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アンチ人間が吐く毒素。

ライフスタイルブログ / 残りの人生

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2015/02/04

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  • AIと川柳ごっこ(16)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、しゃれ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題その6】高齢と醜悪なシミは残念ながら一対のモノ。それを鏡の中に見るたびによぎる老人の思いを川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その1】鏡見て ひとしずくの シミ増える【Geminiの回答:その1】鏡見て ため息ひとつ また増えた【ちなみにワタクシメの回答:その1】シミだらけ ですよしょせん 人生は では、また次回。 ...

  • AIと川柳ごっこ(15)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、しゃれ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題は前回と同じ】昨今は犬を家族のように愛する人が多いですが、そんな世相を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その3】実家より 犬いる家に 帰りたし【Geminiの回答:その3】散歩道 わが家の犬が 主役顔【ちなみにワタクシメの回答:その3】久々に 犬に吠えられ 覚醒す では、また次回。 ありがとうございました。...

  • AIと川柳ごっこ(14)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、しゃれ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題は前回と同じ】昨今は犬を家族のように愛する人が多いですが、そんな世相を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その2】ペット可と 書いて即決 新居先【Geminiの回答:その2】会話なし 寄り添う犬に 癒される【ちなみにワタクシメの回答:その2】妻とぼく どっちがエライか 犬は知る では、また次回。 ありがとうご...

  • AIと川柳ごっこ(13)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、しゃれ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題その5】昨今は犬を家族のように愛する人が多いですが、そんな世相を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その1】犬の名で 呼ばれ夫が 返事する【Geminiの回答:その1】わが子より 高価なご飯 ドッグフード【ちなみにワタクシメの回答:その1】サングラス かけた犬来て 道ゆずる では、また次回。 ありがとうござい...

  • AIと川柳ごっこ(12)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、しゃれ、ユーモア等をどうこなすのか試してみました。★【お題は前回と同じ】齢をとると、ふと若い頃を思い出して感慨にひたることがあります。そういう気持を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その2】笑い声 時を飛び越え 胸ゆれる【Geminiの回答:その2】人生は 過ぎし日々と 未来へと続く【ちなみにワタクシメの回答:その2】あのバカが このバカになり 墓にゆく では...

  • AIと川柳ごっこ(11)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、しゃれ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題その4】齢をとると、ふと若い頃を思い出して感慨にひたることがあります。そういう気持を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その1】忘れてた 恋の手紙に また赤面【Geminiの回答:その1】今はただ 懐かしき面影 偲ぶのみ【ちなみにワタクシメの回答:その1】小便が 馬のように出た 遠き日々 では、また次回。 あ...

  • AIと川柳ごっこ(10)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、シャレ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題は前々々回と同じ】SNSの現状について川柳をつくってください。★【チャットGPTの回答:その4】フォロワーと 語らぬままに 孤独増す【Geminiの回答:その4】疲れても やめられないの 依存かな【ちなみにワタクシメの回答:その4】SNS みんなで叩けば 怖くない では、また次回。 ありがとうございました。...

  • AIと川柳ごっこ(9)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、シャレ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題は前々回と同じ】SNSの現状について川柳をつくってください。★【チャットGPTの回答:その3】炎上し 謝罪文さえ 加工する【Geminiの回答:その3】嘘ニュース 拡散されてく 悲しい今【ちなみにワタクシメの回答:その3】SNS 関西弁で 毒薄め では、また次回。 ありがとうございました。...

  • AIと川柳ごっこ(8)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、シャレ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題は前回と同じ】SNSの現状について川柳をつくってください。★【チャットGPTの回答:その2】映えのため 現実そっちのけで 撮る朝食【Geminiの回答:その2】指先で 世界とつながる 便利さよ【ちなみにワタクシメの回答:その2】SNS あんたの感想 聞いてねえ では、また次回。 ありがとうございました。...

  • AIと川柳ごっこ(7)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、シャレ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題その3】SNSの現状について川柳をつくってください。★【チャットGPTの回答:その1】いいね待ち 夜が更けいく 通知ゼロ【Geminiの回答:その1】いいねの数 気にしてしまう 現代人【ちなみにワタクシメの回答:その1】エスエヌエスゥ? 知らんわからん どーでもええ では、また次回。 ありがとうございました。...

  • AIと川柳ごっこ(6)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、しゃれ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題は前々回と同じ】テレビが大谷選手のニュースやCMばかりでウンザリしている気持を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その3】大谷や どこまで続く その話【Geminiの回答:その3】たまにはね 違う話題も 見たいのよ【ちなみにワタクシメの回答:その3】大リーグ ドジャースだけに なったらしい では、また次回。 あ...

  • AIと川柳ごっこ(5)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、しゃれ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題は前回と同じ】テレビが大谷選手のニュースやCMばかりでウンザリしている気持を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その2】大谷の ニュースで埋まる 朝の空【Geminiの回答:その2】また出たか 同じCM チャネル変え【ちなみにワタクシメの回答:その2】大谷と ぼくを比べて 妻が泣く では、また次回。 ありがとうご...

  • AIと川柳ごっこ(4)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、シャレ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題その2】テレビが大谷選手のニュースやCMばかりでウンザリしている気持を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その1】またかよと つけたテレビに 大谷くん【Geminiの回答:その1】テレビ点けりゃ どこもかしこも 大谷さん【ちなみにワタクシメの回答:その1】大谷の 出ないテレビに 買い替えた では、また次回。 あ...

  • AIと川柳ごっこ(3)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、シャレ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題は前々回と同じ】トランプ大統領がアメリカの儲けを増やそうと関税とツィートで揺さぶりをかけている、その様子を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その3】ドルの雨 脅して交渉 止むもよう【Geminiの回答:その3】ディールだと ツィート連発 駆け引きか【ちなみにワタクシメの回答:その3】ウソ脅し てんこ盛りだよ トランプ丼 ...

  • AIと川柳ごっこ(2)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、シャレ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題は前回と同じ】トランプ大統領がアメリカの儲けを増やそうとして関税とツィートで揺さぶりをかけている、その様子を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その2】関税で 脅して交渉 ビジネス流【Geminiの回答:その2】アメリカを 第一主義と 関税壁 (原文のままだが、「アメリカは」かな?)【ちなみにワタクシメの回答:その2】...

  • AIと川柳ごっこ(1)

    AIが川柳の滑稽、皮肉、しゃれ、ユーモア等をどうこなすか試してみました。★【お題その1】トランプ大統領がアメリカの儲けを増やそうとして関税とツィートで揺さぶりをかけている、その様子を川柳にしてください。★【チャットGPTの回答:その1】儲けたい 口先ひとつで 値が揺れる【ちなみにワタクシメの回答:その1】トランプの トランプすべて ババばかり では、また次回。 ありがとうございました。...

  • 人生の死角 その13(最終話):夢というメディア

    ほとんどの日、夢は思い出せない。思い出せても支離滅裂。科学がレム睡眠、ノンレム睡眠を解き明かし、睡眠中の脳の働きとの関係から「夢とは?」に迫ろうとしている。が、それでもまだ夢は科学の死角に入ったままだ。★人間が夢に振り回されるようになった歴史は、とても長い。日本では古事記、日本書紀ですでに神託の手段として夢が登場するし、聖徳太子は夢の中でブッダと対面したというが、ホントかどうか。平安~鎌倉時代にか...

  • 人生の死角 その12:ドン・キホーテの末裔

    自分のことを正確にわかっている人は何人いるだろうか。ぼくの予想。ゼロ人。なぜなら、自分を過信するか、過小評価するか、どちらであれ自分の実体を錯覚するのが人の常だから。★話を始める前に共通認識を。「錯覚とは何か」錯覚は脳の異変で起こる現象ではない。脳がおかしければ、それは病。脳はあくまで正常であり、対象を誤認識しないだけの充分な知識もある。だけど「これはこうだ」と思ったり感じたりしたことが、実体とは...

  • 人生の死角 その11:欲の首枷

    人生を楽しくするのも欲だけど、つらくするのも欲。金銭欲。物欲。権力欲。名誉欲。異性への欲。長命という欲。人類は他の生きものとは比べものにならないほど欲まみれ。ふり返れば、ぼくの人生も欲を追っかけた人生と言えなくもない…じゃない、言えます。★「欲は人生を前進させるエンジンだ」とふつう思われている。そして、向上心は欲から生まれるとも。が、ほんとうにそうなんだろうか?「欲がなくなったら、人間おしめえよ」な...

  • 人生の死角 その10:男と女の間の深い川

    スーパーに出かけたとする。ぼくだけなら、あらかじめ作っておいたリストに従って各売り場にまっしぐら。数分後にはもうレジに並んでいる。が、妻といっしょだとそうはいかない。同じ品目を買い揃えるにも10倍以上時間がかかる。それはキャラクターの違いだろうか。それとも男性、女性、それぞれの特性によく見られることなのだろうか。★妻は売り場の品目すべてに目を光らせ、リスト外でも買っておくべき品がないか、今後のために...

  • 人生の死角 その9:神様の地図

    突如、明日が死角に入り、次の一歩をどこに向かって踏み出せばいいのか、わからなくなる時がある。そんな時、信仰を持っている人は持たない人に比べ、素早く進むべき道を見つけ出せる。なぜなら、目の前には、神様が書いた(ことになっている)地図が広げられているから。★信仰を持つことの効用はほかにもある。自分が進むその道のゴールにあるものをいちおう教えてくれるし、時には失敗をしても赦しを与え、慰めをくれる。★ぼくは魂...

  • 人生の死角 その8:一夫多妻時代、来るか?

    「女性天皇でもいいじゃないか。それが世界標準だ」「ダメ! そうなると、その次は女系天皇になる。日本は神武天皇以来、男系を守ってきたんだ」そんな対立が生まれる要因の一つに、あの人たちの閉ざされた社会では、女性が圧倒的多数を占めているという現状がある。皇族だけではない。とくに年配者は、街でも乗り物でもボランティアでも趣味の会でも、男性たちの影が薄い。★なぜ、こんなことになっているのか。日本のケースで見...

  • 人生の死角 その7:1+1は2にならない

    飛行場に向かう道路の渋滞で、乗るべき便に間に合わなかった。後悔していると、その飛行機が軍用ヘリと衝突し、炎上したという。「間に合わなくてよかった…」幸運を喜ぶやら、運命の不思議に呆然とするやら。★運とは何なのか。それは古代ギリシャ時代からのテーマ。アリストテレスは言った。「運とは、人間の意図や行動によって制御できない不可避な出来事である」なるほど。が、こういう言い方もある。「うまくいったケースとうま...

  • 人生の死角 その6:ジンクスとイメトレ

    過ぎ去った日々に思いを巡らすと、思い出すのは不快だったこと、しくじったことが圧倒的。うまくいったこと、楽しかったことはあまり思い出さない。でも。思うのは、それでいいんじゃなかろうかということ。きっと生存本能に由来しているのだ、それは。なぜって、人間は生き延びるために、苦い思いやピンチだったことを胸に留め、失敗をくり返さないようにするものだから。そして。「こういうことが起こると→こうなりがちだぞ」と...

  • 人生の死角 その5:目は偽装する

    サングラスをかけた人と話すのは気持が落ち着かない。その人がいまどんな感情を宿しているのか、わからないからだ。★いまさらだけど、目はその人の心を映し出す。押し黙っていても、目さえ見えればその人のおおよその心中は察することができる。刑事ドラマでよく再現されているように、取り調べでは尋問役とは別にもうひとり刑事がいて、容疑者を異なる角度から観察している。容疑者が発する言葉とその目に潜む情報との整合性を確...

  • 人生の死角 その4:虫の知らせのロマン

    虫の知らせを体験された方はもしかして案外多いのではないだろうか。「体験談を聞いたことがある」という人はさらに。じつはぼくも虫の知らせの体験者の一人。それも事例として最もポピュラーな「誰々が死んだとき、それがあった」というケース。まずは、ぼくの体験談から。★まだぼくの髪の毛は十分にあったが、携帯電話はこの世になかった頃のこと。(←なんの関係があるんじゃい!)母は大腿骨を折って入院していたが、そんなある日...

  • 人生の死角 その3:コース・アウト

    まだ、つたい歩きしかできなかった頃の話。ぼくは観音開きの2階の窓にとまっていた蛾か蝶を捕まえようとして窓を押してしまい、体重の7~8割を占める重たい頭から屋根に転がり落ちた。しかし、そのとき。下のコンクリートに叩きつけられる!…と思いきや、不思議なことに雨樋につかまって、頭がつぶれずにすんだ。★ぼくが転落したのをいっしょにいた姉が見ていて騒いだらしい。何十秒後か何分後か知らないけれど、ぼくは駆けつけた...

  • 人生の死角 その2:サイコパスなあなたへ

    闇バイトで80代女性を蹴り殺した男が逮捕されたとき、ゲームで大勝ちしたかのような顔をしていた。報道陣に向かって顎を上げ、ニタリ。「楽しいぜ!」いまにもそう言いそうだった。そのとき思った。(これがサイコパスか…)人間としてやってはいけないことをした、その認識が皆無に見えた。★サイコパスとは、ひとことで言えば、「良心の欠落した人間」のこと。要は、ワルの極み。人非人。人面獣心。そんなコトバもあるけれど。とにか...

  • 人生の死角 その1:予知のふしぎ

    予知について、脳科学者はこう説明する。「脳は言語化された情報以外に、まだ言語化されていない情報も大量に取り込んでいて、その処理を無意識下で行っており、それが予知、あるいは虫の知らせとか第六感と呼ばれる推理を生む」★無意識下の情報処理?ワカラン。ピンとこない。無意識下の脳の働きをどうやって確認できたのだろうか。頭に電極をいっぱい繋いだんだろうか。MRIみたいなこと、したんだろうか。★即座に思い出せるだけ...

  • 性の器。(36)

    三郎は、拒絶されたと感じていても、その母親のもとにしか帰るところのない子どものように、シンシアの足元ににじり寄る。そして、おそるおそる男である身を伏せ、しばらくして目を上げてシンシアを窺い、また目を伏せ、シンシアに黙視されている身の内の性を間欠的にしゃくりあげ始める。橋爪三郎。それしか在りようはない。もしかしたら生涯呑み下すことのできない自分であるかもしれず…しかし、それしか自分の在りようはない。...

  • 性の器。(35)

    15二階の異様な雰囲気に、トンビが忍び足で階段を上ってくる。シンシアは三郎がうめき続けるままにして、今夜を最後にこの子とは距離を取ろうと決意する。(このわたしにも、排泄感を持たずに終えられることがわかった。それで十分よ)こういう三郎を見るのは自分を見る以上につらい。そしてもう、告げたいことは告げた。寝ころぶ。この場から身を剥がしてシンシアは寝ころぶ。数分後。三郎は堕ちこんでいた淵からようやく頭をもた...

  • 性の器。(34)

    14 三郎の気持が少年時代に還っていく。風に吹かれて、本のページがめくり返されるように。それは、中学生のころ、オトコオンナと言って三郎をからかい続けた中島に対する復讐のページ。学校から帰って、箪笥と壁の狭い隙間に額を押しつけて、うめき声をあげながら描いた陰惨な復讐劇。それを想うと、三郎は胃の中が蒸れてくる。口を閉じていると、熱がたちこめる。そして、瞼の裏まで熱を帯び、吐く息がしだいに大きくなる。三郎...

  • 性の器。(33)

    「あなた、どこの誰だかはっきりしたければ、そのまま男でいることね」シンシアには、自分のあとを追おうとしている三郎の気持が、その繊毛の一本一本まで見えている。「からだが女に生まれついても、男よりオトコオトコした女って世間にいっぱいいるじゃない?だったら、どうしてからだが男でも、女よりオンナオンナした男がいちゃいけないの」それは、じつは半分以上自分自身にぶつけた言葉。いまさら引き返しようのない現実では...

  • 性の器。(32)

    13 二人とも息を少しずつしかしていない。三郎は膝を抱き、自分をいだき、目の前の白い壁を見ている。見えるものなら、はっきりとした自分を見たい。世間では誰もが迷いなく自分が何者かわかっているのに、三郎にはどうあるのが正解なのかわからなくなっている。男のからだであり続けるのがいいのか?からだも女であるのがいいのか?女の心で男の性を営んだ自分とは、いったい何なのか?(教えてよっ)三郎は自らの言葉で自らを打つ...

  • 性の器。(31)

    12 いつの日以来だろうか、シンシアにはきょう排泄感がない。「これまでの誰よりも、あなた、素敵なパートナーだった」シンシアは自分と同じように骨の細い、薄い胸をした三郎を包み込み、その背を撫でながら言う。三郎にもいま、じつは排泄感がない。自分から生命を絞り出したにもかかわらず、体内にシンシアを取り込んでいるという感覚。胸の下にシンシアを敷きながら、下にいるシンシアに浸さているという充足感。シンシアは顔...

  • 性の器。(30)

    11 二階の軋み。台所の流しのところに椅子を引っ張って行って、野菜だけのカレーライスを食べているトンビ。音と音がつながり合って軋み続けている二階。その音の奥に二人を見ているトンビ。やおら、その音の中に自分を挿し込むトンビ。三郎とシンシアの重なる狭隘な一点に食い入るトンビ。トンビは目を閉じ、その音の中に自分自身を突き立て始める。三郎とシンシア。そこに折り重なるトンビ。三者の息。一瞬が掘り下げられ、その...

  • 性の器。(29)

    10 八畳の板の間。白い壁とダブルベッド一つ。ただそれだけの部屋。天井には明度の落ちた蛍光灯が二本。唯一のアクセントといえば、一間幅の作りつけの衣装ダンス。その扉が半開きになっている。シンシアの姿が見えない。まさか衣装ダンスの中に?その扉が少しずつ開いていく。脚を開いていくように。三郎はシンシアが穿った空洞を覗き込む。(そこにあるのは、舌?)三郎の五感はすでに重心を失いかけている。衣装ダンスがついにす...

  • 性の器。(28)

    息子が女になるという現実をいざ目の前にしたときの父のうろたえ。そして父とは逆の、母のどっしりとした情。それを三郎は、このようにして、何度となく想い描いてきた。その想いは、このように受け容れられたいという願望でもあったけれど、父と母から受けた生を欺くという、どことなく原罪への赦し乞いでもあるような、終わりの見えないリフレインなのだった。何分たったのか。三十分なのか、一時間なのか、わからない。三郎とシ...

  • 性の器。(27)

    トンビのいなくなった空間に、再び水滴の音が立ち上がってくる。一つ。一つ。一つ。三郎はまだ両親の前に結論を持って現れるつもりはない。プロセスを見せることは、両親をよけい苦しめることになるだろう。自分が女としてのメドをたて、できれば確信に近いものを自分の性について持っていれば、両親もなんとかあきらめをつけられるのではないだろうか。それまでは言うまいと決めている。しかし…(父は泣くかもしれない)その場面を...

  • 性の器。(26)

    トンビとしては、シンシアの意図の実現に、これ以上つきあう気はない。(きょうは三郎の性を暴くことになるわね)わたしはさっさと食事をすませよう。野菜だけのカレーライス。時にはダイエットも大切よ。三郎は、シンシアのように性別適合手術を受ける自分を将来像として描いていることだろう。しかし、そうしても、けっして楽しさが増えるわけではない。その事実を三郎はまだ知っていない。生まれついた男のからだを心の性に合わ...

  • 性の器。(25)

    9 三郎はシンシアにもトンビにも等距離の三角点に座る。まだ思いの半分はハイヒールに誘発されて立ち昇った性のまわりに。三人は無言のうちに多くの会話を進めている。とくに三郎は、この部屋に入って以来、シンシアからの言葉を強く意識している。トンビが鏡に向かっているのを確かめると、三郎はシンシアを一瞬目の芯でとらえ、シンシアに重なった自分をひそかに呑み下す。「あなた、下着、どんなのつけてんの」シンシアが不意...

  • 性の器。(24)

    家が重たい。水滴の音の中に各々の時が融け、そして滲む。「ただ…い…まぁ…」そのとき三郎が帰って来る。三郎はトンビだけではない、シンシアが帰って来ている気配をドアを開けたとたんに察知し、空気を揺らさないように入って来る。自分自身を抱くように脱いだハイヒールを胸に抱えている。黒いレンズの後ろからひっそりと、シンシアは三郎に気を向ける。「お久しぶりですね」三郎は言う。三郎の声がシンシアの陰に吸引される。シ...

  • 性の器。(23)

    「…てことは」トンビはシンシアの釣り針に引っかかる。「三郎とは同性愛ってことに…じゃないわね。女のからだをしたあなたが男で、男のからだをした三郎が女…ややっこしいわね。これはこれで異性愛ってことになるのかしらね、フン」どうでもいいわ、という言葉をトンビは言わない。「どうでもいいわよ」シンシアがトンビの口にしなかった言葉を投げる。そして無言。遠慮がちな水滴の音。誰も聞いていない水滴の音。やがて。感情を...

  • 性の器。(22)

    8不規則な睡眠と食事でむくんでしまったからだをシンシアは独自の美容体操のようなもので元に戻そうと試みている。黒いサングラスとレオタードの下はシマウマ模様のタイツ。同じ柄のヘアバンド。髪は耳から上にカットされ、頭蓋骨の形をあらわにしている。どんなときにもベストな美しさを保つこと。ベストでないときはサングラスをかけ、心を隠すこと。それが主義。からだは初潮を迎えたばかりの少女のようではあるけれど、平常時...

  • 性の器。(21)

    シンシアもまたそうだった。二人とも無彩色の絵の具を重ねるように言葉を並べていく。視線は瞬間的にしかからみ合うことがない。トンビもシンシアも、相手に感情を寄りかからせることで自分の孤立感を癒そうとは思っていない。「三郎は最近どうなのかしら。まだ女になるって言ってるのかしら」「さあ。最後はどうすんだか…。でも、あの子、根っからの女ね、気持は」「じゃあトンビは、あなたの男の部分で接してるの」トンビはうん...

  • 性の器。(20)

    「いまはただツンツルリンの筒でしょ。だから、子どもが産める産めないってことより、ずっと大切なのよね、分泌液が出るかどうかってことが。男の人って、ほら、それをすごく問題にするじゃない?どんなに情熱的に愛し合ったって、いざってとき、そこがパサパサだと、ああ、おれは男とやってんだってこと、思い出すんですって。でもさ、手術で濡れるようにできたら、もう最後まで女で通せるもん」「お祝いしたげるわよ、その手術が...

  • 性の器。(19)

    7約十日ぶりで帰り、蛇口から垂れる水音を聞くと、シンシアはこの家には生活が根を下ろしていると感じる。トンビの太った指で丁寧にたたまれる洗濯物。大根を剥いた皮まで使われる料理。ゲイボーイになろうとしている三郎が毛を抜くことに熱中していたり…。この家には目的のある人が住んでいる、とシンシアは思うのだった。シンシアは、とくにトンビとの対比で、自分がどう生きようとしている人間だったのか、いつもあらためて思...

  • 性の器。(18)

    「ちょっと、歩いてみたいの、道を。いまだけ、ちょっと借りてもいいかしら。サイズ、ほんと、ぴったりだったから」三郎はトンビの背中に言う。トンビは背を向けたまま三郎とハイヒールを交互に思い浮かべ、それから一つうなずく。「いいわよ。だけど、あなただから、いいのよ。ほかの人じゃないから、いいのよ」三郎は脚をすぼめるように外に出て、急いでドアを閉める。誰もいない場所でこのハイヒールと向かい合いたい。いまは夏...

  • 性の器。(17)

    トンビがハイヒールのしまい場所を教えてくれる。故郷の町で女化粧をしたときは、あくまでも公認された女装。皆に拍手で迎えられる女装だった。いまは違う。まるで法を犯すような。しかも。装うという感覚ではない。女に潜る…いや、男を脱ぐのだった。それも、禁断の果実にそっと前歯をたてる、そんな興奮と罪悪感にきしみながら。三郎は足音を殺して教えられた戸棚に向かう。ハイヒールを驚かせてはいけない。視線も揺らさないよ...

  • 性の器。(16)

    三郎はまず、足から女にしてみせるつもりでいる。美しいドレスを着せるようにハイヒールを履かせてみたい。脱毛した脚ももうすぐ完成する。だったら早く女の足を歩かせてみたい。そう思うだけで、血が足の先に向かって駆け出すのがわかる。「そろそろ、そうよね、あなたもハイヒールで歩く練習、してみなくちゃね」トンビはジャガイモを細かく切りながら、三郎に背を向けたまま言う。三郎の方を見ていなくても、トンビにはいま三郎...

  • 性の器。(15)

    6「お料理中に悪いんだけど…」三郎は陰と陰の隙間に声を差し入れるように声を出す。トンビは台所に立ち、ジャガイモに包丁を使っている。トンビの幅広のからだには、光が回りきっていない。三郎は女としての声を出す。「ハイヒール…この前話してくれたあのハイヒール、ちょっと…ちょっとだけ見せてもらってもいいかしら」店でコミカルな役回りを商品価値にして以来、トンビにはハイヒールが不要になっている。トンビは一日に二回...

  • 性の器。(14)

    医者はそんなアコに 物でも見下ろすような視線を投げていた。 麻酔がすみ、やがて手術が始まった。 わたしは目の半分ほどで、 かろうじてメスの動きを見ることができた。 メスがアコのからだを侵していき、 タマの袋が横に切られた。 スパッと切ったらスパッとあくのかと思ったら、 雲母みたいに薄い皮が何層にもなっているらしく、 メスは薄皮を一枚ずつ開き続けた。 ようやく。 中から白いタラコのようなものが見え...

  • 性の器。(13)

    5三郎はしかしこの前、「睾丸を取ることが自分を変えることにはならない」それがわかったと、はっきり語ったのではなかったのか。トンビは声には出さないが、そう反問する。それは三郎が「甘い生活」に入ってまだ一か月少々のころ、あれはアコが睾丸を取る手術をしたときのことだった。三郎は自ら望んでその手術に立ち会い、そして帰って来るなりそう言ったのではなかったか。トンビはそのときの三郎のせき込んだ話しようを思い出...

  • 性の器。(12)

    「わたしたちって、男同士かしら。女同士ってことかしら」脱毛の手を休め、三郎はトンビに尋ねる。水滴の音、一つ。三郎の心の中に水滴の刻む等間隔の空隙が忍び込んできて、座る。「どちらでもないと思うのよ、わたしは。いわゆる男というのでも、女というのでも。人間って、男と女の二種類だけだなんて誰が決めたの。いいかげんな分け方だと思わない?」トンビ。本名は田沼重治。店での年齢は三十一歳になっているが、化粧を落と...

  • 性の器。(11)

    三か月前のこと。朝の五時。三郎は「甘い生活」の小さなネオンの下にある「ボーイさん募集」の張り紙を見つめていた。店に続く地下への階段が何百メートルも先まで伸びているように感じられた。ほんの15センチの一段が、谷の底を覗き込むほど深かった。三郎は夜明けの薄い光の中で足をすくませた。「甘い生活」を知ったのは、高校一年の秋に観たテレビのバラエティ番組のおかげだった。その番組で「甘い生活」のゲイボーイたちは、...

  • 性の器。(10)

    築後三十年近い借家で二人は暮らしている。ほんとうはもう一人、シンシアという、戸籍上はまだ男性の、自称女性も同居しているのだが、たいていは外泊していて、月に二、三度しか帰って来ない。八畳のDKの壁には、十年前、裏手の妙正寺川が氾濫したときの床上浸水の跡が薄黒い線を引いて残っている。三畳の板の間にも傷跡。床下からの水圧で、板のつなぎ目がいびつに膨らんでいる。四畳半の和室は水はけの悪い風呂場の隣。あとは二...

  • 性の器。(9)

    「少しずつ女になっていくのね」三郎の肩にトンビの顎が触れる。顎の先から触れてくる。同じ目の高さから、新しく露出した三郎の肌を見る。わたしの心はあなたのそばにあることを目を同じ高さにすることで伝えようとしている。台所から水滴の音、一つ。一つ。一つ。部屋の空気を規則正しく区切り続ける。その音のためにむしろ部屋は静かである。鉛色をしている、と三郎は目を上げることもなくこの場の景色を感じている。「何もタマ...

  • 性の器。(8)

    4毛を剥がす。男の生命の気配を皮膚の表面から剥がしていく。脚一本に六時間。きのうはそれだけで一日が暮れた。あいにく脚は二本ある。残りはきょう。最初にすね毛を1センチぐらいに刈り込む。毛に宿る生命の伸びをまず止める。意思のある生きものを操るようにハサミの刃を合わせる。毛は肉体への執着を残し、刃の間に留まろうと粘る。木のヘラで、固まりかけの接着剤に似たゼリーを塗りつける。ゼリーはぬたぬたと毛を巻き込む...

  • 性の器。(7)

    三郎が母に初めて化粧をしてもらったのは、小学生でもない、まだ中学生でもない、その中間期の三月のことだった。それはこの夏の女化粧に備える母と息子の一種の遊戯であったかもしれない。けれど、それ以上に意味が深かったのは、母が三郎の女性性をすでに呑み込んでいる証左だったということだ。母はしかしその内心を三郎にはまだ口にしていなかった。(それは三郎が自ら言うべきこと。わたしはその時、ただ黙って微笑んでやれば...

  • 性の器。(6)

    三郎の少年時代。女性化への傾斜を外から刺激されたものに、故郷の町の風習があった。それは、中国山脈に抱かれたその町が、懐にひそかに隠すようにして育んできた夏祭り、中学生の少年たちが女化粧をする夏祭りだった。三郎が育った界隈は、やくざ社会からこぼれ落ちた老人や、田舎志向の貧乏画家、自称占い師のうさんくさい老人、虚言症の未亡人などがいて、子どもながらにこのあたりは病んでいるように感じられた。中でも、赤い...

  • 性の器。(5)

    3三郎がこの春上京して入った予備校の寮を引き払い、ゲイバーの先輩が借りている一軒家に移ってから、そろそろ三か月。そのことを両親は知らない。「甘い生活」で男装のままゲイボーイ見習いをしていることも知らない。予備校に、じつは五月の途中までしか行っていないことも知らない。しかし、いまが夏期講習の真っ盛りだということは知っている。そして三郎が、女性に生まれ変わるために集中講義を受けていることも両親は知って...

  • 性の器。(4)

    女医は情緒的な対応はしない。あとに何の情感も残さず、言葉をしまう。その言葉と同じ冷たさで、女医は三郎のお尻に金属を押しつける。いや、金属ではない。アルコールの滲みたコットンなのだが。虚勢という言葉が、体内に融け込むのは不可能な物質のように、からだの表面にとどまり続けている。三郎はしかし、それにいつまでも引きずられているわけにはいかなかった。女医はすでに注射器を構え、新たな性を用意している。三郎はそ...

  • 性の器。(3)

    「腹ばいになって。お尻出して」初めてのときは様子がわからず、けっきょくごくふつうの女性である若い看護師に尻をむき出しにされた。(まだ男のままのお尻を…)そのとき三郎は引け目を強く感じた。それは異性に対する気恥ずかしさではなかった。女性同士としての劣等感だった。二度目からは、だから、看護師の手をわずらわせず、自分からすすんで下着をおろした。女性になろうとしている途中で、生まれつき女である人間から興味本...

  • 性の器。(2)

    2「あなたもいずれはタマ取るんでしょ」「そうする…と思うんですけど」「タマつけたままホルモンうっても、わかるでしょ、そんなに効果が」昨夜ゲイの先輩と交わした会話を反芻しながら、三郎は日影をつたって歩く。日焼けをしていないことが、白い肌のままであることが、女らしさを表す基本のように三郎には思えている。バカげていると感じながらも、自分の中の男っぽさから遠ざかることと白い肌を執拗に結びつけてしまう。だか...

  • 性の器。(1)

    1働く人が電車に駆け込む。三郎は駆け込むつもりはない。ひとは案内板で行き先を確かめる。三郎は確かめるつもりはない。いまは女性ホルモンの注射をうちに行く途中ではあるけれど、心はからだにまとわりつき、三郎はどこにも向かっていない、ほんとうは。ひとのように三郎は働くことに心を向けた暮らしができない。三郎のような性徴を持っている人間は、仕事の選択がむつかしい。いや、むつかしいより何より、三郎はまず、ひたす...

  • 性の器。(はじめに)

    今は昔。生業としている仕事に閉口し、出張の行き帰りの憂さ晴らしに、揺れる新幹線のなかでろくに下を見もせず、小説らしきものをなぐり書きした。中学生のとき以来だった。そして、ひと月に5回も東京・新大阪間を往き来した結果、物語らしきものがまとまったので…「どうせなら…」と、たまたま締め切りを迎えていた純文学誌の新人賞に送ってみた。★人生は時々ふざけた真似をする。何がどうなったのか、そのなぐり書きは「まさか!...

  • 30:人間はなぜ不幸せなのか。

    「なぜ日本人に生まれたんだ」「なぜこんな家に生まれたんだ」「なぜこんな容姿に生まれたんだ」「なぜこんな能力に生まれたんだ」「なぜこんな性格に生まれたんだ」やれやれ。人生、文句たらたら。あげくの果てに「産んでくれなんて頼んだ覚えはねえからな!」★そんなとき。「おまえがこの親を選んで産まれてきたんだぞ。何言ってんだ」と言い返す親はまずいないだろう。が……じつはぼく、それが言える。「この時代、この国、この...

  • 29:人間はなぜ「人生ガチャ」に憤るのか。

    ぼくの住む集合住宅の1階ロビーへと続く廊下の曲がり角に3メートルほど緩い傾斜部分がある。傾斜の理由は不明だが、健康体の人だと「そんな傾斜ありました?」と意に介さない程度の傾斜。ぼくにとってもずっとそうだった。が、いまは違う。ぼくがその傾斜の存在を意識するようになったのは、背骨が二つ折りになってからだ。★そのことはさておき。事の起こりはこの夏の早朝のこと。ぼくは1階の集合郵便受けまで新聞を取りに下りた...

  • 28:人間はなぜパンダが好きなのか。

    9月末、上野動物園のパンダが最晩年を生まれ故郷で過ごすために中国へと旅立った。まだ暗い夜明け前だったのに、それを見送る人々がいた。泣いていた。いや、それ以前に。「パンダが中国に帰る」というニュースが流れると、上野動物園には大勢の人々が訪れ、流す涙で不忍池が決壊した。★なぜみなさん、そんなにパンダが好きなのか。「垂れ目がたまらないのよ」「あのズングリムックリ、抱きしめたい」「動きがヨタヨタしてるでしょ...

  • 27:人間はなぜ貯蓄するのか。

    アマゾン奥地だったか、いまでも狩猟採集生活をしている種族を訪ねたテレビ番組を観たことがある。ぼくは驚いた。彼らの価値観に驚いた。簡単に言うなら、彼らは物を、富を、どこにも溜め込まない、そういう生活をしているのだった。★「そのどこが驚きなのか、ワカリマセンが」そうですか。すみません。そのこころは…ぼくは人類の不幸の源が、「蓄財競争」にあると思うからです。★彼らの暮らし方の一例。たとえばきょう、たまたま...

  • 26:人間はなぜ争い続けるのか。

    我々は日本人同士でこれまでどれだけ戦争をしてきたでしょう?日本史の授業で習ったのなんて氷山の一角。たとえば応仁の乱(1467~1477年)としてひとくくりにすると1つの戦争になるけれど、その11年間にじつは両手で数えきれないほどの合戦が行われている。そういう見方で実戦の数を足し上げていくと、(数え間違いだったらスミマセン) なんとまあ850戦ぐらい。それでいったい何人の日本人が同じ日本人に殺されたことやら。★世...

  • 25:人間はなぜ声を軽んじるのか。

    60代前半のこと。同級生だった女性から電話があった。「同窓会の幹事をお願いしたいのよ」5年に1回の同窓会。前回の幹事が次回の幹事を指名できるルール。で、ぼくに…というわけだった。それはそれとして、大問題だったのは彼女の声。それは…★「おい、ジジイ! おもてぇ出ろ!」なんて凄まれたらオシッコが漏れるかも…というドスのきいた太い、低い声。良く言っても、およそ女性らしからぬオジイサン声。記憶にある顔と電話の声音...

  • 24:人間はなぜデジタル化するのか。

    文化庁がこの3月、16才以上3000人を対象に「1か月に読む本の冊数」を調べた。その結果。「0冊」が最多で約63%だった。ちなみに過去3回の調査では46~47%だったので急増。★「0冊」回答者に男女差はなかった。年齢差も地域差もなかった。「1冊以上読んだ」人でも「読書量が減った」との回答が約70%。また。「0冊」と回答した人でも「ネット記事はほぼ毎日読む」が75%。メディアが紙からデジタル・デバイスに替わったことの証し...

  • 23:人間はなぜ「ながら病」になるのか。

    「ながら神経症」という病気があるそうだ。一つことをするとき、他の何かもしないではいられない病気。これも病気なのだとは知らなかった。そういう目で見れば「これもそうじゃねぇの」というバリエーションがいくつも。★バリエーションその1:【スマホしながら神経症】スマホを見てないと(握っていないと)街も歩けない、電車も乗れない、ご飯も食べられない、眠りにもつけない。エレベータで乗り降りするほんの10秒たらずの間も...

  • 22:人間はなぜ殺意を抱くのか。

    ぼくは殺意を抱いたことがある。現在よりずっと若かった頃のことだけど。いま思えばどうでもいいような、子どもっぽい正義感に火がついて。★こういう心の動きは誰にでもあることなのか、あるいはぼくが特殊なのか、平均寿命を超えたいまになって気になった。で、データをあさったところ……あった。★その調査によれば、20代~60代1537人から得た回答は27,3%が殺意を抱いた経験あり、だった。「え? 4人に1人?」少ないなあ。ものす...

  • 21:人間はなぜ死ぬのか。

    多くの皆さんは、人間の命について間違った見解をお持ちではないだろうか。死は不幸なこと、悲しいこと、できるだけ先延ばしにしたいこと、そのようにネガティブな感情、考えをお持ちではないだろうか。★死はそういうものではない、です。生きものの進化という観点からすれば。我々は生まれたとたんに死に向かって歩き始めている。なぜなら。すべての生きものにとって死は生まれながらにプログラムされている進化のための創造的な...

  • 20:人間はなぜ離婚するのか。

    ご隠居「なぜ夫婦別れするかって? 間抜けなこと、 言うもんじゃねえよ。 合わねえからに 決まってんだろうが」留さん「まあまあご隠居さん、 そんな怒ンねえで、 ちぃとばかし 耳ぃ貸してくだせえ」★去年9月に厚労省が発表したデータ。2022年に全国で結婚したのは504,930組。離婚したのは179,099組。およそ3組に1組が離婚した「感じ」になる。 ※「感じ」というのは、 離...

  • 19:人間はなぜそんなに便利が好きなのか。

    人間が便利病にかかった最初は、1733年にイギリスで始まった産業革命ではないか、とぼくは思う。★綿織物や製鉄に代表される工場制機械工業が職人技の手仕事にとって代わり、蒸気機関の発明が交通革命を起こし、馬や風で走る乗り物を鼻の先で嗤った。幕末から明治の日本人もチョンマゲ文化を恥じ入り、機械文明に「追いつけ、追い越せ」と必死になった。★時は移り、現代は情報革命の時代となって、アナログ・ジイサンは大迷惑。専門...

  • 18:人間はなぜ歌うのか。

    専門家の間では「歌と言葉、どちらが先に生まれたか」というニワトリ・タマゴ論争がある。正解は500万年以上前の人類の生活の中にあるのだが、誰もそれを覗くことなどできない。が、まあ、それはさておき。どうやら現時点では「歌から言葉が生まれた」説が有力なようだ。★専門家によると、歌の誕生は約500万~400万年前の人類の祖先、猿人の時代とのこと。何しろ猿人の脳は現代人の30数%程度の容量。勝手な想像だが、歌といっても...

  • 17:人間はなぜ権力を持ちたがるのか。

    動物界の権力闘争を人間の目で見れば、優秀な遺伝子を遺すための行為に見える。もちろん動物たちにとっては、そんな屁理屈どうでもいい。本能的欲求を充足させているにすぎない。だが。それに至るプロセスでメスはより強いオスを望み、そのためオスたちは「我こそは」と熾烈な権力闘争を行う。結果としてそれが強い種を遺すという公的利益につながっている。★人間が(広い意味での)権力を公的利益のために用いる場合、その成果はご...

  • 16:人間はなぜ若さに憧れるのか。

    「ああ、オレは(わたしは)バカだった。18歳に戻れたら、いまとは違う自分になれるだろうに」悔恨と共に若かった時代を懐かしんだ経験は、おそらく多くの方がお持ちではないだろうか。★若さとは、可能性の同義語でもある。若さには選択肢がいろいろある。が。どんなに満たされない思いがあろうとも、その時代の選択を経て今日があるのだった。それは百も承知だ。「じゃあ、どうします?」「どう…たって、そりゃあ…」★時間は戻せない...

  • 15:人間はなぜ孤立していくのか。

    20年以上も前のこと。ぼくは市のデイサービスでお手伝いをしていた。そのとき出会った男性たち。化石…のようだった。★挨拶ひとつせず、先客の女性たちがいる大テーブルに着席すると、憮然として唇を結ぶ。その顔には「こんな婆さんたちのレベルに合わせて話なんかするもんか」と書いてある。★ある日。80代の男性二人に、ぼくが担当している絵を描くテーブルへの誘いを試みた。そうしながら目の奥に視線を注ぐと…そこにあったもの。...

  • 14:人間はなぜ緊張するのか。

    緊張は心理学的にはポピュラーなテーマらしく、ネット上には解説が山ほどある。ただ。専門家の言葉を待たなくても、「あのとき、なぜあんなに緊張したのか」とふり返れば、どなたも原因がおわかりになるのではないだろうか。★だから、いまさらなのだが…専門家たちはこのように言っている。1:完璧にやろうとするから2:場の雰囲気に呑まれるから3:過去のミスの呪縛があるから4:準備不足で不安があるから5:世間の評価が気に...

  • 13:人間はなぜ物を溜めるのか。

    妻は「もったいない」「後で役に立つかも」と物を増やしていく。お惣菜のポリ容器だって、目を光らせてないと「これ、シッカリしてるから」と棚に収めてしまう。★ぼくはその逆。シンプル大好き。シャツでも靴でも一つ買えば一つ捨てる。白状すれば、捨てすぎて、同じ物をまた買った。バカ。★断捨離が流行語のようになったとき、我が家もトライしたことがある。妻は物の多さに多少は罪悪感があったのか、大昔の服を何着か処分したり...

  • 12:人間はなぜ長生きしたがるのか。

    ほとんどの人間は欲望のエンジンで走っている。そして。数ある欲望の中でも不老不死は究極の欲望。この世に未練のないワタクシなんざ、死なずにずっと生きていたいだなんて、「えええっ! ど、ど、ど、どうしてっ?」とただただ驚き、疑問符100万個。★秦の始皇帝が家来の徐福に命じて不老不死の妙薬を探させた話は有名。しかし。but。でも。水銀を妙薬として服用し、哀れ帰らぬ旅人に。もう一度、しかし。but。でも。現代の徐福さ...

  • 11:人間はなぜ齢を聞くのか。

    「長幼の序」という言葉を耳にしなくなった。その言葉さえ知らない(忘れた)人も多くなっているのではないかと思う。で、念のため。「長幼の序とは儒教の教えで、年少者は年長者を敬い、年長者は年少者を気づかう」ということ。★長幼の序という言葉が忘れ去られたこの状況。裏返せば、そのくらい日本も実力主義の社会になったってことなのだろう。★親だから、兄姉だからってだけで敬われなくなったのは、あるいは職場から年功序列が...

  • 10:人間はなぜ月に向かうのか。

    1969年7月20日、午後4時17分42秒。 (アメリカ東部夏時間)アポロ11号からアームストロング船長とオルドリン飛行士が「静かの海」に降り立った。その瞬間から、人類と月の関係はガラリ変わってしまったとぼくは思う。★それは、かつてエベレストが征服されるまでの状況とよく似ている。「まさか、あんなところまで…」と仰ぎ見ていた対象も、いちど人間の手垢がついてしまうと神秘のベールがたちまち剥がれ、そこらの卑俗な場所の仲...

  • 9:人間はなぜ飽き飽きするのか。

    あるテレビ局の夕方のワイドショーは、15分~20分おきに大谷選手の活躍映像を流す。大谷選手がタイトルをとって以来ずっと。★さすがにものすごく飽きる。番組制作者のオツムを疑うし、大谷選手が大嫌いになった。もちろん大谷選手に罪はないけど。★飽きるメカニズムについて、学者は独独のむずかしい言葉で説明するけれど、一般用語で言うと以下のようになる。人間の脳というのは、初めての感動、喜び…を得ると、快適システムがイ...

  • 8:人間はなぜ神頼みをするのか。

    受験、結婚、安産、健康、交通安全、勝利、宝くじ…人間は何かにつけて神頼みをする。神社やお寺が何を根拠にそう言うのかは知らないけれど、「うちはご利益がありますよ」と積極的に人を呼ぶ。そして入山料、拝観料を稼ぎ、御守りやおみくじを売り、お賽銭を集める。双方、欲、欲、欲。★その一例、合格祈願。元はと言えば、災厄をもたらす?菅原道真の怨霊を鎮めるために建立された全国1万2000社もの天満宮。が。道真が学識豊かな人...

  • 7:人間はなぜ群れるとバカになるのか。

    「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」一人では悪事を働く度胸がないが、みんなもやるなら罪悪感がなくなって…という警句。その種の人間は、群れの意見こそ自分の意見。協調、同調、融和。そう言うと聞こえはいいが、ともすると群れの改革派を「ボートを揺らす悪いヤツ」とみなしてしまう。そして。誰かが「海に突き落とせ!」と叫ぼうものならその興奮が伝染し、良い悪いを考えもせず、群れ全体がいっせいに同じ方向に突っ走り始...

  • 6:人間はなぜウッカリするのか。

    ウッカリ人を殺してしまう人はいる。ウッカリ結婚する人もいる。ウッカリ生まれてくる人はどうだろう。いるいる。だけど、それも人生。★ぼくの場合。ウッカリ忘れがないよう、外出するとき妻が玄関で「鍵、紙、マスク」と叫ぶ。ちなみに紙は、エレベータのボタンやドア・ノブを直接触らないためのツール。★が、ある日。妻が離れた場所にいたので、ぼくは自分で「鍵、紙、マスク」とつぶやき、「よし、大丈夫」そして玄関を出て一歩...

  • 5:人間はなぜ速く歩くのか。

    高校二年生のとき、ぼくは広島から東京に転校した。その受験の際、広島から夜行列車に乗って東京駅に降り立ち、姉の待つ家に向かおうとして感じた大きなショック。それは、通勤の人々の足の速さだった。ぼくは激流の中の一本の杭のようになって「これが東京か…」と立ち尽くした。★ところが。社会人になってから、ぼくは逆の心理状態を味わった。初めての大阪出張で梅田駅前の歩道橋を渡っているとき、「みんな、なんてゆっくり歩い...

  • 4:人間はなぜ他人の勝利に酔うのか。

    大谷選手がホームランを打つと、自分が打ったかのように喜ぶ人がいる。オリンピックで日本選手が表彰台に上っていると、自分が表彰されている気分になり、応援している野球チームが勝つと、上機嫌でグイグイお酒がすすむ人も。★その逆。ひいきの選手やチームが負けると、自分が負けたかのように落ち込む。そして、そういう人は…負ける悔しさを味わうたびになおいっそう勝つことにこだわり、勝ち負けのドロ沼に沈んでゆく。「ギャン...

  • 3:人間はなぜ髭を生やすのか。

    一時期はほとんど見かけなかった髭を生やした男性と、いまでは方々で出会うようになった。もちろん、髭でもオーケーの職業という前提はつくだろうが、口髭と一体化した顎鬚スタイルは、似合っている、いないにかかわらず、男性のオシャレ心の「おれさま」表現となっている。★が…「おれさま」なんて言うと、彼らは言うにちがいない。「違うね、違うよ。髭は何も特別なもんじゃない。頭髪とおんなじに、頭部を守るため、そして顔を飾...

  • 2:人間はなぜ空を飛ぶのか。

    飛べない人類は、なんだかんだと青空に、星空に…と憧れを抱く。★世界初の有人動力飛行の成功はライト兄弟と相場が決まってるが、「じつは日本の二宮忠八さんが、ライト兄弟より12年も前、1891年に成功させてたんだぞ」という主張がある。ま、その論争を横にどけておくとすれば、人類の大空への憧れは、20世紀の初頭に大きな転換点を迎えたと言ってもいいだろう。★いまではその果実が、他の星の探査や宇宙空間の奪い合いという形で...

  • 1:人間はなぜ行列するのか。

    ぼくは飲食店で行列しようと思ったことがない。一度も。流行ってるものにはずっと顔を背けてきた。★たいていの人間は群れる。ライオンのような牙も爪もない。蛇の毒もない。チーターの脚もない。だったら身を寄せ合って生きる確率を高めるしかない。草食動物や鰯の類とおんなじに。したがいまして。群れに入らないぼくは、肉食獣からすれば、捕食しやすい愚かな生きもの。★ま、それはさておき。寄らば大樹の陰。付和雷同。金魚のウ...

  • 第5話:病人は誰だろう(最終話)

    父は世間が「先生」づけで呼ぶ職業に就いていたが、いま思えば、そういう世間を嫌っていたのじゃないだろうか。人間の値打ちはそこじゃないと。だけど、世間はいまでも真反対のことを言うだろう。「汚わい屋や掃除人は、その程度の人生を歩む能力しかなかったってことだよ」★しかし、そうではない。断じて、そうではない。エラそうに断じて申し訳ないが、ぼくの本音を聞いていただけないだろうか。よく「結果を出せ。結果がすべて...

  • 第5話:病人は誰だろう(5)

    それ以来。汚わい屋さんと話す父の記憶に導かれて、ぼくは掃除をするその女性と挨拶以上の言葉を交わすようになった。ただ、昨日より今日…とほんの少しずつだったが。★おそらく掃除をする役目の人は、(まことに勝手ながら)病院内のヒエラルヒーで言えば、「最も治療行為からは遠い仕事」として、上から目線にさらされるのが日常ではないかと想像する。患者の中にも、掃除の人が病室に入って来ると、余計な人間が入って来たかのよう...

  • 第5話:病人は誰だろう(4)

    病院は疲れている。みなさん、疲れた自分を抱えておられるように見える。そのことが入院してしばらくして、あたりを見回す余裕が出ると感じ取れた。「だからこそ…」なのだが、ワタクシメ、医師や看護師のみなさんにいつも笑顔とともに接しようと考えたのだった。ジイサンはただでさえ外見が醜くなっている。せめてニコニコしてなきゃ、救いがない。★で。そうするには。当然ながら、人生に向き合うぼく自身の心構えから変えなければ...

  • 第5話:病人は誰だろう(3)

    その典型例とは。白い上っ張りから医師らしいと推察できる中年男性が、挨拶もせず、用件も言わず、突然、前のめりになって部屋に入って来た。何事か…とビックリしていると、無言のまま無礼にも妻の浴衣型のパジャマにをめくり上げ、たった2~3秒だけ傷口を覗き見た。そして、良いとも良くないとも言わず、入って来た時と同様前のめりになって出て行ったのだった。その間、患者の顔もぼくの顔もまったく見なかった。★この病院にヒュ...

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