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  • ことしのことば

    文字を読むと脳内に快感が広がるたちこども頃からです読んだものの中かえらいいなと思った言葉を手帳に収取しています◯よしながさんに時代が追いついた(よしながさん=漫画家のよしながふみ)(三宅香帆)◯物語を食べて育ってきた物語は、今も、わたしの主食であり続けている(吉川トリコ)◯自分で自分を困らせてるんですその方がおもしろくなるうまくなることに興味がないんだよね(荒井良二)◯水を温めると、やがて沸騰して水蒸気になるようにすぐに成果が現れなくてもエネルギーを注ぎ続ければいつかは劇的な変化が訪れる(市川沙央)◯小説を読む行為は登山に似ていると思う幼いころから本を読む習慣がある人は高山で育った民のようなもので息を吸うように毎日山に登る(新川帆立)◯俳優の魅力ってエネルギーなんじゃないかな(草薙剛)◯脳内に降って湧いた...ことしのことば

  • 勝手にベスト10 2023 ③

    今年読んだ本の中から勝手にベスト10をえらんでみました。(順位はありません)7冊目は「さみしさは彼方カライモブックスを生きる」(奥田直美奥田順平著2023年2月岩波書店刊)石牟礼道子に惹かれ水俣や天草に通っていた奥田直美・順平は故郷の京都に書店を開いて暮らしていくことにする。そこで考えた書店名が「カライモブックス」カライモとはサツマイモのことだ。しんとしたひとりの世界に生きているような直美それを窓から眺めているような気持ちで暮らしている順平娘の道(みっちん)の三人のくらしが見える。道は「かぜはみえへん」と言う。お父さんにも他の人にも見えているのに自分だけが見えていないと思っているようだ。「しんだら(救急車で)びょういんにいってなおすんやろう」と言った道に「死んだらおしまい。もう元には戻らへん」と言ったら大...勝手にベスト102023③

  • 勝手にベスト10 2023 ②

    今年読んだ本の中から勝手にベスト10をえらんでみました。(順位はありません)4冊目は「切手デザイナーの仕事日本郵便切手・葉書室より」(間部香代著2022年10月グラフィック社刊)日本郵便の「切手・葉書」室には8人のデザイナーがいる。日本に8人しかいないとも言える。その8人を取り上げたのがこの本。ちゃんと文章ページの中にカラーで切手の写真が入っている。カラーページにまとめてなんていうケチなことはしない。(いい出版社です)「ぽすくま」(ご存知でしょうか)をデザインした中丸ひとみさんは切手デザインの仕事に加え手紙振興の仕事もしている。東京の青山に期間限定のぽすくまカフェも開いたしスコットランドから登録証明を貰ったタータンチェックも作った。中丸さんは言う。「切手には余白が必要なんです。送る人の気持ちをのせる余白が...勝手にベスト102023②

  • 勝手にベスト10 2023 ①

    今年読んだ160冊あまりの中からベスト10を選んでみました。(順位はありません)夭折した画家の中園孔ニが言っています。「よい絵というのは、記憶に残る絵のことだ」ということは「よい本というのは、記憶に残る本」ということになるでしょうか素晴らしいストーリーでもなく優れた文章でもなくただ「記憶に残る」今年読んだ「記憶に残る本」をご紹介します。1冊目は「ゴリラ裁判の日」(須藤古都離著2023年3月講談社刊)第64回メフィスト賞受賞作です。ある日、4才の男の子が動物園のゴリラパークの柵を越え転げ落ちるという事件が起こった。雄ゴリラのオマリは近づいて子どもを引きずり(子ゴリラに対する普通の扱い)危険だと判断した園長はオマリの射殺を命じた。麻酔銃でなく実弾で。オマリの妻であるローズはこのことに納得できず裁判をおこす。ロ...勝手にベスト102023①

  • 「人鳥(ペンギン)クインテット」

    「人鳥(ペンギン)クインテット」(青本雪平著2020年9月徳間書店)を読みました。う〜ん、何でしょう、これは。殺人が起こるからミステリなんでしょうか。ミステリというのは事件が起こる→解決する=すっきりとなるものだと思うのですがこれは、解決しない=分からないという不思議な小説です。警察での取り調べと主人公の記憶が交互に語られる。取り調べを受けているのは17歳の柊也取り調べをするのはマンドリル顔の年配の刑事刑事は、津軽弁を話している。それを聞き取れるということは柊也も津軽人?(著者は青森県出身だそうです)クインテットということは5何が5主要な登場人物が5人?それとも死体が5?柊也は祖父と2人暮らしだ。ある朝起きると祖父はいなくて、居間の祖父の席にペンギンがいた。高校に行っていない柊也は否応なく祖父の代わりをし...「人鳥(ペンギン)クインテット」

  • 「文学キョーダイ‼︎」

    「文学キョーダイ‼︎」(奈倉有里逢坂冬馬対談2023年9月文藝春秋)を読みました。ロシアの対ドイツ戦争を描いた「同志少女よ、敵を撃て」の逢坂冬馬とその姉で高校を卒業後ロシアの文学学校に留学して翻訳家として活動している奈倉有里の対談です。姉弟で一冊分語るというところが、まずすごい。(編集者の構成の作り方が上手いのでしょうが)対談というものにあまり期待は持っていなかったけれど逢坂さん、語る、語る。(作品で語れという言葉もあるけれどこの人は、口で言ったくらいでは目減りしない量を持っている)腹を括っている人だなと思う。作家になる前は「書いては落ち、書いては落ち、書いては落ち、書いては落ちと気づけば十年以上たっているんだけどぜんぜんつらくもなんともない極論これが一生続くんでもいいやという感じになっていった」推しは大...「文学キョーダイ‼︎」

  • 「めざせ!ムショラン三つ星」

    「めざせ!ムショラン三つ星刑務所栄養士、今日も受刑者とクサくないメシ作ります」(黒柳桂子著2023年10月朝日新聞出版)を読みました。刑務所の食事は調理員じゃなくて受刑者が作っている(大量調理の経験どころか普通の料理の経験のない人たちが)とは……唯一の専門家として著者は奮戦する。少しでも量を多くするには「作る」しかない。ホットケーキだって市販のミックスを使うよりも小麦粉とベーキングパウダーと砂糖で作った方が安く上がる→同じ予算なら多くなる。1日あたり520円で作らなければならないのだから。重視されるのは公平ということ。非常食の軟飯を消費するために粒あんを混ぜたおはぎもどきはざっくりと混ぜてマーブル模様にするのではなくて泥団子風になる。均一でなくてはならないのだ。年越しにカップ麺を出すためにはカップにお湯を...「めざせ!ムショラン三つ星」

  • 「本の栞にぶら下がる」

    「本の栞にぶら下がる」(斉藤真理子著2023年9月岩波書店)を読みました。6人の女の人が輪になって本を開いている。短い髪をして、袖のないストンとした服を着て、足は裸足だ。ひとりだけ内股気味の人の足が気になる。ひとりだけ横目で隣の人を見ている人がいるのが気になる。栞だけが赤い。という表紙絵の(高野文子の絵)この本は韓国文学の翻訳家・斎藤真理子の読書に関するエッセー集です。自分の好きなテーマや作家を追いかけているとぐるぐるとした線が中心に向かって収束していってしまうようで気がつくと同じようなものばかり読んでいる。この本はそこからポンととんで普段とは違う脳の部分を使ったようで心地よかった。取り上げられているのはいぬいとみこ李箱(イサン)堀田善衛田辺聖子(普通の女子は考える女子なのだなぜなら女子こそ考えずには生き...「本の栞にぶら下がる」

  • 「読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし」

    低気圧が苦手です。苦手感を克服するには「知る」ことが大事ということで「読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし」(荒木健太郎著2023年9月ダイヤモンド社)を読みました。著者は雲研究者これまで出来るだけ分かりやすい本をと心がけてきたけれどこのあたりで体系的に語ったものを出したいということです生まれたのが本書だそうです。「空が雲に覆われているとどんよりする。でも、その上には青空があるのだ」(そう言えば雲外蒼天(確か藤井八冠が……)という言葉もありますね)「大気は絶えず動いているが、目には見えないそれを可視化しているのが雲だ雲は体を張って空で何が起きているかを教えてくれているのだ曇り空に個性を見出せるようになると曇りや雨の日も楽しくなる」ということで雲のでき方雲の種類(400種以上)を教えてくれる。「目線...「読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし」

  • 「襷がけの二人」 直木賞候補に

    「襷がけの二人」(嶋津輝著2023年9月文藝春秋)が直木賞候補に!(10月17日のものを再掲)顔も姿も人の印象に残らないたちの千代は父の友人でよく家に遊びに来ていた山田のおじさんの息子に嫁ぐことになる。山田家は製缶工場を営む裕福な家だった。姑はすでに亡く父と息子の男所帯に女中が2人いた。女中頭のお初さんと千代より若いお芳ちゃんだ。家で家事を手伝っていた千代はそれなりに出来るつもりでいたが山田家の家事は実家とは違うものだった。台所は立って調理する仕組みで、氷冷蔵庫まである。実家では滅多に出なかった肉は薄く切って冷やしたり甘い汁でガラス器に侵けたりシチューやビフテキも作る。しばらくたつうちに千代は「奥さま」というよりは女中さんのNo.3のようなポジションになっていく。のんびり屋の千代はそれが少しも嫌ではなかっ...「襷がけの二人」直木賞候補に

  • 「カモナ マイハウス」

    「カモナマイハウス」(重松清著2023年7月中央公論社)を読みました。主人公は不動産会社で空き家を担当している水原孝夫。始まって数ページでもう課題が提示される。(ミステリではありません)両親を亡くして介護ロスに陥っている妻の美沙はマダムみちるという怪しげな女性の家に通っている。(マダムみちるは何者?)息子のケンゾーは売れない役者で怪我をして家に帰って来ている。(息子には追っかけセブンというファンがいるという)おまけに西条真知子という若い記者が空き家問題の取材のためと言って張り付いてくる。美沙の実家の空き家問題ライバル会社のやり手経営者石神井の存在……一つの国がそっくり引っ越してきても受け入れられるほどの空き家がある日本7軒に1軒は空き家なのだそうだ。石神井は次々にアイデアを繰り出す。火葬場に近い空き家を火...「カモナマイハウス」

  • 「松籟邸(しょうらいてい)の隣人 1 」

    少年・吉田茂が主人公という帯に惹かれて「松籟邸の隣人1青夏の章」(宮本昌孝著2023年11月PHP研究所)を読みました。前年に父を亡くした12歳の茂は藤沢の耕餘塾で学んでいる。大磯にある吉田家の別荘の隣には今しも新しい家が建築中だ。どんな人なのだろうと思っていた茂の前に現れた隣家のあるじは白い背広に白い帽子、白馬に乗る背の高い若者だった。アメリカ帰りの天人(あまと)シンプソンと茂の謎解きがはじまる。第6話元勲たちの夜がいい。明治22年内閣総理大臣の伊藤博文は新内閣発足を祝って藤沢の旅館で宴会を開いている。酔って目が据わって、よだれまで垂らしている黒田清隆それを詰る原敬さらにそれを止める陸奥宗光皆に謝る大山巌穏やかになだめる伊藤博文……西郷隆盛の死から立ち直れないでいる黒田清隆表には出さないけれど深いところ...「松籟邸(しょうらいてい)の隣人1」

  • 「自由の丘に、小屋をつくる」

    去年の本屋大賞ノンフィクション本大賞の「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」の川内有緒さんの新作(待ってました)「自由の丘に、小屋をつくる」(川内有緒著2023年10月新潮社)を読みました。自分が追求し続けたい題材しか書かないという川内さんは生まれた娘に故郷となる記憶の場をつくってやりたいと思うようになった。自分も夫も祖父母の家で過ごした記憶が大切なものとしてある。でも娘ナナの祖父母(川内さんと夫の両親)の家は自然の豊かなところではない。そうだ、小屋をつくろう!遊びに行って泊まれる小屋を保育園からの帰り道ダンゴムシ探しをして家に着くまでに1時間もかかってしまうナナのために木工教室に通ってナナの机作りに成功した川内さんの思考は飛躍する。自分のことを不器用者だと思って来たけれど案外出来るのだ。土地を探し借...「自由の丘に、小屋をつくる」

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