贖罪論的救済論からの脱出 ー 救済論(3)(学び合いの会)
Ⅴ中世以降1アンセルムスの充足説中世の贖罪論的救済論は、カンタベリーのアンセルムス(1033-1109)の充足説によって明確な形をとることになった(1)。アンセルムスは、『神はなにゆえに人と成り給うたか』(CurDeushomo?)という著作において次のように述べる。前稿でも紹介したが、繰り返せば、絶対者に対する罪の償いは人間は有限で小さい存在であるゆえに人間には不可能である。神は愛であるから、人間の罪を赦したいと思うが、同時に神は正義であるから、人間の償いを受け入れられない。この矛盾を解決する唯一の方法は、神ご自身が人となって神に償うことである。そのため、キリストが人と成り、十字架上の死を通して人類の罪を贖ったのである。こういう罪中心の救済論はアウグスチヌスの原罪論のライン上にあり、キリストの受難と十字...贖罪論的救済論からの脱出ー救済論(3)(学び合いの会)
2023/03/31 09:45