「本と歩く人」(カルステン・ヘン著2025年6月白水社247p)を読みました。「本と歩く人」とは「本の配達人」のことです。ドイツには本当に本を配達する書店員がいるらしくそれを聞いたヘンはあえて取材をせずにこの作品を書いた。配達人はカールいつも勤め先の書店を退勤する時に本を配達している先代の時代からずっと。でもあとを継いだ先代の娘は配達を止めさせようとしていた。カールを待っているお得意さまは「閉じ込められている」人たちだ。夫に暴力を振るわれているエフィ本当は文字が読めないヘラクレス大きな屋敷にひとりで住んでいるダーシー修道院にひとりで住んでいるアマリリス工場の作業中に読み聞かせをする仕事をしている朗読者カール自身も書店と自分の家を結ぶルートの中に閉じ込められているのかもしれない。そこにシャシャという少女が現...「本と歩く人」カルステン・ヘン