桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
西門さんを見付けて勢いよく飛びついたのはいいんだけど、その横にすっごい美人がいて驚いた。しかもコートを着たばかりで前が肌蹴てたんだけど、そこで見えたのは巨乳・・・女の私が見ても赤面しそうなほどのメロンカップがあってビビった!そう言えば草津でもボリュームのある人が好きって言ってたような・・・てか、この人誰?!もしかしてデートだったの?!ってか、イベントに女は無用じゃなかったの?!とは言えもう遅い・・・私は彼...
ーじゃあここで恒例のくじ引き、やりますー・・・それを聞いて目がテンになった私。聞けば、この会社は毎年忘年会でくじ引きをし、1等は5万円の商品券、ハズレくじが1枚・・・その途中は流石電気工事店だけあって、乾電池とか電球とかも景品にあるらしい。それ以外にも炊飯器とかホッカイロとかハンカチとか・・・まぁ、ハズレじゃなかったらいいって感じで、みんなノリノリだった。しかもくじを引く順番まであみだで決めるってことで、嫌...
別府のホテルで1泊したつくしは、次の日すぐにタクシーで契約をした不動産屋に向かった。そこで担当者に付き添ってもらい、アパートを見ることに。「ここですよ。ご契約の部屋は2階の角部屋です」「うわぁ・・・海が見えるんですね。部屋も綺麗・・・うん、充分です」「2階建てですけど、丁度この角部屋の下が駐車場なので、1階を気にしなくていいですしね。ここだけ階段を挟んでるのでお隣の声も聞こえないし、赤ちゃんの泣き声もそこま...
レストランがある階に着くと、そいつらも降りた。だが、向かって行ったのは中華飯店で、俺が行くフレンチのレストランじゃない。まぁ、あいつが来るわけじゃなし・・・あまり気にはならなかったんで、知らん顔して自分の行くべき店に向かうと、その入り口手前で突っ立っている女の後ろ姿発見。背が高くてスタイル抜群。何故かコートを手に持ち、背中が広く開いた黒いタイトドレスに纏め髪もオトナっぽく、後ろのスリットから見える美...
1月の終り、つくしは出産した病院とは別の、小さな小児科を予約した。それは真音の1ヶ月健診のため。これは義務ではなかったが、念の為に受けておきたかったのだ。1か月健診は、赤ちゃんが退院してから初めて受ける重要な健診であり、出産した病院であれば母親の検査なども行ってもらえる。だが真利愛がいないのであの総合病院に行くことは出来ず、つくしは自分の検査は後回しにした。「牧野真音くんですね・・・今後、うちで予防接...
「初めまして。この度担当になりました宮本と申します。(三井の件では大変ご迷惑おかけしました)」「初めまして、牧野です。よろしくお願いします(いえいえ、もう過ぎたことですから)」あれから数日後、岩本電気工事の新担当・宮本さんと言う女性が私の所にやってきた。電気工事関連で女性の営業担当は珍しいんだけど、多分三井さんのやらかした件で「男」ではない方がいいと判断したんだろう・・・私はそんなに気にしてなかった...
1月の中旬、花沢家ではまだ類が決断できずにいた。それを見て遙香が業を煮やし、とうとう日曜日に京極美央を屋敷に呼んでしまった。もちろん類には何も言わずに・・・気不味そうなのは類だけでなく、美央も困った様子ではあったが。真利愛はスヤスヤと寝ており、加代が面倒を見ている。その時、遙香と類、そして美央がリビングのソファーで話合いをしていた。「いい加減に決めたらどうなの、類。いつまでもあの子を父親のいない状況...
志乃さんに言われてお袋の部屋に行くと、確かにまだ起きてるようだった。そこで軽くノックしてから「俺だけど」と言うと、「入っていいわよ」の怪しげな声が。特別怒ってるようでもなかったから、まずは一安心・・・スッと襖を開けて中に入ると、真ん中のテーブルにはA4サイズの茶封筒が置いてあった。嫌な予感がしてお袋を睨むと、「察しがいいわね」とニヤリ。「・・・まだ先だと言わなかったか?」「だってどうしてもって言われたん...
つくしは翌日、早速ウイークリーマンションを契約するために出掛け、即入荷できるところを見付けた。そこは必要最低限の家具家電が揃っていたので、一安心・・・だが、今度は急いでベビーシッターの会社を探した。初めこそ一緒に行動しようと思ったが、やはり1月の寒い時に真音を連れて出掛けられない。それでもやらなければいけない事が多く、その時にはこの部屋にベビーシッターを呼ぶことにしたのだ。そしていくつかの会社に電話...
軽井沢から東京まで、車だと2時間半ぐらいかかるらしい。だから碓氷軽井沢ICで高速に入り、横川サービスエリアで晩ご飯を食べることになった。それはもちろん、西門さんの買った高級サンドイッチのディナーセット・・・お持ち帰りなのに超豪華で、食べるのが勿体ないぐらいだった。でも車の中で食べるわけだし、温かい飲み物ぐらいは私が買わないと・・・そう思って駐車場に入ったら急いで買いに行った。西門さんにはブラック珈琲、私は...
おはようございます。類君のお話の更新について、お知らせがあります。実は昨日の夜、0時更新のお話しを確認していたところ、時系列的におかしな部分を見付けてしまいました。ドタバタしながら書いていた(言い訳です)こともあり、2人が別れてからのそれぞれについて、どっちを先に書けばいいのか矜羯羅がっていました。そのせいだと思うのですが、次の33話めと、公開済みの32話の順番が逆だと気付きました(今更?!)結果...
ハルニレテラスは想像以上にお洒落なところだった。100 本を超えるハルニレの中、川に添って連なる9棟の建物・・・それをウッドデッキでつないだ「小さな街」なんだそうだ。そこに個性溢れるお店やレストランが並び、こんなに寒いのに観光客で賑わっていた。その1つにお野菜売ってるところがあったから行ってみたけど・・・なかなかいいお値段だった。野菜はそうでもないけど、ジャムやソースなんかもあって、それは私には高級すぎて・・...
翌日から類は食事を真利愛の部屋でとるようになった。可愛らしいもので溢れた真利愛の部屋・・・カーテンも新調され、ラグも色んな家具も全部が淡いピンクとベージュに統一され、豪華なベッドメリーが取り付けられていた。加代曰く、それは類が産まれた時に祖母が買ってくれたものらしい。もちろん覚えていないが、加代が大事に保管していて、この度隅々まで消毒をして出したと言った。そして今日は土曜日で、類は休みを取っていた。...
「西門様、この度は本当に申し訳ございませんでした!」「いや、もういいですよ。後は警察に任せますんで」「・・・(全然良くないけど)・・・その事だけ忘れる事にします。温泉も気持ち良かったし、お料理美味しかったです!お世話になりました~」旅館の女将さんがものすごく申し訳なさそうに見送ってくれたけど、そもそもタダで泊まったんだし、もう文句を言うのはやめようと思った。それよりもこれからどうするのか・・・草津温泉の周...
つくしが旅館に入った頃、類は遙香と闘っていた。そして話しても無駄だと思った類は、気持ちを落ち着けるために一旦自分の部屋に入ってそれまでの事を思い返し・・・でも遠くから聞こえて来る真利愛の泣き声に誘われるかのように立ち上がった。その部屋は1階の東側で、ゲストルームがある場所・・・ノックもせずにそこを開けると、加代が真利愛にミルクを飲ませようとしていた。「類様・・・お嬢様を泣かせてしまい、申し訳ありません」「・...
牧野がぼんやりと座ったまま動かない・・・それも仕方ねぇよなと、ポットの湯でスティックタイプのココアを入れてやった。それを目の前に置いたが反応無し。余程自分の全裸写真を撮られたことがショックだったんだろう。・・・いや、普通の女はそうか?「心配すんな、証拠として提出はしたが、後で削除するように言っておいたから」「・・・・・・あのさ・・・」「ん?どうした?」「証拠って事は、警察もあの写真見るの?」「そりゃまぁ・・・証拠だ...
その日の夜・・・旅館の部屋でスヤスヤと眠る真音を見ながら、つくしはまた1週間前の事を思い出していた。そしてなんとか自分の計画通りに移動できたことをホッとすると共に、類がどれだけ苦しんでいるのかを想像して苦しくなり・・・頭も身体もくたくたで、膝を抱えてその場で丸くなった。**遙香との約束をした次の日、類は昼頃病院にやって来た。そしてつくしの退院の手続きをしてくれて、家族4人でアパートに戻ったのは13時。「類...
イケメン茶道家・食事のマナー完璧・車はド派手な外車・・・そんな西門さんは温泉卓球も上手かった。多分最後の方は手加減してくれたんだと思うけど、結局何をしても「出来る男」なんだと判った。と言うのも、既にギャラリーが半端ない。何処から湧いて出たのか、女の子達が目をハートにして彼を見ていた。そして私の方にも目を向けて、「彼女、普通だね~」って・・・彼女じゃないのよ!と言いたかったけど、見ず知らずの人にそれを説明し...
「それではこちらの部屋をお使い下さい。何かあったら私までご連絡いただければ、必要な物を持って行きますから」「・・・ありがとうございます・・・」「それと、こちらは副社長からです。持ってて損は無いのでお使い下さい」「・・・・・・・・・はい。類のお母さんに会うのは何時ですか?」「今からお嬢様を連れて花沢家に戻りますが、そこに副社長もいらっしゃると思います。年始行事の都合上、類様にお知らせするのは昼頃になると思いますよ...
まさかの全裸公開・・・もうそれだけで人生終わったぐらいに落ち込んだのに、西門さんは飄々として全然変わんない。それだけ私の身体が「不合格」だったってことで、それも自覚してるんだけど・・・それを脱衣場で悩みまくったけど、もうどうしようもない。しかも私だって見てしまった・・・・・・///ただ、ソレが「どのくらいのレベル」なのかは判んないけど、結構・・・おっきかった気がする///。てか、目に焼き付いて離れないんだけどっ!!元...
スマホの画面に出たメッセージありの文字・・・類はそれを見るのを少し躊躇った。だが、遙香の到着の遅れと何か関係があるような気がして、勇気を出してそれを開いた。1番初めの文字は・・・『大好きな類へ』それを読んだだけで心臓が止まりそうになった。そして長々と続く文章は・・・『これから伝える事を、どうか落ち着いて読んで下さい。私はこれから真音と一緒に東京を離れます。そして類のところには真利愛が残ります。もうすぐした...
「うひゃああああぁ♥これが露天風呂ってヤツかぁ~♥」12月だから当然寒いんだけど、カラカラっと扉を開けて外に出たら、岩に囲まれたお風呂が♥その初めての光景にワクワクして、バスタオルをグルグル巻きにしたままお風呂に向かった。そこで急いで掛け湯をして、1度振り向いて西門さんの気配を確認・・・こっちに来る様子はなかったので、片脚からお湯に入った。「うわぁ、あったか~~~~い♪」少し熱めのお湯にはいると、それま...
真音と真利愛の出生届が受理された。その後、いろいろな制度の説明等を受け、つくしが車に戻ったのは40分も経ってからだった。気持ちは焦るのだが走ることが出来ないため、ゆっくり駐車場に戻ると、車内で類が子供をあやしているが見えた。表情までは見えないが、おそらく腕の中に抱いているのだろう・・・それを見ると、やはり胃がキリキリと痛んだ。が、そんな顔をして戻れないため、元気よく「お待たせ~」と言ってドアを開けた...
草津温泉での観光の楽しみは散策・・・昭和レトロの香り漂う温泉街は、俺達には実に新鮮だ。ライトアップもオレンジっぽい光りで温かみがあり・・・「へっくしょん!!」「・・・寒いのかよ」「はぁ~~、だって12月だよ?」「お前が着てるそのコート、ダウンじゃねぇの?」「へ?そんな高いもの買うわけないじゃん。腰にカイロ貼っとけばあったかいし」「・・・・・・・・・・・・カイロねぇ」「あ!西門さん、あれ食べたい!!」「は?」牧野が指差...
つくしが退院した夜、2人はベッドから布団をおろし、子ども達の横で寝た。その時にはつくしが端で、類が子供側に・・・授乳のことがあるので代わろうと言うのに、類は「ここがいい」と言って双子が見える場所で横になった。「・・・でも何度か起きちゃうよ?」「平気・・・つくしは寝てて?どうせ泣いたら起きないといけないんだし」「類、最近仕事が忙しかったのに・・・」「そんなの真利愛達を見てたら吹き飛んじゃうよ」「じゃあ・・・少しだ...
草津温泉に着いたのは16時30分で、丁度日の入りだった。だからすぐに旅館を探し、そこの駐車場に真っ赤な車が入ってく・・・当然悪目立ちして超恥ずかしかった。でも西門さんはそんなの気にせず、出迎えた仲居さんにくじ引きで当てたって事を説明してくれて、あっさり部屋まで通されたんだけど・・・「えっ!同室なの?!」「当たり前だろう、ペアチケットなんだから」「うそっ、知らなかった!!」「何でだよ💢普通はそう考えるだろう...
11時に授乳し、11時30分には双子のおむつを交換した。そして色んな書類の説明を受けて、あとは類を待つだけ・・・その時もつくしの顔は笑っていなかった。類に会いたいような、会いたくないような・・・そんな気分で待っていると、廊下を走る足音が聞こえて来た。そして荒々しくドアを開けられ、飛び込んで来たのはもちろん類だ。その顔は本当に嬉しそうで、つくしは頑張って笑顔を作った。「もう~!病院内を走っちゃ怒られるよ?...
「ちょっと西門さん・・・・・・」「なんだ?」「・・・交差点で停まるのやめてくれない?通行人の視線が痛いんだけど」「今度はイタ車扱いか💢!!」イタ車とは「見ていて痛々しい車」という意味からきた俗語・・・この俺の愛車をそんな風に言うとは信じられん!とばかりに睨むと、確かに牧野の言う通り、通行人がこの車を見ている。が、俺は毎度の事なので全然気にならない。そう言うと「よくこんなド派手な車に乗れるよね?」って・・・別に茶道...
誕生日の翌日・・・つくしは朝からスマホを眺めていた。今朝の食事は半分ほどしか食べられず、体調は万全ではない。それでも双子の朝の世話は一通り済ませた。今はよく眠っているのだが、その顔を横目で見ながら・・・・・・つくしは遙香に電話を掛けた。それが朝の9時で、遙香はすぐに電話に出た。だが回りに人がいるのか、すぐに掛け直すので待てと言う・・・何処までも自分中心に動く遙香に苛立ちはあったが、相手は花沢の副社長だ。それも...
「総兄、どうしたんだ?そんなに思い詰めた顔をして」「総二郎?」「あら、ほんと。総二郎さん、お腹でも痛いの?」「・・・俺は何歳だ。ちょっと静かにしたぐらいでそんなに心配すんな」土曜の朝食中、親父達が俺の顔を覗き込んでそんな事を言いやがった。別に俺は気分が悪いわけでも思い詰めてるわけでもなく、ましてや腹が痛いわけでもない。ただ、あいつと草津温泉・・・この展開に多少困惑してるだけ。何故素直に受け取ったのか・・・...
「ほぎゃあああああぁ~~!」「おぎゃあぁ~~、おぎゃあぁ~!!」「・・・・・・・・・・・・・・・」「牧野さん?オムツ替えないと・・・」「はっ!ごめんなさい・・・・・・」翌日から本格的に赤ちゃんのお世話が始まったのに、つくしはぼんやりすることが多かった。今も双子が部屋に来ていて、オムツ交換の時間・・・それを手に持って広げていたのに、泣いている子供を前に、自分の視線が何処に向いてるのか判らないといった感じだ。看護師も不思議そう...
「今から六本木の○○ビルに行きません?俺、そこのくじ引き券持ってるんですよ♪しかも明日が期限で、全部で30枚!」「えっ♪くじ引き?♥」「・・・俺は別に・・・」「はいっ!行きますーーーっ!!」生まれてこの方「くじ引き」なんてしたことがない俺・・・それなのにこの2人が盛りあがったせいで六本木に行くことになった。話を聞けば、こいつはとあるショッピングセンターが行ってるイベントのくじ引き券を、仕事関係者から譲り受けたそ...
「類がいつもお世話になっています。母の花沢遙香ですわ」「あ、あの・・・・・・・・・」「そんなに緊張なさらないで?でも、お話がしたいので少しよろしいかしら。2日目だからまだ痛むでしょうし、そんなに長居はしませんわ」つくしは身体が痛むのも忘れて起き上がったが、そんなに機敏に動けるわけもなく、慌ててネグリジェの上にカーディガンを羽織った。遙香はさっきまで実奈美が座っていた椅子に座り、品良く微笑むのだが・・・それに温...
期待を裏切らない肉がズラリ・・・それを俺が焼いて牧野が食うと言う構図。そしてチョイチョイ出てくる三井の手。まぁ、俺はこのぐらいの肉は家でも出されるし、そんなに腹が減ってるワケでもねぇから良いけど、この2人は夢中になって食ってるからそんなに会話にもならなかった。特に牧野は息継ぎしてるのか?って勢いで・・・マジで恋より飯、男より飯、結婚生活より飯って感じ。だがこれが本当に浮気されて離婚した女の姿か?と目を疑...
出産後の約2時間は、異常出血等が起こりやすいため、分娩台の上で寝たまま安静にしなくてはならない。その間に医師や助産師から説明を受け、類はつくしに飲み物を渡していた。その後、必要な検査を終えた赤ちゃんが連れて来られ、ここでまた家族4人が対面・・・看護師が「記念撮影します?」と聞いてきたので、それを撮ってもらった。上半身を起こしたつくしの横には男の子、類の腕の中には女の子が抱かれ、すごく嬉しそうなつくし...
12月1日・・・月初めは何かと忙しいのに、定時で切り上げて会社を出た。そしてダッシュで駅まで行き、西門さんに言われた西麻布まで行く事に。その前に東京メトロ日比谷線・六本木駅で三井さんと待ち合わせだから、まずはそこに向かった。帰宅ラッシュでごった返す中、駅近くのローソン前で18時だったんだけど、なんとかその5分前には到着。焼き肉屋さんは西門さんがいないと入れないっていうお店で、予約は18時30分。だか...
「悪いけど、もっと急いで・・・!」「はぁ・・・出来たら私も急ぎたいんですが、こう道が混んでちゃねぇ・・・」「・・・・・・っ!」タクシーに乗ったのはいいが、クリスマスイブの夕方17時だ。あちこちで渋滞が起きていて、思ったように進まない。イライラしながら窓の外を見ていると、道行く人々が皆楽しそうに見えてしまう。その中には子連れの夫婦もいて、類は数年先の自分達を思い浮かべた。つくしと自分の間に男女の双子・・・楽しそうにク...
「ちょ、ちょっと西・・・総二郎、こっちに来てくれる?」「なんだよ、仕事中だろ?」「いいから💢!!三井さん、少し待ってて下さいね!」「あ?あぁ・・・・・・」三井さんの発言も問題ありだけど、それに答えた西門さんも大問題!!どうして私が偽物の彼氏と、取引先の男性と一緒に飲みに行かなきゃいけないのよ・・・そんなの会話が続かないじゃないの!ってことで、三井さんから離れたところまで西門さんの着物の袖を引っ張って連れて行き、...
何でも屋の女性が付き添ってくれて、つくしの管理入院は無事に終わった。それからつくしの緊張は出産だけに絞られていく。毎日何処かで子供の泣き声がすると、ホッとするような、ドキドキするような・・・大きなお腹を抱えていた妊婦が、とある日スッキリしていると、「あの人は出産したんだな~」と思ったり。「自分のはいつか元に戻るのか?」と、スイカ2個分ほどになったお腹を摩っていた。この時、つくしへの面会を許可していた...
何故か三井さんの向こうに着物姿の西門さんが・・・それに驚いて固まってると、彼が「なんだ、お前、ここの担当者と取引してたのか?」って言われて覚醒した。そうだった!!三井さんにはこの人が彼だと説明してたんだ!うっそ、この状況どうすんの?!とは言え、彼は既に「彼氏」役を演じてる・・・だから私も「彼女」役を演じなきゃならないと思い、思わず「総二郎がどうして来てるの?」と話を合わせてみた。って、それは本当に判らな...
類の計画通り、つくしの引っ越しが行われたのは11月の中頃だった。誰にも知られないように何でも屋のような業者を雇い、連絡は総てメール。電話もしないし、直接会うこともしない。その為にかかる費用が上がろうが、そんな事はどうでもいい・・・とにかく遙香に気が付かれないように病院の近くにオートロックのある小さなアパートを新たに借り、そこに運ぶ家具と家電も全部その人間に任せた。そして女性を1人派遣させ、つくしが出...
ヘンテコな女、牧野つくしと飯を食ってから1週間後。初釜の招待状を書いていると、俺の書斎の前に人の気配がした。だから筆を止めてそっちを見ると、「総二郎様、少しよろしいでしょうか」と。その声は志乃さんだったから入室を許可すると、彼女はお茶を持ってきたついでに、「新しいお教室の内装についてなんですけど~」と話しかけて来た。それは都内に新しく出来た商業ビルの中に、西門流の茶道教室が入るという件。それまでは...
遙香がつくしの妊娠を知っている・・・つくしの名前が出た時点でそれは想定していたので驚かなかったが、わざわざ花沢総合医療センターへの転院を進めてくるとは思わなかった。しかもその真意のほどは・・・つくしとの事を許し、子供を受け入れてくれるというのかそれともただ監視したいだけなのか・・・それ次第で類の行動も変わってくる。だが、それをここで問うてみても、遙香が本当のことを言うとは思えなかった。唯一聞けたのは、2人...
飯を食い終わったのは21時30分で、まだ終電には全然余裕・・・だが、1人で帰していいものかを悩んだ。こう言う時は、大抵男が送リ届けるというのが一般的だろう。が、そもそも俺は急かされたこともあってハーレーで来ている。そこにNOヘルの牧野を乗せることは出来ず、ビルの中を出口に向かって歩いてる最中もずっと考えていたのだが・・・「西門さん、明日も仕事だろうにごめんね~」「・・・別にいいけど」「自宅が仕事場なら時間っ...
その日のディナーは実に面白くなかった。遙香を中心に、幹部達が本心かどうかもわからない笑みを浮かべ、社の未来を語り、花沢家の安泰を願うような言葉を並べているからだ。それは暗に類の結婚をほのめかしているようで、どうも居心地が悪い。しかも遙香の中には京極美央の存在が今でもあるだろうから、いつその話に切り替わるのかとヒヤヒヤしていた。とは言え、出されたら幹部の前で拒否をする、そのぐらいの気持ちは持っていた...
西門総二郎・・・この不思議な男は何者なんだろう?私が言葉にしてないのに、どうしてバレたんだろう・・・テーブルマナーなんて出来ないから、あんなオープンな席では食べたくなかったって。 それに、嫌な事があったんなら美味いもの食って忘れた方が賢い・・・そんなの初めて言われた。足だって正座じゃないとダメだと思ったのに、私が言う前に崩していいなんて・・・。可哀想だから驕ってやるとか、女なら言う事聞けとか、そんな風に言わな...
10月に入ったとある日の夕方・・・類の執務室でメールのチェックを行っていた秘書が手を止めた。そして訝しげな様子で画面を凝視、それを読み終えると類の方に向き直った。「専務、パリの副社長からメールがありましたが」藤本がそう言うと、それまでパソコンに向かっていた類の視線が彼に向かった。そして軽快に動かしていた指は止まり、次の言葉を待った。藤本は類の胸の内も遙香の思惑も何も知らない。だから業務の1つとしてメ...
またビルの中に入ったんだけど、実はもうこの人に用がない。だから私の肩を抱いてるその手をヒョイッと摘まんで持ち上げ、その腕の中から逃げた。そうしたら西門さんもキョトンとしてたんだけど・・・「あ、あの!本当に無理言ってごめんなさい!他に思い付かなかったから・・・お母さんにも謝っといてくれる?」「は?あぁ、あれはお袋じゃねぇよ」「え!でもそれっぽい歳の声で、”西門でございます”って言ったよ?」「あれは使用人頭の...
夏になるとつくしのお腹は随分目立つようになった。双子だから余計に、まだ妊娠後期でもないのに臨月間近のよう・・・そしてこの頃にはバイトも辞めていた。だから家で安静にしていたが、少しぐらいは動かなくてはならないと軽い散歩はしていた。だがそれもこの暑さではすぐに断念せざるを得なかった。現在多胎妊娠の中期だが、お腹の大きさは単胎の妊婦にくらべて大きい。そうなると腰や背中の負担も増してくるので、それだけで結構...
本文中にR表現を含んだ部分がございます。苦手な方はご遠慮下さい。パスをかけておりませんので閲覧は自己責任でお願い致します。******************************つくしから離れた間に少しだけ落ち着いた身体・・・と思ったが、素っ裸のこいつを抱えて寝室に入った瞬間、再び火がついた。ってことで、ベッドに降ろした途端に押し倒し、そのまま唇を塞いであっという間につくしの両脚の中に滑り込む・・・つ...
「アペリティフをお持ちしてもよろしいでしょうか」そう言われて、類は「車で来ているのでノンアルコールで」と答えた。その瞬間、美央の眉が少し歪んだが、類はそれを見なかったことに・・・おそらくディナーの後の「何か」を期待していたのだろうが、生憎そんな事は微塵も考えていなかったので、食事が終わったら速効帰宅するつもりだった。前菜はパテ・ド・カンパーニュにニース風サラダ、キッシュ・ロレーヌ。スープは野菜のポタ...
「総二郎、改めてお誕生日、おめでとう~~♥」「サンキュ。つくしも出張同行、お疲れ♪」「うふふ、私は何もしてないよ~~♥それより早く食べよ?美味しそうだね~」今日はホテルでプライベートバーベキュー。誰にも邪魔されず、専用のテラスで俺が肉やら野菜を焼き、つくしが食うという構図・・・これのどこが誕生日のディナーだ?と思うが、それでもすげぇ楽しかった。こんな時間は久しぶり・・・自宅では常に俺達の側には千愛がいて、...
少しだけ転た寝したつくしは、目が覚めるとぼんやりとしたままスマホを手に持った。そしてLINEを確かめると、類からの返事が来ていた。それは「定時で帰ってそこに行く」と言うもの・・・慌てて時計を見たら17時前だったので、急いで起き上がってキッチンに向かった。その時にハッとして自分のお腹を押さえ、自分が妊婦である事を思い起こした。「・・・いやいや、病気じゃないし、ご飯作るぐらい平気だよね。お医者さんの言う無理しな...
工藤の家に行くと、沖縄で結婚したという嫁さんがいて、子供はまだらしい。その嫁さんが郷土料理でもてなしてくれたのだが、それは「アグー豚のしゃぶしゃぶ」に「むじ汁」。それに車海老の刺身に天麩羅、ついでに塩焼きまで。それを堪能してつくしも大満足、俺はほんの少しだけ泡盛を飲み、工藤と談笑していた。とは言え、出来るだけ早くホテルに戻り、つくしと2人きりになりたい・・・その後の「お楽しみ」の為にもあまり飲まない...
「おめでとうございます。妊娠8週目ですね」「・・・8週目・・・あの、予定日はいつになりますか?」「そうですね、今の時点では12月30日ですが、すこし前後するとは思います」翌日、つくしはすぐに産婦人科で検査をした。それで正式に妊娠が判明し、大凡の予定日聞く事が出来た。早くそれを類に知らせたいと思いつつ、自分では見ても判らないエコー画面を眺めていた。だが、その時に思い掛けないことを言われた。それは双子である...
総ちゃん、お誕生日おめでとう~~~~♥!今年は単独イベントになりましたけど、本日から4日間は総誕Storyをお届けします。タイトルからして総ちゃんに優しいかどうかは判りませんが(笑)では、魔羅観音様にお参りした2人のその後をどうぞ♥******************************摩羅観音に行った翌年の秋の初め、つくしは可愛らしい女の子を出産した。名前は千の愛と書いて「ちあき」・・・もう俺は可愛く...
まだ夏休みだからだろうか・・・窓の外では子供声が聞こえる。閉めたカーテンから漏れる日差しは強く、震えながら類にしがみつくつくしの横顔を照らしていた。その時間は午後4時・・・素肌のままで狭いベッドで横たわり、2人の身体に掛かっているのは薄いタオルケットのみ。2人の服はグシャグシャに絡まったまま床に落とされていた。エアコンは効いているが類もつくしも汗だくで、行為が終わったばかりの2人の肌はその汗で光っている...
「この大馬鹿者!何を考えてるんだ!」」「こんなの末代までの恥ですよっ!!」「だから言ってるだろ・・・俺は騙されたんだよ」・・・少し前にも同じ事を言われなかったか?なんて事は言えず、俺はまた両親にド叱られされた。その理由は、「俺が合コンに参加したことを弟の考三郎が両親にチクった」からだ。何故考三郎が知ったかというと、こいつの女友達があの店に居たから・・・そして俺が見知らぬ女と2人席でイチャイチャしていたと嘘...
皆様、こんにちは。今年も総ちゃんのお誕生日がやってきましたね♥ですが、今年は”チーム総ちゃんず”としてのイベントは残念ながらありません。当初は短編イベントを開催予定だったのですが、メンバーの諸事情により中止となりました。楽しみにして下さった読者様には大変申し訳なく思います。ごめんなさいね💦そんな中、私ったら1人で書いてしまっていたので、それを明日からアップしようと思います。3年前の「800円の男の欲情...
つくしは朝1番からカレーを作っていた。それは市販のルーではなく、スパイスから作る本格的なものだ。しかも類の好きなシーフードカレーを選んだ。カレーを作るのに必要なスパイスはクミンとターメリックで、これがあれば取り敢えずカレー風味にはなる。今回はそれにスパイスをプラスして、より深い味を出そうと数日前からレシピを調べていた。イカと海老は下拵えをして置いておく。クミン、ターメリック、レッドペパー、コリアン...
翌週、会社に行ったら大欠伸の涼子に遭遇・・・と言うか、席が1列挟んでの向かいだから丸見えだった。涼子も私と目が合ったら「土曜はお疲れ~」って軽いひと言。私は思いっきり睨みながら、合コンだと言わなかったことをもう1回怒ったんだけど、全然聞いちゃいない。むしろ、「面白かったでしょ?」って・・・「面白いと思うの?私はあんたしかいないと思ったからあの格好だったのよ?」「確かに!近所のコンビニに行くような格好だっ...
上司に言われたとおり、1週間ほど有休を使って休んだつくし。今日はその休み明けで、少しばかり緊張しながら職場に向かった。その入り口ですでに誰かの視線を感じ、自分でもチラッと辺りを窺ってしまう・・・そうするとサッと顔を横に向ける人がいて、それが事件の余波を感じさせて嫌だった。「おはようございます・・・」「・・・・・・・・・・・・」「あ、お・・・おはよう!牧野さん」「元気そうじゃん、よかった~~」「・・・長いこと休んで申し訳あ...
「ブログリーダー」を活用して、plumeriaさんをフォローしませんか?
桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
夏美さんが呆然としてる・・・・・・流石に自分でも不味いコトしたと思ってる。でも流れた玉子は拾えなかったし、真ん中の穴みたいなところ(ディスポーザー)にス~~~っと落ちていき・・・「どうしましょう、夏美さん・・・」「残った玉子は4個ですから、小さめのを作りましょうか💦」「ごめんなさい・・・」「大丈夫です!これも慣れですからね!」でも玉子をキレイに割ることは覚えたので、気を取り直して玉子4個を割った。そして夏美さんに...
翌日の紅葉の野点では、家元夫人のお茶席で祐子さんと一緒にお手伝いをした。まだまだ阿吽の呼吸とはいかないけど、とにかく自分の出来ることを頑張るしかない。2人とも家元夫人と色違いの着物で、それだけで周りの人達には意味が判ったようでザワザワしたけど・・・それでも笑顔を絶やさず、大失敗をしないことだけを願いながら。野点茶会が始まって2時間後にやってきた花沢類と美作さんは、何故か総二郎のお茶席じゃなくて家元夫...
「はぁ~~~~~!12時になったぁ!」「社食に行く?今日の日替わり、なんだったっけ?」「池上君、今日は13時30分には芝崎産業に行くから遅れるなよ~~」「はい、すぐに飯食ってきます!」「花沢課長、キリがいいところで食事にしませんか?」「・・・ん」・・・なんとか午前中の業務終了。俺も昼食に行こうと席を立った。他の社員のように社食に行ってもいいんだけど、俺の場合は周りにいる社員の方が気にするってことで、いつ...
1時間後・・・・・・クタクタになった私達は母屋に戻っていた。後援会の皆様への挨拶は道明寺達のおかげで滞りなく終わり、むしろ後半はこの人達によって私達の結婚が西門流にとってもこの上ない幸運だと言わんばかりに盛り上がってた。総二郎の親友なんだから特別顧問的な役割は続くのに、オマケに私の後ろ盾だなんて・・・家元ご夫妻も彼らとニコニコしながら会話し、「今日はどうもありがとうね~」なんて言ってる。そして鬼みたいな顔...
マンションに戻ったのは11時30分。ここで夏美さんが「すぐにご飯を炊きましょう」って言いながら、さっき買ってきた食料品の中からお米を取り出した。「お米を・・・たく?」「えぇ、炊飯器で炊くんです。これも忘れました?」「・・・・・・あ、あは・・・あっははははは!」「簡単ですからすぐに思い出せますよ」野菜を炊いたものなら知ってるけど、基本私達のご飯は玄米を蒸して強飯にしたり、水をたっぷり入れて煮るお粥がほとんどだっ...
「つくし様、終わりましたわ」「・・・ありがとうございます、志乃さん。うわぁ・・・私じゃないみたい///」「うふふ、よくお似合いですわ。では総二郎様をお呼びしますね。お客様もすでにお待ちのようですので」「・・・・・・は、はい!」今日は後援会の皆さんとの顔合わせの日・・・家元夫人から譲り受けた色留袖を着て、ドキドキしながら控えの間で待っていた。総二郎が選んでくれたのはすごく綺麗な袷の色留袖で、地色は象牙色、柄はすべて手...
夏美さんとホームセンターに行くと、真っ直ぐ向かったのは「キッチン○○」ってことろ。(↑○○=用品だが、まだ漢字が読めない)そこにはキラキラした(金属)ものが沢山あるんだけど、私には何のことやら・・・だから全部彼女に任せることにした。まずは”包丁”・・・「このまえ買ったかどうか忘れたんですけど、2つあっても良いと思うので」「は~~い」「ぺティナイフも買いましょうか」「・・・は、は~~い」(←わかっていない)夏美さんが...
お義母様との話し合いが終わった翌日から、私はいただいた着物を着て本邸を歩くことになった。そしてここではお義母様から家元夫人に呼び方も変更・・・自分1人では何をしていいのかわからないので、常に家元夫人にくっついていた。玄関の花を変えたりするぐらいなら緊張はしないけど、生徒さんが来たときに挨拶するのは心臓が破裂しそうになる。なんたって生徒さんの半数は名家のご令嬢・・・今はフリーの総二郎がお目当てなんだもん。...
サンルームとやらに干された3日分の下着・・・白に鴇色(ときいろ・ピンク)に空色・・・乾いたらこれを畳んだらいいとのこと。でもそれを何処に仕舞うのかしら?この部屋には唐櫃(からびつ)もないんだけど・・・。出典:e国宝「どこに仕舞っても自由だと思いますけど、確かにお部屋にタンスはないみたいですね~」「服は向こうに置いてあるんですけど・・・」「あぁ、クローゼットですね?でもこんなに広い脱衣場があるし、ここにも棚がある...
つくしと葵が退院してから1ヶ月が過ぎた。梅雨の晴れ間で、気温もそう高くない日・・・・・宗家には客人が来ていた。それは神楽木裕也夫妻で、その手には葵のための祝い着があった。淡い黄色から赤への暈かしがあり、美しい配色の毬に組紐、そして熨斗目が描かれたもので、華やかな芍薬や桜なども。金彩も施され、煌びやかさもある極上のもの。それを見るつくしや祐子は目がテン・・・お袋は涙ぐみながらそれを手に持った。その場には親父...
「まだ始まっていない・・・とは・・・?」「えっと・・・・・・つくしさん、成人してますよね?」「せいじん?」「大人・・・ですよね?」”せいじん”・・・つまりそれが大人って意味?私達の頃は男性は「加冠の儀」つまり「元服」、女性は「裳着の儀」ってのがあった。元服は帝であればおおよそ11歳から15歳まで、皇太子であれば17歳までに行われてたけど、通常14歳前後が多かったみたい。元服式には「理髪の役」と「加冠の役」の役目があって、まず...
出産がこれほどまでに大変だったとは・・・・・・光翔の時には立ち会わなかったからわからなかったし、正直美涼の苦しみや痛みまで考えなかった気がする。でもつくしの様子を見ていると、彼女も必死に産んでくれたのだと・・・・・・もう少し感謝の言葉をかけてやれば良かったと思った。と同時に、これだけの思いをして生んだ光翔を愛おしく思えなかったことに対して疑問が湧いたが・・・「・・・総二郎、どうかした?」「あ、いや・・・なんでもない。...
夏美さんが来てくれたので安心して全身の力が抜けた・・・けど、この人に色々と教えてもらわないといけないので、「よろしくおねがいします!」と元気よく挨拶♪中に入ってもらって、まずは・・・・・・何をする?「え~~~~~と・・・」「あぁ、お茶とか珈琲とかはいいですよ。仕事で来てるので気を遣わないで下さい」「・・・(あぁ、お茶を出すものなのね?そもそも炭汁(珈琲)は作れないし)・・・あはは///すみません」現代社会を知らないフリ...
5月31日は土曜日で、一颯の保育園はお休み。光翔くんの幼稚園もお休みで、子供達は朝から庭で遊んでいた。あんな風に走ったり飛んだり、しゃがんだりが身軽で羨ましい・・・と、自分のお腹をさすりながらそれを眺めて・・・・・・「・・・つくし、平気か?」「へ?あぁ~~~、うん、まだ平気」「陣痛が来る前に入院してもいいんじゃねぇの?」「そんなの病院に迷惑だよ。陣痛間隔が15分ぐらいで行く人もいるんだし」「でも・・・・・・」「そん...
「おはようございます、花沢課長///」「課長、今日も素敵なスーツですね~~♪」「・・・・・・・・・」「無口だけどそこがまた///」←ただの無愛想「ねぇねぇ、今日は少しワイルドな髪型じゃない?」←ただの寝癖「「「花沢課長、おはようございます~~~♪」」」「あぁ、おはよう・・・・・・」「「「きゃあああ🧡今日はご挨拶できたぁ🧡」」」そんな声もほとんど耳に入らず、床の大理石タイルに視線を落として歩いた。頭の中では1人にしてしまった...
墓参りから1週間が過ぎ、明日は桜の茶会。今回もつくしは準備だけで、当日は子供達の世話係。まだ後援会に何も話していないので、姿を見せないように離れで過ごすことにしていた。が、祐子は茶会終了後に挨拶するために数日前からその練習をしていた。お袋から譲り受けた着物を着て、光翔にも着物を着せて・・・その時は流石に一颯の事が気になったが、子供なのであまり深くは考えていないようで助かった。むしろ面倒くさいことをせ...
翌朝、やっぱり私はベッドから落ちて寝ていた。でも類がそこにマットレスってのを敷いててくれたので、今日は身体が痛くないなぁ~と思いながら身体を起こすと・・・もう類はこの部屋にはいなかった。「・・・あ、今日から仕事に行くって言ってたっけ・・・」いつまでも寝てるから、起こさずに出かけたのかと思って飛び起た私。その時にズボンの裾を踏んで転けそうになりなからも、ドアを開けて隣の部屋に行くと・・・・・・「おはよう、つくし」...
桜の茶会の10日前・・・彼岸の日に神楽木家に向かった。車中にはお袋の姿もあり、つくしが後部座席で一颯の相手をし、お袋は助手席。運転席の俺も少しばかり緊張するが、まだ祖母に慣れていない一颯のためにはこの方がいいだろうと思ったからだ。お袋は紫地の江戸小紋に紹巴織の名古屋帯。春らしい着物ではなかったけど、品があり、墓参りに相応しいものだった。「ねぇ、ママ。かぐらぎのおじちゃんはなんのお仕事してるの~?」「...
その日の夕ご飯も誰かが持って来てくれた物をレンジでチンして食べることになった。何度もやったから温めは完璧🧡そしてコンロでお湯を沸かすことも出来るようになった。ここでまた初めての物が出てきたんだけど・・・すごく軽くて四角くて、スカスカしてる?「類、これはどうやって食べるの?このまま囓るの?」「それはフリーズドライの卵スープだよ」「・・・・・・?」「あぁ、フリーズドライって言うのは真空凍結乾燥って意味で・・・・・・わ...
ドレス選びが終わると本格的になったのは英語とフランス語の挨拶だ。これはつくしだけではなく真音と真利愛もなのだが、子ども達は類が教えることになった。つくしには専属の家庭教師がつき、パーティーまでの間、毎日英語とフランス語の講習を受けることに・・・勿論簡単な日常会話のみだが、それでも気が重かった。そんな梅雨の晴れ間の、とある日曜のこと。リビングの真ん中で家族が輪になり、類による子ども達へのレッスン開始だ...
ラーメンを食べたら、まずは手袋を買いに行った。この季節に手袋なんてって思ったけど、作業服の販売店に行くとカラー軍手が売られてるからって・・・「しかも250円ぐらいで買えるんだよ」って爽やかに言われ、最近”○千万円”って言葉に慣れてるせいで逆に驚いてしまった。と言うか、祥一郎さんって西門家の血が入ってるのだろうか・・・?それともあの家を出ると金銭感覚が通常値にもどるのか?じゃあもしかして・・・私の方がバグってる...
それから数日間、つくし達は大きな問題もなく過ごしていた。少しばかり増えたことと言えば、真利愛と真音にパーティーでの挨拶を教えることだった。いくらこの豪邸に住んでいた真利愛でも、ビジネスパーティーには出席したことはない。真音に至っては堅苦しい服を着ることですら初めてだ。だからと言って3歳児に完璧なマナーなど出来るはずもないので、可能な範囲でのこと。特別な講師を招くわけでもなく、加代が教えるのだが、そ...
翌朝・・・サッちゃんは早朝から仕事だから、私が目を覚ましたときにはもう部屋にいなかった。その部屋を見たら、私の荷物がドーンとド真ん中に・・・前に使っていた部屋だけど、今はサッちゃんと野田さんの部屋だから男性用品もあるし、さり気なく結婚式の写真も飾ってあるしで、私はすごく迷惑なことをしたんだな・・・と。なんたって昨日は総二郎と大喧嘩・・・それを新婚のサッちゃんに八つ当たりしまくった気がする。「頭痛いなぁ・・・身体...
その日はいつもより早く帰宅出来そうだったため、類は加代に電話をして、子ども達と一緒に食事をすると話した。すると加代から聞かされたのは今日の昼間の出来事・・・「えっ、真利愛とつくしが?」『はい。そんなに酷い喧嘩ではありませんが、つくし様を突き飛ばすような事をしてしまって・・・』「そう・・・・・・それでつくしは?」『必死に真利愛様を宥めておいででした・・・』「真利愛は?」『まだ謝ってはおられませんが、そのあとは真音...
夕食時、考ちゃんは茶道教室・夜間の部があるとのことでいなかったけど、その席には祥一郎さんが♥見飽きた顔じゃなくて、長男さんがいることを家元夫妻も喜んでるみたい♪特に家元夫人はお母さんの顔になってるし~。「どうなの?お仕事は上手くいってる?」「もうどのくらい手術したんだ?」「まだ勤務して数年だし、そんなに言えるほどじゃないって」「あら、じゃあ一人前とは言えないの?」「欧米だと一人前の心臓外科医になるに...
「つくし、何しているの?」「ん~?えへへ・・・・・・子ども達の服を縫うの。その型紙を作ってるんだよ~」「服・・・つくしが作るの?」「うん!それとね、ぬいぐるみ達の服とか、ランチョンマットとか・・・あ、類のはブルーだよ♪」「くすっ、今日は機嫌がいいんだね」「へっ///?あぁ・・・うん、まぁね~」真音と真利愛が寝てしまった後で類が帰宅し、つくしはその時もテーブルの上に型紙を広げていた。類はそれを覗き込んだが全く判らない...
なんとか巨大迷路を抜け出し、出口前で合流したのは16時。そこに道明寺さんはいなくて、私たちはアイスを食べながら待つことに・・・するとしばらくして数人のスタッフさんに連れられて、ブスッとした彼が戻ってきた。どうやら巨大迷路を破壊したことで、お説教&損害賠償の話があったらしいけど、道明寺さんは「全部立て直してやる!」と即答したらしい。スタッフさんもこの人が道明寺ホールディングスの人(経営側)だとわかり、...
その日の夕方・・・土曜だったので類は早めに帰宅できた。当然それを迎えに出たのは真利愛と真音で、「ぱっぱ~~!」と飛び付いたのは真利愛だ。真音も同じようにしたい様子だったが、真利愛の勢いに負けるのと、まだ素直に類に触れることが出来なかった。そんな真音に気が付いて、類はいつも真利愛の後で真音も抱き上げた。「うわ・・・真音、少し重くなった?」「ほんと?ぼく、大きくなった?」「まいあは~?まいあも大きくなったぁ...
巨大迷路の入り口に立つと、そこには2つのコースがあった。1つは体力勝負のアスレチックコース、もう一つは仕掛けを解いていく知力コース。迷路としての建物は1つだけど、中の通路は巧みに入り組んでいるため2つのコースが交わることはないそうだ。そのどっちに行くかってことで、再びジャンケンすることに。勝った方が好きな方を選ぶことにして、総二郎と道明寺さんがジャンケンすることとなった。「行くぞ、司!」「・・・そん...
つくしが花沢邸に来てから1ヶ月が経過した。それが5月の中旬で、ここで2人は婚姻届けを提出することになった。何故3ヶ月も先になったのかというと、社長に就任した類が多忙だった事もあるが、警察の事情聴取、つくしの税務処理と何かにつけてドタバタしていたのだ。それも全部終わり、類も落ち着いてきたために漸く自分達の届け出に着手できたのだ。しかも類と真利愛は養子縁組をしていたので、その辺りの修正手続きに弁護士を...
いきなり現れたのが恐ろしい顔の人形だったのか、それとも人間だったのか・・・それすらわかんない状況で彼に逃げられたけど、こんなところに1人で取り残されるのもイヤだ!だから楽しむ時間もなく暗闇の中を追い掛けたら、道明寺さんは何にもない壁に両手ついてゼイゼイしていた。・・・まったく、それが30歳の男のすることか💢!!それを怒ることも出来ず、薄気味悪いBGMの中、道明寺さんの背中をポンと叩くと・・・「うわあああぁっ!...
「・・・・・・マジか・・・」「俺、1回入ってみたかった♪」「悪い、俺は絶対に嫌だ。乗り物ならいいけど、あそこは無理!」「・・・・・・・・・は、入るだけなのか?」「うん、入るだけだよ~~♪だってお化け屋敷だもん!自分の足で歩くだけだよ~~」子供の頃からの夢だと言いながら、つくしは薄気味悪い建物の前で立ち止まった。そしてここでも言いだしたのがジャンケン。あきらが絶対に嫌だと言うから、俺と類と司とつくしの4人で2組に分かれ...
先日は大変お騒がせしました。たくさんコメントいただきまして、そのお返事も出来ずに申し訳ありません。多くの方にお話を楽しみにしていると言っていただき、とても感謝しております。しばらくお休みさせていただき少しは落ち着いたのですが、続編のお話で物足りなさが解消できるかどうかを考えると・・・どうなのかな~?と思いつつ・・・でも書いていたものだけは公開して、それでこの話を完全終了させることにしました。なので近々0...
初めはゆっくり動くジェットコースター・・・だんだん心臓がバクバクし始めて、喉がゴクリと鳴った。そうしたら花沢さんがボソッとひと言・・・「ジェットコースターってさ・・・恐怖心とは関係なく気絶する事があるんだよね」「は?」「極端な重力がかかると血液は下半身に集まって脳に届かなくなるから。特に気温の高い日は汗をかいて体内が脱水気味になってるから余計になりやすいんだって」「・・・・・・(今日、暑いけど)・・・」「ジェットコ...
「あ~あ、もう無理か・・・」「美作さん、何が無理なの?」「いや、何でもない(総二郎達のゴンドラからはもう見えない・・・なんて言えないし)。つくしちゃん、あと少しだからしっかり見ておかないと!」「は~~~い!」観覧車の後半になったら美作さんは私と向かい合って座り、何故かニヤニヤしていた。その意味は判らなかったけど、言われたとおりに窓の外を眺めて「もう地面が近くなった~!」と・・・その時目に入ったのはジェット...
遊園地とは文字の如く、楽しく遊べるように、いろいろな遊具やアトラクション、設備を備えた施設。アトラクションの設置に関係なく遊園地と呼ばれている公園もあるんだけど、私の思う遊園地は「乗り物」があること!それは滑り台、ブランコじゃなく、もっとハードでスピード感のあるもの・・・まさか、本当にそれに乗れる日が来るとは・・・っ!!「・・・・・・うっ・・・うっ・・・えぐっ!」「ちょっと総二郎・・・この子、泣いてるんだけど」「悪い...
「ふああああぁ~~~~~~~~!よく寝たぁ~~~~~~~~~~!!」大きく背伸びをして起きたのは6時30分。総二郎がいないおかげで久しぶりに爆睡でき、すっごく気持ちの良い朝だった。カーテンを開けると清々しい朝陽が目に入る・・・「今日は快晴だな~」と呟きながらベッドを降りて服を着替えた。そしてドアを開けて隣の部屋を覗くと・・・ベッドで寝ているのは美作さん1人。花沢さんはソファーで丸くなり、道明寺さんと総二...
私を無視して決められた翌日の予定・・・まさかの、道明寺さん達とのお出掛け?!結婚式の翌日に団体行動?!「ちょっと待ってよ、何処に行くの?」「つくし、行き先が問題じゃねぇよ💢俺達は2人きりでここで過ごし、明日の夜までマッタリするんだから!そうじゃないと明後日からは仕事なんだぞ?これまでの疲れを癒やさないとダメだろ?」「確かに疲れてるかも・・・行き先次第だけど・・・」「そうだなぁ、何処に行きたい?あきら」「俺は...
最後まであきらが仕切った二次会終了・・・考三郎はそれからまた飲みに行くと言い、女達を連れて何処かに消えた。従姉妹・従兄弟達はそれぞれの迎えの車であっさり帰宅。涼子達はつくしよりも景品に浮かれまくり、万歳しながらタクシーに乗った。港に残されたのは俺達5人・・・今日は宗家に戻らず、Tホテルのスイートを予約していたので、そこに向かうと言うと、あきらが「ハネムーンは?」と聞いてきた。答えは・・・「今すぐ旅行には行か...