近鉄飛鳥の駅前で、レンタサイクルを借り、中学生のケンタくんとふたり、飛鳥の風になって野を駆けた。風が気持ちええなあ、とケンタくん。うん、飛鳥は千年の風が吹いてるからね、特別なんや。古代の不思議な石像なんかに出会いながらの、気ままなサイクリングになりそうだ。猿石からスタートして、鬼の俎板と雪隠へ。石棺も主が居なくなると、鬼の棲みかになってしまうらしい。iPhoneをポケットに入れたケンタくんが低い声で歌っている。私のお墓の前で泣かないでください♪次なる亀石は、あまりにも何気ない民家の陰にあったので、通り過ぎてから気付いて戻った。亀はあざ笑うかのような笑みを浮かべて突っ伏していた。そやけど蛙にも見えるなあ、とケンタくん。そう言われれば大きながま蛙にも見える。雨風にも耐えてきた石と対話するのは難しい。飛鳥はすべ...飛鳥の風になって