70p)を読みました。「農業は温暖化の被害者であり加害者であり救いの女神でもある」???CO2を排出しないことが目標だと思っていたけれどそれと同じくらい大事なのが回収することなのだという。(CO2には寿命がない。だから、既に大気中に出てしまったCO2を回収し定着させる必要がある)どうやって農業で「回収」するのか1つ目はリジェネラティヴ農業をすることだ。リジェネラティヴ農業とは「環境再生型農業」とも呼ばれる。農地の土壌をただ健康的に保つのではなく土壌を修復・改善しながら自然環境の回復に繋げることを目指す。土壌が健康であればあるほど多くの炭素を吸収(隔離)する。具体的には不耕起栽培土を被覆作物で覆う輪作(8〜9種で)合成肥料を使わ...「農業が温暖化を解決する!」枝廣淳子

  • 「惣十郎浮世始末」 木内昇

    「惣十郎浮世始末」(木内昇著2024年6月中央公論新社542p)を読みました。時代ミステリです。主人公は同心の服部惣十郎。発端は薬種問屋・興済堂が火事になり焼け跡から番頭と主人の遺体が見つかったことだった。どうやら付け火らしい火事番頭は毒殺されたらしい。一体誰が?間に他の事件を差し挟みながら興済堂事件の捜査は続いていく……数年前に妻(尊敬する元上司の一人娘)を亡くした惣十郎は病みついて数日で亡くなった妻の死が未だに納得できないでいる。女性の登場人物がいい。下女のお雅は小町と言われるほどの美貌だが子供ができないことで離縁されて後に奉公に来た。密かに惣十郎を慕っている。お雅の作る日々の料理が作品の彩となっている。惣十郎が密かに想いを寄せているのは書肆須原屋のおかみ冬羽(とわ)身なりも構わずに出版事業に集中して...「惣十郎浮世始末」木内昇

  • 「望むのは」 古谷田奈月

    「あの本読みました?」(BSテレ東)で朝井リョウさん強くが勧めていたので気になって「望むのは」(古谷田奈月著2017年8月新潮社205p)を読んでみました。この春から高校生になる小春は15才3月生まれだ。つまり高校一年のほぼ丸々を15才で過ごすことになる。隣家の奥さんの秋子さんはゴリラだ。心優しく思慮深い。今まで伯父さんの家で暮らしていたという秋子さんの息子の歩が帰って来て同じ高校に入るという。ゴリラを母に持つという境遇の歩を助ける自分……というイメージは簡単に破られる。自己紹介で歩は自分がバレエダンサーであるとカミングアウトする。ゴリラの子ではなくてバレエをする男子というイメージを打ち出したのだ。(男子社会ではマイナス?)担任の八木先生の恋人は美術部の顧問の里見先生らしいと聞いて美術部をのぞきに行ったら...「望むのは」古谷田奈月

  • 「両京十五日」 馬伯庸

    「両京十五日①②」馬伯庸著2024年2月早川書房①477p②517p)を読みました。中国時代ミステリです。父・洪煕帝の命で南京に来ていた皇太子・朱瞻基(しゅせんき)は今まさに上陸しようとしたその時に船が爆発し危く難を逃れる。父子ともどもに命を奪われようとしたことを知った皇太子は身分を隠して北京へ戻ろうとする。モモタロウ皇太子に同道するのは南京の警察官・呉定縁(ごていえん)(父は警察署長だが本人は酒浸り。突然襲ってくる頭痛の発作に苦しんでいる。敬愛する父が実父でないことを知り自分が何者なのかを知りたいと思っている。優れた推理力を持ち、父の解決した事件は定縁が解いたもの)「まずは自分が何者なのかはっきりさせてこそ何を為すべきかが分かる」と思う定縁。官吏の于謙(うけん)生真面目で声が大きい。女医の蘇荊渓(そけい...「両京十五日」馬伯庸

  • 「続七夜物語 明日、晴れますように」 川上弘美

    「続七夜物語明日、晴れますように」(川上弘美著2024年6月朝日新聞出版473p)(「七夜物語」が新聞に連載されていた時はまず「七夜物語」を読んでから一面に戻って読みはじめたものです)ようやく出ました「続七夜物語」登場するのは「七夜物語」の仄田君の娘りらとさよの息子絵(かい)小学校4年生だ。(こう来ましたか)閑話休題「ヨセフを知っている一族」という言葉が「赤毛のアン」に出てくる。今でも、ときどき「あの人はヨセフを知っている一族」だなぁと思うことがある。(めったに遭遇しませんが)ヨセフを知っている一族・仄田君はヨセフを知っている大人になり大学の先生をしている。でも、娘りらのお母さんはどうやらヨセフを知っている一族ではないようだ。さよもヨセフを知っている大人で今は、児童文学の作家をしている。絵のお父さんとは離...「続七夜物語明日、晴れますように」川上弘美

  • 「利き密師物語2 図書館の魔女」 小林栗奈

    今日は8月3日はちみつの日です。で、はちみつの物語を。「利き蜜師物語2図書館の魔女」(小林栗奈著2017年5月)(再掲)親元を離れてカガミノに住む利き蜜師・仙道に弟子入りしている少女・まゆの今度のしごとはお城の図書室に預けられているたくさんの「本」の行く先を決める旅のお供をすることだったことだった。寝台車の旅を経て(おりしも四季島が初走行)仙道とまゆはベルジュ城の執事・アルビノーニに迎えられる。病で伏せっているという主のブランケンハイム伯爵は実はうら若い美しい女性だった。当代ブランケンハイム伯爵シェーラは両親を亡くし祖父の先代ブランケンハイム伯爵フリッツとひっそりと暮らしているのだという。案内された図書室には吹き抜けの天井まである本棚にびっしりと本が収められていた。そしてブランケンハイム伯爵がこの城を引き...「利き密師物語2図書館の魔女」小林栗奈

  • 「離島建築」 箭内博行

    「離島建築島の文化を伝える建物と暮らし」(箭内博行著2024年4月トゥーヴァージンズ191p)「看板建築」「沖縄島建築」「復興建築」「近代別荘建築」「横濱建築」と続いたシリーズの6冊目です。「英雄たちの選択」で青ヶ島を見て離島に惹かれて読みました。「海によって本土と隔てられ自然の猛威と隣り合わせの離島で生きること、暮らすことこの課題にいったいどれほどの先人たちが頭を悩ませ知恵を絞ってきたことだろう」と考える著者が巡った島々の建築。明治政府がキリシタン禁制を解除したので堰を切ったようように教会の建築が相次いだ。その時に50棟もの教会を建築した鉄川与助。鉄川与助の建てた旧野首教会(野崎島)崎津天主堂(天草下島)江上天主堂(奈留島)頭ケ島天主堂(頭ケ島)……75才の女性がコレラが治ったことに感謝して家族とともに...「離島建築」箭内博行

  • 「母の待つ里」 ドラマ化

    「母の待つ里」(浅田次郎著2022年1月新潮社)がこのたび文庫化ドラマ(NHK)にもなるそうです。「母」「里」う〜んそしてクラッシクな表紙絵、う〜んまあ、でも、それで終わるわけがないし…この作家ならと思って読み始めました。60才になったばかりの3人の登場人物大手食品会社の社長の松永徹(ここまで独身を通した)薬品会社を退職したばかりの室田精一(退職を機に妻に離婚を切り出されてひとり暮らし)循環器の医者の古賀夏生(ナツオ)(母を亡くしてひとり暮らし)共通点は年会費35万円のカードの会員だということだ。そして、それぞれにアメリカのユナイテッド・ホームタウン・サービス(帰郷)の日本版のゲストになっている。ゲストとは…東北新幹線と在来線を乗り継いでさらにバスで40分あまり。バスを降りると軽トラに乗った「同級生」が声...「母の待つ里」ドラマ化

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、ゆらゆら荘にて さんをフォローしませんか?

ハンドル名
ゆらゆら荘にて さん
ブログタイトル
ゆらゆら荘にて
フォロー
ゆらゆら荘にて

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用