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2014/10/11

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  • 意地 密命・具足武者の怪

    ―巻之十九―佐伯泰英/祥伝社文庫2008年6月20日初版。享保十年(1725年)、相変わらず尾張の影がチラつく惣三郎の周辺だが、今回は具足武者という仮想大会の様な連中が現われる。戦の無い江戸時代でも、この戦国武者のような連中の行動はちょっと異なものだったに違いない。それはともかく、武士の本分である武術が長く実践から遠ざかることで、弓を射ることも馬を乗りこなすことも儘ならなくなっていることに、見て見ぬふりをしなければならない将軍の心境はいかばかりだったことだろう。自らの体制が天下を治めているとすれば、それは自らが導き出した結果であることに愕然としたのではないだろうか。176p「上野国吉井藩~先代藩主鷹司信清」ということで、ここでは「吉井藩」だったが、181p「上野国吉川藩~鷹司家」では「吉川藩」になってしまった。...意地密命・具足武者の怪

  • 遺髪 密命・加賀の変

    ―巻之十八―佐伯泰英/祥伝社文庫2007年12月20日初版。享保十年(1725年)、清之助は尋常勝負で立ち会った相手との約束で、金沢から高岡へ旅に出ることに。この途中で相変わらず妙な連中に狙われるが、これを振り払いながら何とか高岡に到着。ここで意外な展開になる訳だが、この辺が今回の読み所か。若い二人が周囲の反対を押し切って・・、という話しはよく聞く。しかし、その先が問題だ。その場に残り、与えられた状況の中で何とか頑張る(周囲の理解を得られるまで努力をする)か、周囲の家族や友人を捨てて二人で逃避行を選ぶかによって、その後の人生は大いに異なる。著者の作品にもこの設定はときどき使われる。しかし、出奔、逐電した二人が幸せになるという設定は今のところ密命シリーズでも、居眠り磐音シリーズでも出てこなかったように思う。そして...遺髪密命・加賀の変

  • 初心 密命・闇参籠

    ―巻之十七―佐伯泰英/祥伝社文庫2007年6月20日初版、2010年6月10日第10刷。江戸ではみわ、結衣の姉妹の青春時代が華々しく展開する。心ときめかす一番いい時代だ。しかし、相変わらず惣三郎を狙う尾張の刺客も後を絶たない。北陸、永平寺では清之助が難修行「闇参籠」に挑戦し、見事乗り越えて「初心」に還った。休む間もなく、修行の旅を再開し、金沢を目指す。享保十年(1725年)、道場破りが頻繁に訪れる時代、そんなことは本当にあったのか。そして、いとも簡単に命のやり取りをする。あまりにも命が軽すぎる。平和な時代の武士、主たる仕事を失って久しい武士の「新しい目標」を、時の政権は掲げ示すことが出来なかった。長々続く慣習と世襲にしがみつき、落ちこぼれたら最後、武士として生きては行けない。確かに、武士を捨てれば道はあるかもし...初心密命・闇参籠

  • 密命 烏鷺 飛鳥山黒白

    ―巻之十六―佐伯泰英/祥伝社文庫2016年10月20日初版。あっという間に享保十年(1725年)の春を迎えた。主人公は長かった大和柳生の訪問を終えて、結衣を伴ってやっと江戸に戻って来た。しばし疲れを取るために例によって飛鳥山の別荘に入った。しかし、ここでも何か不穏な空気が漂う。今回はいささか自信過剰の老人が相手、しかし実は居合の達人だと言う。人生の最後の勝負ということで、尾張の用人に担がれて「華々しい勝利」を夢見ての惣三郎に対する挑戦だった。惣三郎が負けるはずもないのだが、ついつい読み進めてしまう。一方、清之助は「鯖街道:鞍馬口~貴船口~鞍馬寺~針畑峠~若狭・小浜へ」の修行の旅を続けている。「鯖街道」は後に付けた総称で、「魚屋路」と同じような意味合い。実際は「若狭街道」「鞍馬街道」「周山街道」などの主要路と「針...密命烏鷺飛鳥山黒白

  • 無刀 密命・父子鷹

    ―巻之十五―佐伯泰英/祥伝社文庫2006年9月10日初版。今回の話は江戸と大和柳生の庄に分かれて展開する。流れとしては軽快なテンポで進む。相変わらず、金杉親子は大活躍だが、江戸では昇平も負けてはいない。破格の昇進の話までは良かったが、その後が良くない。出し抜かれた格好になった兄貴分が黙っていなかった。それは昇平の責任ではなかったが、人間社会にはよくあることだ。一方、柳生の庄では「大稽古」なるイベントが着々と準備され、近隣諸国から武士たちがやってくる。その中に、例によって尾張柳生もやって来た。参加者の中に紛れ込み、稽古をしながら虎視眈々と金杉親子を狙っている。何と言っても、最後には金杉親子が勝つというのは判っているのだが、ついつい熱中してしまう。211p「柳生街道(地獄道)」の話はなかなか面白い。「磨崖仏」は姥捨...無刀密命・父子鷹

  • 遠謀 密命・血の絆

    ―巻之十四―佐伯泰英/祥伝社文庫2006年4月20日初版。2008年3月25日第11刷。今回の話は金杉家の末娘結衣の家出が原因で、その遠謀と結末まで。無邪気な憧れで、旅の一座に飛び込んだ結衣だったが、それは罠でもあった。名古屋を拠点とする旅の一座が尾張様の命を拒否することは出来ない。結衣を尾張城下まで勾引したところまでは成功したとも言えるが、手段が悪質だ。そこで、惣三郎と清之助が申し合わせて、尾張名古屋城下に攻め込むことになったのである。しかし、この話しにはかなりの無理がある。惣三郎と清之助を斃すために多勢で攻めるというのも、剣聖の柳生らしくもない。そこで30年も前に身罷ったはずの尾張柳生の頭領「柳生七郎兵衛(連也斎)厳包」を引き出すのである。連也斎厳包の助けで父子は尋常の勝負に持ち込み、不逞を働いた人物を見事...遠謀密命・血の絆

  • 追善 密命・死の舞

    ―巻之十三―佐伯泰英/祥伝社文庫2005年10月30日初版。2008年4月15日第13刷。享保八年(1723年)師走から話は始まる。シリーズも半ばだが、相変わらず尾張柳生が金杉親子の所にやって来る。その他にも事件があり、主人公はなかなか忙しい。清之助の修行の旅も、いつ終わるともなく続く。今回は大和柳生の里であった。柳生十兵衛も人気の剣客であったが、清之助も負けてはいない。しかし、一体何番勝負をやっているのだろうか。解説で縄田さんも言っているが、何本もシリーズを並行して書き、他にも作品を手掛けるというから、著者には本当に驚きを禁じ得ない。本当は、密かに書き溜めてあるんじゃないの、とか。もう一人ゴーストライターが居て、密かに書いているんじゃないのとか、そんなことは無いか。信じ難いことだが、本当に量産作家なのである。...追善密命・死の舞

  • 乱雲 密命・傀儡剣合わせ鏡

    ―巻之十二―佐伯泰英/祥伝社文庫2005年4月20日初版。2008年3月25日第14刷。久々に清之助の旅は紀伊和歌山から始まる。居合の田宮流道場で剣技を研鑽する日々だ。しかし、そこにもお家騒動の火の粉は降って来る。142p清之助のあまりの強さに「剣を捨ててよかった」と、園部治平次の思いである。上には上が居て、どう考えても太刀打ち出来ないと思うことは、人生にもままあることだ。しかし、そこで転向したからと言って人生の選択を誤ったとは言えない。むしろ、正しいこともある。長い人生の中で、自信を失い呆然とすることもあるかもしれない。しかし、何かしら選択肢は必ず残されているというのが人生だ。またもや、水野京之助といい、高野聖といい、傀儡夫婦といい尾張兄弟の影がチラつく。史実上、本当にこんな確執が吉宗と尾張兄弟の間にあったか...乱雲密命・傀儡剣合わせ鏡

  • 残夢 密命・熊野秘法剣

    ―巻之十一―佐伯泰英/祥伝社文庫2004年10月20日初版。この話しは享保八年(1723年)のこと、相変わらず江戸は火付けが流行っていた。江戸の町屋は木と紙で出来ていたから、とにかく簡単に燃えた。それなのに照明器具が行灯や蝋燭なのだからたまらない。そんな所に「火盗野分」なる放火犯一味が現われる。調べが進むと一味は紀州熊野からやって来た者たちらしい。それが、主人公達には納得し難く悩ましい。なかなか証拠が掴めないまま、時間だけが過ぎてゆく。早い話が現体制(吉宗)と尾張との確執である。火盗野分なる一味は、尾張におだてられ、目の前に甘い言葉を並べられ、その気になって夢を見た一団であった。主力は勿論主人公だが、今回は相手方の人数が多い。奉行所、町火消しを動員しての大捕り物になった。最後は、主人公が寒月霞斬りで締めくくって...残夢密命・熊野秘法剣

  • 遺恨 密命・影ノ剣

    ―巻之十―佐伯泰英/祥伝社文庫2004年4月20日初版。2010年6月10日第29刷。享保八年(1723年)正月から話は始まる。いきなり、鹿島の米津寛兵衛が亡くなった。80過ぎなので誰もが往生したかと思うが、実は旅の武芸者と立ち合った結果だという。ここに登場したのが代々尾張で影仕事をしてきたという家系の秘太刀表一流、鷲村という人物だ。武士というより用心深い鉄砲玉のような人物で、尋常な勝負など考えない。隙あらば背後からでも襲うという設定だ。狙われるのは主人公だけでなく、最終的には大岡が最終目標ということで、戦々恐々の日々が続く。同時に、無鉄砲な新人門弟北沢毅唯の登場、棟方新左衛門の見合い、伊吹屋葉月の縁談、側室勧誘、追立屋(地上げ屋)という火付け一味、更には清之助の回遊修行を織り交ぜて話はドラマチックに展開する。...遺恨密命・影ノ剣

  • 極意 密命・御庭番斬殺

    ―巻之九―佐伯泰英/祥伝社文庫2007年10月20日初版。2009年10月15日第11刷。今回の話の大筋は将軍吉宗が調達した諜報組織の十六家、更に組織強化で追加した御庭番四家の中で起きた暗殺事件と、清之助が対峙する「尾張柳生七人衆」との激闘である。勿論、御庭番の暗殺に関しては惣三郎が関わる訳だが、何と言っても「御庭番」、簡単には姿を見せない。大岡以下総力を上げての捜査となる。一方、清之助の対する七人衆は順番に現れるから判りやすい。やはり印象に残るのは巌流島の戦いだろうか。「先の先」は勝ってなんぼの弱肉強食、先手必勝の戦国時代の武士。奇襲であり先手である。「後の先」は平和な時代に作られた武士の美意識。そんなことを考えながら、読み進んだ。道場などの神棚に「南無八幡大菩薩」という文言が掲げられているのをよく見かける。...極意密命・御庭番斬殺

  • 悲恋 密命・尾張柳生剣

    ―巻之八―佐伯泰英/祥伝社文庫2007年10月20日初版。2008年3月25日第三刷。享保六年(1721年)師走から話は始まる。お題の「悲恋」はどなたの悲恋か。それは惣三郎の長女みわだった。不良浪人に絡まれて、そこに颯爽と登場した若い剣士だからひとたまりもない。実は、芝居だったのだ。若者は尾張四天王の一人で何とも二重人格的な人物に仕立てられている。みわはこの事件で自信を失い、すっかり落ち込んでしまった。まあ、さもあらん。その他、例によって魑魅魍魎の類のように次々といろいろな人物が惣三郎の前に登場して、もう歳だと言いながらも、相変わらずバッタバッタと薙ぎ倒す。回遊修行の清之助も付けてくる尾張の刺客を振り払いながら旅を続けている。吉宗を取り巻く環境は芳しくない。財政は一向に上向かず、改革も困難を極める。武家社会と台...悲恋密命・尾張柳生剣

  • 初陣 密命・霜夜炎返し

    ―巻之七―佐伯泰英/祥伝社文庫2007年10月20日初版。2008年4月15日第4刷。享保六年(1721年)日本史上初めての国勢調査が行われた。江戸の人口は町民五十万人、武家は参勤交代もあるので定かではないが、やはり五十万人は居たであろうと思われる。この時代、百万人が暮らす江戸は世界にも類を見ない、いかにも巨大都市であったに違いない。この作品の主なテーマは、主人公の倅、清之助の成長と剣術大会だろう。徳川の天下が続く平和な江戸で、武士の本分を確認するために催された剣術大会だ。この大会に清之助も出場するというのは、いかにも小説だが、決勝で勝ちを譲るところがミソだ。そして、数多の引き合いも振り捨てて即座に修行の旅に出るところが潔い。最後に、今回の作品の初めから終わりまで、金杉親子は一条寺菊小童という病的なストーカーに...初陣密命・霜夜炎返し

  • 凶刃 密命・一期一殺

    ―巻之六―佐伯泰英/祥伝社文庫2007年10月20日初版。2009年10月15日第11刷。相変わらずいろいろと考えるもので、結構複雑に二つ三つのストーリーが折り重なって展開する運びは、読み手として油断がならず忙しい。いつも思うことだが、ストーリーの重なりとそのタイミングは、やはり計算されたものなのだろうか。偶然の産物とも思えないが、緻密な計算があるとも思えない。更にこのとき、著者は別のシリーズ作品も並行して書いていたというから驚いてしまう。383p、この巻の諸々が雪崩のように決着するクライマックス。確かに手足をもぎ取られ、柿の種のようになった御用取次の有馬氏倫であったが、これで完全に諦めるとは思えない。これから先、この御用取次と大岡越前を軸にして展開するのだろうなと想像した。一先ず、お家の内紛はこれで決着したよ...凶刃密命・一期一殺

  • 火頭 密命・紅漣剣

    ―巻之五―佐伯泰英/祥伝社文庫2020年12月13日初版。既読の「巻之三」「巻之四」の内容はすっかり忘れてしまったが、過去のレビューを見ると、このようなことであったらしい。巻之三密命残月無想斬り火血刀剣という妖剣を操る石動奇嶽なる怪人との闘い。武田信玄の「草の者」という設定。巻之四刺客密命・斬月剣大岡越前の密命、京都の探査、7人の刺客との闘争。将軍職を争う宗春の陰謀。気を取り直して「巻之五」に取り掛かる。時代は享保四年(1719)だ。「巻之一」で主人公の金杉は35歳だったから、今は45歳である。すっかり中年になってしまった。世は吉宗の「享保の改革」が始まったばかりである。今回の作品は全編を通して「火頭の歌右衛門」なる強盗殺人放火の夜盗との闘い。最終的には主人公達が勝利する訳だが、20人からの夜盗の資金源は吉宗に...火頭密命・紅漣剣

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