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風の記憶 https://blog.goo.ne.jp/yo88yo

風のように吹きすぎてゆく日常を、言葉に残せるものなら残したい…… ささやかな試みの詩集です。

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2014/10/31

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  • 熟田津に船乗りせむと月待てば

    うちつづく灼熱の太陽に焼かれたコンクリートの部屋を逃げ出し行く川の流れに身を任せて浮袋になって水に浮かんでいると氷河の白熊ほどではなくとも流し素麺くらいの生き心地は味わえ川には瀬もあり淀みもありダムがあり吊り橋もあったり笹舟を浮かべて世の泡沫(うたかた)と戯れボートに寝ころんでいと麗しき人をおもい虚しく空ばかり眺めているうちに雲は変幻自在に形相を変えて八方その手が伸びてくるのでこちらの手も水から引き剥がそうとしてみるがなかなか水の手が離してくれなくて手の平は水かきになったようでだが魚のようにスイスイとはいかずいっそ体を空っぽにしてみると浮袋の体は軽くなって良いのだけれどもしも魚であれば沈む力がなくなると浮かんだままで終わってしまいそのとき魚は魚でなくなってしまうから水面に浮いて喜んでいる身はいまは人でもなく魚で...熟田津に船乗りせむと月待てば

  • わたくし的歩き身体改造論

    わたくしは私であり僕でありあたしでありおれでありあたいでありおいらでもあるがひげの吾輩ほど偉くもなく猫ほどに賢くもないわたくしの身体の査定はほぼポンコツでガタビシ足はガクガク心臓はパクパクおまけにハートはビクビクヒヤヒヤこれまで暢気にとんとん拍子で坂を下ってきたのは老ノ坂だったのかこの青息吐息で四苦八苦のくたびれた身体を今更ながら心機一転の補修でなんとか南無三宝おんあぼきゃ曼斗羅虫の神さま草の神さま八百万の見えないちっちゃな神さまとも談合し弱った臓腑には陀羅尼助丸やら正露丸をぶっかまし冷水摩擦で皮膚をしばいて靴ひもしめてやっこらえっこら息継いで坂をのぼる朝夕公園の鉄棒は腕は伸びきりただぶら下がるだけ地面と足とのこのブランクが伸ばしてみても縮めてみても運動不足の怠惰が分銅に掛かり針は動かず塵芥も舞わず汗はぽたぽた...わたくし的歩き身体改造論

  • 眠りの道は暗中模索支離滅裂

    眠りに入るということは日常の意識がなくなるということで生きていながら一時的に死んでいるのではないかなどと考えたりすることがあるが寝床に入ってすぐに眠ってしまうことはまれでしばらくは体は静かに横たわっているが頭の中では無意識に何かの思考が巡っていたりしていて考えたり想ったりしていることがいつのまにか飛躍するというか沈降していくというかふとなんでそんなことを考えたりしていたのかそんな脇道のようなところへ彷徨いだしていたのかと我に返ったりしてそのときはすでに夢の淵を浮遊していたのだがあらためて枕の位置を変えたり体を横向きにしたりして本格的な睡眠の舟底に思考を沈め夢の波間へ漂い出すのに身を任せようとするとすでに自分は自分ではなく覚醒や睡眠の感覚も失われていきその瞬間をここちよく受け入れていることもあるしその境目もわから...眠りの道は暗中模索支離滅裂

  • 泥の中にも四季はあったかも

    ぼくはときどき泥んこになって泥と夢中で遊んでいたけれどあるいは無心で泥を見つめていたりしたけれど泥は土と水がいいあんばいに混じりあいやわやわでぬるぬるでつるっと滑りやすくその感触というか体感というかは触れていると気持ちが良かったり悪かったりするのでいっそ裸になって泥の上を滑走してみたが体じゅうが泥まみれになって自分の体が自分の体ではないような体の皮がひび割れて粘土みたいで乾くと人の埴輪になってしまいびっくりして目と口を開いているものだから見るものは空と雲とぼんやりと霧だったり口にするものは味のない綿毛のようなものばかりで吐いても吸っても体の中は空洞なので古い言葉で語りかけてくる風が吹き抜けていくとそれが埴輪になった人間の記憶なのだけれどなかなか埴輪の気持はイメージできず春は泥の中からどじょうが目とヒゲだけを出し...泥の中にも四季はあったかも

  • 日々をつくす夏はあったか

    この夏もあの夏も夏は暑すぎておろおろおろちけろけろカエルのお腹は白くてやわやわばらあだばらあ緑陰のふかい影ばかり探して薄暗いところに籠っているとこれまでずっと日向を避けるガマだったようなともすれば暗くて湿った蛇穴に落ちて反省ガエルで悔いたくなってしまうがどれも些細なことばかりとぐろを巻いて巻き戻すとトンボの羽を半分切って飛ばして遊んだことだったりあのときトンボは半分の空しか飛べなかったのかなと絵日記を半分残してしまった虚しさ悔しさオニヤンマの通り道で待ち伏せし竹のムチを振りかざしたら気絶して落下したヤンマは羽と目玉を開いたままで見上げるとむくむく入道雲が百面相になっていつかどこかで会った人の顔に似ていたりすみませんすみませんと謝ってしまうばらあだばらあそろばん教室の帰り道で下駄の鼻緒が切れて片足けんけんしていた...日々をつくす夏はあったか

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