chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 「家を失う人々」 デスモンド

    「家を失う人々」(デスモンド著2023年12月海と月社515p)を読みました。アメリカの低所得者の住宅事情について書いている。ノンフィクションなのだけれどフィクション作品のような書き振りで自分が家を追い出されそうになっているような気持ちになってなかなかつらい読書だった。舞台の一つは貧困地区に暮らす人々2人の息子と暮らすアーリーン2人の息子と暮らすシングルファーザーのラマー4人の子と孫と暮らすドリーン強制退去させられて必死に次の家を探している。もう一つはトレーラーハウス・パーク生活保護を受けている54才のロレイン元看護師で薬物依存のスコット3人の娘の母パム強制退去させられて必死に次の家を探している。彼らは収入の8割近くを家賃に当てている。収入が10万円だとしたら8万円窓が壊れていたり台所の排水が詰まっていた...「家を失う人々」デスモンド

  • 「柚木沙弥郎 つくること、生きること」 別冊太陽

    「柚木沙弥郎つくること、生きること」(2021年12月別冊太陽)を読みました。今年101才で亡くなった柚木沙弥郎さんを特集した一冊。テーマの立て方がいい。作品(型染め版画絵本その他の仕事(ガラス絵水彩画板絵人形立体)ロゴマーク(盛岡の光原社奈良のくるみの木松本の開運堂など)ぼくの大切なもの(柚木編)分岐点となった展覧会今の仕事(ホテルやカフェに飾られた型染め切り紙)(柚木さんは文字も素敵)美術史家の益田祐作は「柚木はめぐまれた芸術的な環境の中で育ち」(父は画家・柚木久太)「育ちのよさに由来する知的なものと夢想的なものが少しの無理なく結合している」と言っている。「ただ一枚の染めものを見た人の気が晴れて元気が出たならぼくは嬉しいそして亦染めます」(柚木沙弥郎)最晩年の言葉です。長風呂気分……「柚木沙弥郎つくること、生きること」別冊太陽

  • デフ・ヴォイス

    創元推理文庫で出たので再掲します。(ドラマにもなったし)「デフ・ヴォイス」(丸山正樹2011年7月刊)を読みました。ミステリなのだけれどミステリだということを忘れてしまうミステリです。高校を卒業後20年警察の事務職として働いて来た荒井は今は夜に警備のアルバイトをしながら職を探している。仕事はなかなか見つからない。何か特技があればというハローワークの職員の助言で荒井は手話通訳士の資格試験を受けた。資格は持っていないけれど、手話は「かなり」できる。父と母と兄が耳が聞こえなかったからだ。荒井は耳の聞こえない両親を持った子ども(コーダ)だった。手話にはろう者の言語と言われている「日本手話」と日本語に手の動きを当てはめる「日本語対応手話」がある。荒井は日本手話ができるので「あんたとは会話が楽でいいや」と通訳士として...デフ・ヴォイス

  • 「古代アメリカ文明」

    「古代アメリカ文明」(青山和夫編2023年12月講談社現代新書315p)を読みました。「世界四大文明」なんていう教え方をしているのは日本だけだ。「発見」される前からあった中南アメリカ文明をきちんと教科書で取り上げるべきだ!と著者は言う。(そういえばナスカの地上絵は宇宙人が残したメッセージだなんて言うトンデモ説があったものでした)取り上げられているのはマヤアステカナスカアンデスアステカでは絵文字(コディセ)は人々の前に示されそれを読み手が語るという「上演」がなされていた。絵文字には記憶だけに頼っていては伝達できない多様な事象が記録されていた。ナスカの地上絵には3つのタイプがある。直線の地上絵幾何学的な地上絵具象的な地上絵である。具象の絵には山の斜面に描かれたものもあり地区から地区へ移動する道沿いに10キロメ...「古代アメリカ文明」

  • 「柚木沙弥郎との時間」

    「柚木沙弥郎との時間」(木寺紀雄写真2020年12月グラフィック社252p)を読みました。写真集です。柚木沙弥郎さんはこの1月31日に亡くなられた。101才。写真のセンスがいいなどと月並みな(古い?)言葉で言うのも気が引けるけれど他にぴったり来る言葉が見つからない。柚木さんの作品は染色作品はもちろんだけど指人形もいい。縫い物もなさるそうで何枚かの布が剥ぎ合わせてある人形の衣装がいい。(顔も)柚木さんの着ているものも素敵。ブルーのダンガリーのシャツに紺色のスカーフを首元にのぞかせたり白いスタンドカラーのシャツに麻の生成りのジャケットを合わせたりストライプの布を筒に縫って上下をゴムで押さえて腕カバーにしたりニットのシャツの袖をまくって作業をしている姿もいい。部屋の隅の低い箪笥の取手に竹の物差しが差してあるのも...「柚木沙弥郎との時間」

  • 「存在のすべてを」 塩田武士

    本屋大賞にノミネートされた「存在のすべてを」(塩田武士著2023年9月朝日新聞出版464p)を読みました。ミステリです。誘拐事件が起こる。はじめは小学生の男子が塾の帰りに。さらに4才の幼児が誘拐される。小学生はやがて発見されるが(小学生の方は警察の手を薄くするための囮だったらしい)4才の子どもの方は会社経営者の祖父が身代金を指示通り運んだにも関わらず(身代金は拾い物として交番に届けられてしまう)それきり行方は分からなくなった。母親は子どもが誘拐された時にパチンコをしていたくらいでネグレクトの可能性が大きかった。3年後子どもは突然祖父母の家に現れ「ぼくを育ててください」と言った。3年間どこでどんな暮らしをしていたのかを子どもは決して言わなかった。ただ3年の間に抜けた乳歯を入れた箱を持っていた。抜けた箇所と日...「存在のすべてを」塩田武士

  • 「アンと幸福」 坂木司

    「和菓子のアン」シリーズの第4巻「アンと幸福」(坂木司著2023年10月光文社379p)を読みました。(ちなみにこのシリーズは「赤毛のアン」の本歌取りタイトル。第1巻は「赤毛のアン」→「和菓子のアン」第2巻は「アンの青春」→「アンと青春」第3巻は「アンの愛情」→「アンと愛情」となっている)主人公のアン(杏子)はデパートに入っている和菓子屋のアルバイト店員。坂木司ファンの身としてはお菓子を傍にお菓子が題材の日常の謎ミステリを味わうという贅沢な時間を過ごせる一冊です。第1話はアンが接客をしている時に割り込んでくる店長の行動の謎。それが毎回ではない。そして、アンがすすめていたのとは違うお菓子をすすめたりする。小さな子どもが串団子が欲しいと言うとどら焼きを常連の老婦人には芋入り練り切りではなくて軽羹をなぜ?最終章...「アンと幸福」坂木司

  • 「空間の未来」

    「空間の未来」(ヒョンジュン著2023年10月クオン368p)を読みました。動物が進化によって体を大きくするとそれを支える骨の強さが必要になる。世界はグルーバルになって体を大きくしたけれど骨の強さが育っていないそれが現れたのがコロナだと著者は言う。著者は韓国の建築家です。どうしたら骨を強くできる?について書いてある。「骨の強さが育っていない」と書いてあるものはこれまでもあったけれど「どうしたら骨を強くできるか」について書いているのは画期的!(ワクワクしました)出勤について自動運転について商業施設について建築について……教育についても考えている。日本でも増えている不登校。行くべきところだった「学校」がコロナで「急に1ヶ月以上も休みになった」衝撃は大きい。オンラインで学べるようになった今、学校の存在意義は単な...「空間の未来」

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、ゆらゆら荘にて さんをフォローしませんか?

ハンドル名
ゆらゆら荘にて さん
ブログタイトル
ゆらゆら荘にて
フォロー
ゆらゆら荘にて

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用