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  • 去年今年

    『老年の読書』 前田 速夫著 世界各地で争いは続き、いつの間にやら武器輸出、今や戦争は他人事ではなくなりつつあり。一方、この国の相対的地位はあらゆる面で落ち続け、かつての勢いはどこにもない。それでいて、政治は相も変わらず、裏金やら買収やら、日本製品の信頼性はどこに消えたかという大規模不正。小さな暮らしを守るにも、物価は高止まりして、暮らしにくさは、この上なし。 何の力も知恵もないトシヨリだから、せめて自分の領域だけは納得していたいと、暮らしの手抜きを避けてはいるが、寄る歳波にはいかんとも。疲れた疲れたとぼやけば、物事はだいたいでいいのやと宣う。何やかんやで帳尻が合わぬのを、無理に合わせて今年も…

  • 年の瀬

    今年の三冊 だんだん衰えてきたのか、興味が持てなくて本が読めない。今年は何時もの三分のニほどだ。こんなことで「今年の三冊」もないもんだが、自分の記録として書いておこうと思う。以下三冊。 世界は五反田から始まった 星野博美 縄文文化と日本人 佐々木高明 ある補充兵の戦い 大岡昇平 全体としてフィクションは少なく、あまり好みじゃないんだなと思う。昔はこれで文学好きだと思っていたから笑わせる。よっぽど文学より史学をやればよかった。新聞の投書欄に昔購入した筑摩の文学全集70巻を読んでいるという高齢者の投書があった。この文学全集は当方も旧友も持っているが、(古本でも売れないから仕方なく持ってる)お互いに…

  • 柚子湯

    『裏日本的 くらい つらい おもい みたい』 正津 勉著 今朝ー1・7度、この冬一番の冷え込み。奥美濃の積雪は40センチと昨夜のニュース。 奥美濃と隣り合った筆者の産土(福井県大野市)も、多分どっしりとした雪ならん。 「ここがいがいに大陸に近くあって、上代より交易を盛んにおこない、文物また人流を受けいれること、どんなに豊穣な地であったか。・・・それなのにどうして利の無きがごとくされたか。」 著者の苛立ちと土地愛で、ここに紹介された多くの先人たちの「『裏の心の所産たる詩と文』は、もとより惹かれたかの地へのさらなる憧れと興味を掻きたててくれた。 裏日本とあるが、対象は若狭から北越まで。それぞれの土…

  • 風花

    『日本人の源流』 齋藤 成也著 NHKBSで「日本人とは何者なのか」という番組を観た。DNA解析を通じて、日本人のルーツに迫ろうという内容で、とても面白かった。 最初に日本列島に棲み着いた縄文人と稲作文化を伝えた弥生人が混血して現日本人の元になったこと、混血の割合がアイヌや沖縄の人と列島人とでは大きく違うこと、こういうことは今までも聞いていたことだが、今回の番組で初耳だったのは、古墳時代になって大陸からの渡来がさらに進み、そこから現在に繋がる祖先集団が誕生したとする説である。確かに古墳時代頃、大陸からの渡来はかなりの規模ではなかったかと、当地の歴史を概観しても推理できる。(当地の後期古墳の多く…

  • 枯葉

    『またたび』 伊藤 比呂美著 三日ほど前から右側の肩甲骨の下辺りが痛くて、鎮痛剤のお世話になっていたが、どうやら回復。今日は陽気も暖かいからと(異様といっていいほどの暖かさ)窓拭きに奮闘する。下の部屋部屋の窓は、どうにか拭き上げたが、二階は知らない。物置と化している部屋や男性陣の個室までは責任外だ。拭き上げた窓に映る白髪老婆にギョッとするが、紛れもない私。いつも自己認識が甘いと言われるが、不意に映る姿は、正直だ。 さて、上記の本は近頃文庫になったが、初版は2000年。伊藤さんの中年の頃の「食」にまつわる話。いつものように歯切れのいい文章で読ませられる。アメリカ在住の頃なので、白いご飯と明太子や…

  • 時雨

    『入り江の幻影』 辺見 庸著 旧友に薦められて読んだ。エッセイとフィクション、重い内容だ。 去年、タモリさんが「2023年を新しい戦前」と捉えたという話を聞いた時、さすがタモリさんだと感心もし納得もした。著者はそれに触れて、今の覚束ない時代をこのように書いている。 「戦前というからにはこれからが戦争である。それは『便所の蝿のやうなものでも知っている(尾形亀之助)』のだ。恐らく、もう手遅れである。」 ロシアの侵攻に触発されるように安全保障上の懸念という考えはあたりまえになって、今や9条の理念は風前の灯だ。 「平和は一瞬である。その一瞬がいまなのだと思う。」 上記の文章が上梓されたのは、今年の六月…

  • 冬ざるる

    『グレイラットの殺人』 M・W・クレイヴン著 東野さやか訳 新聞の文庫本案内で見つけて読み始めたのはいいが、709ページもあり随分時間がかかってしまった。つまり夢中になるほど面白かったわけではない。 要は復讐譚である。犯罪現場に「グレイラット」の置物を残して置く手口など古典的な雰囲気もある。だが、犯罪者側も捜査側もインターネットを駆使し、背景に首脳国会議やアフガニスタン情勢が描かれるなど、まさに今、現在のミステリーでもある。 これが今のイギリスやアメリカの現状なのかと思ったことだが、捜査の中心者は国家犯罪対策庁のポーだが、彼の天才的アシスタントも、育休中の上司も、共に捜査をする保安庁の職員も、…

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