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2014/10/11

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  • 密命 弦月三十二人斬り

    ―巻之二―佐伯泰英/双葉文庫2007年6月20日初版。1716年(享保元年)の夏の終わりから話は始まる。「巻之一」から七年ほど過ぎており、金杉惣三郎は留守居役として広尾の相良藩下屋敷に居た。世は吉宗の時代である。江戸留守居役になっても、相変わらず周辺には風雲が湧き上がる。今回は吉宗の将軍職就位に絡んで、支援するものと阻むものの対立の中に、妙な連中が入り込む。「乗源寺」なる忍者の一団である。将軍職を継ぐような譜代大名には「御庭番」なる一団が組織されており、足元をすくわれないように、或いはライバルの動向をいち早く知る意味でも情報収集の要であったと思われる。幕府といえども「御庭番」や「隠密」を駆使して、体制維持に努めている。吉宗にはそんな話があるのか、単なる小説の中の架空の話なのか判らないが、周辺の世継ぎが次々死亡(...密命弦月三十二人斬り

  • 密命 見参!寒月霞斬り

    ―巻之一―佐伯泰英/祥伝社文庫2007年6月20日初版。2011年6月10日第15刷。将軍綱吉が世を去った1709(宝永6年)年から物語は始まる。例によって南国小藩の内紛が発端である。次期藩主の若者と主人公・金杉惣三郎が綱吉の御代に犬を殺処分して埋めたという秘密を共有するという話しはなかなか面白い設定だ。金杉惣三郎は江戸で分家・斎木丹波の陰謀を次々と妨害し、その計画を阻んだが、遂に国元で息子(清之助)と娘(みわ)を勾引され、窮地に立った。525pの長編、読み応えは充分だった。徳川家康は本多正信、徳川綱吉は柳沢吉保、徳川家治は田沼意次、将軍職にあっては必ず、その後ろ盾、支える者が居た。「密命」はちょうど綱吉、吉保の時代が終わり、新しい時代の幕開けでもある。主人公は「密命」により自藩を出奔し、江戸の長屋で暮らし始め...密命見参!寒月霞斬り

  • 孤軍

    ―越境捜査―笹本稜平/双葉文庫2020年12月13日初版。久々の「相勤者/浅草機動捜査隊」に続いての警察モノ。長々と時代小説に浸っていたので、なんとなく調子が狂ってしまうのだけれど。今回の「越境捜査」は警察組織の内部告発的事件解決を目指すもの。「タスクフォース」と称する組織をフルに生かし、常に先手を取る。97p監察との鷺沼の丁々発止が面白い。返答を誤れば、とんでもないことになる腹の探り合いだ。後手に回ればすべてがそこで終わってしまう。なかなかスリリングな、緊張を強いられる作品だった。首席監察官の村田は「滝野川の豪邸」だそうだが、これは浅見光彦さんの家の近くじゃないの。あの辺は、官僚が多いのかな、なんて要らぬ想像をめぐらした。175p親族相盗例(特例):親族間の窃盗、詐欺、横領等一部の犯罪行為はその刑を免除される...孤軍

  • 相勤者

    ―浅草機動捜査隊No.11―鳴海章/実業之日本社文庫2020年12月15日初版。2019年に「情夜」と「失踪」を読んでいるので、この作品が三冊目。特にシリーズ番号はないので、毎回読み切りということになるだろうか。しかし、登場人物は一貫しており、浅草を舞台にしての「古臭い雰囲気」はしっかり今も維持している。この作品は流石に最近書かれたようで、コロナの影響も少なからず書き込まれている。その後、「緊急事態」は続き、街の雰囲気は更に寂れてしまったが、著者もそこまでは考えなかったに違いない。一人のベテラン部長刑事が何ともあっけなくこの世を去った。バットかジョナサンか、似たような他の猫か、とにかく猫を追いかけて車に轢かれるという最後は何とも評し難い。「失踪」でも登場していたから、当初からの登場人物だったのではないかと思う。...相勤者

  • 旅立ノ朝

    ―居眠り磐音(51)―佐伯泰英/双葉文庫2016年1月9日初版。寛政七年(1795年)夏、坂崎一家が再び関前を訪れるところから始まる。前巻から二年後のことである。国家老の父の見舞いということもあるが、同時にまたもや関前に広がる不正の芽を断ち切ることになった。それは父の置かれた状況と無関係に済ませることは出来ないものであった。話の構成で藩主と国家老の世代交代を軸にして、問題を一挙に解決するという離れ業だ。・七人の刺客・藩主交代・国家老の刷新・流浪の十二年・別れ・新たな旅立ち最後は息子の空也が磐音、おこん等家族の元を離れ、一人薩摩に向かって修行の旅に出た所で終わる。空也は先ず、薩摩示現流を学びたいらしい。まさに「旅立」そのものだ。明和九年(1772年)から始まる長い物語だった。その間二十三年だが、中身は四、五十年詰...旅立ノ朝

  • 竹屋ノ渡

    ―居眠り磐音(50)―佐伯泰英/双葉文庫2016年1月9日初版。田沼意次との最後の暗闘を乗り越えて、この巻は、いきなり1793年(寛政五年)の春を迎える。空也は十四歳になり、道場での稽古を許されていた。色々なことがあった。尚武館の番犬、白山は二年ほど前に死んだらしい。・速水左近の復職・尚武館の再興・尋常の勝負・老中首座の解任・金兵衛身罷るいよいよ終盤を迎える前哨戦。いろいろな意味で世代交代がある。若い人が成長し、年寄りは去ってゆく。それを自然に受け入れることはなかなか難しいが、時間がその痛みを癒してくれるようだ。佐々木道場の地中から出てきた小刀の意味を、政治的に利用されることなく問うことができたことは、主人公の人生の(王道)選択だったように思う。人は豊かな経験と見識を以てしても、なかなかこのようにはいかないもの...竹屋ノ渡

  • 意次ノ妄

    ―居眠り磐音(49)―佐伯泰英/双葉文庫2015年7月15日初版。この巻は天明八年(1788年)夏から始まる。実はこの年の一月三十日、京都では大火があり都の大半が焼け落ちるという事件があった。飢饉も続き、米騒動や打ち壊しも頻発し、そんなこともあって、世の中は不穏な空気に包まれていたことは確かだ。そこに田沼意次の身罷り(七月二十七日)があった。・意次70の身罷り・七人の刺客・霧子の怒り・空也の初陣著者はあとがきで前言の五十巻完結を翻し、五十一巻完結になることを、ここで改めて宣言した。長く書いてきた「書き下ろし」だが、どうやら「締め」の目途がたったらしい。意次ノ妄

  • 白鶴ノ紅

    ―居眠り磐音(48)―佐伯泰英/双葉文庫2015年1月10日初版。この巻は前巻から一年ほど先に飛び、天明六年夏から始まる。二人の住み込み門弟、松平辰平・お杏は祝言を上げて福岡藩黒田家家臣となり、江戸藩邸の長屋へ引っ越し、重富利次郎・霧子も同様に祝言を済ませて、関前藩士、剣術指南方として江戸藩邸へ引っ越していた。新たに(奏者番速水左近の次男)速水右近と(御家人・元鈴木道場門弟)恒柿智之助が住み込み門弟となった。小梅村尚武館を背負うのは実質、依田鐘四郎、田丸輝信、神原辰之助、速水右近の四人となった。・尚武館の世代交代・最上紅前田屋・新規開店・尚武館の刺客・朝比奈切通しの刺客・お代の方、還俗ここしばらく登場しないが、御典医、桂川国瑞と共に若狭小浜藩の蘭医、中川淳庵がいる。作品では触れていないが、彼はこの年(天明六年)...白鶴ノ紅

  • 失意ノ方

    ―居眠り磐音(47)―佐伯泰英/双葉文庫2014年12月14日初版。天明四年、田沼意知の死後、誰もがその後の成り行きを、息を潜めて見守っている江戸である。市井からは片や「世直し大明神」と崇められ、片や早くも忘れ去られようとしていた。天明の大飢饉の最中だが、道場破りや北尾重政を加えて主人公の周辺は相変わらず忙しい。・刺客の再来・忍びの弔い・奈緒の行方・ひなの幻術・北尾重政の新作・再出発敵討ちは武士に許された正当な「復讐」であるが、やがて不惑を迎える主人公にとって、その虚しさは身に沁みている。武士の矜持と矛盾することに悩み、剣術にその答えを見出そうとする。そして、佐々木家に伝わる拝領の小太刀が意味するところは何なのか、思索は尽きない。そこに、235p「人の命を絶つことではのうて、生かす道を考えよ」という玲圓の言葉が...失意ノ方

  • 空蝉ノ念

    ―居眠り磐音(45)―佐伯泰英/双葉文庫2014年1月9日初版。この巻はHappyな事と緊迫した状況とが交差する、妙な緊張感が漂う流れになった。Happyな事は松平辰平と箱崎屋お杏、重富利次郎と雑賀霧子だ。それぞれの情景は若さが眩しく溢れ、何とも羨ましい。誰しも「若い時」はあったはずだが、遥かに過ぎ去ってみれば、自分もそんな時代があったのかと思えてしまう。著者もそう思いながら書いたのではないだろうか。緊迫した状況は例によって田の字との関係だ。先手を取られないように、常々気を遣う日々だが、同時に自分の想念とは別に道場に集う若者たちのことを考えざるを得ない。・流浪の老剣客・道場破り・猪牙舟の割り込み・辰平の仕官・辰平の決意・流浪の終焉それを象徴するかのような「流浪の老剣客」だ。己の生き方に対する信念が少なからず揺ら...空蝉ノ念

  • 湯島ノ罠

    ―居眠り磐音(44)―佐伯泰英/双葉文庫2013年12月15日初版。小伝馬町の牢屋敷というのは北町奉行所と浅草御門の中間くらいにある。どちらからも1kmもない距離で、町屋の只中にあったようだ。流石に牢屋敷だけあって、跡地は「十思公園」になっている。多くの作家が題材、背景に使用している阿鼻叫喚の場所である。今回は尚武館門弟の松平辰平が突然姿を消し、何と小伝馬町の牢屋敷、それも女牢に押し込められるという事件である。押し込めたのは町方の与力や同心である。尚武館門弟というだけでそれが出来るのは田の字以外には考えられない。・利次郎の仕官・辰平、勾引され女牢に閉じ込め・辰平救出主人公の周辺では田の字との抗争がいつ終わるともなく続く。尚武館の一画を崩さんと奉行所まで動員して勾引までするという強引さだ。この頃、世間では天明の飢...湯島ノ罠

  • 徒然ノ冬

    ―居眠り磐音(43)―佐伯泰英/双葉文庫2013年6月16日初版。1783年末、息子の意知は異例の若年寄支配に昇進した。明けて翌年、佐野善左衛門政言(五百石)を黙らせるためにいきなり御小納戸頭取(千五百石)を任命する素振りを示したが、周りが納得しなかった。そのこともあってか佐野善左衛門を江戸から離れた相良に呼び出して密かに暗殺を画策したが、それも失敗に終わった。この辺はいかにも小説らしい所だが、現実はもっと複雑奇怪だったのかもしれない。・霧子復活・母の思いと倅の就職・首尾の松の強盗・秘伝の短刀「秘伝の短刀」というのが、またいかにも小説なのだが、これを今度どのように展開させるのか、少なからず期待させるものがある。山形の奈緒との関係、状況もちょっと気になるところだ。尚武館は意外にも賑やかで、資金の面でも潤沢とは言え...徒然ノ冬

  • 木槿ノ賦

    ―居眠り磐音(42)―佐伯泰英/双葉文庫2013年1月13日初版。この話しは1783年(天明3年)の盛夏の話しになるだろうか。少し前に起こった21p浅間山の大噴火の話が少なからず登場する。磐音の両親はそのまま小梅村で暮らし、藩主の実高は養子の後継ぎを伴って関前から出府してきたところだ。相変わらず、尚武館には金子に釣られた浪人達が現われる。警護に万全を期して行動する日々だが、門弟は徐々に増えて道場も活気と力強さが戻って来た。・実高出府・藩主の後継ぎ・国家老の帰藩・懲りない兄弟・朝比奈切通し・縁切寺(東慶寺)・菜緒の苦境・修太郎の悩み・毒矢・磐音の道場破り224p小梅村の尚武館に佐野善左衛門28が現われた。「貸した「七曜紋の旗」を一向に返さない」「佐野家の系図を返さない」「佐野大明神を横領し田沼大明神に変えたこと」...木槿ノ賦

  • 散華ノ刻

    ―居眠り磐音(41)―佐伯泰英/双葉文庫2012年12月23日初版。今回の章は1783年(天明三年)三月の話しになるだろうか。関前藩に渦巻く陰謀が次第にはっきりしてきて、江戸藩邸を中心に結末の時を迎える。主人公は父を助け、あらゆる伝手を使って戦いに挑むことになる。そんな最中、竹村さんは突然「旅」に出たらしい。当時の「旅」には独特のものがあるようだ。現代においても「旅」の魅力は変わらないが、その不便さ、困難さは命懸けであったはずで、それでも人は「旅」に憧れていた様子がある。時代小説には欠かせない情景の一つになっている・藩主の側室・武左衛門旅に出る・江戸家老の陰謀・国家老の裁定・関前藩の後継者・阿片密売の結末・正室の剃髪江戸家老の陰謀はなかなか疲労感のある話しだった。田沼意次の政略的な血縁で幕藩運営を固めるという手...散華ノ刻

  • 春霞ノ乱

    ―居眠り磐音(40)―佐伯泰英/双葉文庫2012年10月14日初版。今回の話しは天明三年(1783年)春から始まる。おこんは正月十五日、無事女の子(睦月)を生んだ。この年5月、浅間山が大噴火したことで、市井の暮らしは困窮の度合いを増すことになる。その辺のことは作中で触れていないが、その前に関前藩の運営にまたもや怪し気な影が忍び寄る。・同心の嫁・睦月生まれる・関前の悩み・関前国家老の勾引・暗殺者・関前国家老奪還関前藩は順風で船を正徳丸、豊後一丸、豊江丸、明和三丸、と次々と新しくしていた。うまく行っていればこそ、不正もまた育つというもの。しかし、田沼意次の幕藩運営は親類縁者で固めるというのが常套手段。その徹底ぶりには恐れ入る。それをうまく取り込んだのが今回の作品だった。田沼意次の政略的に血縁で幕藩運営を固めることの...春霞ノ乱

  • 東雲ノ空

    ―居眠り磐音(38)―佐伯泰英/双葉文庫2012年1月15日初版。「姥捨の郷」を出て、永い旅路の末、江戸に辿り着いた一行。これから新たな闘争が始まるようだ。今津屋の支援で小梅村に新たな道場を開くことになった。当面小梅村を拠点に活動することになる。いきなり小梅村と聞くと何処の田舎かと思うが、大川から引き込んだ横川沿いで、品川家、竹村家、法恩寺橋の地蔵蕎麦とは比較的近い。この一角は何故か小梅村、押上村、柳島村と「村」が多いところである。・新たな刺客・新たな尚武館・弥助の出自・御庭番の監視の目・無役の悲運尚武館は主人公も含めて多彩な人間が多い。小説だから面白くするにはそれも必要なことだが、そうすると、長編になるとどうしても登場人物の出自が気になって来る。それを折に触れてもっともらしく作り込んでいるのがまた面白い。忍者...東雲ノ空

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