IDとしての年齢確認に異を唱えるつもりはもちろんない。が。そういう日々を過ごしていて思い出したのは、「人類は物理的時間以外に別な時計も持ってるんですよ」という話だった。★その時計とは、一生のうちに心臓をドックンといわせる数。いわば「心臓時計」のことで、それはヒトもネズミもゾウも、一生に15億回、等しく刻むという。つまり。おなじみの物理的時間だけが生きものの寿命を測る方便ではない。用いる時計によっては、...
IDとしての年齢確認に異を唱えるつもりはもちろんない。が。そういう日々を過ごしていて思い出したのは、「人類は物理的時間以外に別な時計も持ってるんですよ」という話だった。★その時計とは、一生のうちに心臓をドックンといわせる数。いわば「心臓時計」のことで、それはヒトもネズミもゾウも、一生に15億回、等しく刻むという。つまり。おなじみの物理的時間だけが生きものの寿命を測る方便ではない。用いる時計によっては、...
その役割(存在のフレーム)を否定するものではないが、入院してみて1つわかったことがある。それは個々人がいつ生まれ、その後何日たったか。つまり年齢なんて何の意味もなくなるということだ。★人は病に捕縛されてしまったら、自分が何歳かなんて関係ない。病床で問われるのは、ただただ生きものとしての精神的、肉体的な生命力そのものだ。★回診に来られる看護師さんの何人かが、患者データの入ったPCを下目にしながら、異口同音...
入院という非日常は、日常生活では気にも留めない事の裏面に光を差し入れる。たとえば年齢について。★私たちは過去から未来へと一直線に続く時間の流れの中にいる。が。その時間を誰も見たことがない。いや、ある、と言えなくもない。その形骸、時計によって。★時間の概念の始まりは古代エジプトだそうだ。物事に秩序を与えるために。言ってみれば、暮らしの方便として。とはいえ、おかげで歴史が成立した。また。私たち一人ひとり...
唐の詩人、于武陵(ウ・ブリョウ 810~没年不詳)の五言絶句「勧酒」の結び。 人生足別離 →人生、別離足る(=ばかりだ)井伏鱒二はこれをこんな日本語に変えて称賛された。 サヨナラダケガ人生ダ★しかし、じつはこれには裏話があって、講演で尾道に行った際、同行の林芙美子が港で見送る人々との別れにシンミリと、「人生はさよならだけね」とつぶやいたという。その言葉を井伏が深く胸に留め、後日「勧酒」を訳すとき、ちゃ...
クレジット・カードを急きょ作り直すことになった。悪人に使われた恐れがあるからだ。★ことしもあと1か月をきったある朝のこと。メールを開くと、カード会社から「ご利用通知」が2通入っていた。「おかしいなあ」その時点で首を傾げる。カードを使った覚えがない。ちなみに「ご利用通知」は使うと即来る。2通とも深夜零時過ぎの着信だった。★内容を見て疑念が確信に変わった。まず1通目が00時06分、VISA加盟店での返品。2通目...
我々はふだん意識していないし、しても当然のことと思っているが、じつは時間に主導権を握られ、時間のせいで心をきしませながら暮らしている。だが。ほとんどの人はこう反論するだろう。「時間があるから生活秩序が保たれているし、そもそも時間がなければ、人類の歴史が成立しない。自分が何歳なのかもわからなくなるよ」★確かにそうだ。しかしね。生きもののなかで人類だけなのだ、体内時計だけでは足りず、抽象的な時間という...
巷はイルミネーションの真っ盛り。99%の方は「キレイ、ステキ、楽しい」なのだろう。残り1%の一人、ぼく。なぜそんなにヘソ曲がりなのか。理由は以下のとおりです。★都会では、夜は空から始まる。つまり。空が暗くなると、ビルに、店に、街路に、クルマに、明かりが灯る。闇を意識するとすれば、それは人工的な明かりとの対比によってだ。★しかし。森暮らしをしていたときに気がついたことがある。自然の中では、夜は空からでは...
19世紀初頭、文化・文政期の江戸。一大園芸ブームが起こり、人々はアサガオの人工交配に熱中した。★結果。できたのは、筆の穂先を束ねたようなものや捨てられた紙屑のようなもの、あるいは破れ傘のようなものなどなど。それらは「変わりアサガオ」と呼ばれた。★「これでも花?」そう思わせることができたら大成功。「おもしれぇ」「てぇしたもんだ」江戸っ子たちはこの「見世物」に拍手喝采した。★時代は飛んで2004年。サントリー...
いつからなんだろう、こんな言い方をみんながし始めたのは。「…かなと思います」「大丈夫です」 「…してもらっても いいですか」キツイ言い方を避け、相手を傷つけないように気をつかう。ベースには英語表現の直訳があると思うが。★その真反対が昔ながらの断定調。「…です」「いりません」「…してください」ぼくはその言い方で育った。いまもそう言う。★「でもさ、あんたのように100年近くも生きてりゃ、そりゃ変わっていくさ。...
かつては標準語で話せることが日本人としてのデフォルトで、関西や東北出身者はとくに苦労したんじゃないでしょうか。ぼくなんざ、広島から東京の高校に転校したとき、アクセント辞典というNHKアナウンサー御用達の一冊を購入し、「田舎者扱いされてたまるか」と馬鹿げた努力をしたもんです。当時、方言丸出しで堂々としゃべっていたのは、上方落語&漫才の人たちだけだったと思います。★もちろん、何弁で話したってかまわないし、...
みなさんもウンザリされてないだろうか。WBCでの活躍以来、テレビは何かにつけ「オータァニサ~ン!」ホームラン王の話題が終わると、手術の話。それが終わるとMVP。ある局では、朝のワイドショーの頭から1時間17分もMVP礼賛に使った。終わるとこんどは900億円での移籍話だ。どうでもいいじゃねえか。★大谷選手に恨みはまったくないですよ。ダメなのはメディア。流行りものを追っかける真正ミーハー体質。それが視聴者の期待に応...
動物園らしきものが最初にできたのは、紀元前1000年頃のエジプト。王侯貴族が猛獣や珍獣のコレクションを自慢し合ったらしい。★日本に動物園ができたのは明治15年のこと。博物館の付属施設としてだった。そして今日。その数は全国で158。世界には約1200の動物園があるが、日本の動物園数は世界1とも2とも3とも。(なぜか資料により異なる)が、まあ、とにかく世界で屈指の動物園数なのは間違いない。★そもそも動物園は何のためにある...
かつてイギリスをはじめとするヨーロッパ諸国は植民地を持ち、覇を競い合った。日本も大東亜共栄圏というお題目を掲げ、必死でその後を追った。いまでもまだロシアと中国は迷夢のただ中にいて、争いのタネを蒔いている。★覇権主義の根幹にある価値観には、さまざまなバリエーションがある。たとえば。「大きな会社にお勤めなんですねえ。ご立派ですねえ」などと(言葉には出さないとしても)売上高の大きい会社に勤めているだけでな...
人間は溺れる。酒に溺れ、競馬・競輪・競艇に溺れ、写真に溺れ、園芸に溺れ、骨董品に溺れ、鉄道に溺れ、ペットに溺れ、薬物に溺れ、不倫に溺れ、ホストに溺れ…そして仕事にも溺れる。★「溺れる」の意味。広辞苑では、「心を奪われる」「はまる」「ふける」(例:酒色にふける)となっている。★ただ。溺れる状態を十把一からげにはできない。一つは、溺れながらも頭は波の上に出して、自分の位置を確認している…つまり、溺れている対...
札幌の市街地に出没した熊を殺したら、抗議が殺到した。動物愛護、他の生きものとの共生、それらを言う人々だ。★しかし。その声のほとんどは道外の人々、つまり自分は熊に襲われる心配がない地域の住民からだった。★その逆の例。北海道新聞が熊の「駆除」について民意を調べた。 ※横道にそれるが、 「駆除」という言い方は 人間の上から目線だ。 「殺す」なら同等。 その結果、道民の90%近くが殺すことに...
5:転回の② 身体不如意でありがとう。手術を経てから、妻はすっかりほんのりして、生命体としての輪郭がとても柔らかくなったように感じられる。体力が落ちたせいもあるだろうが、それだけではないと思う。身体不如意になったことで、少なくともいまは表舞台から去る結果となった。そのことがいちばん大きいのではあるまいか。★妻は、これまで世間と闘うためにかぶっていた鎧兜を脱いだ。刀や槍も捨てた。すると。素のままの妻の...
5:転回① ぬくもり。ぼくが家事をしないのは病院に行く時間だけだ。病院へは、きのう洗濯した衣類を持って行く。水と新聞を持って行く。そして洗濯物を持って帰る。空いたペット・ボトルと読み終わった新聞を持って帰る。★毎日12時半頃、病院に着く。着くとまず食堂に寄って、生姜焼きだの天ぷら蕎麦だのをその日の気分で食べる。食べ終わる頃には面会可能な1時を回っている。★そして…「きょうはどう?」「歩行器で廊下に出られ...
4:異変の④ 上品に生きよ。声帯といい、尻といい、身体がダメになっちゃ家事どころじゃない。ぼくが苦しんだら、妻も苦しかろう。じゃあ…とジイサン考えた。苦しまず、イヤにならずに家事と向き合うにはどうすればいいかと。★こんな場合、世間様はアメリカ直輸入の表現でこう答えるだろう。「楽しめよ。家事を楽しめばいいんだよ」ゾッとする。ヤなこった。ぼくは幼児の頃から82年間ひねくれ者。非・金魚のウンコ。非・付和雷同...
4:異変の③ 尻が痛い。声帯のトラブルを治すために、朝に晩に風呂場で子どもじみた発声練習を開始した。その前向きな精神が肉体に作用したのか、発生装置の方は何とか正常に作動し始めた。★が…それも束の間。ぼくは次なる身体トラブルに見舞われた。両方の尻が痛くて痛くて10分と立っていられず、大げさでなく床に崩れ落ちる破目になったのだ。★外出時も100mと歩けず、両膝に手をついて痛みを和らげる始末。そして何とか歩き始...
4:異変② 拘束衣。あっちにも、こっちにもトラブルがある。みんなに余裕がない。もしかしたらその医者も看護師も、連日の過剰労働で疲労困憊、口をきく気力さえないのかもしれない。だからってオーケーなわけないけど。★妻の報告によると、トイレの介助で看護師を呼んだら、「こんなことぐらいで呼び出しブザーを押さないでくださいっ」と怒鳴り声を浴びせられたとか。いったい、ここはどこなんだ?ほんとに病院か?監獄か? ★...
去年引退したスピード・スケートの小平奈緒さん。覚えておいでかどうか、2018年の平昌オリンピック、500メートルで金メダル、1000メートルで銀メダルになった。金メダルは、日本の女子スピードスケート界で初の快挙だった。★ところが。4年後の北京オリンピック。小平さんは500メートルで17位。1000メートルでは10位だった。★ぼくはレースをすべて終えた時の小平さんの表情をよく覚えている。とても意外だったのは、少しもガッカリ...
江戸時代初期まで、日本人は朝夕の二食だった。おやつが生まれたのはそのため。八つ刻(どき)はいまの午後2時~4時頃。晩ご飯までの間に何かをつまんで空腹をまぎらわせる。おやつは、だから小昼(こびる)とも呼ばれた。★日本人が三食になったのは江戸中期、元禄時代から。その一因には「菜種油が一枚かんでいる」との説も。★その根拠。ロウソクはもとより菜種油も高いので、庶民は晩ご飯を早々にかき込んで、早々に寝た。が、元禄の...
ぼくが住む集合住宅の年齢構成を俯瞰すると、日本の現状を思わずにはいられない。出会う人の三分の一以上が、ぼくのように老人になったのだから。★(用語解説をしますと)65歳以上が人口構成比で7%を超えると高齢化社会。14%超で高齢社会。21%を超えると超高齢社会。★ちなみに。高齢化率の1位が日本で29%。2位がイタリアの24%。3位がポルトガルの23%。4位がドイツの22%となっている。★高齢化するスピードを見ても、日本がダン...
ぼくという人間は、親として失敗者だった。① 自分の価値観で 子どもの人生を勝手に描き、 それを押しつけようとした。② つまり、 自分のしくじった悪路は 歩ませたくない一心で (←それを愛情と勘違いして) この子はどんな人間なのか、 どんな人生を送りたいのか、 どんな悩みや不安を抱えているのか、 それらに気持を向けなかった。③ それともう一つ。 自主性を重んじることと 甘やかすこ...
シレッとしておよそ罪悪感のない詐欺師たち。なんど捕まっても万引きをくり返す主婦や老人。闇バイトで人を殴り殺す強盗殺人犯。何十人もの女性の一生を破壊する常習的レイプ魔。「誰でもいいから殺したかった」と包丁をふるう少年。歩行者天国にトラックを暴走させる無差別殺人犯。同級生や老女を殺して「長い間の願いがやっとかなった」と興奮する殺人願望の女子高生や女子大生。★犯罪者は法で裁かれます。しかしそれが犯罪抑止...
乗り物の中では飛行機と船が自動化の先輩格だ。電車では東京の山手線が2028年をめどに自動化を目指している。もとよりクルマも自動運転に向けまっしぐら。★乗り物だけではない。いろいろな製品の製造工程の自動化を見せる番組があるが、その発明のすごさにぼくなんか、初めてマジック・ショーを観た子ども状態になる。★自動化の波はサービス分野にも。ちょっと前、用事で大阪まで行った時のこと。一晩眠れれば上等と、所用先にいち...
何年か前、区役所から「還付金があります」と電話がかかってきた。話題の還付金詐欺にうちが狙われるとは、何の名簿が出回ってるんだ?気持悪い。以後、受信を詐欺電話対応に変えたが、いまでも週に数回は怪しい電話がかかってくる。★みなさんもそうでしょうが、フィッシング詐欺のメール数も毎日すごい。通販会社、運送会社、銀行、カード会社…を偽装する「誰か引っかかれば儲けもの」のスパム・メールの数々。削除するたびに「メ...
ネタ切れにつき、きょうは雑談。ゴメンナサイ。★携帯電話が登場するまで、こんなに多くの人が写真を撮ってはいなかった。それ以前、カメラを携行することには少々「わざわざ感」がつきまとった。しかし、いまやカメラは常時ポケットに。観光名所の混雑がテレビで流れると、100人いれば99人がスマホを掲げている。そのとき、ぼくがどう思うか言いましょうか。…やめときます。★自分の話ですみません。ぼくは写真を撮らない。撮られる...
朝、ぼくが遅めの新聞取りで1階の集合郵便受けまで行くとき、ときどきエレベーターでいっしょになるお隣さんの子。ぼく「おはようございます」隣の子「お…おはよう… ご、ございます」ぼく「元気にやってますか」隣の子「は、はい…」★その子はダウン症だ。いまや世間的にはSサイズになったぼくの胸あたりまでしか背がない。子と言ったが、もう19歳になったはずだ。★狭いマンションの同じフロアに、同じ年の同じ頃に産まれた...
先のワールド・カップでは、日本人サポーターが観戦後にスタンドの掃除をし、選手はロッカー・ルームを整理整頓して、おまけに折り鶴を美しく飾って去りました。大リーグでも大谷選手がグランドに落ちているゴミを拾って尻ポケットに入れていました。「日本人は素晴らしい!」それらの行いは世界の人々から称賛されました。★同様な称賛は、幕末、日本にやって来た欧米人の日本滞在記にも散見されます。たとえば。宿場町にはゴミひ...
市のデイサービスのお手伝いをしていて感じたこと。それは…「女性たちはなぜあんなにすぐ群れるのか」ということ。テーブルについたとたん、数十年来の友だちのようにお隣さん、お向かいさんと大声でしゃべり始める。★それに対して。「男性たちはなぜあんなに女性からも他の男性からも孤立し、沈黙しているのか」ということ。「おまえらはオレサマの必死で頑張った過去を知るまい。こんなススけたジジババと、やすやす口がきけるか...
去年、オンラインでの就職試験の不正が摘発された。そのときテレビ局が例によって巷の声を拾ったのだが、その中の発言の一つが、「ダイナマイト・ジイサン」の導火線に火をつけた。それは…「不正をするより、自分のレベルに合った会社を選べばいいと思う」というある若者の発言。★この言葉のどこが問題なんだと思います?「まっとうな意見じゃないか」と、まあ、ふつうは思うでしょうね。NO!言いましょうか、ダイナマイト・ジイ...
先天的な殺人脳の人間を除き、理性がきちんと働いてさえいれば、ふつうは殺人などしない。だけど。人は時に人生の損得勘定も倫理観もどこかにフッ飛ばして人殺しをする。★恨んでも恨みきれないから?気がついたら殺してた?殺人に至るケースは様々だろう。が、ぼくは思う。じつは誰もが殺人を犯す可能性を持って生まれており、殺人者と被殺人者とは背中合わせなんじゃないかと。★ジョージ・ドヴォルスキーの「なぜあなたの脳は恨み...
人間の体のなかには数百兆個の細菌が棲みついているらしい。そのほとんどは小腸・大腸の間借り人。1平方センチあたり100万個というから驚く。★そんなに混みあっていて苦しくないのか?明石大橋や韓国での大惨事を知ってるだろう?…と心配するのはよけいなお世話。からだに悪さをする細菌退治に元気いっぱい活動している。★しかし。その強い味方も両手の指先は手薄だったらしく、悪玉に不意をつかれてしまった。★それは去年の6月末...
いま世界ではいくつぐらいの戦争が継続中だと思われますか。ウクライナをはじめとして25だそうです。★人類は数えきれないほど多くの戦争をしてきました。原因の主たるものは、権力(覇権)争い、領土争い、食糧や資源の争い、そして宗教戦争。★数を調べてみました。ウィキペディアの「戦争一覧」によると、紀元前12世紀の「トロイア戦争」を皮切りに、主だった戦争だけでも400~500。名前をつけられていない中小規模の戦争を入れれば...
自分の追い求めるものを手に入れようと、無我夢中で突っ走っているとき、人は競走馬がブリンガー(遮眼革)をしているような状態になる。視界に入るのは自己実現に関係した情報だけ。前後左右の視野は、ある種「狂気のブリンガー」で遮蔽されている。両眼からあふれ出るのは煮えたぎる欲心。穏やかに人生を送っている人からすれば、1秒たりとも正対したくないタイプだ。★思い起こせば、40代半ばから約20年、ぼくはその状態にかなり...
オックスフォード辞典の2022年を代表する言葉として、圧倒的な支持を得て1位になったのが、ゴブリン・モードだった。「ゴブリン」とは、人間社会の良識を蹴飛ばして好き勝手に生きる妖精の名前なのだが…そのゴブリンの持つ反社会的性向が、新語ゴブリン・モードの芯になっているようにぼくには思える。★つまりゴブリン・モードとは、気持のおもむくままにダラダラ過ごす在りようと紹介されているのだが、言葉どおりに「怠惰な状態...
「はっきりしなさい。いったい、どっちなんだ」と近頃は叱らないのだろうか。昭和の子どもは先生から、親から、よくそう言われたもんです。★昨今は誰もが「…かなと思います」と、「かな」を語尾にくっつける。あれ、何?自信ない?間違ってた場合のホケン?それともキツクならないよう気をつかってる?★なんとまあ、国会議員が議場のやりとりで「…かなと思います」と言っていた。医者も学者も「そういうことになるのかなと…」世間...
「さようなら」という言葉は人の心に小石を投げる。★お葬式やお別れ会。だれそれを偲ぶ会。好きだね、世間は。儀式という虚飾、虚栄、偽善に集まる人々。葬式なんて、死者にとっては大きなお世話じゃないのか?誰のため、なんのためなんだ、その儀式。それぞれの心の内で、別れはもうすませているだろうに。★何色をしているのだろうな、「さようなら」は。多くの宗教は死を黒色で語る。死を怖れさせなければ、宗教はあがったりだか...
人間は日常を脱したくていろんなことをする。コンサート、観劇、写真、会食、登山、旅行、スポーツ…。★しかし。齢をとると思いがけないことになります。それら非日常への脱出なんて「もう勘弁してよ」★じつは、ぼく。これまで非日常を求めて旅、旅、旅。美味いもの探しにも熱心だった。森の緑へのゾッコンは35年も続いている。★そんな非日常の載った天秤のもう片方の皿には何が載っていたのかといえば、毒々しい日常がてんこ盛り。...