「恐竜時代が終わらない」 川野辺太郎
「恐竜時代が終わらない」(川野辺太郎著2024年5月書肆侃侃房177p)を読みました。児童文学ではありません。「父の遺してくれた話を夜道のランタンのようにかざして現実の自分の無力さをやり過ごしながらどうにかわたしは育っていきました」という主人公。「父の遺してくれた話」というのは恐竜の話だ。物語は入れ子構造になっている。ひとり暮らしの「わたし」はある日「わたし」の語りを聞きたいと世界オーラルヒストリー学会の支部長という人がやって来る。入れ子の中の恐竜の話では主人公は草食恐竜の子エミリオ。日がな一日草を食む暮らしに疑問を抱くようになったエミリオは(草はそんなに美味しくないし消化のために石も飲み込まなくてはならない)ある日肉食恐竜の子ガビノと出会う。その時エミリオは父さんの言葉を思い出す。「死んでしまったマルコ...「恐竜時代が終わらない」川野辺太郎
2024/08/31 09:01